CIVILIAN、過去・現在・未来を辿るニューシングル「生者ノ行進」リリース!

CIVILIAN | 2017.03.01

 CIVILIANとしての2ndシングル「生者ノ行進」は数々の困難を乗り越えて突き進んでいくアグレッシブなエネルギーと、人々が集っていくパワーの詰まった強力なナンバーだ。テレビアニメ「ALL OUT!!」第二クールOPテーマになっていて、アニメの内容とも重なるのだが、バンドのこれまでの軌跡と連動した曲でもある。この最新シングルについて聞いていく。

EMTG:「生者ノ行進」はどういう流れで誕生したのですか?
コヤマヒデカズ:順序としては、まず「ALL OUT!!」の話があって、アニメを踏まえて新曲を何曲か作り、バンド内で話もして、この形にまとまりました。これまでは曲を作るにあたって、言いたいことが多すぎて、メロディにしても歌詞にしても詰め込めるだけ詰め込む傾向があったんですが、この曲は削ぎ落としたものにしようという意識で作りました。僕らの作品は、“小説を読んでるみたい”“映画を観ているみたい”と言われることが多くて、作り手としてうれしい感想ではあるんですが、この曲は複雑な構成やギミックがないほうがスピード感やパンチ力が出ると判断したので、とにかく言葉を少なくしようと。
EMTG:少なくするほうがより大変なのではないですか?
コヤマ:本気で入り込んでいくと、どんどん言葉が多くなってしまうので、せめぎ合いはありました。言葉を削るのは怖いことなんですよ。これで意味が通じるんだろうか、薄っぺらにならないだろうかって。勇気を持って言葉を抜いたり、メロディを立たせたりして、模索しながら作っていきました。
EMTG:有田さん、純市さんはどんな意識でこの曲の制作に臨んだのですか?
有田清幸:スピード感、勢いを大事にしようってことは思っていました。言葉数が少なくなった分だけ、隙間が出てくるので、そこで何をしようかってことも考えましたけど。
純市:とにかく聴きやすいものにしようと思っていたので、展開もあまりこざかしいことを考えず、最後まで突っ走っていくことを最優先して演奏しました。
EMTG:アニメともバンドのヒストリーとも連動した歌詞が見事だなと思いました。
コヤマ:アニメだけをなぞったら、自分の作品ではなくなってしまうし、CIVILIANの新曲でもあるので、自分たちのことにも当てはめていこうと考えていました。これまで僕個人の過去の話や自分の気持ちはさんざん歌にしてきたんですが、バンドの歴史を歌詞にしようと思ったのは初めてだったかもしれない。
EMTG:バンドの物語を描こうと思ったのはバンド名を変更したこともきっかけのひとつになっていますか?
コヤマ:それも大きなポイントなんですが、自分の考え方が変わってきたことが大きかった気がします。やりたいことを好きなようにやっていること自体が罪だと考えているところが自分の中にあって。世の中ってやりたくないことをやっている人で回っているところもあるので、つねに心のどこかに罪悪感があったんですが、最近になってようやく、自分たちがやってることもある角度から見たら、誇ってもいいことなのではないかと素直に思えた瞬間があって。その気持ちの変化がこの歌詞に繋がっていると思います。
EMTG:♪僕等を歩かせるのはいつだって後悔で♪というフレーズにグッときました。
コヤマ:自分が努力したことを思い返してみると、原動力になっているのは夢や希望よりも後悔や焦りや危機感だったんじゃないかって思ったんですよ。テレビで海外の人の特集をやっていて、学生時代に音楽をやっていてエルビス・プレスリーのモノマネが上手くてモテてたという人が登場したんです。その人の奥さんは病気で余命1年と宣告されて、「あなたが若かった頃のプレスリーのモノマネを見られないのが心残りだ」って言うんですよ。そこで初めて旦那さんは必死でトレーニングをして、学生の頃の肉体に戻して、エルビスのモノマネをするんです。それくらいの状況に追い込まれないと、人って必死になれないなって、この歌詞にはそういう意識も根底にありますね。
EMTG:バンドの歴史と重なるところも多々ありそうですが、コヤマさんの書いた歌詞についてはどう思っていますか?
有田:歌詞の内容についてはあまり吟味して聴いてはいないんですよ。演奏する上では歌が伝わるように、ということは心がけているんですが、一つひとつの言葉が届くものを、ということなので。
EMTG:歌とバンドの演奏が一体となることで、より歌の世界観がしっかり伝わってきました。♪ほら一緒に歌おうぜ♪ってところはライブで観客も歌ったら、すごいことになりそうですね。
