シンガーソングライターだけのフェス。その中心人物・大柴広己がフェスを語る。

大柴広己 | 2016.07.25

「SINGER SONG WRITERS」、略して“SSW”というフェスをご存知だろうか。
本年で3回目の開催を迎えるシンガーソングライターのみが出演するフェスだ。
毎年、晩秋に大阪で行なわれるこのフェスの首謀者が、シンガーソングライターの大柴広己である。

「ルールがあるとしたら、マイク1本ってことだけ。以前、マイク2本使って、1本をループマイクにした出演者がいたんだけど、次の年、また出てもらったらステージに出た瞬間“去年はマイク2本使ってすみませんでしたぁあ!”って(笑)」
 豪快な笑い声。特別話し声が大きいわけでもないのに、よく声が通る。シンガーソングライターとしての実力を普段から身にまとっているようだ。

 聞けば「構想から入れると10年。ずっと実現を考えてきて、3年前、それが形になったんです」というSSW。雑多になり差別化もままならなくなってきた日本のフェスの中で、シンガーソングライターのみという唯一無二のスタイルを実現させた立役者が、その歴史、音楽への思い、そして「SINGER SONG WRITERS 2016」について語る。

EMTG:まずは、どうしてSSWをやろうと思ったの?
大柴:シンガーソングライター縛りのフェスが無かったから。自分が1番出たいと思うようなフェスが無かったんだよね。だったら自分で作ろう、と。
EMTG:なるほど。
大柴:あとはまぁ……正直、他のフェスにあまり呼ばれなかったというか(一同爆笑)。
EMTG:はははははは(笑)。
大柴:例えば、他のフェスとか見てるとアコースティックギター1本だと、どうしても小さ目のステージでのパフォーマンスになるじゃない? アコギとかピアノとかの違いはあるけど、弾き語りでもドーン!とでかい音が出るんだよね。自分自身も、どんなフェスに出てどんな大きなステージでやっても、バンドに負けない、パフォーマンスするって自信もある。山崎(まさよし)さんとかさ、でっかいステージを弾き語りで支配してるじゃない?そういうのを見て、かっこいいなと思って俺は音楽を始めたから。そういう思いを伝えたいっていうのもあるし、歌を書くこと、人前で歌うことって、じつは何も難しいことじゃなくて、衝動的に始められる。そういう楽しさも伝えたいと。そういう思いもあって、無いなら自分でやっちゃえって思ったんだよね。
EMTG:弾き語りとはいえ、出音はアンプを通してるの?
大柴:いや、使ってない。生音を直接(PAに)飛ばしてる。
EMTG:限りなくアンプラグドってことだよね。
大柴:そうそうそう。基本はマイク1本。もう機材以前の問題っていうか。それぞれのPAの持ち味っていうのも、もちろんあるんだけど。バンドのフェスみたいに、前のバンドがこうだったからこうしようみたいなのは、バンド以上に影響あるっていうか。すごくドキドキする。それはステージに立つ者もそうだし、お客さんもそうだと思うんだよね。
EMTG:本当にシンプルなだけに、差もバンド以上に出るだろうしね。
大柴:そうそう。
EMTG:フェスっていうからには、フードやドリンクも一通り揃っている?
大柴:それはもちろん。長丁場だからね。楽しんでもらうためのものは揃ってますよ。フードもドリンクも、自分が世話になった店に声をかけて、出してもらったり。僕(大阪府の)枚方市出身なんですけど、そこに行きつけの店があって。お願いしたらやるやるって出してくれたとか、本当、そんなんばっかりで(笑)。みんなに手伝ってもらって、成り立っているっていう。本当に感謝してますね。
EMTG:これまでお天気にも恵まれて。
大柴:それは、僕の普段の行いがいいから?(笑)
EMTG:はははははははは。そうなんじゃない?(笑)
大柴:これまで2年間で合計3回(2014年は1DAYS、2015年は2DAYS)やってきて、全部晴れてるんですよね。特に2年目は、前日まで大雨だった。なのに当日は雲ひとつない快晴で。2日目もそうだったんですけど、その日は木枯らし1号が吹いて。いやぁ、お客さん大変だったろうな、と(笑)。でも、嘘じゃなくて、なるべく普段の行いを注意しているんですよ、毎年。こう……運をためているというか。だから今年も、そろそろ、当日に向けて、運をためていかないと。
EMTG:あと、3カ月ですけど(笑)。
大柴:ははははは、確かに(笑)。3か月みっちり、ためていきますから。
EMTG:で、実際にSSWをやってみて。今年で3年目。今、どんなことを思ってるの?
大柴:とにかく楽しんで欲しい、お客さんに。3000規模のステージで弾き語りを観る事って、他のフェスではほとんど無いと思うんですね。しかも、同じステージに日本で屈指のシンガーソングライターたちが揃うわけで。これも他のフェスには無い。だからまずそこらへんを楽しんで欲しいし、いろんな世代の人に見て欲しい、届けたいって思いが強いですね。
EMTG:世代を超えて届けるって重要だよね。一過性のものにならないためにも。
大柴:そうそうそう。“世代をつなげる”というのが、SSWのひとつのテーマ。だから各世代を代表する人に出て欲しいと思っているんです。僕は33歳だけど、自分の世代だけでなく、いろんな世代の人に出てもらうことが、SSWのシーンを作るし(このフェスを)続けることが日本で評価されるシーンになっていくと思う。
EMTG:出演者を見ると、今、大柴君が言ったことをすごく感じますね。
大柴:だったら、良かった(笑)。去年(2015年)は、いわゆるギタ女(ギター女子)というシーンが盛り上がって来てて、そのシーンで活躍するアーティストにも複数出てもらったし。常連のダイスケくんなんて「1年の活動をSSWに標準合わせてやってる」とか言ってるし(笑)。
EMTG:今年だと、“みきとP”くんが出演するのが面白い。
大柴:“みきとP”くんはニコ動出身のアーティストなんですよね。で、2016年のSSWは、世代をつなげるっていうのに加えて、デジタルとアナログをつなげるっていうのもテーマで。ボカロがもう1度、アナログに立ち返るっていう。
EMTG:なるほどね。
大柴:“みきとP”くんとは、ニコ動の日本武道館のイベントで出会ったんです。曲も憂いがあっていいなと思って。それでツイッターでつながったですよね。こういう人たちがつながって、出演するのも、ニコ動やってる僕ならではかなと思って。とにかくね、友達作るのが大変なんです(笑)。
EMTG:どういうこと?
大柴:バンドって、それこと日本各地でフェスあったり、対バンツアーあったり。複数の人数だから、友達作りやすいと思うんですよね。そりゃ性格もありますけど、僕らの環境に比べてたら、友達ができやすい。こっちは、1人だし、それこそフェスでも1人……ってことも多い。もうね、SSWを続けていくためには、いかに友達を増やしていくかっていうのが、僕にとっての裏テーマでもあったんですけど“まきとP”くんと出会って、こういう出会い方もありだよなと思ったし、嬉しかったんですよね。
EMTG:今年で3回目だけど、これまでの中で、1番嬉しかったことは?
大柴:このフェス、構想10年なんで(笑)10年前の話になるんですけど。当時、あるPAエンジニアと出会ったんですよね。そいつもまだ駆け出しで、でも、僕がいつか「シンガーソングライターだけでのフェスをやりたい」って言ったら、「その時は、僕をスタッフで使ってください」って。それから10年間、あっちはあっちで腕を磨いて、こっちはこっちでいろいろ準備して、フェスが実現した時にその彼がPAを担当してくれたことかな。現場で再会した時には、本当に嬉しかった。そういうミュージシャン、スタッフ、お客さんすべて含めて、人とのつながりも、SSWのひとつのテーマなんだろうなと思ってます。
EMTG:最後に。大柴広己、自身の今後の活動は?
大柴:今、新しいアルバムのレコーディング中。SSW2016の近辺に出したいなぁと思ってますね。これ、狙ってるわけじゃないですよ(笑)。

