雨のパレード、“若さゆえの行動力”を表現した瑞々しい新曲「Shoes」

雨のパレード | 2017.08.21

 8月23日にリリースされる雨のパレードの最新シングル「Shoes」は、彼らの今とこれからを指し示すような作品だ。関和亮監督のテレビ東京系ドラマ24『下北沢ダイハード』のエンディングテーマでもある表題曲「Shoes」はノスタルジックな雰囲気を湛えながら、モダンでミニマルなサウンドを志向している。日本のポップスの革命児として、戦略を携え虎視眈々と頂点を狙う彼らが切り開いた新たな地平--雨のパレードの向かう先をフロントマンの福永浩平(Vo)に話を訊いた。

EMTG:今日はまず春に行われたワンマンライブツアー2017「Change your pops」のお話から伺いたいのですが。
福永:昨年、列伝ツアーという4バンドで9箇所を廻るツアー(スペースシャワー列伝15周年記念公演 JAPAN TOUR 2016)に出させてもらったんですけど。ファイナルの場所がその時と一緒で。自分たちが1年後に、また同じ会場で今度はワンマンでできるっていうことがすごく幸せでしたね。
(ライブレポート参照:http://music.emtg.jp/liveReport/20170509857900ed5
EMTG:一歩ずつきちんと登って行っているという実感が得られた、と。
福永:そうですね。結構、その列伝ツアーからモードが変わって、春のワンマンツアーまでは正直、僕らの中で変に熱くなってた部分もあったと思うんですよ。でも、9月から始まるワンマンツアー『Untraveled』では、もっとクールに自分たちのオリジナルなライヴのスタイルを追求していきたいですね。
EMTG:次に目指すものが見えた?
福永:そうですね。自分たちのライヴ力はまだまだのりしろがあると思っていて。もっと格段に良くなれると。僕はライヴに踊りに行きたくて行くわけでもないし……まぁ、行ったら踊るんですけど(笑)。内面から湧き上がる何かを五感全部で共有できる、独特な空間ですから。もっともっと深いところで一体感を生むようなライヴが出来たらなって思ってます。
EMTG:今回のシングル表題曲「Shoes」になぞらえていうと、前作までのハングリーな雨のパレードというのは少し羽を休めて、サウンドとリリックがもっと隙間のあるリラックスした表現になっていますね。
福永:確かに「Shoes」に関しては、いい意味で力の抜けたアレンジだったり歌詞が書けたなって僕も思ってますね。とはいえ、カップリングの3曲は前のアルバムの『Change your pops』と同じ時にレコーディングをしていて。だから、ちょっと「Shoes」とはムードが違うかもしれないですね。
EMTG:「Shoes」は、現代的なミニマルなポップ・サウンドではあるんだけど、80年代から90年代後期のR&Bやポップスの匂いも強くしますね。
福永:今回は自分たちの中にあるノスタルジックな部分を強く出してみたいっていうのがあったんです。90年代後半から00年代にかけて、CDを沢山買っていた世代の人たちを振り向かせたいなって作戦もあって。あの時代に活躍していたアーティスト、例えば宇多田ヒカルさんとかって未だに20万枚とか売れたりするわけですよね。その層にリーチすることができたら強いなって思ってたんです。
EMTG:ただ「ノスタルジックな音をやりたいな」というだけではなくて、その点に関しては意識的に作品に落とし込んだわけですね。
福永:そうですね。音もそうなんですけど、MVも懐かしい感じってわかってもらえるようにディレクションして作ったり、CDの帯に関しても昔のLPみたいにすごく太いゴシックでカタカナで書いてみたりして。そういうところもきちんと意識しました。
EMTG:ジャケットも、ご自身でディレクションされたんですよね。
福永:自分としてはやりたかったことができたので嬉しく思ってます。これ、自分の靴なんですよ。上京してからずっと履いてたやつで、すげえ汚いんですけど(笑)。これ持って歩き回って一人で散歩しながら写真撮ってました。オレンジの枠がいいですよね。今、個人的にオレンジが流行ってる感じがあったから、アーティスト写真もオレンジで。
EMTG:音に関しても、もちろん意識的に作り込んだ。
福永:そうですね。特にシンセに関しては、音選びに関してかなりこだわりましたね。あの時代に流行っていたような音で自分たちがやってこなかったような、思わずクスッと笑ってしまうような古いアプローチをやってみたり。歌詞もさっき言った世代に響くようなリリックを意識して書きました。
EMTG:80年代後期~90年代のシンセ・ポップスのエッセンスと、音数の少ないモダンでミニマルなサウンドが見事に融合しているところが「Shoes」という曲の肝なのかな、と。
