SpecialThanks“ときめきアンテナ”を張り巡らせて出来上がった超自信作!

SpecialThanks | 2016.05.16

 これぞ“ザ・SpecialThanks”と言うべきバンドの集大成となった前作アルバム『missa』から、わずか10ヵ月ぶりにリリースされるスペサンの新作ミニアルバム『heavenly』。結成10年を経て、新たなフェーズへと突入する記念すべき第一歩を刻む、とても大切な1枚になった。10代からライブハウスで歌いはじめたボーカルのMisakiが、「ここから20代、30代になっても歌い続けられる音楽を作りたい」、そう願って取り組んだという今作。「もっと音楽を勉強したい」「絶対に驚いてもらえる」「ときめき続けたい」と、いつになくポジティヴな言葉が飛び交ったインタビューからは、変化を恐れずに、自分の言葉で想いを伝える決意を固めたMisakiの覚悟が滲み出ていると思う。

EMTG:まず昨年(2015年)末から今年にかけてHeisuke(G)さんとJunpei(Dr)さんが脱退したわけですけども。そのことについてMisakiさんの気持ちの整理はついていますか?
Misaki(Vo・G):今回の脱退は、メンバーそれぞれの人生で自分がなりたいものとか、やりたいことに突き進んでいく中での前向きな決断なんです。だから、地元の先輩とかもけっこう心配してくれるんですけど、みんなが思ってるほど落ち込んではいないですね。それぞれが自分のやりたいことに進んでいった結果として、もし一緒にバンドをやるなら幸せだし、そこにバンドがないんだったら、それでもいいんじゃないかなっていう話をみんなでしました。だから、いまは新しいメンバーと合わせていくのは慣れないところもあって大変ではあるんですけど、良い感じにワイワイしてます(笑)。いままでメンバーは年上だったんですけど、新しいドラマーのyoshi くんもわたしと同い年ですし。
EMTG:じゃあ、yoshiさんが正式にメンバーになって、ギターは?
Misaki:Chikaiくんがサポートに入ってくれて。ツアーも一緒に回ることになってます。
EMTG:今回リリースされるミニアルバム『heavenly』の制作はどういうメンバーですか?
Misaki:録ったのは前のメンバーですね。前回のアルバム『missa』のツアー中だから、去年の秋頃に作りました。気持ちとしては新しいメンバーも入るし、これからもSpecialThanksを続けていくうえで、新たな一歩になる作品にしたいとは思ってましたね。『missa』では、“ザ・SpecialThanks”、これがスペサンです、みたいな作品ができたので、今回はそうじゃなくて、また新たな気持ちで始めようと思ったんです。だから、「これがSpecialThanks です」っていうような気持ちではないんです。
EMTG:発展途上のままの作品というか?
Misaki:そうですね。まだ完全に変わり切れてはいないんですけど、変わっていきたいなっていう、その途中経過の作品だと思います。10代から始めた音楽だけど、やっぱり年齢を重ねて大人になっていくわけじゃないですか。これから、30代、40代になっても音楽を続けていくためには、その年齢に合った音楽をやっていきたいんですね。だから、あとで振り返って、『heavenly』を聴いたら、「あ、こういうことをやりたかったんだ」って思ってもらえるような、みんなに成長を見てもらえるような作品を残したかったんです。
EMTG:その変化の兆しとしては、今回の『heavenly』はライブで盛り上がるというよりも、もう少しじっくり作品と向き合わせてくれるところが大きいですよね。
Misaki:本当にまだまだですけどね。自分が「こうしたい!」みたいなイメージの1/10もできてないんです。でも、いまの自分ができるものとしては、良いものができたと思ってます。これから、もっとみんなをびっくりさせるような音楽を作りたいし、みんながうれしくなるような、いまこの世にない新しいものを生み出していくために、がんばっていきたいと思ってるんです。わたしのなかで「これから」がすごく見えてるんです。
EMTG:いま、Misakiさんが思い描いてることを少し言葉にすると?
Misaki:えー……難しいな。でも、今回の「heavenly」っていうタイトルが、自分が目標とするところなんですよね。でも、入ってる曲たち自体は、そこに向けて葛藤しているんですけど。「heavenly」(=天国)っていうは、「どこまでも行っちゃおう!」みたいな意味で、ミニアルバムのタイトルにしてて。うーん、音楽をやりたいっていう感じなのかな。
EMTG:それはメロコアとかロックとか、そういうジャンルに関係なくという意味?
