ビッケブランカ、マルチな才能が爆発したMini Album『Slave of Love』で堂々のメジャーデビュー!

ビッケブランカ | 2016.11.01

 個性的なファルセットボイスと独創性溢れる楽曲に中毒者が続出中のピアノマン、ビッケブランカ。メタボリック「enNatural」のCMソングとなった「Natural Woman」を含むミニ・アルバム「Slave of Love」は、シンガー、ソングライター、プレイヤーとしてのマルチな才能が爆発した痛快なメジャーデビュー作だ。踊りと音楽が同時に在ったマイケル・ジャクソンのMVに触れたことが原体験だという彼の映像作品もぜひチェックしてみてほしい。

EMTG:今回の作品で、いよいよメジャーデビューですね。
若い頃は「メジャーデビューして人生変えてやる!」みたいに思ってた時期もあったけど、今は正直そういう気持ちではなくて。これまでインディーズで2枚リリースしてるんですけど、その度に、自分がやるべきこととか音楽の作り方、何で音楽をやっているのかっていうような根本に向き合ってきたんですね。だから今回も、そういうスタンスで”3枚目”を作ったって感じなんです。「いろんな人が関わってくれて何か面白いことが起きるんだろうな、でも僕は変わらず冷静でいたいな」っていう感じです。
EMTG:浮き足立つことなく。
はい。これまでは、自分の好きな音楽をただ自由にやってるだけだったんですね。別に生まれる必要もなかった曲たち――誰に聴かせるわけでも、聴かせる場所があるわけでもない曲を、自分の楽しみとしてずーっと作ってたんです。でもそれが作品になって、誰かが聴いてライブに来てくれてっていうのを何度か経験したことで、もっと、“生み出すものに生み出される所以がないといかんな”ってことに気付いたんです。作ったことに意味があるものというか、自分が気持ちいいだけじゃなく、聴いてくれる人と繋がれて、次の変化を生み出すようなものを作んなきゃって。それはたぶん自己満足で作るのに飽きたからでもあっただろうし、ライブで自分の曲を聴いてくれる人と初めて向き合ってみて、もっと伝わっててほしいなって感じたからだと思います。お互いの扉がもっと開いていたら、もっと感動的な時間が過ごせるんじゃないかって思ったんですよね。
EMTG:なるほど。
じゃあ何を変えたらいいんだろう?自分の根本を変えなきゃいけない。自分から出るもっとリアリティーのある言葉が必要だし、この曲が生まれたことできっといいことが起こるって堂々と宣言できるようなものだけを作っていきたいって、極端なまでに考え方が振れちゃったんですよね。
EMTG:それは大きな変化ですね。
1枚目の時は、自分の歌詞とか曲っていう根幹を見直した。何のためにやってるのか、何を言いたいのかを見つめながら作っていったんです。2枚目は自分の思いを込めた楽曲をどうやったらライブでもっと楽しくやれるかを考え、バックバンドの立て方とかを見直した。それぞれのリリース後に行ったツアーも含め、たくさんのことが吸収できたって自覚もあったので、そこを土台に、次に何が見えてくるかなって気持ちで作れたのが今作なんです。
EMTG:その過程で作られた「Natural Woman」がまずCMソングとしてお茶の間に流れ、インパクトあるファルセットボイスとともにビッケブランカというアーティストを知った方もたくさんいらっしゃると思います。このCMのお話が来た時はいかがでした?
数年前の僕なら、嬉しくて涙ちょちょ切れですよ(笑)。でも今は自分なりに着実に積み上げてきたものがあるので、この時もそうでしたけど、これから起こるであろうことも、きっと冷静なスタンスで受け止めていくんだろうって思ってます。先のことを見据えると「こんなこといずれやれんのかな」「本当にできたら最高だな」ってテンションは上がるけど、実際にその時が来たら、「あぁ、今の自分はここまで来てるんだな」ってフラットな気持ちで向き合うだろうなって。
EMTG:ものすごく冷静に状況を見てらっしゃいますけど、さすがに今回のレコーディングではそうもいかなかったんじゃないですか?センス、爆発してますよね(笑)。
(笑)。たしかに、ライブに向き合い、楽曲に向き合うということを経てきたので、作品としての広がりみたいなところにもようやく目が向けられたかなとは思ってます。僕、どこか一部分を極端にデフォルメしたくないっていつも思ってるんですよ。聴いてきた音楽がジャンルも国もバラバラなので、いろんなところにタネがあるんですね。親父からは日本のフォークソング、おかんからはフランスのアーティストとかベイ・シティー・ローラーズとかザ・ナックみたいな洋楽を聴かされて育ってきた。そういう幅広さをそのままやりたいなと思ってやってきた、その精度が上がったかなとは思ってます。自分が聴いてても楽しいアルバムですね。
EMTG:ギターは設楽博臣さん、ベースは沖山優司さん、ドラムが佐野康夫さん。素晴らしいミュージシャンとのレコーディングはどうでした?
