Official髭男dismが3rd mini album『レポート』をリリース

Official髭男dism | 2017.03.31

 テレビ番組「バズリズム」で2017年にバズるアーティストとして紹介された他、配信サイトやWEB、雑誌など多くのメディアでも軒並み高評価を獲得。今年、注目度うなぎ登りのヒゲダンことOfficial髭男dismが、新ミニアルバム『レポート』を完成させた。周囲からの高まる期待を追い風に、本作では打ち込みを取り入れた新たなサウンドに挑戦。ロックでソウルでシンフォニックでダンサブルでポップな音を高らかに鳴らしている。全曲のソングライティングを担当する藤原聡(Vo&Pf)をはじめ、小笹大輔(Gt)、楢崎誠(Ba)、松浦匡希(Dr)の4人はどんな思いで本作を作り上げたのか。J-POPの新時代を切り開くヒゲダンサウンドのレシピに迫る。

EMTG:今回はどんなアルバムをめざしたんですか?
藤原:去年、友達が結婚して、人生で初めて結婚式に参列したんです。新郎新婦が登場のときにヒゲダンの「Clap Clap」をかけてくれたんですけど、着飾った2人が出てきたときに涙が止まらなくて、こういうときに使ってもらえる曲がもっと欲しいなと思ったんです。それで「犬かキャットか死ぬまで喧嘩しよう!」を書いたんですけど、今回はハッピーな曲を絶対入れたいっていうのが今までと大きく違うところでした。
EMTG:これまでは青春の葛藤をシリアスに切り取る曲もありましたからね。
藤原:今まではメッセージ性の強い曲が多かったというか、そういう方向の曲を書くことが多かったんです。新入社員になったときの辛さを歌った曲とか自分が新聞で見つけた記事に対するメッセージとか。そういうメッセージもいいけど、今回は音楽をもう一回見つめ直そうと思って。なので、メッセージを伝えたいというよりは口当たりの良い言葉を選ぶということを優先して作ったんです。
EMTG:言葉の響きも含めて、サウンド面をより意識していこうと。
藤原:サウンドに対する意識は今回高かったです。なので、メンバーと相談してエンジニアさんも井上雨迩さんという椎名林檎さんをずっとやられてる方にお願いしました。今までも自信作を作ってきたつもりですけど、今回はエンジニアさんに想像を上回るものを作って頂きましたし、サウンドは自信があります。
EMTG:バンドアンサンブルに対する意識はこれまでとどんな違いがありますか?
楢崎:だいぶライブ感が出たと思います。「Rolling」は最初にクリック(メトロノーム)を聞きながら演奏して、曲の途中からは敢えて切って、リズムが走っちゃっていいっていうことで作ったり。これまでのサウンドに比べてだいぶ凶暴性があるというか、イイ子チャンじゃなくなってるんですよね。そこは挑戦でもありましたが、攻める姿勢が今回は音で表現できたなと思ってます。
松浦:そもそも今回は音にスパイスがあったほうが面白いんじゃない?っていうところから始まっていて。それで雨迩さんにお願いする事にしました。
藤原:今回はリズムがつっこんだり、もたったりしてるところもあるんですけど、全体的にはグルーヴが生まれてる。前作までの自分たちだったら絶対許さなかったテイクを敢えて活かしてるんです。
楢崎:自分のプレイに対してだいぶ臆病だもんね、俺らは(笑)。 
小笹:そう。僕ら自身は「大丈夫か、これ?」と思ったりするんだけど、エンジニアさんがその瞬間のかっこいい粗さをキャッチしてくださって。結果プレイヤーとして、以前よりも全然面白味があるものが作れました。
EMTG:ヒゲダンはソウル音楽を根底に持つけど、今回は最近のブルーノ・マーズに代表されるようなディスコ/ブギー/オールドスクール系のアプローチが増えましたね。以前はノーザンソウル系の軽やかなハネ感が多かったけど、今回はグルーヴがベタっとしててワンループ感があるものにチャレンジしてる。
藤原:単純に僕が去年一番ブルーノ・マーズを聴いてたんです。すごく好きなんですよ。なので、そういうループ的というか、フレーズ先行の作曲もやってみようと。「犬とキャットか?」もベースラインを先に考えて、それをPCでループさせながらスキャットで出てきたメロディーを録音していって、「ここは使える、ここは使えない」っていうふうに切り貼りしていったんです。
EMTG:打ち込み的な作り方というか。
藤原:そう。生楽器もループさせる手法を採っていて、最後に入ってる「Trailer」はジャスティン・ビーバーの「Love Yourself」からインスピレーションを受けたんです。あの曲は鳴りきってないギターをずっとループさせているんですけど、そこから着想してギターのワンフレーズをループさせて作って。なので、そもそも作曲方法がこれまでと違うんです。
EMTG:「55」はモロにそういう方向の曲だよね。オールドスクールラップ調のパートが出てきたり、EDMやトロピカルハウスのような雰囲気も出てくる。この曲のビートは打ち込みで作ったんですか?
藤原:いや、生で叩いてます。
楢崎:「55」は、本来は打ち込みの質感が似合う曲じゃないですか。だけど、それを俺らはよくわかってなくて、生でやっちゃおうってなったんですけど、エンジニアさんも「こういう音楽を生でやる人いないから面白いよね」って言ってくださって。偶発的な始まりだったけど、そこからいろんなことをやっちゃえ、やっちゃえっていうノリになっていったんです。
藤原:「55」は、ナラちゃん(楢崎)がバリトンサックスを吹いてくれて、そのテクニックが光っているのもオイシイなと思ってます。あと「What’s going on?」で使った♪ボンボン♪っていう声をサンプリングして使ったりとか、いろんなトライができた曲ですね。
EMTG:本作で新境地を拓いた感覚が一番強いのは「55」ですか?
