『カラスは真っ白 シミズコウヘイの斜め上より愛を込めて』コラム連載スタート

カラスは真っ白 | 2016.08.03

『カラスは真っ白 シミズコウヘイの斜め上より愛を込めて』
コラム連載1回

ファンキーポップバンド、カラスは真っ白ギタリスト・シミズコウヘイによるコラム連載がスタート!
バンド以外にもコンポーザー、アレンジャー、サポートギタリストとして様々なアーティストとコラボするほか、マルチに活躍する彼が今興味を持っているモノっていったい?
斜め上から頭の中身をそっと覗いてみましょう。

それでは、記念すべき第1回、お楽しみください!




第1回「ホラー映画の歩きかた。」

みなさま、夏ですね。夏といえば、そうホラーですよね。
こんにちは。バンド「カラスは真っ白」のギタリスト、シミズコウヘイです。記念すべきコラム第1回目、せっかくなので最初からフルスロットルでコアに飛ばしていきます。是非とも最後までお付き合いのほどを。

私、ホラー映画が好きなんです。超大好きなんです。なかでもグロテスクでスプラッタで、そして低予算の様相を呈し、なおかつワンパターンな作品がとくに。そう、世間的には総じて「B級」と一括りにされてしまうようなグロ映画が好きなんです。

グロ映画の何がおもしろいんだ!血とか!臓物とか!人が殺されるのをみて何がいいんだ!ひぃ!怖い!不潔!ああ不愉快!あと作りとか!CGがしょぼい!トランスフォーマーとか観たい!
と思う人も多いでしょう。ばかたれ!
違う。違うんです。グロ映画の楽しみ方は違うんですよ。グロ映画の本質、最も愛すべき要素、それは「様式美」なのです!

そう愛すべきは様式美。めくるめくテンプレートの猛攻によるカタルシス。ああ美しい。おお…ようやくきたきた…待ってたよこのシーン…これでこの映画は安心だ…この作品はよくわかってる…出会ってよかった…とよだれをだらだら垂らしながら恍惚に浸るのが醍醐味なんです。この感覚は他ジャンルでは味わえない、ホラー映画固有の快感なのです。
ホラー映画のテンプレートってなんやねん殺されるだけやろ登場人物が!とお思いのホラー映画ヴァージンのひとたちに、仕方ないのでその数多あるホラーテンプレート、素晴らしき様式美を少しだけ紹介しましょう。

  1. 20代前半の大学生男4人、女4人のグループが休暇を利用してその中の1人の親戚の古い山荘にいきがち。
  2. 山荘にはいかにもな曰く付きアイテムがある。
  3. アメフトやってそうなカースト制度最上位にいそうなリーダー格が調子に乗ってそれに触りモンスターその他諸々の殺人鬼が出現する。
  4. 曰く付きアイテムに触れたことなどすっかり忘れてお酒を飲みパーティー。トイレに出たひとりが第一犠牲者。
  5. 1人はドラッグ好きがいる。殺される。
  6. ベタベタのバカップルが1組はいる。殺される。
  7. エッチなシーンが必ず入る。殺される。
  8. 物音がしたと思ったら大体ねこ。
  9. 鏡越しの煽りシーンは約100パーセント。
  10. 主人公は後半覚醒し人間離れした動きをする。
  11. 最後はどんでん返し系のバッドエンド。    etc.

キリがありません。そう、それだけホラー映画は様式美のオンパレードなんです。
これさえわかっていれば、
「おお!ようやくエッチなシーンきた…!よかったあ…おほ!ようやく殺されたよ!死なないかと思ったよ!良い殺されかたしたなあ安心安心」
といったかんじでホラー映画を斜め上から楽しむことができます。しかも、もちろん様式美から外れることもありその裏切られた感も実に幸せ。また、様式美の中でもその映画独自の撮り方がみえてきたり作品に愛着がより一層湧くこと間違いなし。
こうきたらこう、ああきたらああ。阿吽の呼吸。製作者側と視聴者側との暗黙のグロテスクキャッチボールがグロ映画の醍醐味なのです。そのキャッチボールがなされた時、ホラー映画への恐怖心が全て愛に変わる瞬間があなたに訪れます。ラヴ。

ここで1つみなさまにグロテスクキャッチボールをうまく先導してくれるオススメのホラー映画を紹介したいのです。めくるめく美しき様式美を実にうまく、シニカルに取り入れた至高のホラー映画「キャビン」という作品。これは是非に見てほしいです。丁寧に、手取り足取りホラー映画のいろはを教えてくれるでしょう。あゝ最高。