Misaki:そうですね。いままでもメロコアだけをやってきたつもりはないんですけど、やっぱりそういう人たちと一緒にライブをやることが多くて。でも、20代後半とか、30代になっていくなかで、わたしはもうそこじゃないかなって思うんです。そこは若い子たちがやってくれたらうれしい(笑)。もちろん、ずっとロック/パンクをやってる人もすごいし、そういう人になりたいっていう願望もあるんですね。だから、まだ悩んでるんです……。でも、いまのロック/パンクみたいなところには、戻ろうと思えば戻れるから、いまは違うところを目指したいんです。いまのスペサンの曲は、どちらかと言うと、歌が埋もれちゃう曲が多くて。それは爆音で演奏して、みんなが「イェーイ!」って楽しくなるのがやりたいからそうしてきたんですけど。いまはもっと歌を生かせる曲をやりたいんです。
EMTG:なるほど。そう考えると、今回は「heavenly」とか「DOUNARUNO!?」とか、日本語の歌がすごく増えたことにも納得ですね。どれも歌詞がすごく聴こえてくるし。
Misaki:そうなってたら、うれしいです。歌詞の書き方も、いままでやってたような自分の日記みたいなものから、第三者に発信していくような感じで書いてるんです。自分のいまの現状に向き合って書くことで、何かを提案するというか、「こういう生き方もいいんじゃない?」って、誰かに伝えてみたいなっていうふうに、だんだん変わってきましたね。ずっと英語で書いてきたから、日本語だと訳さなくていいからラクだし、あとは言葉がメロディにハマッたときにすごく気持ち良いので、最近ブームなんです(笑)。
EMTG:そうなんですね(笑)。今回は音作りでも歌が届くことを意識したんですか?
Misaki:アプローチとしては、まず歌い方だったり、声の出し方、歌詞を変えるっていう感じでしたね。やりたいことも増えてるし、いまは曲づくりもちゃんと勉強したいと思うようになってるんです。いままでは純粋な気持ちで自分から出てくるものが絶対に良いと思ってて。もちろん、それもかっこいいけど、そういうのは、わたしのなかでは簡単にできるようになったんですね。でも、いま足りないのは、もっと考えながら、曲を組み立てること。いままでのスッと出てくるものを、さらに考えて作っていくことなんです。
EMTG:いままで感性だけで作ってたものに、理論武装をしていく?
Misaki:そうですね。どうすれば、もっとみんなが歌いやすい曲になるのか、とか考えて。そうすることで、長く続けていける音楽ができるんじゃないかなと思ってるんです。
EMTG:今日の話って、1曲目の「DOUNARUNO!?」っていう曲の歌詞に集約されてる気がします。変化を恐れずに世界を広げていこうっていう。
Misaki:この曲がいまのわたしのテーマですね。“ときめきアンテナ”を張り巡らせていきたいなと思ってて。自分が生きてくうえで、ときめくほうばっかりを選んでいけたら、「どれだけ素敵な人になれるんだろう?」って思うんですよ。それが、すごくワクワクするというか。たとえばパン屋さんに行って、パンを選ぶときでも、「こっちにときめく!」みたいなことでいいんです。何かを選ぶとき、消去法じゃなくて直観で選ぶ。それを常に繰り返していくっていう、そういう生き方をみんなに提案したいなっていう曲なんです。
EMTG:だから、タイトルの「DOUNARUNO?」=「どうなるの?」っていう言葉は、言い方ひとつで、未来に対して「どうなるんだろう……?」って不安にもとれるけど……。
Misaki:この曲は「どうなるの!?ワクワクッ♪」のほうですよね。
EMTG:「未来がわからないからいいんじゃない?」みたいな、ポジティヴな曲。
Misaki:だから、今回のツアーもすごくワクワクしてますよ。前回の「missa」ツアーでは、いままで自分が感じたことがないくらい成長できたこともあって。今回のツアーをまわったら、「また変われちゃうんだ」「バンドが成長できるんだ」って思ってるんです。
EMTG:そのリリースツアーは、The Winking Owlとのダブルレコ発になるんですね。
Misaki:そうです。The Winking OwlのドラムのKenTくんとは、本当に小学校ぐらいのときにお互いがライブハウスで知り合った友達みたいな感じなので。ふたりとも音楽を嫌いにならずにきた人間だから、良いツアーにしたいなと思ってます。
EMTG:スペサンのステージはどんなふうになりますか? やっぱり歌を大切にして、しっかりメッセージを伝えるような感じ?
Misaki:まだ見えてないところが多いですけど。今回の作品は、みんなで「イェーイ!」ってなるような勢い任せじゃないところがあるから、ドキドキしますね。テンポが速くて、自然にのれちゃうような曲は、パッと見で盛り上がってるように見えたりするから、こっちも安心するんですけど。そういうのだけではなくなっていくと思うんです。
EMTG:見た目では全然動いてないんだけど、実は心のなかはジーンとしてるっていう。
Misaki:そういうライブを作っていきたいですね。

