今だからこそ、聴いてほしい曲がここにある。 GLIM SPANKY 3rd Mini Album 『I STAND ALONE』

GLIM SPANKY | 2017.04.10

 新しい道を歩み出す春にふさわしいGLIM SPANKYの新作 『I STAND ALONE』。自身の信じるところへ進めと歌う表題曲や、多感な時期を繊細に描いた「美しい棘」、松尾レミの月愛が溢れる「お月様の歌」など、5曲それぞれがGLIM SPANKYの深部を伝えてくる。映画『ONE PIECE FILM GOLD』主題歌「怒りをくれよ」をはじめ、広く知られる曲を連発してきた今だからこそ、聴いてほしい曲がここにある。松尾レミと亀本寛貴の2人がこの作品に込めた思いを語ってもらった。

EMTG:2ndアルバム『Next One』を昨年7月にリリースして以後、プロモーションやツアーで多忙だったと思いますが、早くもミニアルバム『I STAND ALONE』を発表とは攻めてますね。曲作りなどはいつ頃から?
松尾レミ(Vo・Gt):『Next One』を作ってる頃にあった曲も今回入ってるんです。
亀本寛貴(Gt):M1「アイスタンドアローン」とM3「Freeder」は、ツアー中から作ってたもんね。
松尾:そうそう、けっこうツアーをやりつつ作ってた感じで。今は活動してきた中で一番アイディアがいい感じに生まれてきている時かなって感じます。
亀本:ギターのフレーズが早くなるとか技術的なことじゃなくて、誰かの曲を聴いたりしてインプットされたものを楽曲としてアウトプットするスピード感が上がったかもしれない。
松尾:弦を入れたいと思ったらこの人がいいとか、この人に弾いてもらいたいと思ったらこういう感じの音にしようとか、塩梅がわかってきたというか。そういうことを自由にやらせてもらえるというのを知ったので(笑)、より創作やレコーディングに対するワクワク度が上がってきた感じですね。
EMTG:『I STAND ALONE』は5曲入りということもあり、『Next One』と違う方向を目指した作品のようにも思えます。
亀本:タイアップとかなくて、自分たちの素で作ったらこうなったという感じもあるよね。
松尾:本当にやりたいことをそのままやったというのもあるし、『Next One』まででGLIM SPANKYはロックだ、というのは提示したので、自己紹介盤は完結したかなと思う。今まで作ってきた土台を、もうちょっと掘ったところの楽曲を見せていくべき時だろうと思ったので。今までの楽曲が基礎となるのだったら、その上に乗っかっていくものを、今回のミニアルバムで少しずつ作っていこうかなということで、楽曲を作りましたね。
EMTG:作品の色合いがはっきりした上で曲を作っていたんですね?
松尾:そうですね。1曲目はサイケデリックに行こうというのは2人の間であったので、それを土台に、やりたいことをやるという。
EMTG:リードトラックはM4「美しい棘」。歌詞も女の子らしいなと。学生時代の思い出で、卒業式シーズンにもいいなと思いました。どういうイメージでできた曲ですか?
松尾:これは、京都に住んでる親友と長電話をしてたときに、一緒に下校中に聴いてた音楽とか、あの道こうだったねとか話していて、まだ美化されてもいないところを思い出したりしたんです(笑)。その時代はキラキラして見えるけど、戻りたいとは思わなくて。そういう感情のまま実家に帰ったんですよ。そしたら、下校中の匂いだったり風だったり光だったり、そういうことをいろいろと思い出して、自然と生まれてしまった曲なんです。こういう曲を作ろうと思って作った曲ではないですね。
EMTG:少女が成長して移ろっていく一瞬を捉えたいい曲だと思います。
松尾:ありがとうございます。女性になる時って、すごく綺麗だけど、すごく怖いものというか。儚く脆く、危ういものだなってすごく思う。この曲がリスナーにどんな捉え方をされてもいいんですけど、私としては、女対女の関係性を歌った曲で。例えば中学から高校入学の時とか、いつも一緒にいた子もちょっと離れるだけで全然違う髪色になっていたり、知らない彼氏ができていたりとか。それはお互いに言えることで、変わったねって言い合うこともある。でも、それは決してネガティブなことでも悲しいことでもないと思う。だから私は、薔薇の棘が刺さってもそれは喜びだと思えて。最終的には、まるで魔法のように変わっていく。その“魔法”というミラクルさを感じさせる言葉を最後に置いたのは、その体験をしている自分たちにとっては悲しかったりするものなんだけど、本当は「それは素敵なことなんだよ」ということを、“魔法”という言葉に置き換えて伝えたくて。それは色褪せることもなく、過去のことになるのでもなく、常にきっとみんな心の中に覚えていて、誰しもが持っている感情なんだろうなと思って書いた曲です。
EMTG:ところで、2人で活動を始めてから10年になるんですね。
亀本:そうなんです。ベテランバンドだ!
松尾:16歳からやってるから、10年ですね。
