HOWL BE QUIET、待望の3rdシングルは満を持して届いた真骨頂のバラードナンバー

HOWL BE QUIET | 2016.12.13

 HOWL BE QUIETが12月14日にリリースするニューシングル「サネカズラ」は、デビューから3枚目にして、満を持して届いた真骨頂のバラードナンバーだ。美しいピアノの旋律と竹縄航太(Vo ・Gt ・Piano)が歌う悲しみを湛えたメロディには、「僕が傷ついたのと同じように、相手も傷つけたい」という、執念にも似た感情が込められている。今回のシングルはカップリングの「Higher Climber」(TVアニメ『DAYS』OP主題歌曲)と「Dousite」も含めて、3曲ともに“剥き出しの自分を表現すること”がテーマだったという。インディーズ時代、バラード曲に定評があると言われ続けたバンドが、遂に完成させたメジャー初のバラードナンバー。そこにはHOWL BE QUIET、2016年の全てが詰まっていた。

EMTG:9月に開催した恵比寿リキッドルームでのワンマンライブがすごく良かったです。
橋本佳紀(B):僕らにとっては最大キャパのハコだったんですよ。本当に見たことがない景色でしたね。たくさんの人が集まってくれて、お客さんと一緒に階段をのぼってる感じもしたし。新しいことに挑戦しながら、楽しい空間を作っていけたライブでした。
EMTG:その前の渋谷クラブクアトロのツアーでは、かなり派手に演出を詰め込んでたけど、リキッドルームでは一気にシンプルになったのが印象的で。
竹縄:そうですね。僕らはメジャーデビューをして、シングルを2枚出してきた中で、誤解をされることもあったと思うんです。正直、自分たちが届けたい温度感で届かなかった曲もあった。僕らはメジャーデビューのタイミングから「アイドル」っていう言葉を発信してきましたけど、そこで自分たちが純粋に自由に音楽をやってるっていう伝え方をしなかったと思うんです。だから、リキッドでは純粋に音楽をしたかったんですよね。
EMTG:ハウルが「アイドル」という言葉で自分たちを表現するときって、それはバンドの自由な音楽の在り方を象徴して使ってたわけじゃないですか。
竹縄:そうですね。
EMTG:それが誤解されたことで、「アイドル」という表現をしたことに後悔はなかった?
竹縄:いや、そこに後悔はないです。単純に言葉って難しいなと思ったぐらいで。アイドルになりたいって言った、その言葉はウソじゃないんですよね。アイドルの音楽に対する自由度に関しては何を言われても、憧れを持ってしまうんです。だから、僕らの思うアイドルと、聴き手が思うアイドルの距離を縮めるのが、僕らの役目というか。それも含めて、改めて自分たちの音楽がどういうものかを提示したかったというのが、あのライブですね。
黒木健志(Gt):要するにチャラくて、演奏も大したことないバンドなんでしょって見られてたのも癪だったんですよ。演出だよりでしょ、みたいな。でも、HOWL BE QUIETでやりたい音楽を、ちゃんと体現できるのがアイドルっていうものなんだと伝えたくて。
岩野亨(Dr):自分たちとしては、やりたいことをシンプルにやってるだけなんですけどね。
黒木:だから、僕らの次のシングル(「サネカズラ」)では音楽を真摯に伝えますよっていう意思表示として、あのライブを作り上げた感覚があったんです。
EMTG:「サネカズラ」を歌う前のMCでは、竹縄くんが「一生、俺のことを忘れられないようにさせてやろうと思って書いた」って言ってましたね。あれは誰に向けた言葉だったんですか?
竹縄:この曲は2年前に書いたんですけど、その当時一緒に住んでた彼女とお別れするときに置いていった曲だったんです。フラれたんですけど。「ずっと一緒にいよう」って言ったのに、裏切られたような気がしたんですよね。好きだとか、愛してるとか、あの瞬間の出来事が全部が嘘になるわけじゃないですか。だから、相手を傷つけたくて。何だろう……向こうのほうがラクなのが嫌だったんです。「わたしは次の一歩を進みます。あなたとのことも幸せでした。どうもありがとう」っていうのが。いや、「ありがとう」って何だよ? なんでお前に言われなきゃいけないんだ、と。
岩野:真っ当な意見だ(笑)。
黒木:フラれる側が強がって言うならね……。
竹縄:だから、この曲の最後の「幸せになってね」は皮肉のつもりで言ってるんです。
EMTG:この曲を「置いていった」っていうのは、どういうこと?
竹縄:この曲を入れたCDを置いていったんです。別れることになったときに、向こうが家を出た隙に、自分の荷物だけを片っ端から出したんですよ。枕も、クローゼットの中身も俺の分だけ。それは曲のなかでも歌ってますけど。
EMTG:《僕の痕跡をなくそう》っていうところ。
竹縄:そう。向こうが帰ってきたときに、ひとり暮らしだったと錯覚させたくて。いま思うと、メンヘラチックな感じがしますけど(笑)。そこに曲も置いたんです。
