自らの弱さを“強さ”に。THE ORAL CIGARETTESのNewシングル『5150』

THE ORAL CIGARETTES | 2016.11.15

 今年の夏は5枚目となるシングル「DIP-BAP」のリリースや、過去最多のフェス出演など、ノンストップで活動してきたTHE ORAL CIGARETTES。夏が終われば一段落するかと思えば、息つく間もなく対バンツアーに突入。そして、11月16日には畳みかけるようにジンとくるサビが印象的なニューシングル「5150」をリリース!さらに、そのリリース前日からは、“唇ワンマンTOUR 2016~キラーチューン祭り東名阪ワンマンの巻~”も開催というから、まだまだ彼らの勢いは止まらない。そんな中、早速メンバー4人を招集し、THE ORAL CIGARETTESの“今”が色濃く提示された新作について存分に語ってもらった。

EMTG:8月にもシングル「DIP-BAP」を出したので、リリースが続いている印象ですよね。夏はフェスにも出まくっていたし、正直かなり忙しそうな印象ですが。
山中拓也(Vo&Gt):ヒマが……欲しいっすね(苦笑)。
中西雅哉(Dr):バンド以外、考えることがないですから。僕自身もともと好奇心旺盛な性格なんで、普段ならどこへ行こうかなとかあれこれ考えるのに、そんなヒマは一切ないという…。
山中拓也:フェスが終わると同時に、自分たちの対バンツアーが始まりましたからね。
あきらかにあきら(Ba&Cho):“あれ? 今は夏なの?秋なの?”みたいな!
EMTG:ということは、今回のニューシングル「5150」はいつ頃制作したんですか?ひょっとしたらフェスの合間に?
鈴木重伸(G):その通りです。
山中拓也:ライブやってレコーディング、またライブ行って戻ったらレコーディングで。東京に戻るたびにスタジオに入ってました。
EMTG:となると、曲作りはいつ頃に?
山中拓也:曲作り期間があったと言えばあったんですけど、オフという名の曲作り期間みたいな感じで。フェスが始まる直前の5日間くらいですかね。そもそも「DIP-BAP」を作ってから、曲自体が全然作れなかったんですよ。それが死ぬほど苦しかったです。
EMTG:そんな苦しい時期を蒸し返すようですが、「5150」はサビのメロディーで始まるキャッチーな仕上がりですよね。これって、キラーチューンを意識して制作されたんですか?以前、その辺は意識して作られるみたいなことを言ってましたが……。
山中拓也:いや、今回は素直に作りました。純粋に曲と向き合って、“どうやったらお客さんがこの曲を聴いてくれるかな?”っていう感じで。「DIP-BAP」から、その部分が変わりつつあります。まぁ、そもそもキラーチューンって何やねんって話ですけど…。
EMTG:キラーチューンを作ったつもりじゃないのに、いつの間にかライブでキラーチューンになっちゃう曲もありますしね。
山中拓也:そうそう(笑)。
EMTG:そして、「5150」というタイトルも、なかなか気になります。 
山中拓也:最初にこの“5150”っていう数字の並びに出会ったのは、EVHっていうアンプを買った時、そこに“5150”って書いてあったのを見たからなんですよね。それがVan Halenモデルだったんです(ちなみにVan Halenは86年に同名の『5150』というアルバムをリリースしている)。もちろん、Van Halenが『5150』っていうアルバムを出したのは知っていたけど、この数字の意味って何やろなって思って、その時に調べたんですよ。何となくそれを思い出したんです。キッカケは、曲ができなくてモヤモヤしてる時に、“期待してるよ!”とか“ここ、勝負だから”って言われることがすごく多くて--。
EMTG:うーん、辛い時には一番言われたくないことかも……。
山中拓也:嬉しいことなんですけどね。でも、やっぱり自分の中ではすごく悪い精神状態だったし、そんな時に大切なライブも続いたりしたわけですよ。しかも、毎回声が出るのかっていう不安とも戦わなきゃいけなくて。そんなしんどい時期に出来た歌詞なんです。その時って自分じゃないような感覚だったんですけど、それって普通じゃないなって思った時に、“5150”を思い出したんです。実は“5150”って、カリフォルニア州法で警察が精神異常者を呼ぶときに使う無線暗号らしいんですよ。50と51を足すと101になって100(限界)を超えるっていう。で、自分はそもそも人からの期待で苦しんでるけど、もとは自分が望んでいたことなんだと、そこで感じたプラスのことをサビに書こうと思いました。実は限界を超えた後って、もっと強くなれるんじゃないかと思って。
EMTG:深い話になりましたね。でも、純粋に歌詞にはバンドの決意表明を感じたし、たくさんの人が共感できる歌詞だと思います。サウンドに関しては、原曲から変化していきましたか?
山中拓也:Aメロはほぼ変わりました。もともとはもっと攻めてる感じだったんです。でも、それだとサビが際立たなくて。4人で揉んでいったんですが、結果サビ以外はかなり変わりました。
EMTG:各メンバーにお聞きしたいんですが、原曲にどういう味付けをしていったんですか?
中西雅哉:拓也が原曲を持ってきた時に、攻める曲になりそうだなって感じたんです。ここ最近の曲で言うと、「狂乱Hey Kids!!」とか「DIP-BAP」がミドルテンポだったんで、今回はアップテンポがいいんじゃないかと。
