新たなサウンドアプローチに取り組んだ、Goodbye holiday 両A面シングル『奇跡の星 / 弱虫けむし』

Goodbye holiday | 2016.07.05

 Goodbye holidayが7月6日に両A面シングル『奇跡の星 / 弱虫けむし』をリリースする。念願だったNHK「みんなのうた」のライナップ曲に決定した「弱虫けむし」を含む今作は、前作アルバム『with YOU』とそれを引っさげた全国ツアーを経て、より上質なポップソングを作りたいという意識の高まりのなかで完成させたという。真骨頂のピアノアレンジのみならず、カップリングにはサックスを加えた華やかなウエディングソング「ありったけの愛を」を収録。新たなサウンドアプローチに取り組んだ意欲作について訊きながら、バラエティ豊かに広がるグッホリサウンドの進化の鍵を探った。

ETMG:まずは今年3~4月に開催した「"with YOU" tour ~みんなひっつきもっつきじゃ~」について訊きたいんですけど。セミファイナルのEXシアター、良いライブでした!
山崎晃平(Dr):もうずいぶん前のような感じで、あんまり覚えてないんです(笑)。
児玉一真(Vo・G):すぐに次のモードに入ったからね。
ETMG:思い出してください(笑)。『with YOU』っていう初めてのフルアルバムのツアーで、その世界観をすごく大切に表現しているのが印象的だったんですよ。
児玉:たしかに前回のツアーでは『with YOU』の世界観を再現したいと思って回ってたので、それが「できていた」って言っていただけるのは嬉しいです。ツアーで鍵になったのが本編の最後にやった「スプートニク2号」だったんですよ。ここまでみんなと一緒に熱量をもって歌える曲がいままで僕らにはなかったから、この曲がツアーの1本1本をちゃんと締め括ってくれたのが良かったです。いまでもライブで最後に歌う曲になってますね。
大森皓(G):この曲が(ツアー全体の)良い流れも作ってくれたと思います。
福山匠(B):(大森は)大号泣してたよね。
大森:会場がキレイだったので……もうふつうに(照)。
ETMG:あの曲のとき、スマホの光が会場を埋め尽くしてましたからね。
福山:あとは『with YOU』っていうアルバムは「ライブでガシガシやるぞ」というよりも、ちゃんと聴いてもらう曲が多かったので同期(打ち込み)が必須だったんです。EXシアターだけはキーボードとか弦を生で入れましたけど、他の会場では同期を流してて。
山崎:それが大変でしたね。いままでは何も合図がなくて4人の音だけを合わせれば良かったんですけど、ドラムだけがクリック(テンポ維持のためのガイド音)を聴いて、それに3人が合わせなきゃいけないから。いままでの感じで演奏するとズレが生じるんですよ。ボーカルが伸び伸びと歌えなくて、最初は児玉くん「やっぱり無しで」とか言ってたもんね。
児玉:カラオケみたいな感じがしたんです。
山崎:でもコツを掴むと、もともと僕らの曲にはピアノが入ってるわけだから、それが鳴るとテンションがあがるみたいで。もりし(大森)がライブでの音圧が足りないって言ってたのも解消されたし。いまはクリックがあったほうがラクですね。
ETMG:グッホリはちゃんと音楽を聴かせたいっていうバンドだから、同期を使う演奏ができるようになるとライブの選択肢がぐっと広がりますね。
児玉:そうなんですよ。そうやって同期を使い始めたなかで、さっき言った「スプートニク2号」は4人だけで演奏したくて、そのためにアレンジを考え直したんです。
福山:音源上ではいちばん音が入ってる曲なんですけどね。
児玉:そういうことができたのも前回のツアーでプラスになったことかなと思います。
ETMG:わかりました。で、そのツアーの直後にはもう今回のシングル『奇跡の星 / 弱虫けむし』に気持ちが向かっていたと?
福山:ツアーが終わった次の日に「奇跡の星」のレコーディングに入りました。
ETMG:本当にすぐですね!「奇跡の星」はドラマ『ドクター調査班~医療事故の闇を暴け~』の主題歌になってますけど、けっこう難しいオファーだったんじゃないですか?
児玉:正直、医療事故の話なのでテーマも重たいし、「どういうアプローチでやっていこう?」っていうのはありましたね。ドラマ側からのオーダーとしては、疾走感のあるものがいいって言われてて。内容は重たいけど、どこか希望があるというか。あんまり暗くなり過ぎない曲にしてほしいっていうことだったんです。
ETMG:それをどうやって自分のなかで歌詞に落とし込んでいきましたか?
児玉:たしかに医療事故の話なんですけど、1話と2話の脚本を読ませてもらったら、家族愛とか命の尊さだったり、そういうことがメインのテーマになってるのかなと思ったんです。インスピレーションとして温かい部分も感じることができて。だから大切な人のことを書こうと思ったんです。大切な人がいることは当たり前じゃない、それ自体が奇跡のようなことなんだっていうことをテーマにしていきました。
ETMG:音作りに関してはどうですか? 疾走感のあるサウンドという部分を受けて。
山崎:ドラマの制作サイドの方は僕らの「革命アカツキ」を気に入ってくれてたので、ああいう感じの疾走感を言ってくれてるんだろうなと思ったんです。だから曲自体は疾走感があるギターロックなんですけど。でも、この曲をレコーディングするとき「あんまり若々しくしたくないな」っていうテンションだったんですよ。
児玉:目指すところがバンドサウンドっていうよりは上質なJ-POPだったんですよね。いまはまたライブをやるなかで、少し気持ちも変わってきてるんですけど。
福山:やっぱり『with YOU』とワンマンの流れで「ピアノって良いよね」っていう風潮が僕らのなかにあるんです。
大森:だからデモを作ったときにはピアノは入ってなかったんですけど、レコーディングで入れたほうが良いんじゃないかってなって。結果的にはかつてないほどガッツリ頭からピアノが入って、それが良い味になってるんじゃないかと思います。ピアノはツアーでも弾いてもらった金井央希さんなんですけど、ハマってますよね。
