ウソツキ、王道うたものバンドの本領を発揮した2ndフルアルバム『惑星TOKYO』完成!

ウソツキ | 2017.04.11

 まさに会心の一作だ。前作のミニアルバム『一生分のラブレター』から約10ヵ月、フルアルバムとしては約1年半ぶりとなるウソツキの2ndフルアルバム『惑星TOKYO』。ファンクありディスコあり、かと思えばグサリと胸を突く切実なバラードもあればフォーキーに沁み入る1曲も、と音楽性は目をみはるほどに幅を広げ、いっそう洗練されたバンドサウンドは竹田昌和(Gt・Vo)の綴る“ウソツキでありながらまるで嘘のない言葉”を聴き手のストライクゾーンへと届ける。彼らのキャリアのみならず、おそらく音楽シーンにとってもエポックとなりうるだろう今作について、竹田と林山拓斗(Dr)の2人にじっくりと聞いた。あなたの心の片隅で膝を抱えている“エイリアン”を連れて、この『惑星TOKYO』の世界を存分に旅してほしい。

EMTG:音楽性の振り幅も、サウンドのクオリティにしても、とにかく創作の泉が湧きに湧いたアルバムだなと思いました。
竹田昌和:ありがとうございます。でも創作の泉が湧き始めたのって今作のレコーディングが終わる1ヵ月半前だったんですよ。前作の『一生分のラブレター』を作り終えてから9ヵ月あったんですけど、そのうちの7ヵ月半、まったく曲ができなくて。リリースも延ばしに延ばして、ギリギリ最終がこのタイミングだったんです。その最後の締切の1ヵ月半前にやっと1曲でき始めて、そこから9曲くらいを一気に書いて。アレンジもそこから詰めて、ね?
林山拓斗:もう絶対無理だと思いましたもん(笑)。最初は“まぁ、そういうタイプだもんな”って思ってたんですよ、できないもんはしょうがないよなって。でも、さすがに逆算して、これは間に合わないわって。
EMTG:1ヵ月半でほとんどすべての曲をアレンジするわけですからね。
林山:やっぱりプリプロを完璧にしてからレコーディングしたいじゃないですか。来週レコーディングなのにまだ5、6曲あるぞ、みたいな(笑)。
竹田:ただ、そんなふうにして作ったのに僕らの中では会心の出来なんですよ。なんでこんなにいいものができたんだろうって昨日考えてたんですけど、おそらく、この1ヵ月半っていう限られた時間がメンバーを一致団結させたんだなって。
林山:研ぎ澄まされたよね(笑)。
EMTG:曲ができない7ヵ月半って、いわゆるスランプだったんですか。
竹田:スランプっちゃスランプですよね。映画『三丁目の夕日』の台詞で“才能が枯れた”ってあるじゃないですか。僕も7ヵ月半、ずっと言ってましたから、家で(笑)。
EMTG:では、スランプの突破口になった最初の1曲というのは?
林山:俺は「惑星TOKYO」っていうイメージがあるけど。
竹田:うん、「惑星TOKYO」のサビはできてたね。でも、ほぼ最後にできたのも「惑星TOKYO」なんですよ。完全にアレンジを変えたりとか、いろいろしたので。
林山:そうそう、デモ的にはいちばん最初にあったけど、しっくりはこなかったんだよね。なので放置しておいて、最後にやっと形になったっていう。
竹田:だから特に突破口みたいな曲はないのかもしれない。わりと同時進行で作るので、ダメだと思ったら次ってやっていくうちに徐々にできていく感じなんです。
林山:デモが上がってきた順番で言うと、最後のほうで「本当のこと」と「コンプレクスにキスをして」が出てきたんですけど、僕はこの2曲がきて“あ、このアルバムは良くなるな”と思ったんですよ。それまではずっと“曲がカッコいいな”と思ってて、逆に言うと“カッコ悪くないな”っていう気持ちがずっとあったっていうことなんですけど。でも「コンプレクスにキスをして」がすごくカッコ悪くて、“こういうのを待ってた!”って。
竹田:はははははは!
林山:「本当のこと」もテイストとしてカッコ悪いし、一気にグッとくるアルバムになったなって。スタッフも一緒にやってるLINEがあるんですけど、この2曲がきたときの盛り上がりはかなりのものでしたね(笑)。
 
