Suck a Stew Dryの新体制、新しいバンド名THURSDAY’S YOUTH始動!

THURSDAY’S YOUTH | 2017.06.06

 昨年末、メンバーの脱退に伴い休止期間へ入ったSuck a Stew Dryだが、今年の3月から「THURSDAY’S YOUTH」という新しいバンド名で活動をスタートさせている。1st EP「さよなら、はなやぐロックスター」は、4人編成となった彼らの音楽の魅力を凝縮した1枚だ。メランコリックなムードと瑞々しいメロディを融合することによって生んでいる豊かなドラマ性。緻密に構築されているアンサンブル。人間の心の奥底にある多彩な感情を映し出す歌詞……刺激的な世界が広がる仕上がりとなった。この作品にこめたものとは? 篠山浩生(Vo・G)に語ってもらった。

EMTG:新しいバンド名ですね。
篠山:はい。バンド名を変えたいなというのは前から漠然と考えていたので、この機会に新しい名前にしました。THURSDAY’S YOUTHは、Suck a Stew Dryの曲名です。いろいろ候補を考えたんですけど、全部没にされ(笑)。最終的にこれになりました。
EMTG:また活動が始まって、みんな喜んでいますよ。
篠山:そうなんでしょうか?
EMTG:前からファンの反応を素直に受け止めないところがありますよね。
篠山:プラスの言葉をつい疑ってしまうんです(笑)。マイナスな言葉は素直に受け止められるんですけど。
EMTG:厄介な性分なのは、ファンはよく知っているはずですけど(笑)。
篠山:めんどくさいやつなんです(笑)。
EMTG:去年、取材した時に「僕は“聴いてくれる人を救おう”とかは思わないんですけど、そういう人だと思われ始めているような気がしていたんです」とおっしゃっていたのを、よく覚えているんですけど、そういう違和感は、THURSDAY’S YOUTHの曲にも繋がっていますよね?
篠山:そうですね。今も「俺はそういうつもりでやっていない」と言うようにしています。そういうことも含めて、THURSDAY’S YOUTHでは自分が良いと思うことをやるつもりです。今回のEPも、すごくストレスがない形で作ることができました。このバンドをやるにあたって「こう見せたい」というのがあったわけでもないんですけど、実際と違う風に見られるのには抵抗があったんですよ。「良いと思うものをやっていきたい」というのが、とにかく大きいです。何て言うんでしょう? 「硬派な飯屋」みたいな。お客さんの「こうした方が美味しいのでは?」というのに左右されずに、自分が美味しいと思ったものを出すようなイメージです。
EMTG:新体制の第1作なのに1曲目が「さよなら」なのも、そういう姿勢の表れなんでしょうね。
篠山:ギャグみたいなもんですけど(笑)。それを「らしいなあ」って言ってくれる人は、分かってくれているような気がします。
EMTG:切ない内容ですけど、聴いていると不思議とホッとする曲です。
篠山:別れ=絶望というわけでもないですからね。失恋と別れの曲なんですけど、そういう時に自分が人間として「普通」に近づいている感じもあるんですよ。普通の人間っぽくなる瞬間というか。そういうのもあって、おっしゃったような「ホッとする」みたいなものになっているのかもしれないです。僕は別れをよく曲にするんですけど、こういうのは自分の中に占める大きな要素だから自然と出てくるんです。
EMTG:今作のサウンド面に関しては、UKロック的な綺麗なギターのコード感が発揮されている印象がしたんですけど。
篠山:前までは自分が弾いているギターの音に関してそんなにこだわりがあったわけじゃないんですけど、最近「ギターって、ちょっといい音だな」と。
EMTG:今さらですね(笑)。
篠山:そうなんですけど(笑)。でも、「ギターって気持ちいい時があるなあ」と。ギターのことを前よりも考えるようになりました。前の編成はギターが3人だったので、100%では弾けない感じがあったんです。4人になって、そういうところは変化したんだと思います。
