Goodbye holiday、2ndアルバム『A LA QUARTET』は人間味溢れる“原点回帰”の1枚に。

Goodbye holiday | 2017.07.19

 昨年メジャー第一弾アルバムとしてリリースされた『with YOU』の頃から、Goodbye holidayが作る音楽はとても完成度が高かった。端正なメロディと辣腕のプロデューサーを迎えた手堅いアレンジ、技巧に富んだ奥深い歌詞。どんな世代にも、いつの時代にも愛されるようなグッホリの普遍的な“良い曲”は、それゆえにどこか優等生的なポップバンドの枠を越えることのできない部分もあったと思う。あれから1年。数々のフェスやイベントでのライブ経験を積んだグッホリが、「ただ良い曲なだけでは伝わらない」という実感のもとに完成させた2ndアルバム『A LA QUARTET』は、本来4人が持つロックバンドとしての泥臭い熱量や遊び心がダイレクトに伝わってくる人間味溢れる作品になった。インディーズの頃のように4人だけで音を作るその過程を楽しみながら制作したという今作について、メンバーを代表して児玉一真(Vo・Gt)と福山匠(Ba)のふたりに話を訊いた。

EMTG:変な喩えかもしれないけど、前作アルバム『with YOU』が隙のないハイスペック彼氏みたいな作品だとしたら、今回の『A LA QUARTET』は人間的にはクセが強いけど、でもそこが良い、みたいな(笑)、そういう作品だなと思いました。
福山:なるほど(笑)。なんとなく人間臭い感じが出てるんですかね。
児玉:たしかに『with YOU』以降たくさん曲を作っていくなかでバンドとして洗練されている部分はあるんですけど、そのうえでのフレッシュさというか、青臭い感じを今回は出せたと思います。それこそ僕はインディーの1枚目みたいな原点回帰の感覚があるんです。
福山:たぶん『with YOU』の頃と比べると明らかに音を足してないんですよね。それでバンド主体のビート感というか、生々しさみたいなのを出せた曲が多いんです。『KNOCK』(2016年リリースのミニアルバム)あたりから、もっと僕らのバンド感を強めに出していこうっていうのは考えていたので、今回のアルバムもその延長線上にある気がしますね。
EMTG:今回はタイトルでも表しているように(『A LA QUARTET』はアラカルトとカルテットを合わせた造語)、アレンジャーを入れずに4人だけで作ったんですよね。
児玉:そうですね。今回はアレンジャーさんをつけなかった代わりに、僕たちから絶対にお願いをしたいっていうミックスエンジニアの方と一緒に作ったんです。その人がちょっとしたアレンジのアイディアも出してくれて、僕たちがやりたい音にしてくれて。
福山:渡辺(敏広)さんっていう、back numberとかもやってる方なんですけど。いままで僕らは音圧とか迫力がないなと思うと、「じゃあ(音を)足してみよう」っていうふうに、足し算で隙間を埋めていくことが多かったんですね。でも今回は最初に「4人の音だけでやりたい」っていうこと伝えて、そのうえでバンドとしての迫力を出してもらったんです。
児玉:渡辺さんとの信頼関係もあって、僕らの理想とする音を作れましたね。
EMTG:曲作りのやり方にも変化はあったんですか?
児玉:ありました。やっと僕がパソコンを購入したんですよ。いままでは超アナログ人間だったから、メロディを書くときも、鼻歌にコードをあてたものをメンバーに聴かせてたんです。でも今回は「ハザマステップ」とか「room」「Hot & Spicy」みたいな、ギターのバッキングからできる曲もあったので。そのおかげで自由にメロディをつけられるようになって、いままでとは違うバラエティ感を出せたんだと思います。
福山:(児玉に)「良いおもちゃができたね」っていう感じですね(笑)。
児玉:デモを作るのが楽しすぎて、アルバムの候補曲はここに入る2倍ぐらいあったんですよ。だから歌詞はもう(福山に)任せてしまおうと思って……。
EMTG:それで今回はほぼ全曲福山くんの作詞なんですね。