EMTG:アルバムとしてのテーマとか、こういう作品にしよう、みたいなバンドとして目指すところは最初の段階であったんでしょうか。
竹田:音楽的にはウソツキがやらなそうなことをやろう、聴いた人を驚かせたいねって。あと、いつも言ってることなんですけど、ウソツキのライバルはテイラー・スイフトとマルーン5とエド・シーランだと思ってて(笑)、この人たちの音像の太さや大きさ、リアルさっていう部分も含めて負けたくないんですよ。なのでそれを念頭に置きながら、いっぱいアレンジしていきました。
EMTG:歌詞に関してはどうですか。
竹田:例えば「本当のこと」もそうですけど、もっと腹を割って話さなきゃダメだなって。なので正直言いたくないこと、隠していること、そういうのをちゃんと出そうって思ったんです。だって聴いてくれる人たちが腹を割って見せてくれてるのに、自分だけ隠したままじゃ、たぶん僕はこの人たちを傷つけてしまう。他の曲にしても、直接的じゃなくても曲の中に自分の本音みたいな部分を入れよう、“ウソツキ”だけど腹の底を見せようっていうのをテーマにして書きましたね。
EMTG:ホント、いいアルバムですよね。おっしゃった通り、まさに驚かされてばっかりで。
竹田:EDMまでありますからね(笑)。単純に作っていったらそうなっただけなんですけど、でも、ばっちり曲に合ってるじゃないですか。だから……才能あるのかな (一同爆笑)。
EMTG:お、言いましたね(笑)。
林山:「コンプレクスにキスをして」なんてかなりダンスですし、なんでこんなふうになったんだろう(笑)。いや、やりたかったんですよ? でも、こんなに良くなるとは思わなかった。レコーディング中にもアレンジが変わったりとか、これだけ綱渡りでやってるのに不思議なもんだなって。
EMTG:最初におっしゃっていた「惑星TOKYO」も然り。
竹田:これはホント、さっき言ったような、それこそグラミーを録ってるバンドたちに負けないような音像も作りたかったし、とにかくいろいろ実験もして、悩みに悩んでようやくハマるものができたというか、今までのウソツキになかったおそらく最新のサウンドになった気がしてるんです。
林山:熱い曲なくせにリズムはかなりクールっていう、ずっと目指してきたところにひとつたどり着けた曲だなと思ってますね、僕は。日本語特有の複雑な情緒感とか、エモさや熱さみたいなものの上にどうやったらクールなリズムが乗っけられるんだろうってずっと模索していたんですけど。
EMTG:そういう曲だからこそ、アルバムタイトルも『惑星TOKYO』に?
竹田:タイトルは『惑星TOKYO』と『本当のこと』でけっこう悩みました。他に名前を付けてもよかったんですけど、やっぱりこの2つが強いなと思って。バンド名がウソツキなのにアルバムタイトルが『本当のこと』って面白いじゃないですか。ただ、『惑星TOKYO』のほうがビジュアルのイメージもよかったし、何よりウソツキは『金星人に恋をした。』(1stミニアルバム)に始まって、『新木場発、銀河鉄道は行く。』(2ndミニアルバム)、『スーパーリアリズム』(1stフルアルバム)にも「転校生はエイリアン」って曲が入っていたり、基本的に宇宙縛りなんですよ。
EMTG:そうですよね、それは思いました。
竹田:あと、僕らはどんな人に向けて歌を歌いたいんだろうかってみんなで話してたときに、単語として“エイリアン”が出てきたりもしてて。
EMTG:エイリアン?
竹田:僕はずっといじめられていて、自分のことをエイリアンだと思ってたし、相手のこともエイリアンだと思ってたんですよ。なんだろう、疎外感というか、ひとりぼっちな感覚がエイリアンだなと思ってて。でも、その気持ちって誰もが持ってるんじゃないかな、と。自分自身、大人になって回りにはたくさんの人がいてくれるようになっても、やっぱり僕の中には疎外感、エイリアンな部分があるんですよね。僕にあるってことは、たぶんみんなにもあって、それを僕がいちばん歌にできるし、救ってあげられる。たとえ救い方はわからなくても“僕も一緒だよ”って言ってあげられるんじゃないかなって。
EMTG:ちなみに、どうして宇宙縛りなんでしょう。
竹田:どうしてですかね? そういえば僕、将来の夢が“宇宙人になりたい”だったんですよ。小学校の頃にそう書いたら先生に“なんで?”って聞かれて……若干、怒ってましたけど(笑)。で、僕が言ったのは“僕は宇宙人に会いたいんだ”と。“彼らと同じ宇宙人になれば向こうから話しかけてくれるかもしれないし、僕が話しかけるときもうまくいくかもしれない。だから宇宙人になりたいんだ”って言ったら、ピッて斜線を引かれて“宇宙飛行士”って書かれたんですよ(笑)。
EMTG:うわ、キツいな(笑)。
竹田:ツラかったですね~、そこで社会のなんたるかを知りました(笑)。でも今、その夢はちょっと叶ってるのかなって気がしてるので。こうやって悔いのまったくないアルバムができたし、良かったなと。

