7月13日、藤井フミヤ4年ぶりのオリジナルアルバム『大人ロック』発売。

藤井フミヤ | 2016.07.13

 藤井フミヤが、オリジナルアルバムとしては4年ぶりとなる『大人ロック』をリリースする。
 前作『Life is Beautiful』はフミヤの50歳のアニバーサリーと重なったこともあって、内省的な内容となった。対して新作『大人ロック』は、タイトル通り、大袈裟に構えずにリラックスした大人の遊び心があちこちに散りばめられている。
 アコーディオニストのcobaや、松本孝弘が曲を提供し、プロデュースはフミヤと同世代のドラマー大島賢治。2人は世代感を共有しながら音楽作りを進め、ちょっと昭和なユーモアを漂わせたゆるい名作や、歌謡曲テイストを今のセンスで味付けしたポップなロックを生み出した。
『大人ロック』は、大人の作った、大人のための、大人が楽しめるロックであるばかりでなく、もっと広い意味で新しいエンターテイメントを提示しているようだ。そのあたりの機微を、活き活きと自分の音楽を楽しむ藤井フミヤに聞いてみた。

EMTG:『大人ロック』のアルバム作りを意識し始めたのは、いつ頃からですか?
フミヤ:去年(2015年)くらいに「そろそろ作ろうか」っていう気になって、なんとなく曲を書きため始めていたんだよね。そうしたら突然、テレビ番組のために「友よ」をレコーディングすることになって。そこでプロデュースをお願いした大島(賢治)くんといい感じでやれたので、そのままアルバムのためのデモ作りを手伝ってもらって、ズルズル彼を巻き込んでいったっていう。
EMTG:ズルズル巻き込むって、そこがまず大人だね(笑)
フミヤ:そうかも(笑)。ファンクラブ会員限定ライブでお披露目した(『大人ロック』収録曲の)「GIRIGIRIナイト」は、もう3~4年前からあった曲なんだけど、今回のアルバム用にわりと早めにデモを大島くんと作ってた。実はそのときの仮タイトルが“otonarock”だったんですよ。
EMTG:その時点でアルバムタイトルがあったんだ。
フミヤ:いや、あくまで「GIRIGIRIナイト」の仮タイトルで、アルバムタイトルにしようとは思っていなかったけどね。
EMTG:でも、いい仮タイトルだよね。大島さんが前に一緒にやってた甲本ヒロトさん(註1)が“子供ロック”だとしたら、フミヤの“大人ロック”のニュアンスはよく分かる(笑)。
フミヤ:そうかもね(笑)。
EMTG:「GIRIGIRIナイト」以外にも、大人ロックのニュアンスが感じられた曲が多かった。いちばん笑ったのは「どっちでもいいよ」。この投げやりな感じは、大人を越えてる(笑)。
フミヤ:「どっちでもいいよ」はcobaさんの曲。アコーディオンはイタリアン・ポップスでよく使われる楽器で、この曲にもイタリアン・ポップスのテイストが入ってるよね。cobaさんと呑んでるとき、「なんでイタリアって、こういうマイナーな歌謡曲メロディになるの?」って聞いたら、向こうに“サンレモ音楽祭”っていうのがあって、そこで聴衆に受けるのがマイナーなメロディで、しかもそれがある時期の日本の歌謡曲に影響を与えていたんだって。なるほどと思った。
EMTG:そうだったんだ。
フミヤ:で、「どっちでもいいよ」のデモを作っているとき、大島くんがチェッカーズを狙ったようなアレンジをしてきた。
EMTG:大島くんも遊んでるね。
フミヤ:そうそう。なんかリラックスしてやってたね。だから俺も受けて立って、そういう歌詞を書いたよ。気分は阿久悠さん、山本リンダさんの「きりきり舞い」(註2)だよね(笑)
EMTG:あははは。
フミヤ:「GIRIGIRIナイト」の歌詞は、気分は売野(雅勇)さん(笑)。シブがき隊っぽい(笑)。
EMTG:「どっちでもいいよ」の歌詞の主人公は?
フミヤ:新宿2丁目チックな腐れ縁の二人の設定。“男性だけど女”と“女性”っていう二人みたいなな感じかな。
EMTG:それって、昭和の歌謡曲のど真ん中っぽい。
フミヤ:あっという間に歌えて、歌った瞬間、「あ、こういうのは、俺に合うんだ」って思ったね。なんか、AMラジオから流れてくる感じ。
EMTG:懐かしい感じだな。
フミヤ:うん。懐かしいんだけど、キーボードの使い方がちょっとテクノっぽくて、チェッカーズがさらに新しくなったみたいな感じがして面白かった。最近、こういう歌がないから、ラジオで流れたら目立つんじゃないかな。
EMTG:そうか、懐かしいだけじゃなくて、新しい部分もある。そこも大人だね。
フミヤ:このアレンジを聴いて、cobaさんもが喜んでくれた。本当は自分でもアレンジやりたかったって言ってましたね。だったらcobaさんと組んで、アイドルにこういう曲を提供しようかって話したり。
EMTG:大人の盛り上がりだ(笑)。B`zの松本さんも2曲提供してくれてますね。
フミヤ:松本さんも呑んでて「書いてよ」って言ったら「いいよ」って言ってくれた……って、このアルバムは全体的に呑み屋で決まってるな(笑)。
EMTG:まあまあ(笑)。
フミヤ:曲はL.A.で書くって言ってたから、イーグルスみたいなのを想像してたんだけど、超ポップなメロディが届いてびっくりだった。
EMTG:「エデンの起源」も「ひとりごと」も堂々としたポップだよね。
フミヤ:作業としては、本当に大島くんとハマりがよくて、アレンジが歌を助けてくれたり、反対に歌がアレンジを助けたり、相乗効果が毎日起こってた。歌ってみてハマりが悪ければ、すぐに変えることができて、何度も変わることで曲がどんどん良くなっていったんだと思う。
EMTG:自分で作った曲は?
フミヤ:俺の作曲は2曲。「消えないキャンドル」は増本(直樹)くんにデモを頼んだら、そのデモのアレンジがすごく良くて。本番用に「もう一回作り直す」って言ったから、「余計なことしなくていいよ(笑)」ってデモのバージョンをオーケーテイクにした。そこにストリングスをちょっと足しただけで完成!「ふるさと」はいちばん先にレコーディングした曲。ギターサウンドだったから、石成(正人)くんに頼んで、カントリーっぽく仕上げた。
EMTG:「ふるさと」とは対照的に、壮大な感じの「この空の真下で」は?
フミヤ:ラブソングばかりのアルバムにしたかったんだけど、この曲だけはどうしてもラブソングにならなかったんだよね。だったら今、感じていることを書こうと。難民の子供が死んだり、日本ではイジメで自殺する子供がいたりする世界をね。
EMTG:それをアルバムの1曲目にもってくるところが、フミヤらしいかな。
フミヤ:ってか、他の歌とタッチが違うから、1曲目にしか置けなかった。
EMTG:改めて『大人ロック』っていうアルバムタイトルは?
フミヤ:最初にスタッフから「“大人ロック”ってどうですか?」って言われて、「えっ?」と思ったけど、言ってるうちに「まんざらでもないな」と思い始めて。コジャレた英語じゃなくていいかなって。
EMTG:意味合いとしては?
フミヤ:「友よ」の歌詞じゃないけど、どうみても未来より過去の方が長い年齢になって考えることが、“大人”なんじゃないのかな。もちろん震災が起きたことも関係しているとは思うんだけど、「有意義に生きよう」って思うようになったことも確かだし。このアルバムの1曲1曲が、ポップに聴ける俺の哲学になってると思う。
EMTG:ジャケット写真のイメージは?
フミヤ:1920~30年代のヨーロッパの労働者。洗いざらしのスーツだね。映画『ゴットファーザー』で言うと“Part.2”くらいの感じだね。
EMTG:最後に、9月から始まるツアーは?
フミヤ:いつものメンバーで、『大人ロック』の曲はもちろん、これまでの曲も交えて大人なロックをやります。
EMTG:楽しみにしてます。ありがとうございました。