ETMG:たしかに「革命アカツキ」と同じ疾走感のある曲だと、ピアノとかコーラスワークがふんだんに入ってる分「奇跡の星」のほうがドラマチックですね。
山崎:間奏のコーラスワークも初の試みだよね。
児玉:この曲にギターソロのイメージがなくて、ちょっと幻想的な感じにしたかったんです。それでコーラスやってみたら「ああ、良いね!」って。
福山:あと、ベースとしてはサビのフレーズが“星ポイント”です(笑)。
ETMG:注意して聴いてみます(笑)。2曲目の「弱虫けむし」は、念願の「みんなのうた」に決まりましたけども。相当嬉しかったんじゃないですか?
児玉:「マジか!?」と思いました。「弱虫けむし」は書き下ろしじゃなくて、最初は「みんなのうた」で使ってもらえたらっていうイメージで書いてたんです。もともと『with YOU』に入れるつもりで、村田昭さんにアレンジもしてもらってて。出来上がったものを「使ってくれないですかね?」ってスタッフさんにお願いしてたんですよ。
ETMG:児玉くん的には、どのぐらいの期待値だったんですか?
児玉:俺はワンチャンあるかなと思ってました(笑)。
ETMG:自信はあったんですね。でも、どうしてグッホリはそこまで「みんなのうた」に思い入れがあるんですか?
児玉:バンド全体というより、主に「僕が」ですね(笑)。
ETMG:そうなんだ。バンドをやってたら「Mステ」とか「紅白」に憧れたりするかもしれないけど、「みんなのうた」は珍しいですよね?
児玉:母親が保育士だからかもしれないですね。ずっと音楽も応援してくれてて、「『みんなのうた』に合うと思うから応募しようか?」とか言ってくるんですよ。「いや、いいけ!」みたいな(笑)。でもやっぱり「みんなのうた」は小さい頃から見てたし、あのアニメーションがついて歌詞と一緒に流れるなんて、すごく嬉しいじゃないですか。
福山:僕らはもともと全年齢対応型バンドですからね。
ETMG:ぜひ「弱虫けむし」は親子で一緒に歌ってほしい曲ですよね。
児玉:そうですね。歌詞も小さい子に向けてっていうことはあんまり意識してないんですよ。ひらがな表記にしたり、《もくもく》とか《ざあざあ》とか擬音語も意識して使ってるけど、大人の人が聴いても沁みるようにっていうのは外したくなかったんです。
山崎:ラララとか手拍子が入ってて、ライブではお客さんも一緒に参加できるようにしたので、この曲はライブでも聴いてもらいたいですね。
大森:あとサビの終わりのピュイ~ンっていうギターの音は“弱虫ポイント”です。
ETMG:“星ポイント”に続く聴きどころですね(笑)。ここまでは児玉くんの作詞作曲で、3曲目の「ありったけの愛を」だけ、大森くんが作曲ですね。
大森:この曲はカップリングにあと1曲必要だったからって作ったんです。「奇跡の星」がシリアスでかっこいい曲、「弱虫けむし」が柔らかくて温かい曲だったので、あと1曲は明るくて楽しい曲がいいかなと思って。アコースティックツアーをまわるので(「さよならホリデー無料体験ツアー」)、ショッピングモールとかで聴こえてきたら「あ、いいかも」と思ってもらえるような曲を作ろうと思ったんです。
ETMG:歌詞はウエディングがテーマですが?
児玉:この曲は弟の結婚式に行ったことがきっかけです。歌詞に出てくる「やっと、守りたい場所ができました」っていうのは、実際に弟が言ってた言葉なんですよ。ふたつ下なんですけど、「そういうことを言うようになったのか」ってすごく重く感じたんです。
ETMG:歌詞の「年のせいかな」って泣いてるのも実際にお父さん?
児玉:あ、これは俺です……(笑)。まだ弟にはこの曲を聴かせてないんですけど、お母さんは聴いて「これ、あんた、あのときの!」って泣いてました。
ETMG:スウィートな歌詞の雰囲気とブラスアレンジもすごくマッチしてますね。
福山:このオシャレ系のノリは難しかったですね。
大森:最初はサビの頭にだけにブラスを入れてて、本当はもっと入れたいなと思ってたところに、ディレクターが「入れるか?」って言ってくれて。そのディレクターの知り合いの方にサックスをお願いしたんですけど、これもハマりましたね。
山崎:でもけっこう大変だったんですよ。もりしがイメージする音とサックスの方が考えてくれたイメージがなかなかマッチしなくて。ディレクターとサックスの方と話し合ってたから、たぶんもりしが押されるんですよね。それでレコーディングの途中で俺が呼ばて、「ちょっとどう思う?」みたいな。俺を味方につけて(笑)。
大森:サックスを入れるのも初めてだったから試行錯誤だったんです。
山崎:今回でもりしが進化したから今後はデモに管楽器が増えてくると思いますよ。
ETMG:じゃあ、もりしの成長がグッホリの進化の鍵になってる?
山崎:「伸びしろですね」って言え!(もりしに小声で)
大森:いやだよ!ちょっと古いよ(笑)。
児玉:もりしは器用なんですよ。「こういう音にしたい」とか言うと、それをすぐに弾いてくれるので、「ああ、それそれ!」みたいな。楽しいよね。
大森:うん、楽しい。アレンジに関しては、いろんなプロデューサーの方とやらせてもらって興味を持ち始めた感じですね。
山崎:インディーズのときに大阪で喧嘩したもんね。ライブのあとに飲みに行ってて、もりしが「アレンジャーをつけてみたい」って言い出したんですよ。そのとき、俺は「じゃあ、お前がやれや!」みたいに言い返したんですけど。でも、何回かアレンジャーをつけさせてもらったら、マジで自分でやりだしたんです。
ETMG:才能が開花したんだ!
山崎:しかも、最近は児玉くんを呼んでご飯も作ってあげるらしいです(笑)。
全員:あはははは!
児玉:泊まりに行ったことがあって、朝起きたら「ご飯炊けてます」みたいな。
ETMG:もりしは音楽も……料理も、作るのが好きなんだね(笑)。
大森:そういうことにしといてください(笑)。