【取材・文:本間 夕子】

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リリース情報

惑星TOKYO

惑星TOKYO

2017年04月12日

DAIZAWA RECORDS/UK.PROJECT

01.惑星TOKYO
02.人生イージーモード
03.一生分のラブレター
04.コンプレクスにキスをして
05.どうかremember me
06.地下鉄タイムトラベル
07.ハローヒーロー
08.心入居
09.夢のレシピ
10.夢屋敷
11.本当のこと

お知らせ

■コメント動画



■ライブ情報

ウソツキ「惑星TOKYO」発売記念インストアイベント
04/15(土) タワーレコード名古屋パルコ店 西館1Fイベントスペース
04/20(木) タワーレコード難波店5Fイベントスペース
04/22(土) タワーレコード広島店イベントスペース
04/23(日) タワーレコード福岡パルコ店イベントスペース
04/26(水) タワーレコード仙台パルコ店イベントスペース
05/05(金祝) タワーレコード新宿店7Fイベントスペース
06/03(土) タワーレコード横浜ビブレ店イベントスペース
06/16(金) タワーレコード札幌ピヴォ店イベントスペース

「惑星X」星跨ぎツアー
05/13(土) 広島CAVE-BE
05/14(日) 福岡Queblick
05/19(金) 仙台enn 2nd
06/09(金) 名古屋CLUB UPSET
06/10(土) 松本ALECX
06/17(土) 札幌COLONY(※ゲストバンドあり)
06/24(土) 梅田Shangri-La
07/07(金) 渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール


the irony presents「the ironical night vol.19」
04/14(金) 名古屋APOLLO BASE

[EDT]pre.『正真証明』2017
04/15(土) 浜松複数会場

the quiet room presents
《 New Flag Fes ’17 》

04/29(土)水戸LIGHT HOUSE/SONIC/参丁目劇場

“MAGIC OF LiFE 全国ツアー2017 MAYからはじまるランデブー”
05/20(土) 横浜BAYSIS
05/26(金) 新潟CLUB RIVERST

“Skream!×TOWER RECORDS×Eggs presents HAMMER EGG vol.6″
05/31(水)渋谷eggman

「UKFC on the Road 2017」
08/16(水) 新木場STUDIO COAST

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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