自分の想像を超えまくってくださいました(笑)。これまでもそうなんですけど、自分で作るデモテープも、かなり完成型に近いものを作ってきたつもりだったんですね。今回も俺の作ったデモを聴いてもらってブラッシュアップしたものを鳴らしてくださるって前提でしたけど、もう、俺のデモはデモでしかなかった(笑)。これまでって曲の持ってるポテンシャルの50%にも満たないような状況で、僕は「結構いいのが出来た」とか言ってたんですよね。人の力のすごさを見せつけられました。かなり感動しましたね。僕も一緒にブースに入ってピアノ弾いたんですけど、なんとか食らいついていったって感じでした(笑)。  
EMTG:収録された楽曲を見てみると、すでにライブでやってらっしゃる曲もいくつかありますね。
はい。「ココラムウ」、「Echo」、「Your Days」は5~6年前からある曲です。レコーディングするにあたってサウンドはブラッシュアップしましたけど、何より言葉ですよね。英語だった歌詞を日本語にして、今の自分を乗せています。そのほかの曲に関しても、全く気負うことなく作ったものばかり。「Natural Woman」はCMのためにテーマをいただいて書きましたけど、あれもストレスなく自由に書きましたしね。
EMTG:「Slave of Love」は最近ですか?
この中では最新です。初めはスティーヴィー・ワンダーの「Isn’t She Lovely」みたいなリズムの曲を作るつもりだったんですが、エレピでやってたらちょっとメロウでなんか違うなと。で、ピアノの音に戻してガツガツ弾きながら、ギターをジャーン!って鳴らしたりコーラスもどんどん積んだりしてたら、QUEENになってた(笑)。目的地は変わっちゃったけど、自然と走り出してた道こそが僕の国道1号線のような気がするし、自分のルーツも自覚できたんですよね。
EMTG:ルーツ、聞かせてもらえますか?
僕はMIKA(ミーカ)が大好きで。もともと声が低いのがコンプレックスで、曲作ってもこんな声じゃ届いて来んよ!みたいに思ってた時に、すごい裏声使って歌う彼を知ったんです。自分もやってみたら、やけに高いとこまで出た。そんな俺の”先生”でもある彼はどんな音楽が好きなんだろうってところから、QUEENを知って。Elton Johnも聴いてたのか、これはBen Foldsも繋がってるんだろうな、じゃあBilly Joelも聴いてって感じで掘り下げていったんです。
EMTG:ビッケブランカの音楽には、今名前が上がったアーティストの持ってるキャッチーさとかポップ感が全部凝縮されてる気がします。
「キャッチー」なもの、大好きなんです。音楽だけじゃなく、すべてにおいて。ループしちゃってたまんないフレーズとかもキャッチーだし、ファッションも、言葉も。チャップリンのあの長い演説の最後の「Unite!」とかもそうだけど、人にわかりやすくドーン!みたいなものって好きなんですよ。キャッチーなものがあると、ユナイトしやすい気がするから。人も、クリエイティブも。だからすごい自分にとっては重要なキーワード。でも、わかりやすさという意味ではキャッチーに繋がるのかもしれないけど、”楽しげ”って意味での「ポップ」はあまり意識してないんですよ。僕の歌詞は、ネガティブまで行かないけどそんなに明るくポップではない。リアリティーを追求していくと、人生のへこんだ部分の感覚とか瞬間を切り取ってることが多いんです。でもへこんだ歌詞をへこんだ音で聴かせたって、初めの話に戻るけど”生まれる意味”がないと思うんですね。マイナスをマイナスのままでいさせるものなんて、この世に必要ないと思うから。となると、へこんでる感覚の歌詞を良きものにするには、ポップっていう衣を纏うしかないんじゃないかなって、僕はそんな風に捉えてます。

【取材・文:山田邦子】

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リリース情報

Slave of Love

Slave of Love

2016年10月26日

avex trax

M1. ココラムウ
M2. Natural Woman
M3. Slave of Love
M4. Echo
M5. Your Days ※s**tkingz舞台「Wonderful Clunkerー素晴らしきポンコツー」三浦大知 歌唱楽曲
M6. Golden
M7. Natural Woman[English] ※en Natural グリーンスムージー TV-CMソング

お知らせ

■コメント動画


■ライブ情報

『Slave of Love TOUR 2017』
2017/1/09(月) 福岡・福岡ROOMS
2017/1/13(金) 愛知・名古屋SPADE BOX
2017/1/15(日) 大阪・心斎橋 JANUS
2017/1/20(金) 東京・渋谷 WWW
2017/1/22(日) 北海道・札幌SOUND CRUE

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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