初のシングル『オンリーワンダー』は、フレデリック真骨頂のダンスロックナンバー

フレデリック | 2016.06.13

 ほっとけほっとけほっとけないほど~♪という独特のフレーズがクセになるフレデリック真骨頂のダンスロックナンバー「オンリーワンダー」が完成した。バンドにとって初のシングルとなる今作には、オンリーワンこそNo.1だというバンドからのメッセージが込められている。アナログシンセを絡めたユニークなイントロから、ライブで真価を発揮するサビの盛り上がりまで、バンドの代表曲「オドループ」や「OWARASE NIGHT」を超える必殺のキラーチューン。この曲の誕生には今年2~3月に若手バンド4組(夜の本気ダンス、雨のパレード、My Hair is Bad)で全国を回ったスぺースシャワー主催の「列伝」ツアーに参加したことも影響を与えている。「これが現時点のフレデリックだ!」。バンドにとって大事なものを取り戻したいま、伝えたい想いが溢れて止まらない3人に話を訊いた。

EMTG:「オンリーワンダー」を初めて聞いたのが年明けに開催した列伝ツアーのファイナルだったんですけど、作ったのもツアー中だったんですか?
三原健司(Vo・G):そうですね。でも、列伝のときに披露したのと今回のシングルになった音源とでは歌詞もメロディもかなり変わってるんですよ。音源で出すときにサビをここまで変えるのは珍しいなっていうぐらい。あのときは「オンリーワンダー」っていうタイトルも仮だったし、あとで変わってもいいから、とりあえず新曲として披露したかったんです。
EMTG:そういう意味で、今回のシングルを語るうえで列伝ツアーの出来事は避けては通れないと思うんだけど、改めてフレデリックにとってどんなツアーでしたか?
赤頭隆児(G):最初に列伝が決まったときは、「やった!決まった!」っていう嬉しい気持ちが大きかったんですね。でも、それで逆に「あれもせな、これもせな」っていうふうに、いろいろ考えすぎたところもあって。メンバーの間で「もっとお客さんに楽しんでもらうためにはどうしたらいいだろう?」っていう話をする機会がすごく増えたんです。
三原康司(B):やっぱり4バンドが出るツアーだから、どのバンドよりも特別に思ってもらいたいじゃないですか。そのためには自分らが大事にしてることをちゃんと伝えなきゃいけないと思ったんです。僕らはずっと音楽を聴いてほしくてやってるわけだし、ライブハウスに来て一緒に楽しもう、自由に踊ろうっていうのを大事にしてきたので。改めてそこに磨きをかけていきたいなと思ったんです。
隆児:4バンドもいるとどうしても他のバンドに影響されちゃうんですよね。そのおかげで俺らは自分らを取り戻せたというか、再確認できたところはありましたね。
EMTG:ツアー初日の福岡ではMy Hair is BadのVo.椎木(知仁)くんに挑発するようなことも言われたじゃないですか。正直ムカついた部分もあったみたいだけど……?
健司:もともと自分たちはあんまり他のバンドとバチバチするようなバンドではないんですよね。それが今年に入って、たとえばマイヘアとかにけしかけてもらって、No.1を取りに行こうとしてたというか。勝ち負けで勝負することを意識してたんです。でも、やっぱりそれは自分たちらしくなかったんですよね。さっきも言ったように、「お客さんに楽しんでもらうためには、どうしたらいいだろう?」っていうことを大事にするほうが、自分たちらしくて良かった。そいうことにも改めて気づいたんです。
EMTG:それで《みんなちがってみんな優勝》っていう歌詞にもあるような、自分らしさを肯定する「オンリーワンダー」っていうメッセージソングができたんですね。
健司:そうですね。フレデリックがファーストシングルを出すとしたら「オンリーワンダー」が良いっていう気持ちが固まっていきましたね。
EMTG:そもそもフレデリックってクセになるメロディとか独特の語感だったり、オンリーワンの曲を作り続けるバンドじゃないですか。それが、なぜいまオンリーワンを歌う必要があるのか、今回それを訊きたいなと思ってたんですよ。
健司:たしかに僕らはあんまり「何々っぽいバンドだよね」って言われたことがないんです。「フレデリックはフレデリックだよね」って言ってもらえることが多くて。でも、それを褒め言葉として捉えたらいいのか、「新しすぎてわからない」っていう含みのある言われ方なのか、自分たちでも判断できてなかったんですよ。「これが武器になるのかな?」と思ってて。むしろ何かに似てることのほうが安定してるし、良いことだと思ってるところもあって。かと言って、似てることが悪いことだって言う人もいるじゃないですか。だからオンリーワンが良いのか悪いのか、自分たちのなかでも曖昧だったんです。
EMTG:それはないものねだりですよね。自分で個性がないと思う人はなんとか人との違いを見つけたいと思うし、個性的な人はどこかに属したいと思うし。
