ゴスペラーズ 新曲を3曲収録したDouble A Side Single「GOSWING/Recycle Love」をリリース

ゴスペラーズ | 2016.07.01

 その長いキャリアを持ってしても、まだまだ新たな挑戦が含まれているという今回のDouble A Sideシングルが届いた。どのような作品に仕上がったのか、またどのように制作されていったのか、ゴスペラーズのメンバー全員にお集まり頂き、お話を伺ってみたので是非チェックして欲しい。

EMTG:今回のシングルは、Double A Sideであるばかりか、うれしいことに新曲ばかりの3曲を収録。1曲目「GOSWING」は、90年代に隆盛を極めたニュー・ジャック・スウィング (以下NJS)が思い浮かびますね。
村上:ひとつ前のシングル「Dream Girl」を起点に、「次のアルバムは90年代で遊ぼう」というアイディアが出て、当時の音楽について、ああだった、こうだったと話をするようになったんです。そんななかで、最近NJSみたいなビートはやってないから面白いかもねという話が出て、各自そのお題で曲作りに取り組みました。最終的なテイストは違うけど、「PRINCESS☆HUG」も同じきっかけから出来上がったものです。けっして最初からNJS狙いだったわけじゃなくて。
EMTG:アルバムに向けてのプロセスで生まれたものだったんですね。
村上:デモを作るうちに、夏のシングルはやっぱり調子いいヤツがいいよねという話にはなり、そういう楽曲をピックアップしていきました。同時期、アカペラをどう聴かせていくべきかということも議題に上がり、テクノロジーを使うのもアリだよねという話が出たんです。でも、単なる多重録音の世界にいくのはレコード芸術であって、ステージでの再現性を担保することができないじゃない。それがワルいというわけじゃないけど、僕たちが今までやってきたことを思えば、かなりの注釈が必要になってくるなと。「Recycle Love」ももちろん注釈は必要なんですけど、ステージで再現できるカタチにはなってるんですね。僕らが昔、「喧嘩アカペラ」と呼んでいたスタイルを、また違ったカタチで蘇らせるというコンセプトもあったわけで。
EMTG:なるほど。
村上:でも、みんな頭で思うほどにはなかなか作れなかった。そんななか、唯一、酒井だけがそこにうまく反応できたんです。総論からいっちゃいましたけど、今回はそういう3曲。
EMTG:「GOSWING」は村上さん作曲。どういう発想で作っていったんですか?
村上:NJSと聞けば、「懐しい」という言葉はどうしたって出ちゃう。だから、そこは回避しなくてもいいなと思いました。あとはどう今とリンクさせるか。と、考えてときに、たまたま昔の仲間と久しぶりに会う機会が重なったんですね。話したりすると、一緒にどこどこ行ったよね、なんて話も出てくるんだけど、僕の記憶からは完全に抜け落ちてる(苦笑)。そのとき、ああ、選ばなかった未来というものが無数にあったんだなと、やけに感慨にふけりました。
EMTG:すごく共感できます。たぶん、そんなことだらけだなと(笑)。
村上:自分のした選択としなかった選択が、今につながってるんだなと考えてたら、気持ちが盛り上がって、ちょっと「今夜はブギーバック」的なテーマで書いてみようという気になりました。最初は歌詞もひとりで書き上げるつもりだったんですけど、途中、選ばなかった未来に関するセンチメンタルな部分が大きくなりすぎちゃったので(笑)、山田(ひろし)さんに相談して、ファンキーなテイストに戻してもらったんです。最終的に、ひとり一言ずつ歌うCメロの部分にせつなさを集約させて、あとはノリノリなナンバーに仕上げました。
EMTG:「tonite」を歌うときの「ナイーッ!」という歯切れのよさとか、長い時間かけてズリ上がるハーモニーとかは。
村上:まさに90年代の「ぽいね」という部分ですね。印象的なイントロのコーラスは、今回アレンジをお願いした平田(祥一郎)さんが、「やっぱコレでしょ」と作ってきてくれました。
EMTG:ズリ上がりコーラスとベースボーカルが印象的です。
北山:グルーヴがあるなかにベース・ボーカルを入れるのは、アカペラと違ってある意味気楽さがあるので、すごく楽しくできました。
村上:ダンスも期待してほしいです。いつもより練習はやれているので。
北山:90年代からNJSは好きだったけど、当時は、楽曲が要求するダンスなど微塵もできなかったから、そもそも圏外だった。それが、20年経った今、懐しさも込みで楽しくできてるのがうれしいです。今まででいちばん攻めた踊りになることはほぼ確実。
EMTG:ワオ!
北山:「SING!!!!!」でもそうでしたけど、フィジカル面でのハードルもどんどん上がってますね。グングン伸びる麻を飛び越える特訓をする忍者かっていうくらい(笑)。40代になってもこんなに楽しく限界を攻められているとは思ってなかった。本当に幸運なことですね。
EMTG:「Recycle Love」では、新しいアカペラに出会ったという衝撃がありました。
酒井:ゴスペラーズのアカペラといえば思い描けるスタイルがあるほど、そのイメージは一般化していると思うんです。時にはそれを裏切ることをやってみてもいいんじゃないかなと考えたときに、今まで自らの課していた掟、いわゆる5人以上の人数をかけないと歌えな曲はやらない、というところから一歩出てみようと思いました。そこでふと浮かんだのが、ルーパー(瞬時に録った声をループさせることのできる機材)。それを使って即興声オケ作りみたいなことをやり、そこに生歌を乗せていったら、今まであきらめていた曲調もできるんじゃないかなと思ったんです。あくまでも原材料は全部声でね。
