栞菜智世、待望の2nd Single「Blue Star」で新たな表現の境地へ。

栞菜智世 | 2016.09.06

 映画『僕だけがいない街』の主題歌「Hear~信じあえた証~」でメジャーデビューを果たした栞菜智世。3万人以上が参加したオーディションを勝ち抜き、約1年間に及ぶトレーニング期間を経て、大作映画の主題歌で華々しくデビューした彼女は、常に思い悩み、葛藤し、苦しみ、自問自答を繰り返しているように見える。小さい頃から憧れ、夢見ていたはずのデビュー。しかし、その夢が叶った途端に別の悩みが生まれる。悩みが、生まれ出づるように現れ、消えることがないのは、彼女が“歌うこと”に情熱を持っているからだろう。真摯に向き合っているからだろう。ゆえに、できあがった歌は強く深い。前作から5ヶ月ぶりとなる2枚目のシングルのタイトルは「Blue Star」。静かに熱く輝く蒼い星は、彼女そのものを表しているようだ。

EMTG:ニューシングル「Blue Star」は前作に続くバラードナンバーとなってます。
栞菜智世:栞菜智世という一人の人間のイメージというか、世界観を定着させるためには、バラードでよかったと感じてます。まだ自分らしさというものは自分自身で探っている途中でもあるけど、誰しもがすぐに前向きな気持ちになれるわけではないと思うんですね。私の場合、落ち込んだ時はとことん落ち込もうっていう考え方なので(笑)、明るい曲やポジティヴな曲を聴いて、無理やりに元気を出そうっていうことはなくて。落ちている時は、あえて悲しい曲や心が痛くなるような曲を聴いているので、自分もそういう音楽を発信していけたらいいなと思っていて。「Blue Star」はまさにそういう曲だと思うんですね。
EMTG:最初に受け取った時はどんな印象を持ちました?
栞菜智世:最初は、なかなか前向きになれない、どんどん気持ちが下がってしまうような切なくて寂しいバラードっていうイメージでしたね。でも、歌っていくにつれて、切ないメロディの中に込められた、強い意志のようなものを感じるようになって。歌詞をよく読むと、小さな光を表してるような言葉が含まれているんですね。小さな光や小さな言葉、小さな力は、積み重なると大きなものになると思っていて。そういう希望の光というか。一番星のようにキラキラしてないかもしれないけど、その周りの星たちも頑張って輝いてるっていう意味も含まれてるなって思ったんです。ただの刹那なくて寂しいバラードではなく、強い一本芯のようなものを感じることで、より共感できるな、わかるなって捉えられるようになりましたね。
EMTG:その共感できた部分、自分の心情と重なったのはどんなところですか?
栞菜智世:この曲は、一人の女性が心の奥に抱えている悩みや葛藤、寂しさや孤独がテーマになってて。
EMTG:夢を抱えて社会に飛び出した女性が、現実に戸惑いながらも前を向いていく過程が描かれていますよね。
栞菜智世:そうですね。私もこの世界に入るまでは、大人にこんなに厳しいことを言われるんだとか、こんなに辛い気持ちになるんだっていうことがわからなくて。不満やストレスをその場で言わずに溜め込んでしまうタイプなので(苦笑)、一人で部屋にこもってしまう時があるんですね。そんな時に、テレビをつけてぼうっとしていたら、知らないうちに泣いてたり、知らないうちに笑ってたり、よくわからない感情になることがあって……
EMTG:おのののかさんが出演されていたMVのまんまの状況ですよね。理想と現実の狭間で苦悩してるっていう。大人の社会に飛び込む前の自分と後の自分のギャップに戸惑ってるというか。
栞菜智世:全く同じことを感じてました。私、22歳なので、同世代は新入社員1年目なんですよね。周りの友達は新しい環境で新しい人たちと出会って。上司の人に怒られたり、大学生活の時は考えられなかったことが次々と起こっていく。この会社に入りたい、この仕事がしたいっていう夢を追いかけて、就職活動を頑張ったけど、自分がやりたかった仕事はなかなかやらせてもらえずに、痩せちゃったり、逆にストレスで食べないとやっていけなくなったりしていて。そんな悩みを抱えて頑張ってる人たちが周りにたくさんいるんですね。
EMTG:アーティスト活動とOLさんでは職種は違えども、1年目という意味では共通する部分も多いんですね。