EMTG:ということは、曲を練りながらテンポを上げていったパターンですか?
中西雅哉:そうですね。
EMTG:他のメンバーが知らないうちにテンポを調整していったと!
中西雅哉:しかも経験上、ライブになったらもっとテンポが上がるんやろなと(笑)。僕がオーラルに入った時に、原曲とライブのテンポを変えたがるバンドだなって印象が強かったんです(笑)。
山中拓也:何ならすでに少し(テンポを)上げたいけどな(笑)。
あきらかにあきら:結果的にすごくいい仕上がりになりましたけど、最初はサビを活かしたいのに、そこに持って行く流れでせめぎ合いがあって、1日半ぐらい悩みましたね。録ってみても、翌日聴いたらイマイチでまたやり直したり。
EMTG:フェスで飛び回っていた時期に、かなりの試行錯誤があったんですね。
あきらかにあきら:出だしでは最初に弾き語りのサビを入れたいっていうのがあって。それは、喉の手術をした拓也の声から始まる曲があってもいいんじゃないかと。このサビに合う曲を完成させようっていう答え合わせみたいな感じでしたね。
鈴木重伸:僕も、最初は出てくるリフが全然面白くなくて……。それで一度原点に戻ろうと思ったんです。最近、アタマを使いすぎていたのかなぁと。それでやりたいように弾いたらできました(笑)。
EMTG:カップリングの「アクセス×抗体」は面白いリフが活きてますよね。この曲の時はすんなりリフが降りてきたんですか?
鈴木重伸:カップリングの2曲を作ったのはスランプ前です(苦笑)。「DIP-BAP」の制作と同時期だったんで、すべてをやり切ってしまって……。
山中拓也:もともと「アクセス×抗体」も「ミステイル」も、リード曲にしようって言ってたんです。でも「DIP-BAP」を出したあと、次に俺らが提示するのってこの2曲なの?って。この2曲ってORALがインディーズの頃からやっていた方程式にバチっとハマってる2曲なんです。それもあって、いろいろ悩む結果になってしまったんですよね。
EMTG:では、「アクセス×抗体」の曲作りで一番活躍した人は誰ですか?
山中拓也:僕以外かな。
あきらかにあきら:この曲、2回編成が変わった覚えがあって。もとはゆっくりなテンポで……みんな覚えてる?でも、ゆっくりのテンポって面白くないなってことで、僕が“こんなんあるで?”って提案して……。
山中拓也:あぁ~、あったあった!
あきらかにあきら:それでもまだ面白くならず。それで、拓也が「DIP-BAP」の歌詞を書くので忙しかった時に、俺ら3人でスタジオに入って作ったんですよ。
山中拓也:そうやったなぁ。あの頃はもう曲ができなさ過ぎて。僕もツアーのリハーサルでみんながメシ食ってる時に作ったりもしたんだけど、全然面白くなかったんですよ。そこであきらが提案してくれたアイデアで曲が完成したんです!
あきらかにあきら:よくあるんですよ。面白くない曲を最後に作っちゃって、結局お蔵入りになるみたいな。でもあの曲に関してはお蔵入りにしたくないと思って。
EMTG:それがなかったらお蔵入りだったかも…。「ミステイル」はどういう経緯で誕生したんですか?
山中拓也:「ミステイル」は一瞬でできました。イメージがあったんですよ。シゲも一瞬でリフをつけてきましたからね。
EMTG:言ってみれば自然分娩ですね。あとの曲は難産と帝王切開みたいな感じでしょうか(笑)。ところで、現在対バンツアー(=「唇対バンTOUR 2016~キラーチューン祭り巡業行脚の巻~」)の真っ最中ですが、すでに新曲はライブでお披露目されてるんですか?
山中拓也:はい!
EMTG:どんな反応ですか?
山中拓也:お客さんがホントに優秀で……。
あきらかにあきら:そうなんですよ。みんな歌ってくれてたり……。
EMTG:すでに!
山中拓也:横浜(10/8[土] YOKOHAMA Bay Hall)でやった時なんて、Aメロで合唱が聞えてきましたからね。
EMTG:えぇっ! サビじゃなくて?
山中拓也:はい(笑)。今までそんなの体験したことなかったんですけど。でも、そのぐらいみんなの歌になってくれてるんやったら嬉しいですね。
EMTG:11月にはワンマン“THE ORAL CIGARETTES唇ワンマンTOUR 2016~キラーチューン祭り東名阪ワンマンの巻~”がスタートしますが、こちらの意気込みは?
山中拓也:正直、ワンマンのことまでまだ考えられてません(苦笑)。今はまず対バンツアーを一本一本大切に回っていきたいと思っています。
EMTG:最後に、ファンクラブ誕生おめでとうございます!せっかくなので、こんなことをやりたいという希望はありますか?
あきらかにあきら:ファンクラブ限定ライブとかできたら、愛のある1日になりそうですね。
山中拓也:いろいろできそう。FC限定でカバー曲をやってもいいし。うん、ちょっとやってみたいかも。あと、絶対やってくれないと思いますけど、シゲは昔メロンパンのモノマネとかやったことがありますから(笑)。
EMTG:おおおおおお!メロンパン!?
鈴木重伸:何年か前に、あるライブハウスで1回だけやったんですけど、未だに言われるんですよ。まぁ、そのライブハウスに行った時には動画で……って絶対やらない(笑)。
中西雅哉:僕は男子の会員を集めて球技大会やりたいですね!
山中拓也:メッチャいいやん、それ!
中西雅哉:フットサル、バスケ、野球……。
EMTG:じゃあ、女子は応援で参加ですかね。
山中拓也:女子はまさやん主催でスイーツ会かな?
EMTG:夢は広がりますね(笑)。期待してます!