福永:音数は確かに少なくて。僕らのいま作っている楽曲も二極化してきてるんですよ。The xxみたいな曲とか、インディーR&Bみたいなものに寄ってる曲もあって。「Shoes」以降はノスタルジックな要素を持った曲も出来てきていますね。今回の「Shoes」はギターを弾いていないのですが、今作っている楽曲の中にはジョン・メイヤーみたいにバリバリ弾いてる楽曲もあったりします。
EMTG:福永さんのヴォーカリゼーションも随分、初期から変わりましたよね。もっとニュアンスやフィーリングを出すようなものに変化している。
福永:昔は本当にニュアンスを出したくなくて、フラットに歌っていたと思うんです。でも、最近はそれを楽しめるようになってきていて。新しい歌の先生がついたのも大きいと思います。理論に基づいた指導をしてくれるんです。
EMTG:歌詞についても伺いたいんですけど「Shoes」の歌詞には「汚れる」という言葉が象徴的に出てきますよね。これって「大人になる」という意味合いで昔から使われてきた表現だと思うんですけど。福永さんはこのフレーズをどのように捉えてますか?
福永:「汚れる」っていうのは、賢くなっていくって感じですかね。理解してしまったら、好奇心を無くしてしまうというか。わかったつもりになっても、本当はもっとわからないことだらけだし、今いるところから飛び出すこともできる。この曲で、違う世界に行けたらなって思いますね。
EMTG:汚れる前の自分って、どんな人間だったか覚えていますか?
福永:俺はすごくちっちゃい世界に生きていたような気がします。ここしかないって悩んでましたね。当時はすごく辛かったんだけど、今の自分からすると、もっと楽に考えられればよかったんじゃないのかなって思いますね。
EMTG:ご自身としても「汚れて」「賢く」なったという実感がある?
福永:うーん……というよりはこの曲は僕の青春映画論みたいなものを詰め込んだ感じなんですよね。実感ももちろん含まれてるけどある種、ベタな感じなんです。『シング・ストリート』とか『ウォールフラワー』みたいな映画にある、胸が熱くなる感覚。青春映画の主人公みたいに、今いる場所を捨てて行っちゃう若さゆえの行動力みたいなものをこの曲では表現したかったんです。
EMTG:ある種の定型みたいなものを踏まえつつ、ご自身の実感も交えて書かれたということですね。
福永:「You」以降、自分の過去の体験とかも歌詞に出せるようになってきたんです。過去を知ってもらうことって大事だと思うんです。初めて会う人でも、その人のバックグラウンドを知るだけで、その人が語る言葉の印象が変わったりするじゃないですか? だからこそ僕は自分の過去を自ら共有することによって、聴き手の人との距離を縮められたらいいなって思っていて。聴く人にそういうところから寄り添っていけたらなって思ってます。
EMTG:「Shoes」は、本当にこれからの雨のパレードの道筋を明るく照らすような楽曲で、次のアルバムを待ちきれなくなりました。
福永:さっきも言いましたけど、本当に自分たちの作る曲の二極化が進んでいるので、それがミックスされたアルバムになるんじゃないかなって思いますね。当初はハイファイなサウンドのアルバムを考えてたんですけど、もっとルーツ・ミュージック的な要素もあったりするので。そういうアルバムもありなのかなって思ってます。最近、Toro y Moiの『Boo Boo』を聴いて。それがめちゃくちゃよかったんですよ。質感や聴き心地はクールなんですけど、ノスタルジックな音で。目指したいところは近いなって思ってます。でも、全然違うものになるんだろうな(笑)。

【取材・文:小田部 仁】

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リリース情報

Shoes

Shoes

2017年08月23日

ビクターエンタテインメント

1.Shoes
2.Thunderbird
3.Voice
4.Hollow

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お知らせ

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■ライブ情報

ワンマンツアー2017「Untraveled」
09/09(土) 仙台darwin
09/13(水) 名古屋Electric Lady Land
09/19(火) 福岡DRUM Be-1
09/21(木) 大阪BIGCAT
09/22(金) 金沢AZ
09/24(日) 新木場STUDIO COAST
09/28(木) 札幌Sound Lab mole

※その他のライブ情報はオフィシャルサイトをご覧ください。

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