EMTG:「はなやぐロックスター」も、気持ちいいバンドサウンドです。
篠山:この曲も、今の4人の感じが出ているかもしれないですね。
EMTG:UKロックは、もともと好きでしたっけ?
篠山:好きでしたよ。世代的にはアークティック・モンキーズとかですけど、レディオヘッドも好きですし。
EMTG:オアシスは?
篠山:参考にはするんですけど、実はあまりピンとこないというか(笑)。レディオヘッド派です。いじめられているタイプっぽいやつの方が好きってことでしょうか?
EMTG:オアシスのノエルとリアムは、暴れん坊タイプですからね。
篠山:そんな感じがありますよね(笑)。でも、オアシスは嫌いではないですよ。
EMTG:「はなやぐロックスター」は、《はなやいだロックスター あんな風になれる様子もない》っていう歌詞が強烈です。
篠山:なんか「ギラギラした人にはなれないな」というのがあるんです。僕はインドア派ではないんですけど、ギラギラした人の派閥にも入れない感じがあるんですよ。
EMTG:完全にインドア派だったら、バンド活動はしないのでは?
篠山:まあ、そうかもしれないですね。でも、自分の中で曲を作るのとライブをやるのは、全く別の感じがあるんです。両方が直結している人の方が多いんでしょうけど。自分の場合は曲を作ると、それで一旦終わる感じがあって、「ライブをやりたい」というのとは直結しないんですよ。自分がやりたいライブをやっていられたら満足というのもありますし。悪い言い方をすると、「自分さえ良ければいい」っていう独りよがりなところもあるのかもしれないです。
EMTG:スタジオでメンバーと一緒に音を出すのは好きですか?
篠山:嫌いではないですよ。最近、今回入れた4曲以外もどんどんやっています。まだリリースしていないのに、どんどんクオリティが上がっていくというのが、なんだか面白いなあと思っているんですけど。早く出したい(笑)。
EMTG:(笑)「タイムシグナル」も、気持ちいい音が鳴っていますね。午前2時2分の時報から始まるインパクトがすごいですけど。
篠山:これは僕らの中の中2病みたいなところです(笑)。「どうせ時報を入れるんなら、午前2時2分じゃね?」っていう悪ふざけです。
EMTG:作曲は菊地さんですね。
篠山:はい。歌詞も、もともと彼が書いたものがあったので、それを自分的な解釈によって形にしていきました。「自分が他人の人生をどうこうできるわけじゃないんだ」というのを、今一度言おうというのも思いながら書いた歌詞です。
EMTG:4曲目の「ぼくの失敗」も、内面をダイレクトに吐露しているのを感じました。
篠山:この曲のタイトルはオマージュです。
EMTG:森田童子の「ぼくたちの失敗」のオマージュ?
篠山:はい。
EMTG:森田童子もまさにそうですけど、昔のフォークソングはネガティブな感情も包み隠さず歌っていたじゃないですか。最近の主流はポジティブ至上主義みたいなところもある気がしますが、そういうことには抵抗がありますよね?
篠山:あります。「そういうのはやめようよ」と(笑)。分かりやすさを重視することによって、ポジティブなものが求められる部分もあるのかもしれないですけど、それだけじゃないだろうと思います。あと、二元論的なものにも抵抗があるんですよ。何に関しても「一方が良くて、もう一方が悪い」っていうことでもないように思いますから。そのどちらにも当てはまらないものもあるはずなんですよね。
EMTG:そういう価値観も今回の4曲で表現できた手応えがあるんじゃないでしょうか?
篠山:まあ、そうですね。でも、まだ言い足りない感じもあるんですよ。言いたいことがあって曲を書くわけじゃないんですけど、4曲をこうして入れてみると、まだまだだなと。既に新曲がいろいろありますから、早く次の作品を形にしたいです。もう40曲くらいあるんですよ。「どれを次にやるか?」と考えています。
EMTG:新体制で始動するにあたって、曲を一気に作ったんですか?
