これぞTHE BACK HORN! と叫びたくなる、26thシングル「孤独を繋いで」

THE BACK HORN | 2017.07.05

 力強いバンド・サウンドに、これぞTHE BACK HORN! と叫びたくなる新シングル「孤独を繋いで」。もちろん宇多田ヒカルと共作した優しく豊かな「あなたを待ってる」、シンプルなピアノが印象的な「With You」もTHE BACK HORNらしい曲だが、新曲は夏フェスで爆発したい気持ちに応えてくれるパワフルなナンバー。山田将司(Vo)が音楽に救われた自分に重ねたという歌詞に胸が熱くなる。菅波栄純(G)による「導火線」、松田晋二(D)と山田の共作になる「夏の残像」も、曲の背景を知ると更に体にも心にも沁みる。山田と菅波に、それぞれの曲について語ってもらった。

EMTG:2月に出た宇多田ヒカルさんプロデュースの「あなたが待ってる」、その前作「With You」と優しいタッチのシングルに続く新曲「孤独を繋いで」は、タイトルもTHE BACK HORNらしいし瞬発力のある曲ですね。山田さんの詩・曲ですが、いつ頃できた曲ですか?
山田:「あなたが待ってる」を出した後ぐらいに作った曲で、他にもみんなで曲を持ち寄って、その中から選ばれた曲です。ライヴで、みんなで乗りやすくて歌えて、みたいなところを目指して作りました。
EMTG:「孤独を繋いで」というタイトルにしたのは?
山田:自分たちは孤独とか悲しみとかと向き合って歌ってきて、お客さんもそこについてきてくれて、それによって自分たちも力をもらってきた。ついてきてくれた人たちを一人残らず連れて行きたいみたいな気持ちから、そういう言葉が出ててきたのかなと思いますね。
EMTG:孤独をエネルギーにして進んで行くというイメージでしょうか。
山田:ひとり一人が違うんだよというのを認め合った上で、繋がっていきたいという気持ちですね。寄り添い合いたいと思えば違う部分が見えてきたり、それがストレスになって足を止めたりすることもあるけど、それぞれが違うんだってことを認め合えたら、より大きな力が生み出せるんじゃないかなって。自分も昔、音楽を聴いて、違うんだということを認めてもらった。音楽が、ひとり一人違うんだってことを肯定してくれたから。気張らなくていいというか、お前はそれで大丈夫なんだよって言ってくれている感じがしたというか。すごく優しい言葉だなと思う。
EMTG:自分の気持ちや感情を代弁してくれる曲と出会った時の、安心感とか自己肯定感て大きいですよね。その当時、誰が言ってくれたんでしょう?
山田:その時は、尾崎豊かな。
EMTG:歌詞に出てくる「傷だらけのロックスター」とは、尾崎豊?
山田:いや、それは限定しないです。あとはTHE BLUE HEARTSもそうだし、ブランキー(Blankey Jet City)とか、エレカシ(エレファントカシマシ)とか。高1の頃、バイトしてる先でずっと有線で流れてた。
菅波:そういうの思い出すよね~。
EMTG:栄純さんの当時の傷だらけのロックスターは?
菅波:誰だろう? カート・コバーンかな。高校生の時とか聞いて、歌詞はイマイチわからなかったけど、こんな格好で人前に立っていいんだって、まず思った(笑)。あとはユニコーンとかも好きだったな。くすぐり攻撃してくる感じが。ああ、同じような目線でロックスターというと、ヒロトさんとかマーシーさんとかなのかな。
EMTG:「孤独を繋いで」は栄純さんから見てどうですか?
菅波:メロディを一発で覚えるられるし、それが強いなあって、まず思った。歌詞も「え?」というところが一個もなくて、ずっと向き合ってくれる感じ、そのストレートさがかっこいいと思います。
EMTG:カップリングの「導火線」は菅波さんの曲で、これも加速力のあるいい曲ですね。
菅波:これは“夏祭り”みたいな。夏っていいなっていうか(笑)。なんか俺、冬の曲とかばっかり書いてるような気がして。関係あるのかわからないけど10月生まれなんで、秋とか冬とか、センチメンタルな季節の曲を書いちゃう。でもTHE BACK HORNって全員、夏も好きなんですよ。そういうところを出してなかったなあって。
EMTG:“夏が好き!”という導火線に火がついちゃったんですね(笑)
菅波:そういう意味でストレート。曲としては変なところもいっぱいあるんですけど、途中で急に壮大なコーラスが出てきたりとか(笑)。夏のワクワク感とハラハラ感を全部ブチ込んだら、こうなった(笑)。歌詞も初恋の頃とか必死で思い出して。初期衝動を頑張って思い出しました。
EMTG:「君よ幸せになれ」という一節がいいですね。
菅波:今の俺だから思いついた詞かもしれないですね。高校生の頃はそこは書けなかったかもしれない。自分でもよくわからない、幸せってなんだろう? みたいな。幸せになりそうになって戸惑って拒絶しちゃったりとか、こんがらがってるじゃないですか。そういうのを全部そこに思い切り込めちゃたんですけど。
山田:栄純らしい曲だよね。こないだ「青春の引き出しを俺は持ってるんだ」って言ってて。その引き出し開けて、中にあるキラキラしたものをいっぱい出してきたなって思った。
菅波:変な石ころとかな(笑)。小学校の男子の机の中って、石ころとか「なんだこれ?」みたいなのがいっぱい入ってる。母親とかに見つかっても本人は「捨てんじゃねえ!」みたいな(笑)。
EMTG:栄純さんの“思い出整理箱”みたいのがあるんですね。
菅波:ロックの3割ぐらいは青春で出来てると思うんですよ。自分が聴くワクワク感としても。そこですね。
EMTG:3曲目「夏の残像」は松田晋二さんの詞で山田さんの曲。松田さんらしいおセンチ感がいいですね。
菅波:この曲はちょっと出来かたが特殊で。THE BACK HORNのファンクラブ・イベントの企画で原型が出来た曲なんですよ。ファンの人から募ったお悩みの中から、俺たちが選んでそれを公開作曲する、みたいな事をやったんです。厳密には、その場で一から作るのは時間がかかりすぎるから、俺と岡峰光舟(Ba)に見せずにマツが詞を書いて、それを見て将司が当日までに曲を書いてきて。当日ステージで将司が弾き語りで俺たちに聴かせて、その場で4人でアレンジしていくっていう。
山田:その一部始終をお客さんが見てる。
菅波:だから、間違えて「もう1回だけやらして!」みたいな(笑)、“レコーディングあるある”も見れるっていう。すごいいい曲が出来たなと思っていて、このシングルが夏に出るというのもあって、この2曲と合わせて聴いてもらったらいいんじゃない?って。
EMTG:山田さんは松田さんの歌詞からインスパイアされたところとかありますか?
山田:栄純と一緒になっちゃうけど、THE BACK HORNって夏の歌がないよなと思ったのもあって、コテコテな和メロの曲を作ってみようかなと思って。1回だけステージで聴かせて、みんなが覚えやすい曲じゃないといけないというのがあったから、すごいわかりやすいものを意識しましたね。
EMTG:3曲とも夏フェスでお披露目するのがぴったりですね。
菅波:そうですね、「孤独を繋いで」はドンドン演っていきますよ。フジロックは久しぶりだから楽しみ。
山田:「導火線」もやるかな? あと9mm Parabellum Bullet、Nothing’s Carved In Stoneとの『Pyramid Act』が9月にあって、10月21日は日比谷野音。11月は『マニアックヘブンツアーVol.11』。
EMTG:年内パンパンですね。それぞれ抱負をお願いします。
菅波:日比谷野音も久しぶりなんで嬉しいですね。
山田:最初にやった2004年、結構不安だったもんね。俺たちが野音でやっていいのかなあ、あんな音を外で鳴らしていいの? みたいな(笑)。そしたら“なんかいいね?”って(笑)。野音はマジック起こりますもんね。いつもいい感じで終わる。
菅波:『Pyramid Act』は暴れましょう!
山田:『マニアックヘブン』は12回目なんですけど、ついに全国ツアー。来年が20周年ということもあり、色々と盛り上がれる企画を考えたいなと思っていて。
菅波:全国の人から、“地元で見たい”みたいな思いが届いてたんで。これができる機会が出来てよかったです。どこまでできるかまだわかんないけど、マニアック感は楽しめるよう頑張ります。

