Anly 天国の兄、大切な人を歌った「北斗七星」をリリース

Anly | 2017.08.09

 6月に1st Live Tourを終えたAnlyの6thシングル「北斗七星」。デビュー前の高校時代に作られたこの曲は、その素晴らしい楽曲クオリティで以前からファンや関係者を唸らせ、リリースが待ち望まれていたものだ。小学5年頃に初めて自分には亡くなった兄がいたのだと知り、その兄に対する思いを綴ったという感動的なバラード。それはとてもパーソナルな歌だが、Anlyは同時に「聴く人それぞれの心に寄り添いたい」「聴いた人それぞれにとっての大切な人を思い出してほしい」という思いも込めている。彼女にとって特別なこのシングルについて話を聞いた。

EMTG:まずは1st Live Tour“anly one”を振り返ってみましょう。僕は追加で行なわれた6月23日の原宿アストロホール公演を観ましたが、構成といい、パフォーマンスといい、これまで観たAnlyさんのライブの中で一番よかった。
Anly:そう言ってもらえると、とても嬉しいです。ツアー自体はその前の沖縄がファイナルということで、私としては1回そこで出し切ったんですよ。で、アストロホールの追加公演は名古屋の初日と同じような気持ちで迎えられて。ギタリストも変わりましたし、「北斗七星」はヴァイオリンを入れてやるということで、新たな気持ちでライブに向き合うことができた。最後の公演で新しいことをやるというのが、自分にとってはフレッシュな気持ちになれて、よかったです。
EMTG:MCでも言ってましたもんね。「今日は本当のファイナルですけど、気持ちだけは初日です!」って。
Anly:はい(笑)。本当にそういう気持ちだったので。追加公演でギターを弾いてくれた松ヶ下さんは、私が16歳のときから「北斗七星」を含むいろんな曲をアレンジしてくださった方なんですけど、ライブで一緒にやるのは初めてだったので、そういう意味でも初日のような気持ちで臨めました。
EMTG:お客さんも、すごくいい盛り上がり方をしてましたよね。
Anly:ここはみんなで手を挙げたら楽しいとか、ここは声を出したら楽しいとか、そういう楽しみ方が構築できたので、それがよかったところですね。初日を迎えるまでは緊張してたところもあったけど、みんなの盛り上がり方を見ていたら、“ああ、みんな、ただただ楽しみたいんだな”って思えて、そうしたら自然と肩の力を抜けるようになった。最終日が終わって、“ああ、楽しかった。早くまたツアーをやりたい!”って思いました。もう、ひたすら楽しかったんですよ。これが音楽を楽しむってことなんだなって思ったし、会場に来てくれた方同志が仲良くなって帰っていったりするのも嬉しくて。もっと私の音楽で、人と人とを繋げられるようになりたいと思いましたね。
EMTG:今回のシングル「北斗七星」はアンコールで歌われましたが、その際、Anlyさんには亡くなられたお兄さんがいて、この曲はそのお兄さんへの思いを書いた曲だと話してましたね。自分にお兄さんがいたことを知ったのは小学5年のときだったと。
Anly:はい。
EMTG:ライブでこの曲を聴いたことはあったけど、その話を聞いたのは初めてでした。
Anly:今回のツアーでアンコールがきたら「北斗七星」を歌おうってことは決めていたんですけど、その話をしたほうがいいのかどうかはずっと悩んでいて。話してしまうと、曲を聴く人がそのイメージでしか聴けなくなっちゃうんじゃないかという不安があったんです。そうすると、その人の思いに寄り添えないんじゃないかと考えちゃって。だから今回のツアーでもうまく話せなかった会場もあるし、あえて話さなかった会場もあったんですよ。でも最終日はちゃんと話そうという気持ちになって、どこの会場よりも長く話してしまった。聞いてくれてるみんなの顔が悲しい感じにならないといいなと思っていたんですけど、ひとりひとりがそれぞれの感じ方で受けとめてくださったようだったので、これからはちょっとずつ話していこうと思ってます。あの追加公演の前に受けたインタビューではまだうまく喋れなかったんですけど……。
EMTG:やっぱりパーソナルなことだから、話すのは難しいし、勇気が要る。
Anly:勇気も要ったし、父と母が一度は悲しいと思ったことを、私が誰かに伝えていいのかなって思っていて。でも、曲ができたときに母がすごく喜んでくれたんですよ。「顔も見たことのない兄のことを歌にしてくれて嬉しい」と言ってくれたし、「“あなたのろうそくを数えてから ずいぶん明るくなったんだ”という歌詞に勇気づけられた」とも言ってくれた。自分が自然に書いた歌詞が、そういうふうに母の気持ちを明るくすることができたのは、娘としてすごく嬉しかったんですね。で、「この曲を歌うときに、お兄ちゃんの話をしてもいいの?」って訊いたら、「大丈夫だよ」って言ってくれて。それでやっぱりちゃんとみんなにも話そうと思ったし、この曲を歌い続けていこうとも思ったんです。
EMTG:曲を書いたのは、ずっと前なんですよね。