栞菜智世:そう思います。私の親友は、毎日同じ道を通って会社に行って、毎日同じ仕事をして、毎日同じ道を通って家に帰る繰り返しなのが辛いって言っていて。ある日の帰り道に同じ景色を見るのが嫌になって、もう逃げたいっていう気持ちで空を見上げた時に、綺麗な月と星が出ていたらしいんですね。<東京とは思えない空を見た>っていうラインをもらった時に、びっくりしちゃって。まさに、この曲の世界観なんですけど、まだ聴かせる前だったんですね。<本当にこういうことってあるんだな。みんな同じ悩みや苦しさを抱えながらも毎日頑張ってるんだな>って思った時に、やっぱり、ただ切なくて寂しさが残るバラードで終わらせてはいけないと思って。毎日が辛いし、悲しいし、言いたいことも言えないけど、明日は絶対に来るし、もしかしたらいいことがあるかもしれないっていう気持ちをきちんと伝えるような歌にしたいって思いましたね。
EMTG:では、レコーディングでは、この曲の主人公が持っている芯の強さを意識して歌いました?
栞菜智世:強さを意識したというよりは、レコーディングが終わった後に、その強さというところに辿り着けていたらいいなっていうイメージでしたね。最初から、今は心が折れそうになってるけど本当は強いんだとか、負けず嫌いなんだっていうことを意識しすぎると、それも歌に出ちゃうと思ったので。レコーディングを通して最終到達点に近づければいいなと思っていましたね。
EMTG:まだ表には出てない、ふつふつとした小さな強さというものが出てると思います。楽曲の最後には、少し泣いた後に明日を見ようという気持ちになってて。
栞菜智世:OLさんであれば、今はお茶出しとかコピーしかさせてもらえてないけど、最終的にはこういう仕事がしたいんだっていう、将来の自分の姿を思い浮かべて、自分で自分に言い聞かせている。ポジティヴにはなってるけど、それは太陽が照りつけるような明るさではなくて。この歌詞から急に快晴まではいけない。まだ多少は曇っているけど、気持ちは前に行ってるっていう感じですね。
EMTG:2曲目には、涙を流した後の心境を歌ったアップテンポのポップチューン「After the rain」が収録されています。
栞菜智世:自分の過去を振り返って、泣いたりした時もあったけど、明日や未来っていう言葉がたくさん出てきて。「Blue Star」の時よりも気持ちが前向きに変化しているので、2曲続けて聞くと、ストーリー展開がより分かりやすいんじゃないかなって思います。
EMTG:シングル1枚を通して、この2曲をどう聴いて欲しいですか?
栞菜智世:きっと、誰しもが悩みを抱えていると思うんですけど、その悩みの大きさは人それぞれだと思うんですね。「Blue Star」を聞くと、自分が今どういう気持ちなのかに気づくというか、どんな悩みを抱えているかがわかると思うんですよ。その悩みが小さければ、すぐに「After the rain」に行けると思うんですけど、私の場合は、3回くらい聴かないと、「After the rain」にいけないタイプなんです(笑)。すんなりといけるかどうかは分かれるとは思うんですけど、私はこの、明るさの中に涙や影、闇がある「After the rain」を何度も歌うことで、だんだんと気持ちが軽くなって、強くなれた気がしたんですね。背中を押すとか、手を差し伸べると言うよりは、自分で自分に言い聞かせて強くなっていく感じというか。聴いてくださる方には、聴いた後に、あ、こんな小さなことで悩んでたのかっていう気持ちになってもらえたらいいなと思いますね。
EMTG:栞菜さん自身が「Blue Star」となって輝いていくという宣言も込められてます?
栞菜智世:そうですね。ブルースターには“はぐれ星”という意味もあって。一般の企業に就職した友達からは、「全然違う世界に入って、遠い存在になっちゃったね」って言われることもあって。そういう意味では“はぐれ星”なのかなと思うけど、はぐれ星でも同じ空にいるし、みんながみんな、輝きたくて頑張っているのは一緒だと思うので、影がありながらも前を向いて輝くブルースターのような存在になれたらいいなと思いますね。

【取材・文:永堀アツオ】

インタビュー:栞菜智世、待望の2nd Single「Blue Star」で新たな表現の境地へ。 インタビュー:栞菜智世、待望の2nd Single「Blue Star」で新たな表現の境地へ。

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ビデオコメント

リリース情報

Blue Star

Blue Star

2016年08月24日

ユニバーサル ミュージック

「Blue Star」他1曲と、それぞれのinstrumental ver.を収録。

○初回限定盤 CD+DVD UPCH-89286
¥1,600+tax

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