福山:とにかく(児玉に)曲を作ってもらって、(僕が)歌詞を書くっていう感じでしたね。もともと5曲目の「手紙」は児玉さんが「自分で書く」って言ってたんですけど、途中で「やっぱり書いて」ってなったり。これだけ書かせてもらえるのは嬉しいですけどね。
EMTG:資料によると、福山くんは歌詞を書きながら涙が出た曲があるそうですが?
福山:ああ、泣きましたね。
EMTG:「共鳴列車」とか「Refrain」ですか?
福山:いや、「ANSWER」という曲です。Aメロの“どれだけの月日が経っても 別れを忘れないのは”のところを書いたあとに泣いたんですよ。ずばり自分のことを言ってるなと思って。「桜花転生」(先行シングル『サイエンスティック・ラブ』のカップリング曲)と同じようなことを書いてはいるんですけど。僕はとにかく自分のなかにあるものを抉って書くんですね。僕が感じることができるものは、ほとんどの人が共感できると思ってるから。そのうえで最終的には聴く人を応援する歌にできたらと思ってるんですけど、結果そうやって作った曲が自分自身を応援する曲になったんです。
EMTG:いま言った「ANSWER」と「桜花転生」はアルバムのラスト2曲ですけど、その前にインスト曲の「家路」を置いたことも、この2曲を引き立ててますよね。
児玉:「家路」は最後に入れたんです。アルバムを通して聴いたときに「静寂(の嵐)」から「桜花転生」の流れがすごく良い。でも「桜花転生」はシングルでも出してるから、アルバムとして収録する意味を出すために、急遽「家路」を入れたんです。アルバムのなかで曲を生かすためにどうすればいいのかっていうのは、前作より考えられるようになりましたね。
EMTG:わかります。その考え方がアルバムタイトルのもうひとつの要素である“アラカルト”っていう言葉に表れてる思うんです。
児玉:ああ、なるほど。
EMTG:もともとグッホリはメインディッシュだらけのアルバムを作ってたバンドだったと思うんですよ。それが今回は「静寂の嵐」とか「room」みたいなアラカルトを作って、いわゆるバンドのイメージとは違う曲も入れたことで、より曲同士の良さを生かし合えるようになったし、それがグッホリらしさを浮き彫りにする結果にもなったというか。
児玉:たしかに「静寂(の嵐)」を入れるときはメンバーの意見は割れましたからね。もりし(大森皓 / Gt)は「「静寂」は好き嫌いが分かれる曲だから入れるのはどうなんだろう?」って言ってたんです。でも、俺とまさはる(福山)は「『静寂』が好きな人は絶対にいるから絶対に入れたい」って言ってたんですよ。
福山:僕らは「静寂」も「room」も全部がシングルカットできる曲だと思ってるけど、逆に「この曲はいまいちだな」って思う人もいると思うんですよ。極論を言うと、「静寂」を好きな人は「手紙」は好きにならないかもしれない。でも、そこにアラカルト感が出てるんです。僕らは全部の曲に自信があるから、「どれでも好きなやつをどうぞ」みたいな感じですね。
児玉:それだけ自分たちの音楽に自信を持てるようになってきたからだなと思います。
EMTG:ちなみに「静寂」はすごく暗い曲ですけど、どうやってできたんですか?
児玉:これは単純に面白いコードが使いたくて作り始めた曲ですね。
福山:構成がいままでにない感じなんです。どこがサビで、どこがAメロなんだろう?っていう。最初に聴いたとき、サビが終わったあとにもうひとつメロディがくっついてて、「ん?」と思ったんですよ。いままで僕らはA→B→サビの括りで曲を作ってきたから、これは面白いんじゃないかなと思いましたね。歌詞に関しては死ぬほど暗い曲だったので、これは僕の本領発揮だなと思って。いつもは聴いてくれる人のことを考えたり、バンドの狙いとか、児玉さんの見られ方、歌う側の気持ちとかを考えて歌詞を書いてるけど、この曲はそれももういい。完全に福山ワールドです。本当に自由に書きましたね。
児玉:僕も聴き手のことを考えずに歌いましたからね。
EMTG:いまサラッと喋ってますけど、グッホリが聴き手のことを考えずに作るなんて、デビュー当時は考えられないことじゃないですか?
福山:誰からも愛されるバンドとか言ってましたよね(笑)。