【取材・文:海江敦士】


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tag一覧 アルバム 男性ボーカル THE ORAL CIGARETTES

リリース情報

5150

5150

2016年11月16日

A-Sketch

M1. 5150
M2. アクセス×抗体
M3. ミステイル

・初回限定盤DVD内容
初のホール公演となった地元・奈良でのワンマンライブ「THE ORAL CIGARETTES 唇ワンマンライブ〜故郷に錦を飾りまSHOW!!〜」よりライブ映像を5曲収録
01. エイミー
02. 気づけよBaby
03. マナーモード
04. DIP-BAP
05. A-E-U-I

お知らせ

■コメント動画



■ライブ情報

【唇ワンマン TOUR 2016】
2016/11/15(火) Zepp NAGOYA
2016/11/16(水) なんばHatch
2016/11/22(火) Zepp TOKYO

【唇ワンマンTOUR 2017】
2017/04/06(木) 岡山 CRAZYMAMA KINGDOM
2017/04/08(土) 高松 festhalle
2017/04/09(日) 高知 CARAVAN SARAY
2017/04/11(火) 札幌 PENNY LANE 24
2017/04/12(水) 札幌 PENNY LANE 24
2017/04/16(日) 仙台PIT
2017/04/23(日) 新潟 LOTS
2017/04/27(木) 福岡 DRUM LOGOS
2017/04/28(金) 福岡 DRUM LOGOS
2017/04/30(日) 広島 CLUB QUATTRO
2017/05/04(木・祝) Zepp Nagoya
2017/05/12(金) 大阪 Zepp Osaka Bayside

【唇ワンマンTOUR 2017追加公演】
2017年6月16日(金)東京 日本武道館


JFL presents LIVE FOR THE NEXT supported by ELECOM
2016/11/28(月) 大阪 なんばHatch

SKULLSHIT 20th ANNIVERSARY 骸骨祭り
2016/12/04(日) 幕張メッセ国際展示場

HIROSHIMA CLUB QUATTRO 15th ANNIVERSARY × TOWER RECORDS HIROSHIMA NEW BUILDING RELOCATION 15th ANNIVERSARY「タワヒロは見た 2nd anniversary!!」
2016/12/09(金) 広島 CLUB QUATTRO

「5150」プレミアムライブ&イベント
2016/12/15(木) 川崎クラブチッタ

MERRY ROCK PARADE 2016
2016/12/24(土) ポートメッセなごや 1号館?3号館

ポルノ超特急2016
2016/12/25(日) 京都パルスプラザ

rockin’on presents COUNTDOWN JAPAN 16/17
2016/12/28(水) 幕張メッセ国際展示場1?11ホール、イベントホール

MASH A&R 5th ANNIVERSARY「MASHROOM 2017」
2017/01/15(日) 東京 LIQUIDROOM

go!go!vanillas 「go!go!vanillas TOUR 2017」
2017/01/26(木) 福岡DRUM LOGOS

up!!! SPECIAL LIVE HOLIC extra supported by SPACE SHOWER TV
2017/03/11(土) 東京 新木場STUDIO COAST

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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