【取材・文:秦 理絵】

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ビデオコメント

リリース情報

[Goodbye holiday]奇跡の星/弱虫けむし(初回生産限定盤)

[Goodbye holiday]奇跡の星/弱虫けむし(初回生産限定盤)

2016年07月06日

avex trax

【CD】
1. 奇跡の星
 *テレビ東京系 金曜8時のドラマ「ドクター調査班〜医療事故の闇を暴け〜」主題歌
2. 弱虫けむし
 *NHK「みんなのうた」2016年6・7月度ラインナップ
3. ありったけの愛を

【DVD】
“with YOU” tour〜みんなひっつきもっつきじゃ〜
EX THEATER ROPPONGI DIGEST MOVIE
1.最終回は終わらない
2.溢れるもの
3.アコーデオン弾きのワルツ
4.旅立ちの花
5.スプートニク2号
6.deco

お知らせ

■ライブ情報

さよならホリデー無料体験ツアー
2016/07/05(火) タワーレコード横浜ビブレ店 店内イベントスペース
2016/07/08(金) アーバンドック ららぽーと豊洲 シーサイドデッキ メインステージ
2016/07/09(土) たまプラーザ テラス ゲートプラザ1F フェスティバルコート
2016/07/10(日) アルパーク 東棟2F 時計の広場
2016/07/16(土) あべのHoop 1Fオープンエアプラザ
2016/07/17(日) アスナル金山 明日なる!広場
2016/07/18(月) ラゾーナ川崎プラザ 2F ルーファ広場 グランドステージ
2016/07/23(土) イオンモール名取 1F イーストウイング
2016/07/24(日) WonderGOO守谷店 GOOst
2016/08/27(土) イオンモール北戸田 1F セントラルコート

さよならホリデー 〜いえーい!リリースパーティ編〜
2016/08/11(火) 下北沢CLUB251
2016/09/16(金) 広島CLUB QUATTRO

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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