Anly:高校生のときに書いたんですけど、お兄ちゃんがいたってことを知った小学生のときから、お兄ちゃんの曲を作ろうと思っていたんですよ。そもそも曲を書こうと最初に思ったきっかけが、それで。お兄ちゃんの曲を作りたいからギターを持ってコードを覚えるようになった。でもそのときにはできなくて。で、それからいろんな曲を書くようになって、高校生になってシンガー・ソングライターの活動を始めた頃に、あるときパッと思い浮かんで、30分くらいでこの曲ができたんです。
EMTG:Anlyさんがシンガー・ソングライターになったのは、ある意味でお兄さんが背中を押してくれたようなものですね。
Anly:そうですね。私はお兄ちゃんの声も顔も知らないけど、なんとなくいつも隣にいるような気がしていて。いつも私にエールを送ってくれてるような気がしてるんです。なので、私はそんなお兄ちゃんのことを歌にして、その曲自体をお兄ちゃんのように感じたかったというか。
EMTG:「北斗七星」というタイトルも、いつでもどこからでも見えるその星のようにお兄さんを感じていたいから、付けたわけですよね?
Anly:でも、一年中、北斗七星を見ることができるというのは、実はあとから知ったことなんですよ。タイトルを付けたときは、ただ思い浮かんだから付けただけだったんです。けど母に初めて聴いてもらったときに、「この曲、北斗七星って言葉が合いそうだね」と言われて、びっくりして。「同じこと考えてたんだね。じゃあ、北斗七星にしよう」って、そんな感じで付けたんです。不思議なんですけどね。
EMTG:今回、レコーディングするにあたっては、作った当時のものと少し変えたりはしたんですか?
Anly:いえ、デモを作ったときのまんまです。17歳のときに松ヶ下さんがいつも作業している場所でやってもらって、アレンジもそのときのものから変わってない。変わったのは私の声の雰囲気だけですね。そのときは17歳の声だったけど、これは20歳の声なので。
EMTG:ヴォーカル録りは、どんな気持ちで行なったんですか? わりとニュートラルな気持ちで歌ったのか、すごく感情が入ったのか……。
Anly:その加減が難しかったですね。思いを込めすぎて歌うと力が入ってしまって自然じゃなくなる。でも、あっさりしすぎるのも違うというか。私の中ではすごく迷いました。思いを込めたほうがいいのか、自然に歌ったほうがいいのか。結局、「何も気にせず歌ったテイクのほうがいい」と言われて、そっちを選んだんですけど。
EMTG:難しいですよね、その加減は。歌は自分のものでもあるけど、聴く人のものでもあるので、あまりにエモーショナルすぎるとトゥーマッチになってしまう。
Anly:そうなんですよ。ロックな曲だったら弾けて歌えばいいけど、こういう曲はそのバランスがとても難しくて。なので、ライブのときにはどうやって歌っていたかを思い出しながら歌ってみたんです。
EMTG:大サビの「感じていた 孤独さえも 消し去るほどの愛しさを」というところとかは、エモーショナルな感じがだいぶ高まっていってますけど。
Anly:そこはストリングスも壮大な雰囲気になっていくので、気持ちがあがっていって。頭の中にはCDジャケットを撮影しにいった長野県の阿智村の空が浮かんで、それがグルグル回っている映像に合う声を出したらああいうふうになった。このジャケ写を撮ったのは、レコーディングよりも早かったんです。これ、CGじゃなくて、本物の星なんですよ。
EMTG:長野県阿智村というと、日本でも有数の“星空がキレイに見える”場所ですよね。
Anly:流れ星も見えたし、北斗七星も「こんなに大きかったっけ?」ってくらい大きく見えて。私の故郷の伊江島もキレイに星が見えますけど、阿智村は「ここは星を見るためにある村なんじゃないか」と思えるぐらいでしたね。この曲は、一番はまだ素朴さがあるけど、二番で盛り上がっていく。それは、私の中では伊江島から阿智村にワープするような感覚で(笑)。二番にきて、阿智村の星空がバーっと浮かんで盛り上がっていく。伊江島と阿智村、両方の星空が1曲のレコーディングの中で見えてました。
EMTG:最初に聴こえてくるのは童謡の「きらきら星」のフレーズですが、高校生で曲を書いたときからこの部分も入れていたんですか?
Anly:はい。母が用事で忙しいときに私を預かってくれていたお婆ちゃんが、よく「Twinkle Twinkle Little Star~」って歌ってくれていたらしいんですよ。私は赤ちゃんだったんですけど、それをイメージして。そういう子守歌みたいな感じが曲の始まりにあるといいんじゃないかなって。
EMTG:なるほど。因みに1stアルバムに入れなかったのは、特別な思いがある曲だから大事にとっておいたということなんですか?
Anly:毎回、シングルをリリースしようっていうときに、必ずこの曲の話は出ていたんです。でも私もスタッフさんもすごくこの曲を大事にしていて、出すタイミングを待っていたというか。スタッフさんが本当に大事に考えてくれてた曲なんです。だから20歳の節目を迎えてからレコーディングもしたし。20歳でシングルとして出すのが意味のあることだと思っていたので。
EMTG:レコーディングを終えて形になったときは、特別な気持ちになったのでは? ほっとする感じがあったんじゃないですか?