コヤマ:2年前ぐらいだったら、多分このフレーズは書けませんでしたね。音楽って作っただけでは完成ではなくて、聴いてくれる人たちがいるから成り立つものだという意識が強くなったからこそ、こういう言葉が出てきたんだと思います。
EMTG:歌詞を書く上でアニメからインスパイアされたことは?
コヤマ:原作の漫画も全部読ませていただいたんですが、僕自身、小学生の頃から「スラムダンク」が大好きで。スポーツ漫画を日常的に読んで育ってきた人間なので、スポーツの試合の光と影は感じていたんですよ。競技をやってる人はみんな頑張っているけれど、試合になったら、勝ち負けを決めなければいけない。勝負事って残酷な面があるからこそ、人間のドラマが浮かび上がってくる。そこは歌詞にも反映させようと思っていました。
EMTG:レコーディングで印象に残ったことというと?
有田:俺に関しては完全にスポーツでした(笑)。汗をかきながらやっていました。この曲から“もっとやれよ”って言われているような気がしたというか。自分が勝手にそう受け取っているだけなんですが、それでどんどんスポーツになっていきました。
純市:今回のレコーディング、ドラムがすごい時間かかってて、夜中3時ぐらいにやっとドラム録りが終わって、ずっと待機してたら「ベースは次の日にしようよ」って言われてカチンときて、ちょっと怒りながらやってたんですけど……そのテイクがすげぇよかったという(笑)。なにくその1テイクでした(笑)。
EMTG:歌はどんな意識でのぞみましたか?
コヤマ:今までは始まった瞬間からトップギアで歌っていたんですけど、この曲はサビの頭に山を持ってくるべきだと思ってたので、サビで気合いを入れて盛り上げるイメージで歌いました。
EMTG:アニメのオープニングの映像を観ての感想は?
コヤマ:アニメのオープニングテーマって、その作品のことを思って書かれた歌がいちばん正しいと思っているんですが、制作してくださってる方々にそのことが伝わってくれたのかなと思いました。サビの疾走感とか、曲の展開を汲んでくれたこともわかったので、うれしかったです。
EMTG:2曲目の「君は君であることを」はかなり前からあった曲なんですね。
コヤマ:そうです。ドラムの有田が「この曲をやりたい」っていう意見を最初に出したんですけど、有田が言い出さなかったら、存在自体なかば忘れていましたね。
有田:ひどい(笑)。
EMTG:どうしてやりたいと思ったのですか?
有田:インディーズで作品をリリースをするより前の曲で、ライブ会場で配ってたデモ音源にしか入ってないしライブでも2回ぐらいしかやってないっていう、一部の人しか知らない曲なんですが、ずっとやりたい気持ちはあって。アルバムの曲の並びのバランスやテーマとの兼ね合いで、ずっとあぶれていたんですよ。今回のシングルでいけるんじゃないかと思って提案したら、ふたりも同意してくれました。
EMTG:歌も演奏も人間味があって、いい曲ですよね。今まで出さなかったのが不思議なくらいです。
コヤマ:モノを作ってる人間は誰でもそうだと思うんですけど、最新のものがいちばん良いって思うじゃないですか。昔の作品は言葉選びのセンスも今と違っていて、昔の拙かった自分がそこにいるので、恥ずかしさもあって。やるなら、歌詞もギターフレーズも全面的に作り替えようと思ってたんですが、有田にもまわりのスタッフにも「いい曲だ」と言ってもらえて、逆に、自分ではわからなかったこの曲の良さを改めて気付かせてもらいました。
EMTG:ベースも表情豊かです
純市:優しい感じが出せたかなと思います。アレンジはまったく変えてなくて、当時のまんまでやったんですけど、まわりも「すごくいいよね」って言ってくれました。
コヤマ:当時は自分たちが曲を表現しきれてなかったところが多々あったと思うんですよ。表現力も増してきて、そのままやっても成立するようになったんじゃないかなと思います。なので、このテイクは自分たちが成長した証ですね。
EMTG:3曲目の「サクラノ前夜」も2010年にコヤマさんがナノウ名義で発表した曲のバンドでのカバーということになります。前のシングルの「3331」もそうでしたが、カバーしようと思った経緯は?
コヤマ:前のシングルで「3331」をカバーしたときに、絶対的な縛りというわけではないんですが、「シングルを出すときにボカロで発表してきた曲を今後もカバーしていきたい」って話はしていて、やれそうな曲を考えていって、この曲がいいんじゃないかって、全会一致で決定しました。