【取材・文:今井智子】

tag一覧 男性ボーカル THE BACK HORN シングル

リリース情報

孤独を繋いで

孤独を繋いで

2017年07月05日

ビクターエンタテインメント

1.孤独を繋いで
2.導火線
3.夏の残像

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日比谷野外大音楽堂ワンマンライブ
10/21(土) 日比谷野外大音楽堂

POLYSICS結成20周年記念2マンTOUR!!! POLYMPIC 2017
07/08(土) 渋谷CLUB QUATTRO

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07/15(土) 岩手県気仙郡住田町 種山ヶ原イベント広場

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07/28(金)・29(土)・30(日)
新潟県湯沢町苗場スキー場

ア・ル・カ・ラ 15th.Anniversary GIG『KAGEKI』
07/30(日) 新木場STUDIO COAST

LIQUIDROOM 13th ANNIVERSARY
08/02(水) 恵比寿LIQUIDROOM

rockin’on presents ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2017
08/05(土) 国営ひたち海浜公園
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09/09(土) Zepp Osaka Bayside

風とロック芋煮会2017
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Pyramid ACT ~Hand In Hand~
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09/23(土) 中津川公園内特設ステージ
※THE BACK HORNの出演は23(土)となります。

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[名古屋公演]2017年11月03日(金・祝)
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[広島公演]2017年12月02日(土)
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詳細後日発表!



[山田将司]
初恋の嵐 presents『初恋の嵐のラストワルツ』

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フラワーカンパニーズ『フラカンのオオサカサマレスト!2017』
07/21(金) umeda TRAD(元umeda AKASO)

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08/15(火) 代官山LOOP

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08/20(日) 国営讃岐まんのう公園

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[松田晋二]
ゆべしス SHIBUYA TOUR 2017~映る、涙の鏡に胸の声~

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ゆべしス SHIBUYA TOUR 2017~尖りすぎた善と悪のすき間から~
08/16(水)LOFT9 Shibuya

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