児玉:でも今回はそういう曲が多いのかもしれないです。「room」も「Hot & Spicy」も、たくさんデモを作っていくなかで、僕はこういう曲が最終的に残ると思ってなかったんですよ。「どう、面白くない?」みたいな感じで投げたら、メンバーが「良い曲だね」って言ってくれて。最終的に自分が楽しくて作ったやつが残ったんです。
EMTG:みんなに好かれようと思って作っているときよりも、そういうことを度外視して自分たちの楽しさを追求したほうが、グッホリ本来の魅力が出てると思います。
福山:そうなってるといいですね。
EMTG:話を訊いていると、今回のアルバムを作るにあたっては、ずっと全体像は見えないままデモを作り溜めていったわけですよね?
児玉:そうですね。
EMTG:それがアルバムとして完成するのが見えた瞬間はありましたか?
児玉:リード曲「夏の彗星」ができたときですね。これは本当にギリギリでできた曲なんです。好き勝手に作った曲がバーッと入って、どれもクオリティが高かったから「リードどうする?」って悩んでたんですよ。それで1曲“ザ・リード”っていう、いまのグッホリのテンションに合う、バンド感があって、勢いもあって、夏らしさもある、そういう曲をギリギリまで粘って書きましょうっていうのでできた曲だったんです。いわゆるグッホリっぽい、良いメロディでキャッチーでっていう王道の曲ができたことで、全体がまとまったなって感じでしたね。
EMTG:改めて自分たちのらしさはここにあるということを提示できたというか。
児玉:そういう曲になったと思います。
福山:実は最初「海辺のイエスタデイ」をリード曲にしようとしてたんですよ。
EMTG:へえ。ビートルズみたいな曲ですよね。
福山:そうそう。だからビジュアルもビートルズみたいなレトロポップにしようとか、振り付けをつけてみようとかも考えたんです。でも、やっぱりいまのバンドのテンション的に疾走感のある曲がドンッとあったほうが俺たちも安心するし。最終的に「夏の彗星」があることで、“アラカルト”っていうコンセプトにまとまったんです。
EMTG:それにしても「海辺のイエスタデイ」で振り付けのアイディアが出ちゃうのとか、グッホリの大きな変化だなと思います。いまは何をやっても怖くないモードですか?
児玉:いや、怖いですよ(笑)。怖いけど……面白いことをやりたいよね、みたいな感じですね。たぶん僕らはすごく真面目で堅いイメージを持たれてるので。
EMTG:優等生っぽく見られるんじゃないかっていう。
児玉:そういうのを打破したいというか。そんな真面目でもないし。だから真面目に遊ぶというか、自分たちの砕けた感じを出したいねっていうのはあるんですよね。
福山:だから変化っていうのとはちょっと言い方が違うんです。ラフになれたという感じなのかな。まだやっぱり堅いとは思うんですけどね(笑)。

【取材・文:秦 理絵】

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リリース情報

A LA QUARTET

A LA QUARTET

2017年07月19日

avex

1.夏の彗星
2.Refrain
3.ハザマステップ
4.共鳴列車
5.手紙
6.純白のドレスを君に
7.海辺のイエスタデイ
8.room
9.Hot & Spicy
10.サイエンスティック・ラブ
11.静寂の嵐
12.家路
13.桜花転生
14.ANSWER

お知らせ

■コメント動画



■ライブ情報

A.L.Qワンマンツアー〜ウィ!ムッシュ et マドモアゼル〜
09/29(金) 札幌COLONY
10/07(土) 仙台LIVE HOUSE enn 3rd
10/08(日) 渋谷CLUB QUATTRO
10/13(金) 名古屋SPADE BOX
10/15(日) 福岡the voodoo lounge
10/20(金) 梅田Shangri-La
10/22(日) 広島CLUB QUATTRO

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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