ココロオークション ”夏の短編小説MVシリーズ”を含む7曲入りミニアルバムについてメンバー4人に訊いた

ココロオークション | 2017.08.01

 2011年結成、2016年にメジャーデビューしたココロオークションが、3rdミニアルバム『夏の夜の夢』を完成させた。今作は収録曲7曲すべて「夏」を題材にしたコンセプトアルバム。ミュージックビデオがYouTubeで累計再生回数350万回を超える“夏の短編小説シリーズ”3部作「蝉時雨」「夏の幻」「雨音」と、その続編となる新曲「線香花火」のほか、同シリーズの監督・馬杉雅喜がメガホンを取った映画「笠置ROCK!」への書き下ろし曲「景色の花束」も収録される。今年「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」「RISING SUN ROCK FESTIVAL」に初出演するなど、勢いに乗っているココロオークションに“勝負作“とも言える今回の新作について訊いた。

EMTG:『夏の夜の夢』では、これまで飛び飛びで発表されてきたシリーズ楽曲を第一話から続けて聴くことができるので、バンドの成長も味わえますね。
粟子真行(Vo・Gt):そうですね。代表曲の詰め合わせセットみたいな感じです。
大野裕司(Ba):今回は、夏シリーズの新曲「線香花火」をよりたくさんの人に聴いてもらうために、これまでの3曲をまとめて「夏」というコンセプトで括ってパッケージにしました。流れで聴くと、自分たちでも“このバンド変わっていってるな”って歴史を感じましたね。具体的にはサウンドですかね。昔は4人の音だけを重ねて曲にしてたけど、最近はシンセが入ってたりリズムのアプローチが多彩になってたり。それでもやっぱり8ビートが好きなんだなって感じるところは要所、要所にあって。
EMTG:新曲「線香花火」のサウンドは特にチャレンジングですよね。トロピカルハウス調の打ち込みから始まります。
大野:正直、世界的に流行ってる音を意識した部分もありますね。ビルボードチャートで上がってくるような曲を最近よく聴いてて、ああいう楽曲の耐久力に注目はしてます。でもそういう音を取り入れてもココロオークションの枠からはみ出さないっていう自信があったんですよね。
EMTG:夏の短編小説MVシリーズの続編ということで、ビデオの仕上がりが非常に気になるところですが……。
大野:僕らもまだ見てないんですよ(※取材当時)。YouTubeに上がる、皆さんと同じタイミングで見るんです。3作目あたりから僕らはMV周りにまったく関わってなくて。あのMVは物語として独立した世界観があるので、僕らは曲だけ作ってお任せする形に自然となっていきました。スタッフさんもシリーズ通して関わってる人たちだし、わざわざ僕らが口挟まずとも意思疎通できてるんですよね。僕らは曲を添えるだけでいいかなと。
粟子:今回は先に馬杉監督が「線香花火」ってタイトルを決めていて、そこから自分の中で「夏」「切ない」「儚い」みたいなキーワードを連想して作り始めました。別れの曲にしようという意図は特になかったんですけど、まあそうなっちゃうよね、ビデオもそういう感じなんやろうな……という。
EMTG:改めて、このMVシリーズが口コミで人気になり、バンドのリスナー層を広げてくれるようなコンテンツになったことは皆さんどう感じていますか?
粟子:ライブにも「蝉時雨」のMVで知って来ましたっていう人が多かったり、「ココロオークションってあの映像の人たちか」っていう声をたくさんいただくようになって、広まってるなという実感はあります。と同時に、ほかにこういうことをやってるバンドはあまりないので、僕らの武器になったなあと思ってます。
大野:「蝉時雨」は何回ライブでやったかわからんよね。
粟子:そうそう。でも改めて曲を聴いてると、夏シリーズで伝えたいことは一貫してるなって思うんですね。終わりがくれる今の大事さとか、終わりがあるから美しいんだという儚さ、切なさ。終わりを覚悟して、それでも次に進む勇気。そういうことを僕らは伝えたいんですよね。例えば「雨音」だったら≪時が経てば 忘れてしまう≫≪ホタルみたいに光っていようよ≫っていう部分とか、「線香花火」だったら≪消えない花火って 無いのかな 考えてみたけど いつか終わりが来るから 今が愛しいんだよな≫とか、ずっと同じメッセージを言ってるんですよ。そういうのを歌い続けていくバンドなんだろうなって発見できたという意味で、夏シリーズは大きい存在ですね。
EMTG:YouTubeのコメント欄に「PVが良すぎて曲が入ってこないように見えて、音楽が良いからPVが映える」というのがあって、なるほど確かにと思いました。