有田:発売時期が3月だったので、桜だなっていう発想もありつつ。
EMTG:ストーリー性のある展開をバンドサウンドで見事に表現しています。
コヤマ:「君は君であることを」もそうなんですが、バンドの音の説得力や表現力が前より上がっているからこそできたことというか。ちょっと前の自分だったら、もっとギターを重ねて複雑なアンサンブルにしていたと思うんですが、今の自分たちなら、シンプルなアレンジでも破綻せずにやっていけるだろうという確信みたいなものがあったんですよ。ストリングスを入れたゴージャスなアレンジも考えたんですが、最終的には自分たちの力を信じました。
EMTG:演奏でポイントにしたことというと?
有田:バンドでやる意味合いのあるものにしようってことは考えていました。元はボーカロイドの曲なので、プラスアルファでバンドの息吹きを吹き込んで、より生々しいものにしたいなって。
純市:個人的には原曲を自分なりに膨らませたらこうなったという。わりとテンポが速いので、その中に詰め込んだ印象でした。
EMTG:原曲で入っている2コーラス後のギターの光がほとばしるようなプレイは活かされてますね。
コヤマ:当時ボカロで作ってたときもテンションだけで弾いたんですが、今回も気合いしかないという感じで弾きました。
EMTG:歌詞も様々な解釈ができる深みを備えてます。
コヤマ:当時、自分の精神を救ってくれるものはなんだろうって考えながら作っていた記憶があります。他人にとってどうでもいいような些細なことがある人にとっては救いになることもあるわけで。一般常識から自由になって見たときに、一体何が救いになるんだろうかって、一石を投じたかったのかもしれないです。
EMTG:この3曲の組み合わせ、いいですよね。過去を踏まえながら、現在、未来への予感も感じ取れるシングルだと思いました。
コヤマ:「生者ノ行進」というまっさらな新曲があって。自分たちの過去と現在とこれから先がこれ一枚で地続きになった実感があったので、これまでやってきたことが間違いではなかったという証明にもなっている気がします。
EMTG:今後に向けては?
有田:「生者ノ行進」はシンガロングがあったりほかの人の声が入ってきたりして、新しいことにチャレンジをした曲でもあるし、ライブでの手ごたえも感じているので、より広まって、一緒に歌ってくれる人が増えたらいいなと思います。
純市:早くみんなで♪ウォーウォー♪の大合唱をしたいです。
コヤマ:今まで以上に聴いてくれてる皆さんとコミュニケーションをとりたいですよね。一緒に音楽を作っていきたいという思いで作った曲なので、その思いは届いてほしいし、ライブで一緒に空間を作っていきたいです。あとはとにかくアルバムを早く作りたくて、去年からずっとうずうずしていて(笑)。クリエイティブのはけ口がもっともっとほしいというのが今の率直な気持ちですね。もっともっと曲が作りたいです。かもしれないです。

【取材・文:長谷川 誠】

tag一覧 CIVILIAN

リリース情報

生者ノ行進

生者ノ行進

2017年03月01日

Sony Music Records

1.生者ノ行進
2.君は君であることを
3.サクラノ前夜

お知らせ

■コメント動画



■ライブ情報

CIVILIAN ONE MAN TOUR「Hello,civilians.」
2017/05/18(木) 名古屋ell.SIZE
2017/05/19(金) 心斎橋Music Club JANUS
2017/05/25(木) 渋谷CLUB QUATTRO

Livemasters Inc. 5th Anniversary Tour "Dreieck"
2017/02/22(水) 名古屋CLUB QUATTRO
2017/02/23(木) 梅田 CLUB QUATTRO
2017/03/02(木) 渋谷 CLUB QUATTRO

CIVILIANコヤマヒデカズの弾き語りワンマンツアー
2017/03/12(日) タワーレコード梅田NU茶屋町店
2017/03/20(月祝)タワーレコード福岡パルコ店店内
2017/03/25(土)タワーレコード札幌ピヴォ店店内
2017/03/26(日)タワーレコード仙台パルコ店内

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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