EMTG:今までは、酒井さんがヒューマン・ビート・ボックスをやるときは、コーラス部分は4人で担ってたわけですよね。
酒井:そうです。そういう今までの定型とは違うものが見せられると思ったんです。ルーパーにはトランスポーズ(移調)やミュート(消音)の機能もあるので、それを活用すれば曲の構成も膨らますことができる。そう思ったらアイディアがあふれてきました。
EMTG:イントロの「♪コーンコーンコーンコーン」はいったい誰?:と思いました。
酒井:あれは、僕の声を1音下げて質感が変わったところに、北山の声を足してできた響きなんです。
EMTG:独特の不思議感が漂ってます。
黒沢:たぶん一聴すると、全体的にけっこう難しく聞こえると思うんですね。でも実は、一人ひとりがやってることは意外とシンプル。
安岡:そうそう。構造が複雑なだけなんですよね。
EMTG:ヘッドフォンで聴くと、左右のいろんな方向から声が入ったり出たりしてます。
酒井:アイツが入り、コイツが入り、アイツが抜けて、コイツも抜けたという声の出入りが、音像上でもわかるようになってるんです。
EMTG:そういう部分も含め、通常のアカペラとは違うクールなタッチを感じました。
酒井:そういうちょっとプラスチックなイメージは、たぶん歌詞にも由来してると思うんです。書いているうちに、ホントにあったら怖いディストピアみたいな近未来の歌になりました。しかも、淡々と事実を告げるアナウンサーといった語り口の。
黒沢:曲と歌詞の世界観がすごくピタッときてますね。大好きなスティーヴィー・ワンダーの「Love’s In Need Of Love」に近いメッセージを感じました。
EMTG:まさに。「16トンの愛」とか「あと30年で」といった数字に、酒井さんなりの根拠があったりするんですか?
酒井:「16トン」は、このメロディとリズムに合う数字を選んだというくらいなんですけど、「30年」は、子どもの頃「石油はあと30年で底をつく」と聞いて怯えた記憶があったので、そこからですね。アナウンサーがニュースを読んでいるイメージなので、そういう具体的な数字は絶対入れたかった。最近、水も有限かもしれないと聞いてゾッとしたことがあるんですけど、それと同じで、天然の愛がない未来を想像すると。
村上:怖いですよね。人口推移から導き出された仮説に基づいた歌か、なんて一瞬思っちゃう。
黒沢:手法にしろ歌詞にしろ、「Recycle Love」にはなるほどと膝を打つことが多かったです。他のメンバーが歌うことに何の意味も感じなかったので、試しに全員が歌ってみる「オーディション」はやることもなく、リードは当然のように酒井になりました。
酒井:ただ、この曲をライブでやるというのは、レコーディングとはまた別の話で。
村上:酒井はルーパーの操作をしながらだから、大変だよね。
北山:リード・ボーカルをとりながらだし。
EMTG:ファンクラブ・ツアーが初お披露目だったそうですね。
酒井:はい。ライブでやるうえでのテクニカルな問題点も、やる都度解決しながらの自転車操業でした。ファンの人たちには、試作段階のプロトタイプをお見せしたという感じです。でも、そこで面白がってもらえたからこそ、今回Double A Sideに昇格できた。大変縁起のいい出世曲です(笑)。
EMTG:「Recycle Love」で「愛が枯渇する見通し」と歌いながら、3曲目「PRINCESS☆HUG」は。
安岡:愛にあふれた曲(笑)。90年代R&Bには、マッチョな方向と、それとは正反対のロマンチックな方向とがあったと思うんです。僕は後者を目指して、プロデュース・チームとしての相方でもあるDANCE☆MANさんと一緒に作っていきました。
EMTG:コミカルかつオシャレな歌詞です。
安岡:女性は何をもってロマンチックと感じるのかと考えたときに、お姫様だっこじゃないかとまず思いました(笑)。で、それを表わすいい言葉がないかと検索してたときに、日本の女性が少女漫画のどこにキュンときてるかを海外に伝えるアメリカ人のサイトを見つけたんです。まさに「OHIMESAMADAKKO」のことが書いてあって、「PRINCESS HUG」と紹介してた。
EMTG:それにピンときたんですね。
安岡:はい。これをテーマにしようと。ついでに「壁ドン」と「アゴクイ」も入れて、ロマンチックを遊んでみました(笑)。
村上:「どんな壁の前で」が「壁ドン」からきてたとは、俺は全然わかってなかった(笑)。
安岡:メンバーが入れ替わり立ち替わり愛のフレーズを歌う箇所では、ライブ会場のあっちからもこっちからもキャーキャー言ってもらえるとうれしいです(笑)。
村上:SOUL POWERでは3曲出し惜しみなくお届けしますので、ぜひ楽しみにしててください!

【取材・文:藤井美保】

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ビデオコメント

リリース情報

GOSWING / Recycle Love

GOSWING / Recycle Love

2016年07月06日

Ki/oon Music

1. GOSWING
2. Recycle Love
3. PRINCESS☆HUG

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2016/07/16(土) 東京国際フォーラム ホールA
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