  •  注釈:
  •  註1:大島賢治氏はTHE HIGH-LOWS(2005年活動休止)のドラマー。

  •  註2:山本リンダさんは、1960年代後半~1970年代前半、「どうにもとまらない」「狙いうち」などのヒット曲を放ち、全国的アイドルに。「きりきり舞い」は1973年発売。作詞:阿久悠、作曲・編曲:都倉俊一のヒット曲コンビが手掛けた。


【取材・文:平山雄一】

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ビデオコメント

リリース情報

大人ロック(初回限定盤)

大人ロック(初回限定盤)

2016年07月13日

XQNA

[Disc 1 CD]
1.この空の真下で
2.GIRIGIRIナイト
3.愛しいゴースト
4.エデンの起源
5.どっちでもいいよ
6.ひとりごと
7.消えないキャンドル
8.命の名前
9.友よ
10.ふるさと
11.最終目的地

[Disc 2 DVD]
1.GIRIGIRIナイト
2.愛しいゴースト

お知らせ

■ライブ情報

2016/09/10(土) 大阪府フェスティバルホール
2016/09/11(日) 大阪府フェスティバルホール
2016/09/15(木) 川口総合文化センター リリア メインホール
2016/09/19(月) 札幌市教育文化会館 大ホール
2016/09/21(水) 東京国際フォーラム・ホールA <追加公演>
2016/09/24(土) 福岡サンパレス
2016/10/01(土) 盛岡市民文化ホール 大ホール
2016/10/02(日) 東京エレクトロンホール宮城
2016/10/05(水) Bunkamuraオーチャードホール
2016/10/06(木) Bunkamuraオーチャードホール
2016/10/08(土) なら100年会館 大ホール <追加公演>
2016/10/15(土) 姫路市文化センター 大ホール
2016/10/16(日) サンポートホール高松・大ホール
2016/10/22(土) 神奈川県民ホール 大ホール
2016/10/23(日) 神奈川県民ホール 大ホール
2016/10/26(水) かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホール
2016/10/28(金) 岸和田市立浪切ホール 大ホール
2016/10/31(月) 中野サンプラザ
2016/11/03(木) JMSアステールプラザ・大ホール
2016/11/04(金) 愛知県芸術劇場 大ホール
2016/11/06(日) 常陸大宮市文化センター・ロゼホール
2016/11/10(木) 厚木市文化会館
2016/11/12(土) ロームシアター京都 メインホール
2016/11/13(日) 神戸国際会館 こくさいホール
2016/11/17(木) 幕別町百年記念ホール
2016/11/19(土) 北斗市総合文化センターかなで〜る
2016/11/20(日) 弘前市民会館
2016/11/23(水) 三重県文化会館 大ホール
2016/11/26(土) 市川市文化会館 大ホール
2016/11/27(日) 市川市文化会館 大ホール
2016/12/02(金) 大阪府フェスティバルホール
2016/12/03(土) 大阪府フェスティバルホール

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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