康司:ああ、そうだと思います。僕らは「みんな」に届けたくて音楽をやってたんです。その「みんな」っていうのは、すごく広くて。そう考えると、物事を広く考えなきゃいけなくて、難しくなってたんです。だから結局、特別なひとりに対してちゃんとその音楽を知って楽しんでもらわないと、その「みんな」には絶対につながらないなっていう話になって。自分たちの特別を磨いていこうとしたのが「オンリーワンダー」だと思ってます。
EMTG:列伝で「オンリーワンダー」を披露したときはリリース前にも関わらず、すごく盛り上がってたのも印象的でした。その光景を見てどう思いましたか?
健司:ライブの反応も変わってきたなと思うんですよね。初めて僕らが「オドループ」をやったのが2年前なんですけど、当時「オドループ」みたいにBPMが170を超える曲は僕らにはなかったんですよ。盛り上がるライブって言うより、ゆったり聴いてもらえるようなライブだったんです。そこに「オドループ」ができて、ちょっと乗れるぞみたいな感じになってきた。それから2年経っていろんな楽曲も出してきたところに、今回「オンリーワンダー」を届けられたことで、また踊れるフレデリックが帰ってきたみたいな安心感があったと思うんです。この曲を出してフレデリックっていう柱を立てられたというか。いまの時点での自分たちのフレデリック像みたいなのができてきたのかなと思います。
EMTG:で、同時にカップリングには「プロレスごっこのフラフープ」とか「みつめるみつあみ」みたいな、もともとあるフレデリックらしい曲も収録されていますね。
健司:「プロレスごっこ~」は、昔からライブでやってる曲ですね。やっぱりバンドを6年間やってると、フレデリックにもいろんな印象があると思うんです。メジャーから知ってくれてる人はインディーズの頃のフレデリックは知らないかもしれないし。だから、フレデリックにはこういう色もあったんだよ、その頃のフレデリックもいまも変わらずフレデリックなんだよっていうのを言いたくて、2曲目には昔からある曲を入れたんです。
康司:表題曲の「オンリーワンダー」ではフェスとかでみんなが楽しく踊れる曲を入れて、2曲目にミドルテンポぐらいのパーティー感のある曲「プロレスごっこ~」があって、3曲目の「みつめるみつあみ」は気持ち良く横に踊れるっていう。いままでミニアルバムで僕らがやってきたことがシングルの3曲に凝縮されてバシッと入ってるんです。
EMTG:そんな中身の濃いシングルを引っさげて、6月18日から東名阪「フレデリズムツアー2016」がスタートします。東京はZepp DiverCityという過去最大のハコですね。
健司:今日話したような楽曲に対する想いも、直接お客さんに提示できる場っていうのがライブなんですよ。音楽で見せるところはちゃんと見せたうえで、言葉で話せるところはちゃんと伝えていきたいなと思ってます。今回のライブでも「オンリーワンダー」っていう言葉はずっと言っていきたいですね。
康司:いまの僕らは言いたいことがたくさんあるんですよ。個人でも、バンドでも。
隆児:事務所とかでも「フレデリック、よくしゃべるようになったね」って言われるんですよ。僕もふだんのイベントとかのライブではマイクが立たないんですけど、ワンマンだけはしゃべる機会がもらえるので(笑)。そこは気合いが入ってます。
康司:あとは、いま自分たちのことを特別に思ってくれてるお客さんに対して、ちゃんと感動して帰ってもらいたですね。「明日からもがんばろう」って思ってもらえるような楽しいステージを作って「このバンドを好きで良かった」って全員に言わせたいです。
EMTG:ちなみにちょっと話が戻るけど、今日の話題に出たマイヘアとの関係は列伝ツアーが終わる頃にはすっかり和解して仲良くなったんですよね?
康司:もう全然、和解しましたよ(笑)。みんなそこが気になるみたいですね。
隆児:僕ら列伝のLINEがあるんですけど、こないだ雨パレのギターの(山崎)康介くんに「誕生日おめでとう」って送ったんですよ。それは(大澤)実音穂ちゃん(雨パレのドラム)がツイートしてて、たまたま知ったんですけど。で、その1ヵ月後ぐらいが椎木くんの誕生日だったらしくて。俺、それは知る機会がなかったんです。そしたら椎木くんが「今日ぼく誕生日なんですけど。僕は祝ってくれないんですね」って(笑)。
全員:あははははは!
EMTG:可愛いね(笑)。じゃあ、その後も交流するぐらい仲良くなってるんですね。
健司:1発目の福岡で喧嘩売られて、そこから大阪までバンド全体が集まる打ち上げがなかったんですね。それで大阪の打ち上げのときに、俺がはっきりと椎木に「お前のこと嫌い」って言えたんです。「嫌いやけど、だからこそ好きにもなれる」みたいな話もしたので。初めて人とああいう感じでぶつかって和解できたんです。
隆児:結局ふたりは似た者同士だったしね。あの日の打ち上げはすごかったな。
健司:俺は酔っ払いすぎてコンビニの前で転がってた(笑)。
康司:で、そのときに健司を介抱してくれとったのも椎木くんだったしね。介抱しながら、椎木くんは「健司さん、俺の勝ちでいいっすか?」って言って、健司が「もうっ!」みたいなやりとりをずっとしてて。「あ、列伝だなぁ」と思いました(笑)。

