“新世代のポップマエストロ”シンリズムが2年ぶりとなるアルバム『Have Fun』をリリース!

シンリズム | 2017.05.15

 シンリズムがセカンド・アルバム『Have Fun』を完成させた。“若きポップマエストロ”と早耳の音楽好きを震撼させた10代のデビューから2年、刺激と出会いに満ちた日々で彼が吸収したものが結実したような一枚だ。レコーディングには、高野勲(Key)を筆頭に、小松シゲル(Dr / NONA REEVES)、藤井謙二(G / The Birthday)、酒井由里絵(B)、西岡ヒデロー(Perc、Tp)等々そうそうたるメンバーが参加。得意のポップソングに加え、同時代のUSインディシーンの影響も消化した先鋭的なサイケロックにも挑戦している。充実作を完成させた彼に話を訊いた。

EMTG:アルバム、素晴らしいです。あとは売れてほしい。
シンリズム:僕自身もそう思っています(笑)。
EMTG:まず思ったのは、デビュー以降にライブをするようになったことが、このアルバムには大きく反映されているのではないか、と。
シンリズム:その通りです。ライブ自体はデビューする前からやってたんですけど、自分のソロの楽曲をバンド編成で、しかもプロのミュージシャンの方と演奏するのは2年前にファーストアルバムを出した後のことで。その後にシングルとして「Music Life」という曲を作った時には、もう藤井謙二さんにギターソロを弾いてもらうつもりでアレンジしていたんですね。その後の「春の虹」とか「彼女のカメラ」も、基本的に誰にどう弾いてもらうかを考えながら作っていったんです。
EMTG:アルバムもそういう風に作っていったんですか?
シンリズム:シングル曲は僕がバンドで録音するイメージで家でデモを作っていったんですけど、いざアルバムを作ろうってなったら、高野勲さんが、「せっかく東京に出てきたんだったらプリプロということができるよ」と教えてもらって。
EMTG:スタジオで一緒に曲を作っていくという作業ですね。
シンリズム:そうなんです。それは今回のコンセプトにも合うし、プリプロでやった方がよりバンド感は出ると思ったんで、アルバム曲に関しては、デモの段階ではそんなに作り込まずに、バンドのメンバーのみなさんに集まってもらってアレンジを詰めていった楽曲が多いんです。
EMTG:なるほど。実は僕もこれを聴いて、どこか二面性のあるアルバムだなって思ったんです。それは、シングル収録曲とアルバムの制作段階で作った曲に、ちょっと違う発想があるから?
シンリズム:そうですね。
EMTG:具体的に言うと、アルバム曲はどれですか?
シンリズム:アルバム曲は、5、6、8、9ですかね。10の「長く続く道」に関しては「春の虹」の段階で作った曲だったんです。高校卒業のタイミングで、今思ってる気持ちを書いておこうって。でもその当時はヴォーカルが結構キツい感じになっちゃって、表現しきれない状態だったんですね。歌詞も自分で書いて恥ずかしかったっていうのがあって。「長く続く道」は自分の中で封印していたんですよ。だから僕は今回のアルバムに入れようとは考えてなかったんですけど、高野さんに「「長く続く道」はデモで聴いた時にもめちゃくちゃよかったし、これは今の僕が歌わないと意味がない曲だから絶対に入れよう」と言っていただいて。それだったら入れようと思って入れた曲です。
EMTG:なるほど。その話を聞いて、全体像がクリアになった気がします。アルバムのリード曲は「FUN!」ですが、これはどういう風に作っていったんでしょうか。
シンリズム:「FUN!」はもともとカーセンサーさんのCMソングのお話が来て、そのイメージがあったんですよね。車でどこかにドライブしにいくような、明るいイメージというか。まぶしくて爽やかな光景という。サウンドのイメージとしては、Vulfpeckみたいな感じ、Mild High ClubとかDRUGDEALERのAORなんだけどちょっとサイケ感がある感じをアレンジに取り入れたいというのがあって。あと最後にタップが入っているのは、自分のバンドでパーカッションとトランペットを弾いてもらっている西岡ヒデローさんのConguero Tres Hoofersっていうバンドからの影響ですね。Conguero Tres Hoofersは、ヒデローさんとギターの渥美幸裕さんとタップのSAROさんというちょっと変わった編成のバンドで。ライブを観にいったらめちゃくちゃ格好よくて、SAROさんのタップを入れるつもりでアレンジを詰めていったんです。
EMTG:この曲は『Have Fun』、つまり「楽しもう」というアルバム全体のテーマやイメージの象徴だと思うんです。さっき言った二面性の表側、シングル曲の側というか。で、裏側の代表が「遊びロック」だと思っているんですね。これはまさにロックな曲で、やっぱりサイケな感じが出てきている。これはどういう風に作った曲なんですか?
シンリズム:「遊びロック」は、今年に入ってから、最近のオルタナロックシーンにすごく興味を持ったんですね。というのもThe Lemon Twigsの曲がめちゃめちゃ衝撃的で。そのプロデュースをしているジョナサン・ラドーがやってるFoxygenを聴いて、あの感じを取り入れようと思って。
EMTG:どういう衝撃だったんですか?
シンリズム:アレンジですね。いろんなジャンルを混ぜて、今の新しい音楽として提示している。それは自分もやっていることなんですけど、The Lemon TwigsとかFoxygen とかって、曲の途中で前置きのフレーズも何もなしにジャンルがバッと変わるんです。「え、何でこうなったん?」ってビックリするんですけど、でもそれがインパクトになっていて面白いんですよね。この曲も、最初にリフだけあって。そのサイケな感じから急に全然違うカントリーっぽいところにいって。そのイメージが出来てから勢いで作った感じです。
EMTG:「ショートヘア」はSHISHAMOの宮崎朝子さんとのデュエットですが、これは?
シンリズム:ライブではちょいちょい宮崎さんに参加していただいてたんですけど、宮崎さんもめちゃくちゃ歌が上手いし、自分でも声の相性もグッとくるなって感じてて。だから宮崎さんがメイン、僕がサブで、“平成のヒデとロザンナ”みたいな感じでやってみようかなって思ったんですね。アレンジもストリングスとホーンの両方を入れてバカラックっぽくしようと。要は歌謡曲みたいな感じをやろうというコンセプトで進めていったんです。
EMTG:いろんな刺激が結実しているわけですね。この先に関してはどうでしょう? まだまだやってみたいこと、取り入れたいと思っていることも沢山ありそうな気がしますが、そのあたりはどうですか。
シンリズム:このアルバム以降に関しては、まだどういうアルバムを作ろうかっていうコンセプトはないんですけど。でも今のところはまだ今のオルタナ、インディ感のサウンドにハマっているので。ジャンルを考えずに自分がやりたいアレンジで楽曲を作っていきたいですね。「これはシンリズムっぽくないんじゃないか」っていう固定観念みたいなものは一切持たずに、どんどん曲を作っていきたいと思ってます。

【取材・文:柴 那典】

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リリース情報

Have Fun

Have Fun

2017年05月10日

ANO(T)RAKS

01. 彼女のカメラ
02. FUN!
03. 春の虹
04. ラジオネームが読まれたら
05. ATTACK! ATTACK! ATTACK!
06. Pure
07. 話をしよう
08. 遊びロック
09. ショートヘア
10. 長く続く道
11. Music Life

お知らせ

■ライブ情報

シンリズム 2nd Tour「Have Fun」
8/22(火) 代官山 UNIT
8/23(水) 梅田 Shangri-La

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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