フレデリック、新体制第一弾シングル「かなしいうれしい」に込められた4人の衝動とメッセージ。

フレデリック | 2017.08.15

 いよいよフレデリックが完全体になった。2015年にドラマーが脱退して以降、サポートメンバーと共に3人組として活動を続けてきた彼らが、長年サポートを務めてきた高橋武(Dr)を正式に迎えた4人組としての活動を5月からスタートした。そんなフレデリックが8月16日に新体制としては初となるニューシングル『かなしいうれしい』をリリース。“かなしい”と“うれしい”という全く真逆の感情を表現した表題曲は、TVアニメ『恋と嘘』のオープニングの書き下ろしであると同時に、メンバー脱退という悲しみを越えて、新メンバーと出会えた喜びと共に前へ進んでゆく彼らの再出発にも相応しい楽曲だ。今回、初めて行なった4人インタビューでは、新メンバー武の存在の大きさが強く伝わる内容になった。
EMTG:すでに武くんはフレデリックのサポートとして1年半ドラムを叩いてきたわけですけども、いずれは正式メンバーになることも視野に入れてたんですか?
武:最初は想像もしてなかったですね。でもフレデリックは本当に良いバンドだし、人としても好きだから。正式なドラマーが入るまでは、俺が力になれたらと思ってました。
EMTG:その正式メンバーが自分だとは?
武:思ってなかったです(笑)。
EMTG:3人はいつ頃から正式に武くんを迎えたいと思うようになったんですか?
三原健司(Vo・Gt):1年半やっていくうえで少しずつ思うようになりましたね。もともと前任のドラムが抜けたときからタケちゃんに叩いてもらってたんですけど、ずっと「4人いてこそのバンドだろう」っていうのはあったんですよ。だから、いずれはドラマーがほしいっていうのも考えてはいたんです。そのなかで列伝ツアーもあったし、ワンマンライブも何回もやらせてもらったり、大事な時期のレコーディングにもいてくれて。フレデリックがいまの状況になるまでに、ずっとタケちゃんの存在があった。音楽だけじゃなくて、人間的なところでも完全に惹かれてるところがあったから、少しずつ4人のフレデリックとしてやっていきたいっていう気持ちが強くなったんです。で、今年の頭に婚約して……。
EMTG:婚約(笑)。
健司: 5月に入籍をした感じですね。
EMTG:3人から見て、武くんはどんな存在ですか?
三原康司(Ba):サポートというよりも友だちみたいな感じなんですよ。僕らのことをすごくよく見ていてくれるから、自分の気持ちもすごく支えてくれてますね。
健司:僕はボーカルの幅を広げてくれるドラマーだなと思っています。僕が「こういうことをやりたい」っていう欲を出したときに、それを助長してくれるような提案をしてくれるというか。それで僕が変わるきっかけにもなったし、ボーカルが変わることはバンドが変わることじゃないですか。だから大きな存在ですよね。あと、この3人を知ってくださってるから、わかると思うんですけど、僕ら3人だと考えがまとまらなくて、ふわふわするときがあるんですよ(笑)。
EMTG:わかります(笑)。
健司:そういうとき、タケちゃんは僕らの真意を汲み取って、解決に導いてくれたりするんです。すごく選択肢を多く持ってる人なんですよね。
赤頭隆児(Gt):サポートを始めてもらった最初の頃は、なんとなく俺は勝手に「この人はサポート一筋でやっていきたい人なんやな」と思っとって。でも、やっていくうちにバンドに対する熱さもあるなっていうのに気づいたんです。だから、そういうところを出すのが器用じゃないというか。そこが自分たちと似てるなと思ってます。
武:うん、そうだね(笑)。
EMTG:いちドラマー以上の信頼感があるからこそ一緒にやることにしたんですね。
康司:僕らはそうじゃないとやっていけないバンドやと思いますね。ちゃんと同じ気持ちで曲の表情を作っていきたいから。そこがいちばん大切なところだと思います。
EMTG:そんな新体制のフレデリックの第一弾となるシングルが「かなしいうれしい」ですけども。今回もイントロの不思議なフレーズから掴まれました。
健司:ありがとうございます。
EMTG:TVアニメ『恋と嘘』の主題歌として書き下ろした曲ですが、かなり原作から影響を受けたんですか?
康司:そうですね。今回はまず作品を読んで、実際に原作者のムサヲさんとお話をさせてもらったんです。そのなかでムサヲさんが描く“恋”とか“嘘”っていう言葉にすごくピュアなものを感じたんですね。“嘘”ってすごくネガティブな表現だとは思うんですけど、この作品に出てくる“嘘”にはネガティブな表情が全くないんですよ。人を守るために、人を想うために嘘をつく。それにすごく感動して。だから、今回の歌詞はすごく悩んだんですけど、そういう表面だけじゃない、深いところまで伝えたいと思いました。
EMTG: “かなしい” と“うれしい”という真逆の感情を表現したのはなぜですか?
康司:やっぱり悲しみが自分を成長させると思うんです。悲しいことを経験することで、小さい喜びに気づけたりする。それが積み重なって進んでいくのが、このアニメのストーリーなんです。だからアニメの情景を意識して書いた歌詞ではあるんですけど、でもそれがバンドの情景にも重なっているというか。そういうことも想像できる曲だと思ってます。
EMTG:サウンドとしては、前作のアルバム『フレデリズム』までに象徴的だった、爆発力のある曲調とは少しギアの入れ方が変わったようにも感じましたが?