【取材・文:秦 理絵】

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リリース情報

オンリーワンダー(初回限定盤)[CD+DVD]

オンリーワンダー(初回限定盤)[CD+DVD]

2016年06月15日

A-Sketch

1. オンリーワンダー
2. プロレスごっこのフラフープ
3. みつめるみつあみ
4. オワラセナイト(Live Ver.)
5. 愛の迷惑(Live Ver.)

[DVD]
スペシャ列伝ツアー2016よりライブ映像4曲を収録

お知らせ

■ライブ情報

フレデリズムツアー2016〜オンリーワンダーランド
2016/6/18(土) 名古屋ダイアモンドホール
2016/6/19(日) 大 阪なんばHatch
2016/7/02(土) 東京 Zepp Diver City

秋の全国ワンマンツアー開催決定!
2016/11/12(土) 仙台 CLUB JUNK BOX
2016/11/19(土) 高松 MONSTER
2016/11/20(日) 岡山 IMAGE
2016/12/03(土) 新潟 GOLDEN PIGS RED STAGE
2016/12/04(日) 金沢 vanvan V4
2016/12/11(日) 札幌 Sound lab mole
2016/12/17(土) 福岡 BEAT STATION
2016/12/18(日) 広島 SECOND CRUTCH
2017/01/08(日) 大阪 なんばHatch
2017/01/09(月・祝) 名古屋 DIAMOND HALL
2017/01/22(日) 東京 新木場STUDIO COAST

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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