EMTG:そういう時間の中での自分たちの変化を感じてるからこそ、こういう曲も出来てくるのかなと思いますが。
松尾:「アイスタンドアローン」でも書いたんですけど、自分たちが居るのは良い場所であろうと悪い場所であろうと関係なくて、自分がそこで何をしていくかというのがすべてだなと昔から思っていたし、今も実感していることなので、そういうテーマになっていったんじゃないかなと思います。
EMTG:M3は”フリーダム”じゃなくて「Freeder」??
松尾:自由の人というか、自由を掴んでそれに向かって歩いてる人みたいな。こういう言葉ないんですけど、作ってみました(笑)。
EMTG:これはコーラスが入ってアンセムっぽい感じですね。
松尾:そうですね。導入部分でみんなで一緒になれるような感じでいて、暑苦しくなく、風が吹いてるような感じというか。サウンドはアメリカっぽい感じ、ライアン・アダムスとかのフォーキーな感じかな。
亀本:今サッカーゲームをやってるんだけど、アメリカのシンガーソングライターのジェイムス・ベイという人の曲がずっと流れていて。ライアン・アダムスとかも好きで、ちょうどアメリカンなサウンドにハマってたんで、こういうのやりたいなって。
EMTG:最後の「お月様の歌」はシンプルで幻想的な曲で、プライベートな曲でもあるのかなと思ったりもしたんですけど。
松尾:私が何も考えずに書くとこうなる、みたいな感じの曲(笑)。夜が好きで月が好きで月に恋い焦がれている、私の中の月に対する恋心を歌った曲です(笑)。幻想文学やアートが好きだったり、不思議な夜の世界を描いているものが好きだったり、そういうのに恋い焦がれすぎて、実家では眠るときもお風呂に入るときも全部窓を全開にしてるくらい(笑)。それを子守唄のように描写した曲を書きたいなと思って書いた詞です。私、アメリカの1940~50年代ぐらいの「Over the Rainbow」とかすごく好きで。あの時代の曲って、壮大なストリングスだったり、いろんなコーラスとか合唱が入っていて、私もそういう雰囲気の曲を書きたいなと思っていたんです。それでギターを爪弾いていたら、「絶対ストリングスを入れたい」「四家卯大さんに頼みたい」と思って、形になった曲です。
EMTG:レミさんの月への思いがよくわかります(笑)。
松尾:月には紳士というイメージが勝手にあって。私が恋焦がれて読んでいる稲垣足穂の「一千一秒物語」では、月が紳士なんですよね。
EMTG:じゃあ、お家に行くと月に関するものがいっぱいあるんですか?
松尾:私、普段はネックレスとか全然付けないんですけど、指輪とかネックレスとかはだいたい月を揃えちゃう。本棚には「月コーナー」と「幻想コーナー」があるんです。ベッドの頭のところには、月がいっぱいいる絵を切り取って貼っているし、天井からは星や月がぶら下がっています。
EMTG:6月に初の野音が決まりましたが、月が見られるといいですね。
松尾:野音はやってみたかったですね。私、自然の舞台美術があるのが魅力だなと思って。まだ何も決まっていないんですけど、この時間にはこの曲歌いたいんだろうなとか、室内ではできないもの、自然の流れに沿ったセットリストができるんじゃないかというのが楽しみだし、予期せぬところで風が吹いてきたりとか、空が曇ってきたり…というのも全部舞台美術だと思うので、どんなミラクルが起こるか楽しみですね。

【取材・文:今井 智子】

リリース情報

I STAND ALONE

I STAND ALONE

2017年04月12日

ユニバーサル ミュージック

1.アイスタンドアローン
2.E.V.I
3.Freeder
4.美しい棘
5.お月様の歌

お知らせ

■コメント動画



■ライブ情報

GLIM SPANKY 野音ライブ 2017
06/04(日)日比谷野外大音楽堂
06/17(土)大阪城音楽堂


J-WAVE The Chris Peppler Show
04/22(土)Zepp Tokyo

ARABAKI ROCK FEST.17
(宮城) 04/29(土)みちのく公園北地区 エコキャンプみちのく

NIIGATA RAIBOW ROCK 2017
(新潟) 05/04(祝・木)サーキット使用会場全12会場

アコースティックライブ(東京)
05/11(木)下北沢GARAGE

OSAKA METROPOLITAN ROCK FESTIVAL 2017
05/13(土)METROCK 大阪特設会場

TOKYO METROPOLITAN ROCK FESTIVAL 2017
05/20(土)新木場・若洲公園

百万石音楽祭 2017~ミリオンロックフェスティバル~
06/03(土)石川県産業展示館1~4号館

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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