EMTG:ちょっと怖い(笑)。
竹縄:ですよね(笑)。でも、それが優越感だったんです。
EMTG:それぐらい好きだったんですね。
竹縄:うん、そういうかたちでも自分という人間を無理矢理にでも残しておきたかった。いまでもこの曲がいたるところで流れて、どっかで聴いてほしいと思うんです。
橋本:荷物を出したとき、僕は一緒にいたんですよ。「友だちとしてお願いがある。いまから俺の荷物だけ出すから」って言われて。理由は聞けないですよね。でも、わかるから。「あ、OK」みたいな。その景色が脳裏に焼き付いてるので、この曲がきたときに、「これをあの家に置いてったんだ」って。正直、怖いなと思ったけど、そこまで人を愛せるのはすごいなって思いましたね。
EMTG:もともとは竹縄くんの個人的な曲だったものをバンドの曲として出すっていう部分に関しては、メンバーはポジティブだったんですか?
黒木:メジャーデビューしてから「MONSTER WORLD」「Wake We Up」って出してきたなかで、HOWL BE QUIETを外見で見られることが多かったと思うんですよ。だから今回は竹縄の内側を知ってほしいと思ったんです。もしかしたら、明るい人だと思われてるかもしれないけど、いま「怖い」って感じてくれたように、これぐらい竹縄航太は怖い人だし、えげつない人なんですよ。そういう部分を知らないお客さんがいるのは、なんかもったいないと思ったんですよね。この曲は竹縄航太そのものじゃないですか。それを今年の最後に出すことは、自分たちのなかで辻褄が合ってる感じがします。
EMTG:サウンド的にはインディーズ時代からのハウルの十八番でもある真骨頂のバラードですよね。いま再びバラードに向き合って思うことはありますか?
竹縄:そういう意味で言うと、いまの立ち位置のバラードになってると思います。ここにきて『DECEMBER』(1stミニアルバム)に立ち返った意識は全然ないというか。
黒木:僕らの流れとしては、実はメジャーデビュー前、去年の頭には、この曲はあったんですね。タケちゃんがこの曲を作ったときに、「もう俺は自分がやりたい音楽をやる」って言い出して、「MONSTER WORLD」を書いてきたんです。だから、劇的な変化のはじまりは「サネカズラ」だったというか。だから、僕らは戻ってるつもりは一切ないんです。
EMTG:とても悲しくて美しいバラードですけど、音作りのこだわりはありますか?
岩野:詞が音を引き出してくれた部分はあると思います。スタイリッシュに流行りのバラードみたいなことにもできたと思うんです。でも、この曲はそうじゃなくて、あえて王道に寄せて、ベタッとさせたところもあるというか。
黒木:印象深かったのが、最初はこの曲を4つ打ちにしようっていう案があったんですよ。ノレる感じのバラードにしようって。でも、竹縄から「これだと、めっちゃ前向きに聴こえちゃうから、もっと泥臭くいきたい」みたいな感じに言われて。
竹縄:この曲書いた、この曲の主人公が元気そうであってほしくなかったんです。
黒木:主人公はタケちゃんだけどね。
竹縄:そう、僕なんですけど。その自分が「お前と会えて良かったよ」「いま、俺、こんだけ幸せだよ、だからお前と会えたことを感謝してるんだ」みたいな、そんな前向きなやつとして捉えてほしくなかった。っていうより、彼女が出て行ったあとに、玄関の前で泣き崩れる感じ。そっちのほうが近いっていう話はメンバーにもしましたね。
EMTG:とことん竹縄くんが書いた歌詞に寄り添って仕上げていったんですね。
黒木:そうですね。あと、今回は3曲ともなんですけど、コーラスワークはすごく進化したなと思ってるんです。僕のギター、亨のドラム、ハッシーのベースの比率よりも、タケの声で空間を埋めることが多くなってるんですよ。だから、シンセの音も入れずに、タケの声でパットっぽい感じを出したり。完全に竹縄押しなんです。
竹縄:そこを強固にするために、今回のシングルはプロデューサーとしてJeff Miyaharaさんに入ってもらったんです。僕らは歌をこういうふうに届けたいっていうのを伝えて、それを届けるために一丸となって精進した感じでした。
EMTG:で、2曲目の「Higher Climber」は、前作「Wake We Up」に引き続き、アニメ『DAYS』の主題歌ですね。どんな楽曲がほしいのか先方のリクエストはあったんですか?
竹縄:今回は注文はなかったんですよ。ただ、僕も原作を読んでたし、1期のアニメが負けたところで終わって、そこから2期が始まるのもわかってたので、その感情に共感できたんです。負けない人生なんて1回もないじゃないですか。挫折したり、悔しい想いをして、そこからなんとか生き延びたりする。そこが『DAYS』に登場するキャラクターの感情ともリンクしたので、1期よりも書きやすかったですね。
EMTG:EDM調のキラキラとしたバンドサンドっていうのも、「MONSTER WORLD」以降、ハウルの新たな持ち味として定着してきたような感じがしますね。
