栞菜智世、ドラマ「地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子」主題歌となる3rdシングルで新たなステージへ

栞菜智世 | 2016.11.11

 栞菜智世はいつも思い悩んでいるように見えていた。どうしたら自分らしさが出せるのか。どうしたら多くの人に届くのか。常に不安や迷い、葛藤を抱えており、そんな彼女の心情はデビューシングル「Hear~信じあえた証~」や2ndシングル「Blue Star」という2曲のバラードに色濃く反映されていた。思い悩むことは決して悪いことではない。それは、彼女が歌に対して真剣に向き合い、情熱を持っているということでもあるから。しかし、ドラマ「地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子」主題歌に起用されたニューシングル「Heaven’s Door~陽のあたる場所~」には、顔を上げ、口を大きく開き、爽やかな風を感じながら微笑みさえ湛えている彼女がいる。インタビューの部屋に現れた彼女も、どこか憑き物が落ちたかのようなすっきりとした表情を見せている。どこか自信さえも感じるようになった彼女の変化と成長を探る。

EMTG:前作「Blue Star」のインタビューは、初の夏フェス参戦の前日でしたね。「宗像フェス~Wolrd Heritage Munakata~」のステージに立った感想はいかがでした?
栞菜:これでもかっていうくらい雨が降ってたんですけど、私にとっては忘れられない特別な日になりましたね。目の前に海が広がっていて、砂浜にはレインコートを来たお客さんたちがいて。お客さんとの距離も近かったので、土砂降りだったけど、すごく楽しい思い出になりました。
EMTG:そのあと、「Girls Award2016」にも出演されてますよね。
栞菜:フェスとはまた違った景色で……今でも、思い出しただけで鳥肌が立ってしまいますね。まず、代々木第一体育館という会場自体が、テレビやライブDVDで何度も見た場所だったので、自分がそのステージに立って歌うっていうことが信じられなくて。本番前はスタッフさんに「挙動不審すぎるから落ち着いて」って突っ込まれたくらい、いつも以上に緊張しすぎてました(笑)。でも、フェスも「Girls Award」も、なんというか、歌っていることが楽しい!って思いながら歌うことができたんですよね。いろんなステージを経験させていただく度に、音楽っていいな、歌うことが好きだな、楽しいなって、どんどん感じられるようになっている気がしてますね。
EMTG:「Girls Award2016」では新曲「Heaven’s Door~陽のあたる場所~」も初披露しました。
栞菜:初めてだったので不安もあったんですけど、歌い終わってからドラマ主題歌の話をしたら、皆さんがリアクションを返してくれたので。それも嬉しかったですね。
EMTG:石原さとみさん主演のドラマ主題歌の話を聞いたときはどんな心境でした?
栞菜:あんまり素直には信じられなかったですね。ドラマ主題歌が決まったよって言われても、ピンとこなくて。夢なのか現実なのか、ふわふわしていたし、実感が湧いてくる度に不安が大きくて。
EMTG:喜びよりも先に不安を感じてしまうんですね。
栞菜:いつもそうなんですよ(苦笑)。だから、「ドラマ主題歌だ!いえーい!!」みたいなのはなくて。もちろん、嬉しいし、ありがたいことなんですけど、大丈夫かな……っていう感じで。ずっしりとしたプレッシャーも感じてて。純粋にやった!とは喜べないですね。
EMTG:楽曲もこれまでのバラードとは趣の異なるポップロックになってますよね。失敗や挫折、葛藤を切々と歌ってきた栞菜さんにとっては新境地というか。
栞菜:そうですね。カップリングでは明るい歌も歌ってたんですけど、ここまでアップテンポで疾走感のある曲は初めてだったので、最初はどういう風に自分らしさを出したらいいんだろうっていう戸惑いもあって。でも、歌詞を見たときに、そんな不安が吹き飛ぶくらい直球だったので、自分自身も奮い立たされて、そのままのモチベーションでレコーディングに臨めたと思います。こういう、新しいジャンルに挑戦するのは大きなことだし、すごく勉強になるなって感じました。
EMTG:栞菜さんが「奮い立たされた」というフレーズとは?
栞菜:歌い出しですよね。一番最初から<あきらめないで>って言われたら、うじうじしてる自分がバカらしくなってくるというか、うじうじしていたら歌えない言葉だなって思って。普段の会話の中でも頻繁に言える言葉じゃないけど、歌だからこそ、まっすぐに伝えられると思ったし、私と同じように物事をネガティブに考えがちな人の心にも届く前向きなフレーズがたくさん入ってるなって感じて。私は、悩むことも多いし、その悩みを勝手に一人で溜め込んで落ち込んでしまうこともあるんですけど、そういうときは、この曲のようにまっすぐな言葉が胸に響くと思うんですよ。自分の経験を振り返ってみても、スタッフさんからかけてもらった、ちょっと言い方がキツく感じるくらいの言葉の方が、立ち止まってちゃダメだな、いつまでも下を向いてる自分が情けないって感じることがあって。そんな自分の経験を生かして、今度は私が皆さんの背中を押せるようにっていう気持ちで歌わせてもらってますね。
