SALU WEBインタビュー曲解説WEEK、「TOKYO」「SPACE」を掘り下げる!

SALU | 2017.05.23

 どこか飄々としているようで実は温かく、クールにエッジを利かせながらも大丈夫だよと聴き手に語りかけるような深い優しさが滲む。通算4枚目となるSALUのオリジナルアルバム『INDIGO』が放つ輝きは、一皮も二皮もむけていっそう自然体となった彼のエネルギーに由来してまばゆい。この最高傑作をしっかり掘り下げると同時により味わい深く楽しんでいただくべく、今回は特別に5つのWEB媒体による日替わり各曲解説が企画された。EMTG MUSICが担当するのは3曲目「TOKYO」と4曲目「SPACE」。SALU曰く、2曲でひとつの世界観を表現した意欲的な楽曲だ。

EMTG:前アルバム『Good Morning』がオープンな方向性にシフトする転換点だとすると、今回の『INDIGO』はそこからさらに開けた印象を受けました。
SALU:それまでの作品がずっと塞ぎがちで暗かったので、『Good Morning』から先は、いかにそこに戻らずに、より心を開いて上昇していけるかに挑戦したというか。だからテンションとしてはすごくよかったんじゃないかな。現時点でいちばん気に入っているアルバムですね。次回もそう言ってるかもしれないけど(笑)。
EMTG:資料には“SALU史上最高にキャッチーなアルバム”とあります。
SALU:その謳い文句に関してはどうかなと思うんですけど(笑)。でも、わかりやすくて明るいものにしようっていう意識はありました。
EMTG:明るさと同時にすごく包容力がありますよね。すべてを包み込むような温かさ、自然体の伸びやかさみたいなものが感じられて。
SALU:今回のアルバムは全体を通して“愛に染める”っていうテーマで、やさしさや深い愛情というものを描いたつもりなので、そう思ってもらえるのはすごくうれしいです。一見、そう聴こえない曲でも、実は全曲、愛について歌っているんですよね。
EMTG:それがちょっと意外で。
SALU:最初はまったく意識してなかったんですよ。でも曲が大体揃ってきたときに“今までと全然違う曲が出来てきてるな。突き詰めると全部、愛だな”と思って。作ってるときは、むしろ“こういう音にしたい”とか、その曲その曲のことしか考えてなかったんですけど、だからこそ最初から狙って作ったものよりも逆に本質的なのかなって。
EMTG:だからか、聴いていて安心できる気がしたんですよね。この音に包まれているとすごく……。
SALU:大丈夫な気になりません?(笑)
EMTG:そう! とても肯定的な気持ちになれるんです。ホント自然に“愛に染め”られる感じ。でも“愛”を“藍”に置き換えて、タイトルを『INDIGO』にするところがSALUさんらしいなと思いましたけど。
SALU:そこは『LOVE』じゃないよなって(笑)。僕、インディゴが好きなんですよ。今日も無意識に着ちゃってますけど、ここ何年かはインディゴのものを身に纏ってることが多くて。自分のテンションや色を表わすならインディゴだなと思っていたし、“愛”と“藍”で読みも掛かっていたので、これだ! と。
EMTG:ちなみにインディゴなテンションってどういう? 
SALU:やっぱり、優しさかな……あと、穏やかさ。一方でジャケットの深い青の感じは冷たさでもあるかもしれないです。深海とかの冷たさや寒さみたいな部分もありつつ、穏やかでもあり、優しく爽やかな色でもある。どちらも含んだ色だなって。
EMTG:さて今回は特別企画・媒体別楽曲解説ということでEMTG MUSICは3曲目「TOKYO」と4曲目「SPACE」を担当させていただくわけですが、まずは「TOKYO」から。SALUさん、“東京”をモチーフにした楽曲がわりと多くないですか。
SALU:たしかに直接“東京”と言ってなくても、そういう曲は多いかもしれないです。
EMTG:何か東京に思うところがあるんです?
SALU:東京、大っ嫌いだったんですよ、僕。東京コンプレックスっていうのかな、そういうのが強くて。東京を一面的にしか見てなくて、金と権力の街だと思っていたんですよね。例えば服ひとつにしても高いものやトレンドのものを着てないと“はあ? そういう感じですか”って見下すような視線を投げられたり、高級車で直前までウィンカー出さない、とか(笑)。
EMTG:すごくわかる気がする(笑)。
SALU:僕が見てたのはそういう東京だったんですよね。でも今回は東京っていうものの中に一度、飛び込んでみて、ちゃんと東京を体感して好きなところを見つけた上で“東京”を書いてみたくて。東京って、いろんなジャンルの世界レベルの猛者たちがそのへんに普通にいるじゃないですか。しかも、そういう人たちと繋がるチャンスがいきなり訪れたりもする。いろんな生活様式や文化が入り乱れているから実はどんな格好をしても自由だし、手に入れようと思えばなんでもあって、夜中でも人がいっぱいいて店も開いてる。創作する場としては最高の街じゃないですか。
EMTG:たしかに刺激に溢れていますよね、東京って。