黒木:サウンドはいちばん派手ですね。でも、歌詞はいちばんストイックです。前回は“はじまり”だったので明るかったんですけど、今回は後悔をテーマに歌ってるんです。でも、歌詞が暗いわりには、サウンドは欧州サッカー感というか。ブブゼラが鳴ってて。かつ、向こうの文化としてのEDMでもある。それが歌詞と相反するんですよね。キラキラとしたところを夢見てるけど、現状の自分は最下層にいる。その場所から憧れの舞台を音で表現できたらと思って、とにかくド派手にしたんです。
EMTG:3曲目の「Dousite」も、ホーンとかハーモニカが入った賑やかなポップサウンドなんだけど、歌詞では自分を強く曝け出してる。
黒木:「曝け出してる」って言われて、(竹縄の表情が)めっちゃ嬉しそう。
竹縄:ちゃんと聴いてくれてるなと思って(笑)。
EMTG:今回のシングルは「曝け出すこと」がひとつのテーマですよね?
竹縄:おー、すげぇ嬉しいです。まさにそう。自分を裸にしたかったんですよね。聴いてくれてる人を信じてみようと思ったというか。普段、僕はあんまり人に対して、バッと曝け出せるタイプじゃなくて、フィルターを張りがちなんですよ。知り合ってから、何回か会うことで、徐々にフィルターがなくなっていく。時間がかかるんです。それと同じ感じで、いままでの曲もどこかでフィルターを張ってた気がするんです。
EMTG:いままでも自分では曝け出してるつもりだったけど。
竹縄:そう。でも、いまは歌い手として曲を聴いてくれる人がいるっていう環境のなかで、もっと自分を知ってほしいっていう欲が増えてきたんです。フィルターなしで自分を曝け出しても、聴いてくれる人もフィルターを外して、裸の付き合いをしてくれるんじゃないかって思えるようになった。そのなかで、今回はありのままの自分を曝け出してみようっていうのが、ひとつのテーマではあったので、個人的には満足ですね。
EMTG:より生々しく、竹縄航太の恥ずかしい部分が出てますもんね。
竹縄:そうなんですよ。恥ずかしいんですよね、曝け出すって。怖いし。それを自分のなかで踏み出せたのが大きいと思います。
黒木:今回のアー写、タケちゃんだけ裸にしようと思ってたもんね(笑)。
EMTG:歌詞では《もう君が言うように僕は小2でいいや》とか出てきますが。
竹縄:これは本当に人に言われたことなんですよ。「そうなんだ……」っていう。僕は恋愛をすると、自分を全部ひん剥いてるから、こういうことを言われちゃうです。
EMTG:それで、また失恋したら「サネカズラ」みたいな感情の曲を書くっていう。
竹縄:そうですね(笑)。俺のなかでいつも言葉にしやすいのが「後悔」の感情なんですよね。だから、自分のなかで、そのときにいちばん近い後悔のテーマが選ばれるんですよ。あるときは別れだったり、あるときは負けたとか、悔しさとか、嫉妬とか。それが自分の歌の原動力になると思ってて。まあ、人生、後悔してばっかりですから(笑)。しかも、その後悔をどこかで引きずっていたいんです。そのほうが良い曲できるから。
EMTG:竹縄くんは幸せにならないほうがいいんだね。
黒木:うん(笑)。
竹縄:幸せになりたいけど、なれないのが、またこれ曲が書けるんじゃないかな、みたいなね。自ら泥に突っ込んでいくところはあるんです。
岩野:そういうところあるよね。
黒木:ドMだよね(笑)。
EMTG:では、最後に、2016年はメジャーデビューを果たして、3枚のシングルを出しました。振り返ってみてどうでしたか?
竹縄:メジャーデビューを発表したのが、去年の11月だったので、そこから1年ちょっと。本当にあっと言う間でしたね。でも、まだアルバムを出してないので。僕らにとってはアルバムが第一章の終着点だと思ってるんです。だから、そのアルバムで新たなステージに行きたい。来年は、その架け橋になるアルバムを出したいです。
岩野:出しましょう!

【取材・文:秦 理絵】

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リリース情報

サネカズラ

サネカズラ

2016年12月14日

ポニーキャニオン

M1.「サネカズラ」
M2.「Higher Climber」(TVアニメ「DAYS」OP主題歌曲)
M3.「Dousite」

お知らせ

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■ライブ情報

Re:ACTION ~Answer1~
2016/12/14(水) 大阪・梅田Shangri-La
2016/12/15(木) 愛知・名古屋ell.FITS ALL
2016/12/20(火) 東京・渋谷WWW

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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