「キャビン」予告編


さてさて、しかしながらです。ほんとうは、見方を変えればニガテな人でも「グロい」というのも純粋におもしろいのです。
トップ女優をより美しく、素敵に見せるために素晴らしい化粧を施すメイクアップアーティストがいるのと同様に、グロテスクな描写にも当然、グロいモノを超リアルに造形するグロへの愛に溢れた職人さんがいるはずです。恋人同士がお互いの耳元でこそば痒い甘い言葉を囁きあうように、自分の作った臓物にやさしく「きみはうつくしいあいしてるよ」などと、なでなでしながら言うような変態、もとい愛に深い素晴らしい人が必ずいるはずです。おともだちになりたい。
そのような愛すべき職人さんたちが、
「どーだ!!!みたか!!!グロい!グロいぜ!グロいだろ!とくに十二指腸!!あれは俺がつくったんだ!すげーだろははは!!yeah!」
みたいに撮影中ぷるぷるしながら目に涙を浮かべ、ガッツポーズをとっていると考えたらグロシーンに萌えられます。かわいい。

そして色々な映画のグロシーンをよくよく見ていると監督によっても好きな部位が全然ちがうことがわかります。知らんがなとか思わないで。
ホラー映画「処刑山」なんてすごいわかりやすいです。あーこの監督絶対小腸好きだわって見た人全員納得の小腸への愛。ラヴ。これでもかってほど小腸の圧倒的万能感が味わえます。

もちろん、この映画「処刑山」も様式美の例に漏れず、「大学生グループが雪山の山荘でナチスのゾンビに襲われる」というテンプレ設定の所謂B級ホラーなんですが(ナチスゾンビは中々新鮮である)、この映画の特筆すべきところは、襲われる登場人物の名言

「海に行けばよかった!」

これです。これなんです。この言葉は、本当にホラー映画を愛していてよかったと心から思わせてくれた最高の一言でした。

「処刑山/デッドスノウ」予告編


「ああ…そうだよね。でも海に行っても海パン姿のナチスのゾンビがおそってきたんだろうなぁ」
としみじみ思わせるこの一言。ホラー映画の様式美すべてが詰まっており、かつ大胆不敵なセリフにあらためて、ホラー映画って素晴らしいなあと思い、優しい笑みを図らずも浮かべてしまいます。
そう、もうホラーはホラーじゃないのです。ぼくにとってホラー映画と吉本新喜劇とほぼニアリーイコール。様式美がもたらす笑い、皮肉。脳みそのおくそこをこちょこちょされる面白さがあります。あ゛あ゛あ゛あ゛

もうここまできたらグロ映画が楽しめない!ってひとは皆無でしょう!しかし!それでも!グロいのがほんとにだめってひとに言っておきます。だいじょうぶ、所詮みんな人間。この前映画の撮影スタジオへ見学にいったらゾンビがその辺普通に歩いてて食堂でみんなに混ざってカツカレー食べてましたから。このあとカレー味の小腸とかだすのかなあ。

最後になりますが私のバンドカラスは真っ白が新しいアルバム出します。小腸は出ないけどため息が出る素晴らしいアルバムだから買ってくださいね。





【カラスは真っ白】
2010年結成以来、ファンキーポップの革命児としてオリジナリティ溢れる世界観を楽曲、ライブを通して追及し続ける。現在、優れた演奏力と楽曲に対する評価の高まりが、多数の楽曲提供依頼やライブ/レコーディング演奏サポート参加依頼、ボーダレスな幅広い層からの支持としても浸透中。2016年9月21日には待望の2ndフルアルバム『バックトゥザフューチャー』をリリース!同年10月からはレコ発ワンマンツアーも開催。

【シミズコウヘイ プロフィール】
ファンキーポップバンド、カラスは真っ白ギタリスト。作詞、作曲、MC、ラップなどもこなすマルチミュージシャン。コンポーザー、アレンジャー、サポートギタリストとして他のアーティストへの楽曲提供、参加でも活躍中。

tag一覧 女性ボーカル カラスは真っ白

リリース情報

バックトゥザフューチャー

バックトゥザフューチャー

2016年09月21日

SPACE SHOWER MUSIC

01.魔法陣より愛を込めて
02.浮気DISCO
03.Let it die~You shall die~ ※PS4『LET IT DIE』公式参加ソング
04.サヨナラ!フラッシュバック!~hard mode ver. ~※『ニンジャスレイヤー フロムアニメイシヨン』EDテーマ
05.fifth blues
06.カーネーション
07.Oh my sugar
08.YASAI FUNK
09.みずいろ

お知らせ

■ライブ情報

『TVアニメ「SHOW BY ROCK!!」“3969” SUMMER FES 2016 in MIDICITY』at 東京
08/31(水) 新木場STUDIO COAST(東京)

『バックトゥザフューチャー』レコ発ワンマンツアー
10/14(金) 大阪Shangri-La
10/16(日) 福岡Queblick
10/18(火) 名古屋CLUB UPSET
10/20(木) 恵比寿LIQUID ROOM
11/03(木) 札幌Sound Lab mole

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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