EMTG:<このドアを/ぶっこわして!>というフレーズも意外でした。栞菜さんのイメージにはない、荒々しい言葉だったので。
栞菜:正直、自分でも驚いたんですけど、ここだけはドアをぶっ壊すつもりで、音程よりも感情を優先して歌っていて。でも、この曲を初めて聞いた妹から「ぶっこわしてが一番似合ってたよ」って言われたんですよ(笑)。普段、家では弱音を吐いたりしたくないタイプで、結構、強がってるつもりだったんですけど、家族には、私が内に秘めてるものや言えずにうじうじしてる自分とか、全部、見抜かれてたなと思って。こういう、夢や目標に向かって一歩を踏み出そうとしている方や、自分の道に進んでいるけど悩みや戸惑いを抱えてる方に向けた応援歌に初めて挑戦した曲で、生き生きしてるって言われたことが嬉しかったし、もっといろんなジャンルに挑戦して、自分の色を増やしていきたいっていう前向きな気持ちにもなりました。
EMTG:色ということでいうと、ジャケットではドアを開けた先に、虹色の光が見えてます。
栞菜:それぞれが思い描くドアの向こうの色を自由に想像してくださいっていう思いを込めてますね。私自身はブルーとか月というイメージが強いと言われるんですけど、太陽の明るさのような曲も歌いたいし、自分の枠を決めつけずに、いろいろな色を見せられたらいいなという目標があって。
EMTG:栞菜さん自身もドアをぶっこわして前に進んでる?
栞菜:どうなんですかね…。「Hear~信じあえた証~」で悩みを抱えたまま、一歩を踏み出せずにいて。「Blue Star」でちょっと光が見えて、あ、前を向いていいんだ、踏み出していいんだっていう気持ちになって、「Heaven’s Door~陽のあたる場所~」で、ドアノブを掴んで、ちょっと開けてみようっていう感じになってるくらいかなと思います(笑)
EMTG:最初に話していたドラマ主題歌という不安やプレッシャーはどこかで解放されました?
栞菜:1話目が放送された時に、机にしがみついて、肩に力を入れて見てたんですよ。ずっと、両手を伸ばして、机の前方をがっしり掴んだ体制で見てたんですけど、この曲が流れてきた瞬間に、力が全部、はぁ~……って抜けて。遅すぎるんですけど、そこで本当の実感が湧いたんですよね。気がついたら、思わず泣いてしまっていて。なんの涙がわからないけど、いろいろな感情が入り混じって、肩の力が抜けて、涙が出て。ドラマから流れてくる自分の曲を噛み締めながら見た記憶があるし、いつもいいシーンで使っていただいてありがたいなと感じるようになってますね。
EMTG:また、カップリングの「Bye Bye」でも新しいチャレンジをしてますよね。歌詞は失恋のようですが、暗さは感じなくて。
栞菜:そうなんですよね。「Bye Bye」っていうタイトルですけど、全然後ろ向きな情景はないんですよね。お互いに別々の道を歩んでいるけれども、見守りあってるし、助け合ってきたし、これからも頑張っていこうねって言う歌になっていて。ミディアムテンポの楽曲も初めてだったんですけど、私が挑戦してみたかった曲調だったので嬉しかったし、レコーディングでも終始、笑顔で歌ってた気がします。季節的にも秋の夕暮れにぴったり合うし、この時期にリリースできることがしっくりきてる。自分としても、新しい一歩がまた踏み出せた気がするし、すごく気に入ってますね。
EMTG:そして、1ヵ月後には初のアルバムがリリースされることも決定しました。
栞菜:もう、ずっと言いたかったんです! すごくいいアルバムになると思うんですよ。
EMTG:珍しいですね。いつも不安や心配を先に口にする栞菜さんがそんなことを言うなんて。
栞菜:そういえばそうですね(笑)、でも、本当にいい曲しか入ってなくて。今の私が全てぎゅっと詰まった1枚というか、栞菜智世を知っていただけるアルバムになっていると思うので、ぜひ楽しみに待っていてください。

【取材・文:永堀アツオ】

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リリース情報

Heaven’s Door ~陽のあたる場所~[初回限定盤]

Heaven’s Door ~陽のあたる場所~[初回限定盤]

2016年11月09日

ユニバーサルミュージック

[CD]
1. Heaven’s Door ~陽のあたる場所~
2. Bye Bye
3. Heaven’s Door ~陽のあたる場所~ (Instrumental)
4. Bye Bye (Instrumental)
[DVD]
1. Heaven’s Door ~陽のあたる場所~ (Photo Shooting Movie)

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■ライブ情報

FM福岡パワープレイトーク&ライブ
2016/12/09(金) 福岡ROOMS

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