楢崎:「55」はこれまでになかった新しさっていう感じですね。もともと自分たちにあったものを新しく作れたっていうのは「始まりの朝」だと思います。
EMTG:「始まりの朝」も音が凶暴だよね。「ここまでやるか」的な新しさがあった。音数が異様なくらい多くて「うるさっ!」と思ったし(笑)。
小笹:楽器の数がハンパないですからね(笑)。
藤原:「始まりの朝」は高校時代の僕の思い出を書いたんです。吹奏楽部で打楽器をやっていたんですけど、この曲で鳴っているパーカッションはそのときに学んだスキルを総動員して全部自分でやりました。この曲に関してはロックサウンドとクラシックのパーカッションをどこまでうまく混ぜ合わせることができるのか、っていうのが課題だったんです。なので、勇気を持ってドラムのバックビートを抜いて、疾走感があるのにバックビートがないっていうアプローチに挑戦したんです。
EMTG:ヒゲダン流のシンフォニックロックという感じだよね。
藤原:そう。サビのところでスネアを「ダン、ダカダン」って叩くのもすごくクラシカルなアプローチなんですよね。
EMTG:リード曲の「犬かキャットか?」は、どんな音像をイメージして作ったんですか?
藤原:最初はもっとベタベタなディスコみたいな感じで作ってたんです。そうして作ったものをバンドでやってみようということでスタジオに持ち込んだら、意外とこれくらいバンドサウンドでもイケるんだと思って。ただ、ギターの使い方をどうしようか?と悩んでたんです。そしたら大輔がすごくいいギターを弾いてくれて。
EMTG:そこがこの曲の隠しこだわりポイントだと思ったんです。間奏で猫の鳴き声みたいなギターが飛び出す。しかも盛りのついた猫みたいなウギャッ!っていうギターが(笑)。
小笹:まさに(笑)。雨迩さんにエンジニアをやってもらうことが決まってから東京事変をずっと聴き直していたんですけど、浮雲さんがワウギターの名手だからサブリミナル的にインプットされてたのか、僕もワウギターで攻めようと思って。
EMTG:ちなみにメンバーは犬派なの? 猫派なの?
藤原:僕らは犬派が3人で、猫派がひとりなんです。
EMTG:猫派は?
小笹:僕だけです。だからアレが弾けたところもあると思います(笑)。
EMTG:今回のアルバムで、藤原くんの歌詞にシビれたという曲はどれですか?
楢崎:僕は「Trailer」です。サビの《最後のページ》っていうひと言が好きなのと、《ここで待ってる 待ってる》って繰り返すところが好き。デモの段階から歌詞が付いてたんですけど最初からハマりが良くて。言葉が胸を打つみたいな感覚があってムッチャ好きです。
松浦:僕は「犬かキャットか?」の《「キャットが絶対可愛いよ」 熱く語る君の側に居たいんだ》っていう部分。どうやったらそんなキュンキュンするような歌詞が出てくるのかと。あれは天才だと思った。僕、ちょっとキュンキュンしましたから(笑)。
EMTG:大輔くんは?
小笹:「Rolling」に《学園通りの街灯 酔いどれのサーチライト》っていう歌詞があって、「学園通り」っていうのは僕らの思い出の地なんです。学生時代、酔っ払って学園通りを歩いてたから、そのレペゼン学園通りみたいな感じがいいなって。
藤原:僕は「Rolling」の歌詞がいちばん気に入ってます。ハマりも考えながら面白い言葉選びができたなと思っていて。《振り切れない片目のヘッドライト》っていうのは月のことを指してるんですけど、この曲を作っていたとき、実際、僕らが使ってた車のライトが壊れて片目になってたんですよ(笑)。
EMTG:そうして作られたアルバムに『レポート』と名付けました。このタイトルにはどんな思いを込めたんですか?
藤原:今話したように、このアルバムは学生時代の思い出をベースにして作った曲がいっぱい入ってるんです。高校入学のときの胸の高鳴りを歌った「始まりの朝」とか、学生時代に吐くほどお酒を飲んで騒いでた「55」とか、夜中にいても立ってもいられず飛び出した「Rolling」とか。「Trailer」も学生時代の思い出が入ってる。で、学生生活に深く関わるものってなんだろう?と考えたときに、単位とか飲み会とか留年とかいろいろ出てくる中で「レポート」という言葉が浮かんで。学生の頃はレポートというと厄介な宿題っていうイメージかもしれないけど、ライブレポートとかグルメレポートもあるじゃないですか。だから僕たちなりの人生のレポートを出そうというイメージで作ったんです。
EMTG:前2作で続いた、有名曲のタイトル拝借シリーズはやめちゃったんですか?
藤原:それを経ての『レポート』なんです。マイケル・ジャクソン、マーヴィン・ゲイと来て、and more!っていうのを「レポート」のひと言でまとめようと思って。そもそも今回は偉人に影響を受けて、こういう姿勢で曲を作ろうと思ったことが1ピコもなかったんで。全部自分たちの中から出てきたものだから、偉人の意を借りるのは違うかなと。
EMTG:今後、ああいうタイトルが復活することはあり得そう?
藤原:ないと思います。もう学び期間は終わったというか。マイケルが好きですと言いながら、「Rolling」みたいな曲もやってるわけだし、このバンドはこういう音なんだろうと推し量られるような要素をどんどん削っていきたいんです。自分たちの生み出したコンセプトやタイトルでやっていきたいなと思ったから、そのレポートでもあるんですよ。
EMTG:現在の自分たちの現状報告でもあると。
藤原:そう。僕らはここまでこうやってきました、みたいな。ヒゲダンのルーツもこのアルバムには出てますから。吹奏楽部の経験も出した、サックスが吹けることも表した、最近ブルーノ・マーズにハマってるという近況報告までした……そうして全部入ったヒゲダン音楽人生レポなんです、これは。