康司:前の作品ではBPMが速い楽曲が多かったですからね。そのときは、そのときに自分たちがやるべきことのベストを尽くしてきたと思うんですけど、いま自分たちが形にしていきたいものは、やっぱりメッセージを伝えていくっていうことなんです。そのなかにフレデリック節を出すことで、いつもの僕ららしい踊れる形にしました。
EMTG:そういう曲の方向性はみんなで話し合って決めたんですか?
康司:いや、方向性が決まらなくなったのが良いことだなっていうのは気づきましたね。2016年に『フレデリズム』を出して、自分らのいろいろな部分を見せられたからこそ、2017年はどこに行っても、「僕らはフレデリズムなんですよ」って言えるようになった。そういう意味で、今年はこういう楽曲を作っていこうっていうのがなかったんです。「何をやっても良いんだ」っていう、良い意味で肩肘を張らずにできたんですよ。
武:それなのになんでちゃんと前に進めてる感じがあるのかって言うと、4人になったことによって、バンドに初期衝動的なものが生まれたからなんです。ある意味、いまは新しいスタートじゃないですか。だから何も話し合わなくても、同じ方向を向いてたというか。いま4人が衝動的に音を出すことで見えてくるものを、しっかり音に入れられたと思います。
EMTG:なるほど。わかりやすいです。……ちょっと話の腰を折ってしまうけど、武くんは本当にさっきみんなが説明してくれたとおりですね。
隆児:でしょ(笑)?
EMTG:メンバーが説明しきれてないところを最後に全部まとめてくれた。
健司:いま完全に太字(見出し)を持っていったよな。
全員:あはははは!
EMTG:話を戻すと……いま、新メンバーと一緒にバンドを進めていくんだっていう状況を全て反映してるのが「かなしいうれしい」という曲なんですね。 
健司:作ってるときはいまあるものを出していく感じだから、前と比べてどうっていうのはわからなかったんですけど。最後に改めて聴いて、「これを4人でやっていくんだ」っていう気持ちが出てるなと気づいたんです。すごい歩み出し方だなっていうのはありますね。
EMTG:カップリングの「シンクロック」はメロディの哀愁が良いですね。
康司:僕らが好きな80年代の音楽の雰囲気を出したいと思ったんです。僕らは90年代生まれだから、その時代にはいないんですけど、その時代の音楽がすごく好きだし、その時代にいたら楽しかっただろうなって思うんですよ。と同時に、いまはここ(現在)のほうが楽しいんだよって言える自信もあるから。ちゃんといまの時代に僕らの曲を残していきたいっていうのもあるし、この先、僕らが活動してたのを知らない時代を生きる人たちにも、この曲が届いてほしいなと思います。
EMTG:いま80年代のリバイバルというのは、音楽シーンでもムーブメントとしては来てるけども、やっぱりあの時代への憧れは尽きませんか?
健司:バブルを経験したかったな(笑)。
武:それはわかる。
健司:あれって聞いた話と体感してるのは全然違う話じゃないですか。
隆児:バブルを経験した人は大人っぽいですよね(笑)。
EMTG:たしかに(笑)。しかも、あの時代の登り調子な勢いであったり、キラキラとした世相って、結局全て音楽にも表れてますからね。
康司:そう、そのなかで僕はディスコっていう言葉に魅力を感じるんですよね。あの時代の歌謡アイドルの方たちって、バックが完全にディスコミュージックだったじゃないですか。その哀愁のなかにあるダンス、踊りながら沁みて泣けるような感じって、80年代にしかなかった風景だと思ってるんです。音楽で自由に踊る感じもあるし。それをいまに再現したいなと思ってやってるのが、フレデリックなんですよね。
EMTG:ええ、それが今回の「シンクロック」には強く出ているし……。
康司:「かなしいうれしい」にも出てるんだと思います。
EMTG:そうですね。では、3曲目「まちがいさがしの国」の話も聞かせてください。これはファンキーなグルーヴが心地良い曲になっています。
武:意外とフレデリックにはこういう跳ねた曲がなくて、新しいことに挑戦してるんです。ボーカルもメロディをきれいに歌い上げるタイプの曲というより、リズムありきで言葉が飛んでくるものなので。レコーディングのときも歌については考えなかったですね。
健司:楽しんで歌ってました。この曲は感情を入れても入れなくても、伝えたいことを伝えてる歌詞だから。声で何かを伝える必要がなかったんです。
EMTG:SNS社会に対する怒りのような歌詞ですね。
康司:そのなかの怒りって、結構表面上だけで判断をして言ってるような気がするんです。本当は怒るっていう表現は、愛があるからやることだと思うんですよ。その人に対して愛とか責任があるからこそ「頑張ってほしい」っていう気持ちを込めて怒りを伝えていくべきだと思うんです。でも自分のストレスを発散するだけのために、怒りの流れに任せてサーフィンをして、いろいろな人に対して傷を作っていくっていうことが、いまの世の中を悪くする循環だと思ってるんですよね。みんな悪い方向に「いいね」を押していくっていうか。それって「いいね」なのかな?と思うんですよ。そうやって僕が感じるのと同じ気持ちの人もいると思う。だから、いま思ってることをそのまま素直に言えた楽曲なんです。
EMTG:もともと言葉遊びで歌詞を書いてきたバンドだったのに変わりましたね。
康司:こういう時代だからこそ僕らもメッセージを伝えていくことが大切になっていくことが大事なんじゃないかと思うんですよね。