【取材・文:秦理絵】

tag一覧 ミニアルバム 女性ボーカル SpecialThanks

ビデオコメント

リリース情報

heavenly

heavenly

2016年05月11日

KOGA RECORDS

[CD]
1. DOUNARUNO!?
2. SWEET
3. KOKOKARA
4. heavenly
5. Nothing
6. Please Watch Me

[DVD]
2015.11.1下北沢GARDEN - SpecialThanks 「missa」 release tour - ONEMAN LIVE
Hey you! / Kitchen drinker / YOU=MUSIC I LOVE / ONE WEEK / try it out / getting on / Morning Coffee / Marguerite / ロックンロールダンス / 1.2.3!4.5.6! / listen to the radio / I MY ME MINE / I don’t know / Mr.DONUT / Hello colorful / present□ / you say good bye

※□はハートマーク

お知らせ

■ライブ情報

Niigata Rainbow ROCK 2016
2016/05/04(祝)新潟市内ライブハウス6会場
       +万代イシティー(無料会場)

SHIBUYA THE SCUMZ VOL.2
2016/05/08(日) 渋谷 THE GAME

SpecialThanks「heavenly」release tour
2016/05/20(金) 小倉WOW!
2016/05/21(土) 福岡Queblick
2016/05/22(日) 長崎Studio DO!
2016/05/24(火) 広島CAVE-BE
2016/05/25(水) 岡山IMAGE
2016/05/26(木) 高松DIME
2016/05/30(月) 仙台MACANA
2016/06/01(水) 札幌DUCE
2016/06/03(金) 新潟RIVERST
2016/06/06(月) 富山SOUL POWER
2016/06/07(火) 金沢vanvan V4
2016/06/09(木) 大阪Shangri-La
2016/06/10(金) 名古屋ell.FITS ALL
2016/06/17(金) 渋谷TSUTAYA O-WEST

HAMMER EGG vol.3
2016/05/27(金) 渋谷eggman

Eggs presents SAKAE SP-RING 2016
2016/06/04(土)・5(日)
名古屋中心部、栄・矢場町・新栄・大須地区の
ライブハウス/クラブ

Jun Gray Records Presents
"And Your Birds Can Sing II

2016/06/18(土) 名古屋 栄 R.A.D
2016/06/19(日) 大阪心斎橋Pangea

"Dizzy Beats" TOUR 2016
2016/06/26(日) 松阪M’AXA

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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