Anly:ありましたね。家の近くのベンチで気が住むまで音源を聴いてました。全てを受け入れて聴くことができたというか。お兄ちゃんの曲を作りたいと思ったことから始まって、いま、私はこうしてシンガー・ソングライターとして活動することができている。この曲が私をここに連れてきてくれたんだなって。
EMTG:いつか星空のキレイな野外でこの曲を歌えるといいですね。
Anly:ああ、そうですね。野外ライブで歌いたい。阿智村で歌ってみたい。もしそれが実現したらみんな来てくれるかな。道が整備されてないので、たいへんかもしれないけど(笑)
EMTG:では、カップリング曲の話も。「ie」というカントリー・タッチの軽快な曲ですが、これはいつ書いた曲なんですか?
Anly:これも高校生のときに。高校生のときにひたすら曲を作っていたので、まだストックがたくさんあるんですよ。これは最初に「風が吹くと」っていう出だしのフレーズが浮かんで、そこからカントリーっぽいホンワカした曲にしようと思ってできたものです。
EMTG:「ie」というのは、家のことでしょ?
Anly:それもあるし、伊江島のイエというのもあって。自分にとってのホームのこと。両親をモデルに書きました。あとで気づいたんですけど、このシングル、家族のことばっかり歌っているんですよね。「北斗七星」はお兄ちゃんのことだし、「ie」は両親のことだし。家族大集合みたいな(笑)。あと、星を見てるってところもリンクしている。
EMTG:そういえばそうですね。レコーディングはどうでした?
Anly:この曲、ツアーの追加公演の前の日に録ったんですよ。あのメンバーで「せーの!」で録って。だからあのときのノリがそのまま出てる。ツアーの中でバンドと私が一体になって、そういう関係性の中で録れたから、楽しい気持ちがそのまま入った曲になりましたね。
EMTG:もう1曲は「この闇を照らす光のむこうに」のanly only versionです。
Anly:スキマスイッチさんと共作した曲ですけど、ライブではひとりで歌っているので、そのライブの雰囲気のまま録音しようと。だからライブと同じようにアコギでマイクも1本。しかも1テイクめなんですよ、これ。7テイクくらい録ったんですけど、結局最初のが一番いいねってことで。
EMTG:改めていい曲だなって思った。ドラマチックなオリジナルのバージョンもいいけど、アコースティックのこのバージョンはジワっと沁み入ってくるのがいいんですよね。
Anly:ゆったりめに歌おうと思ったので。言葉のひとつひとつを丁寧に歌えた気がしますね。でも、大橋(卓弥)さんが歌っていたところは、なんとなく私の歌にも大橋さんエッセンスが入っている。やっぱり大橋さんの歌をずっと聴いてきてたし、あの特徴的な節回しが好きだったので。それを公式に受け継いで歌えるというのは嬉しいことですね。
EMTG:このシングルを携えて、10月には全国7カ所の「Anly Live Tour 2017 ☆北斗七星☆」が行なわれます。
Anly:ファースト・ツアーでお客さんと楽しさを共有する仕方が私なりにわかったので、さらにみんなで盛り上がれる部分を多くできたらいいなと思ってます。で、「あ~、楽しかった。よし明日もまた頑張ろう」って思ってもらえれば。そういうツアーにしたいですね。

【取材・文:内本順一】

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リリース情報

北斗七星

北斗七星

2017年08月09日

ソニー・ミュージックレコーズ

1. 北斗七星
2. ie
3. この闇を照らす光のむこうに -anly only version-
4. 北斗七星 -instrumental-
5. ie -instrumental-

お知らせ

■コメント動画



■ライブ情報

Anly Live Tour 2017 ☆北斗七星☆
10/10(火) 仙台LIVE HOUSE enn 2nd
10/11(水) HEAVEN’S ROCK宇都宮 VJ-2
10/14(土) 福岡Queblick
10/15(日) 広島BACK BEAT
10/19(木) 名古屋CLUB QUATTRO
10/20(金) 梅田CLUB QUATTRO
10/24(火) 渋谷CLUB QUATTRO
10/29(日) 桜坂セントラル[追加公演]

エキサイティングサマーinワジキ2017
8/13(日) 大塚製薬徳島ワジキ工場内芝生広場

Music Climbers vol.10
08/21(月) 福岡ROOMS

「Sing N’ Play」
09/01(金) umeda TRAD

HEAVEN’S ROCK Utsunomiya presents
09/12(火) 宇都宮HEAVEN’S ROCK VJ-2

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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