【取材・文:秦 理絵】

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リリース情報

「かなしいうれしい」

「かなしいうれしい」

2017年08月16日

A-Sketch

1.かなしいうれしい
2.シンクロック
3.まちがいさがしの国
4.リリリピート Live at新木場STUDIO COAST
5.ナイトステップ Live at新木場STUDIO COAST

お知らせ

■マイ検索ワード

三原健司(Vo・Gt)
JOYFIT24 博多駅
福岡に「NUMBER SHOT」っていうフェスで行ったときに、一日体験できるジムを調べてました。結局、調べてる途中で寝てもうて行ってないです(笑)。

三原康司(Ba)
滝沢カレン
言葉の言い回しが独特じゃないですか!その世界観がすごいので、最近ハマってます。疲れてるときに滝沢カレンのナレーションを聞いたら、どうでもいい気分になります(笑)。

赤頭隆児(Gt)
ステーキ屋
事務所の健康診断があったんですけど、体脂肪が一桁だったんですよ。「これは夏を越えられへんのちゃうか」と思って(笑)。筋トレするにしても、まずはお肉を食べようと思って調べました。

高橋武(Dr)
動画 保存
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■ライブ情報

フレデリズムツアー2017
~ぼくらのTOGENKYO~

11/11(土) 岡山CRAZYMAMA KINGDOM
11/12(日) 高松festhalle
11/19(日) 札幌FACTORY HALL
11/25(土) 金沢EIGHT HALL
11/26(日) 松本Alecx
12/02(土) 福岡DRUM LOGOS
12/03(日) 広島CLUB QUATTRO
12/08(金) 仙台RENSA
12/09(土) 新潟NEXS NIIGATA
12/16(土) 大阪Zepp Osaka Bayside
12/17(日) 名古屋Zepp Nagoya
12/21(木) 東京Zepp Tokyo


MONSTER baSH 2017
08/19(土) 国営讃岐まんのう公園

WILD BUNCH FEST. 2017
08/20(日) 山口きらら博記念公園

SWEET LOVE SHOWER 2017
08/26(土) 山中湖交流プラザ きらら

OTODAMA’17〜音泉魂〜
09/02(土) 泉大津フェニックス

TREASURE05X 2017-MARCH OF TIME-
09/03(日) 蒲郡ラグーナビーチ

BAYCAMP 2017
09/09(土) 川崎市東扇島東公園・特設会場

BEAT PHOENIX2017
09/23(土) 福井 フェニックスプラザ

J-WAVE"THE KINGS PLACE"LIVE Vol.14
09/28(木) Zepp DiverCity TOKYO

白梅祭実行委員会
10/09(月・祝) 美作大学・体育館

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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