大野:MVに見入ってしまって曲が入ってこないってよく言われるんですけど、このシリーズ、楽曲と映像が完全にリンクしてるわけではないんですよね。リンクしてるのは内容ではなくて、風景とか感情ぐらいまで。それがええとこなんやろうなって思います。歌詞がありつつもBGMとして成り立ってて、でも違和感なく成り立つってことはどこか共鳴してる。お互いに邪魔し合わない、いい距離感がある。それはひとつの作品として面白い形なんやろうなって思います。
EMTG:夏の景色が合う曲を数多く生み出してきた皆さんにお聞きしたいのですが、夏らしさを出す音楽的なポイントって?
粟子:テクニック的なことで言うと、1度の音に対するアドナインスの響きと、4度のメジャーセブンス。メジャーセブンスで弾くとちょっと和風になって、日本の夏のワビサビというか切なさや儚さを感じるんですよ。なので、そのコードのボイシングは多く使ってますね。
テンメイ(Gt):「蝉時雨」のAメロのリフとかそうやね。
井川聡(Dr):無意識のうちにそのコード感が共有できてるから、ココロオークションは夏の曲が生み出せてるんじゃないかなと思います。僕のドラムだけやったら夏感は出ないと思うので。
テンメイ:……夏を代表するバンドっていったらTUBEじゃないですか? 僕らはTUBEのような熱さはないんですよね、歌も演奏も。サラサラしてるというか、汗かかない感じ。そこもココロオークションらしい夏っぽさかもしれない。
粟子:4人中3人が奈良出身で、奈良は海がないんですよ。だから夏といえば海じゃなくて川なんです。川の笹でヒザ切っちゃったり、石投げて水切りしたり、夜は虫が鳴いてたり、そんな思い出があって。そういう背景も影響あるんかなって。
大野:聴いた人が、体験したことなくても共感できるポイントがあるんじゃないかな。『となりのトトロ』で懐かしさを感じるのと同じことだと思います(笑)。
粟子:このミニアルバムには、夏の朝、昼、夕方、夜に合う曲がそれぞれ入ってるので、その景色や幼少時代の思い出と一緒に聴いてもらえたら、より深く刺さるんじゃないかなと思います。
EMTG:“代表曲の詰め合わせセット”をリリースし、『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』『RISING SUN ROCK FESTIVAL』『RUSH BALL』などの大型フェス出演を控えた今、ココロオークションはバンドとしてどんなフェーズにあると思いますか?
大野:ライブにおいても制作においても、研ぎ澄ませるべきものがわかってきたなっていう状態ではあります。「どんなバンドですか?」と聞かれたときの答えにずっと困ってたんですけど、自分らのカラーが自分らでやっと見えた、みたいな。その1つが「バラードをちゃんと聴かせるバンドになる」ことですね。今まではそれが一番やりたいことだと思いつつも、いろんなことに手を出し、その結果一番の強みがわかったというか。夏フェスでバラードをやるのは挑戦だと思うんですけど、バンドとしてはそこに今から突入するぞ的な。
EMTG:強みを伸ばしていこうというモードなんですね。逆に今の課題はなんでしょうか?
粟子:僕は歌のグルーヴを強化したいです。
大野:バンド全体でもそうですね。大きいステージでバラードを聴かせるために、一番必要なのはグルーヴやと思ってて。今、グルーヴがあるバンドだけが生き残れるようなシーンになってると思うし、お客さん側もグルーヴのある音楽が楽しいっていうムードだと思うんです。もっと言えばグルーヴさえあれば、四つ打ちじゃなくても、テンポが遅くても、歳が若くなくても、聴いてくれると思う。だからグルーヴは僕らが身につけなあかんものだと思います。
テンメイ:もう一度楽曲と向き合うってことは、今、全パートしていますね。
大野:今まで考えずにやってたことを全部考えてやるように見直すっていう。僕ら、年間ライブ数がかなり多いので、そのぶん感覚でやっちゃってることも多くて。意識せずにやってること、自然とできなくなってることを、一旦清算している時期ですね。
EMTG:見直し作業が進んでいった先に、どんな未来像を描いてますか?
井川:最近スタジオでめっちゃ練習してるんですけど、グルーヴを追求することに終わりはないですからね。それぞれの磨いていくべき武器は今、個々で認識できてきてるので、武器を磨き続けていくのは大事かなと。
大野:僕らは、激しいものや楽しいものというよりも、ロックバンドのバラードを聴いてカッコいいなと思ったり、そんな音楽に感動してバンドを始めたので、初心は忘れずにいたいですね。例えばスピッツみたいに、ジャンルを飛び越えて音楽を愛して音楽に愛されて、楽しそうに演奏してるバンドになりたいです。
テンメイ:自分でも勤勉なバンドやと思います。ほかのアーティストのライブもよく見るし、聴くし、スピッツみたいに今もずっと憧れてるバンドがあるので。そうやって良いものを見ていく目はずっと育てていきたいですね。好みは4人共通でなくてもいいんです。それぞれが吸収したものをココロオークションとして発信してつなげていきたいです。