SALU:ただガードレールに腰掛けているだけでもいろんな人の声や音が聞こえてきて、どこを切り取ってもドラマになるし、ものを作る糸口になる。そういう東京の良さにも気づき始めて。今まで自分が思っていたのと違う東京が見えたところで、どういう曲が書けるんだろうっていう。
EMTG:とはいえ歌詞はけっしてポジティブではないですが。
SALU:そうですね。東京にやられる寸前、もしくはやられちゃった人の歌なんですけど、そこで地元に帰るという選択もあれば、無理して東京に残ることもできるし、結果、それが成功に繋がったりもする。その可能性は自分次第っていうところを表現したかったんですよ。ただ、この1曲だけでそこまで表現するのはちょっとイヤだったというか、これまでの制作スタイルと変わらないなと思ったんですよね。やっぱり新しいことは常にしていきたいですし。だったらマイナスならマイナスで描き切って、次でその先を見せたい。だから「TOKYO」と「SPACE」の2曲でそれを表現したんです。
EMTG:この曲では久しぶりにBACHLOGICさんとタッグを組まれています。
SALU:前作の『Good Morning』ではBACHLOGICさんに頼らないアルバム作りをしたかったので1曲も入ってないんですけど、それが終わったら絶対に自分から連絡しようと思っていたんですよ。やってもらえるかちょっと不安だったんですけど「面白そうやな、断る理由がないな」って言ってくださったんです。
EMTG:久々の作業はどんな感じでしたか。
SALU:東京の曲を作りたいんですけど、めちゃくちゃシリアスでも明るい東京パーティーピーポーみたいな雰囲気でもなく、どっちもがあってサラッとしてる感じがいいんですって伝えたら、2~3週間でトラックができたって連絡をもらって。で、その場でふたりで全部を完成させました。2~3時間くらいかな、一瞬でできましたね(笑)。
EMTG:すごいな。それはきっとSALUさんのアーティストとしての筋力がBACHLOGICさんと対等にやり取りできるところまで育ったからでしょうね。
SALU:かもしれないです。あとは自分の中でやりたいことが明確になった。前はBLさんが“もっとこうしたらいいんじゃないか”って僕を引き上げてくれる作業でしたけど、今回は自分の中にやりたいことがあって、曲げない部分は絶対曲げずに“こっちがいい”って提示できたので。やっとBLさんと一緒に制作できる準備が自分にできたのかなって。
EMTG:“パトカーのサイレン”って歌ったあとに♪ウ~ウ~ウ~ってサイレンっぽいスキャットが入るのがすごく好きなんです。
SALU:あれはBLさんの遊び心(笑)。「これ、ええなあ! じゃあちょっと“♪ウ~ウ~”言ってくれへん?」みたいな。そういうやり取りもサクサクできて楽しかったですね。
EMTG:4曲目「SPACE」はまさに今回のアルバムを象徴するような温かな1曲で。とても気持ちよくノれますし。
SALU:そう、サウンドとしてすごく気持ちいい曲なんです。SUNNY BOYさんと一緒に作ったんですけど、これも早かったですね。2時間くらいでできたんじゃないかな。「心地好くノれるもので、ラップというよりは歌っぽい感じにしたい」って言ったら「こんな感じかな」ってSUNNYさんが1時間くらいでトラックを作ってくれて、僕はそれを聴きながら歌詞を書いて。「SALUくん、できたよ。どう?」「僕も歌詞できました」「え!」みたいな(笑)。
EMTG:ホントに?(笑)
SALU:SUNNYさんにも「こんなにすぐできるもんなの?」って若干疑われましたけど(笑)。この曲に関してはほとんどセッションみたいにできましたね。SUNNYさんの部屋から東京タワーが見えるんですけど、それを見ながらトラックを聴いてたら言葉が出てきた感覚。もちろん僕が生活してる中でいろいろ感じて蓄積されてたものが、SUNNYさんの音を聴いて出てきたっていうことだと思うんですけど。
EMTG:ところでSALUさんにとっての“SPACE”=“宇宙”ってどんなものですか。
SALU:宇宙って実際はほとんど誰も知らないじゃないですか。想像することしかできないし、死ぬまでに行けるかもわからない。見上げても空はあるけど宇宙は見えないし、月とかたまに“絵なんじゃないの?”って思うときもあるし(笑)。だから自分にとっての宇宙は全然現実じゃない。宇宙人とかUFOとかいたらいいなと思うタイプですけど、リアルから遠く離れた夢の世界だなって。
EMTG:だからこそ現実に傷つき疲れた人を連れて行ってあげたい場所でもある?
SALU:そうかもしれない。歌詞を書いていたとき、月が綺麗なオレンジ色をしてたんですよ。ちょっと明るい東京の空と街のネオンを窓から見下ろす形だったんですけど、そこから浮遊して月まで行くふたりっていうイメージが見えたんです。都会のリアルな喧噪から抜け出して、そこまで行けたらいいなって思って。
EMTG:アルバム前半戦のすごくフックになる2曲ですよね。 
SALU:はい。自分の中では「TOKYO」からが1曲目、みたいな。1曲目の「WALK THIS WAY」、2曲目の「LIFE STYLE」は序章で、「TOKYO」からが第一章一幕が開けるっていう感じなんです。