【インタビュー/新澤進矢】
【構成/伊藤亜希】
【撮影/田口真理】


大柴広己「2016」ALBUM CM



大柴 広己 presents「SSW16」第二弾 EMTGチケット先着先行販売
<大柴 広己 presents「SSW16」イベント概要>
日時:
2016年10月29日(土) 開場13:30/開演14:30
2016年10月30日(日) 開場13:00/開演14:00
会場:大阪城野外音楽堂
出演アーティスト:大柴広己/ダイスケ/岩崎慧(fromセカイイチ)/みきとP/近藤晃央/大石昌良
and more...
※各種チケットは予定枚数に達し次第受付終了。
券種:1日券29日(土):¥3,000 / 1日券30日(日):¥3,000

<EMTGチケット先着先行販売>
受付期間:2016年7月24日(日)12:00~8月7日(日)23:59
チケット先着先行販売はこちら>>http://emtg.jp/feature/ssw_2016_2/

リリース情報

2016

2016

2016年02月26日

ZLCT-2016

1.ジェラシックボーイ
2.愛上音
3.なんでもないようなことがなんでもないような日々がなんでもないような歌がぼくは好きなんだ。
4.もじゃの元気が出るラジオのテーマ
5.おふとんの国
6.「あい」

お知らせ

ライブ情報

CONNECT SERIES presents
「rerulili大型馬戲團」

7/24(日) 中国 台湾 THE WALL 公館

Raw Life Music
〜大柴先生に聞いてみよう〜

7/29(金) 大阪 南堀江 knave

オオシBAR
8/11(木) 福岡 大名 シャングリラ
8/13(土) 大阪 谷町四丁目 SKIPPY
8/14(日) 大阪 谷町四丁目 SKIPPY
8/15(月) 名古屋 新栄 sunset BLUE

愛と感動とロマンの音楽祭
8/21(日) 兵庫 神戸北野 ハッピーローラ

春闘歌百花2016夏巡業
8/22(月) 茨城 水戸 ギャラリー誉りみち
8/23(火) 福島 大町 Re-Acoustic
8/24(水) 宮城 仙台 Music Dining ark
8/25(木) 岩手 盛岡 すいれん
8/26(金) 秋田 ホテルパールシティ秋田川反2階ギャリオット

大柴広己 presents「SSW16」
10/29(土)大阪城野外音楽堂
10/30(日)大阪城野外音楽堂

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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