【取材・文:鳴田麻未】




tag一覧 J-POP ミニアルバム インタビュー 男性ボーカル ココロオークション

リリース情報

夏の夜の夢

夏の夜の夢

2017年08月02日

BOGUS RECORDS

1.景色の花束
2.蝉時雨<第一話>
3.夏の幻<第二話>
4.雨音<第三話>
5.線香花火<第四話>
6.なみだ
7.僕らのナツ。-CCR UNPLUGGED SESSION-

お知らせ

■コメント動画



■ライブ情報

3rd mini Album Release TOUR 2017
「夏の終わりを探しに行こう」

09/08(金) 金沢vanvanV4
09/09(土) 新潟CLUB RIVERST
09/10(日) 仙台enn 3rd
09/23(土) 岡山IMAGE
10/01(日) 札幌COLONY
10/08(日) 高松DIME
10/09(月) 福岡Queblick
10/14(土) 名古屋APOLLO BASE
10/15(日) 渋谷CLUB QUATTRO
10/21(土) 梅田TRAD (旧 umeda AKASO)
10/22(日) 広島BACK BEAT


ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2017
08/06(日) 国営ひたち海浜公園

RISING SUN ROCK FESTIVAL 2017 in EZO
08/11(金) 石狩湾新港樽川ふ頭横野外特設ステージ

TREASURE05X 2017
-BURNING DIAMONDS-

08/19(土) 名古屋DIAMOND HALL

神はサイコロを振らない subim TOUR 2017
08/21(月) 小倉 FUSE

DISK GARAGE MUSIC MONSTERS -2017 summer-
08/26(土) TSUTAYA O-WEST・ TSUTAYA O-nest・duo MUSIC EXCHANGE

RUSH BALL 2017
08/27(日) 泉大津フェニックス

やおーん!!2017
09/03(日) 大阪城野外音楽堂

TOKYO CALLING 2017
09/16-18 下北沢/渋谷/新宿 各会場

BURNOUT SYNDROMES presents
Butterfly in the stomach II

09/22(金) 梅田Shangri-La

KANSAI LOVERS 2017
09/24(日) 大阪城野外音楽堂

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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