篠山:そういうわけでもないんです。僕は曲作りモードになって作る感じじゃなくて、急に思いつくので、日常的に作っていたら、どんどん曲数が増えていました。メンバーにアレンジのイメージを伝えると、すぐに形になっていくようになっているので、それも曲数が増えていくことに繋がっていますね。
EMTG:篠山さんは、曲作りが好きですよね?
篠山:そうみたいですね。多分、新曲をどんどんやりたいタイプなんです。自分がそういうタイプであることに気づきました。バンドとして曲をどんどん形にできるようになっているので、そういう点でも最近、ストレスがないです。日常のストレスはあってもいいんですけど、音楽的なストレスはないに越したことはない気がします。産みの苦しみがあった方が、いいものになるとかいう感覚は全くないので。楽に作って、いい曲になる方が望ましいに決まっています(笑)。
EMTG:(笑)苦労すると、本来の価値以上のものをプラスして考えようとするところが人間にはありますけど。
篠山:そういうのは、何かが違いますよね。悪い意味じゃなく、効率主義でいいと思うんです。前までは「こうじゃなきゃいけない」というのもあったんですけど、いろんな意味で自分の中の変な思い込みがなくなった感じがあるんですよ。やりやすくなっています。今になって思うと、ずっとストレスを抱えていたんですよね。体調が良くないことも多かったんですけど、そういうのもなくなりました。
EMTG:THURSDAY’S YOUTHの今後の活動に関しては、現時点で何か考えていることはあります?
篠山:何もまだ決まっていないですけど、早くまた曲を出したいというのが一番大きいです。
EMTG:今作のリリース直後には東名阪でワンマンがありますけど、これに関しては?
篠山:初のワンマンのツアーなんですよね。実際にやってみないと、まだ何とも言えないところがあります。
EMTG:ファイナルの6月25日は、東京キネマ倶楽部ですね。
篠山:はい。あそこの会場は1回行ったことはあるんですけど、ライブをやるのは初めてです。
EMTG:バルコニーがあるし、独特な雰囲気ですよね。
篠山:バルコニーからステージに降りられる階段もありますよね。バルコニーから登場するのとか、できるんでしょうか?
EMTG:ステージでメンバーが演奏を始めた後、歌いながらバルコニーから登場して、階段をゆっくり降りる……っていうようなフランク・シナトラみたいなことをやるんですか?
篠山:やんないです! 俺がやったらギャグになっちゃいますよ。そういうのは、はなやいでいる人たちにお任せします(笑)。

【取材・文:田中 大】

リリース情報

さよなら、はなやぐロックスター

さよなら、はなやぐロックスター

2017年06月07日

ラストラム・ミュージックエンタテインメント

1. さよなら
2. はなやぐロックスター
3. タイムシグナル
4. ぼくの失敗

お知らせ

■マイ検索ワード

ベイガン
ナスのカレーが気になって「美味しそうな画像がないかな?」と、インスタグラムで検索しました。ナスって、ヒンディー語で「ベイガン」って言うんです。画像を見ながら、「おなかすいたなあ」と(笑)。


■ライブ情報

THURSDAY’S YOUTH 1st live tour「I can’t be your rock star」
06/11(日) 梅田シャングリラ
06/16(金) 名古屋CLUB UPSET
06/25(日) 東京キネマ倶楽部


Skream!×TOWER RECORDS×Eggs presents HAMMER EGG vol.6
05/31(水) 渋谷eggman

MAGIC OF LiFE 全国ツアー2017「MAYからはじまるランデブー」
06/17(土) 広島CAVE-BE
06/18(日) 岡山IMAGE

10th Anniversary!! 『Mujack Dream Land 2017』
06/23(金) Music Club JANUS

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