【取材・文:本間夕子】

tag一覧 アルバム 男性ボーカル

リリース情報

INDIGO

INDIGO

2017年05月24日

トイズファクトリー

01. WALK THIS WAY
02. LIFE STYLE feat. 漢 a.k.a. GAMI, D.O
03. TOKYO
04. SPACE
05. Dear My Friend
06. First Dates
07. Good Bye
08. 2045
09. 夜に失く feat. ゆるふわギャング (Ryugo Ishida, Sophiee)
10. Butterfly
11. 東京ローラーコースター feat. FRAME a.k.a FAKE ID for Refugeecamp(Bonus Track)

お知らせ


■コメント動画



SALU WEBインタビュー曲解説WEEK
『INDIGO』リリース連動企画 各メディア展開!


■ MTV:2017.05.22(月)公開
解説曲:#1 WALK THIS WAY / #2 LIFE STYLE feat. 漢 a.k.a. GAMI, D.O
MTV http://www.mtvjapan.com

■ EMTG MUSIC:2017.05.23(火)公開
解説曲:#3 TOKYO / #4 SPACE
EMTG http://music.emtg.jp/

■ Qetic:2017.05.24(水)公開
解説曲:#5 Dear My Friend / #6 First Dates
Qetic https://qetic.jp/

■ MEETIA:2017.05.25(木)公開
解説曲:#7 Good Bye / #8 2045
MEETIA http://meetia.net/

■ M-ON! MUSIC:2017.05.26(金)公開
解説曲:#9夜に失くす feat. ゆるふわギャング (Ryugo Ishida, Sophiee) / #10 Butterfly / #11 東京ローラーコースター feat. FRAME a.k.a FAKE ID for Refugeecamp
M-ON! MUSIC https://www.m-on-music.jp/

■ライブ情報

【SALU LIVE 2017 -INDIGO- 詳細】
日程:6月22日(木)
会場:渋谷WWW
開場 / 開演:18:30 / 19:30
ゲスト:漢 a.k.a. GAMI / D.O / ゆるふわギャング / FRAME a.k.a FAKE ID for Refugeecamp

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

トップに戻る