【取材・文:猪又 孝】

tag一覧 J-POP ミニアルバム インタビュー 男性ボーカル Official髭男dism

リリース情報

レポート

レポート

2017年04月19日

Lastrum

1. 始まりの朝
2. 犬かキャットかで死ぬまで喧嘩しよう!
3. 異端なスター
4. 55
5. Rolling
6. イコール
7. Trailer

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お知らせ

■マイ検索ワード

楢崎誠(Bass)
スフレパンケーキ
料理が好きだから作ろうと思って調べたワード。ホットケーキミックスを使わずに薄力粉とメレンゲで作れるんですけど、友達にヨーグルトを入れたら上手く出来ると聞いて「本当かよ」と思ってレシピを調べたら本当に入ってました。ただ、そこまで調べといて、まだ作ってないんですけどね(笑)。


■ライブ情報

Official髭男dism「レポート」FREE LIVE
04/23(日) 渋谷duo MUSIC EXCHANGE

赤ひげ危機一髪!
05/05(金・祝) 梅田CLUB QUATTRO

J-WAVE & Roppongi Hills present
TOKYO M.A.P.S 10th ANNIVARSARY EDITION

05/05(土)-05/07(日)
六本木ヒルズアリーナ

Official髭男dism one-man tour 2017
06/09(金) 横浜BAYSIS
06/16(金) 渋谷CLUB QUATTRO
06/24(土) 名古屋SPADEBOX
06/25(日) 広島CLUB QUATTRO
07/14(金) umeda AKASO

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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