しっかり自分達を見つめ直せた。KANA-BOON 最新アルバム『NAMiDA』

KANA-BOON | 2017.09.22

 KANA-BOONが完全に新しいモードに突入したこと告げる、素晴らしいアルバムが完成した。タイトルは『NAMiDA』、シングル「Wake up」(映画「グッドモーニングショー」主題歌)、「Fighter」(アニメ「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」第2期オープニングテーマ)、「バトンロード」(アニメ「BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS」)を含む本作は、このバンドの武器であるドラマティックなメロディ、葛藤や後悔を乗り越えようとする意志を伝える歌をさらに向上させながら、ロックバンドとしてのパワーを体現してみせた充実作に仕上がっている。10月14日からスタートする1年半ぶりの全国ワンマンツアー『KANA-BOONのバイバイハローツアー 2017』も期待したい。

EMTG:ニューアルバム『NAMiDA』、素晴らしいです! KANA-BOON本来の魅力を増幅させながら、ロックバンドとしてのダイナミズムを感じさせつつ、様々な感情が繊細に表現されていて。これは明らかに最高傑作かと。
谷口鮪:嬉しいです。僕らにとってもすごい自信作なんですよ、今回は。大好きなアルバムになりましたね。
飯田祐馬:いまのバンドの空気感が詰まってるアルバムだと思うし、アルバムを聴いてもらえること自体がすごく嬉しくて。感無量です。
古賀隼斗:曲の作り方も変わったんですよ。いままではセッションで構築することが多かったんですけど、今回はデモの段階から鮪がギターやドラムのフレーズをかなり決め込んでいたから、それを聴きながらブラッシュアップして。プリプロの段階で楽曲を客観的に聴けたことで、まとまりが良くなったんじゃないかなと。メンバー個々の演奏の良さもいままで以上に出ていると思いますね。
小泉貴裕:自分自身も聴きたくなるアルバムになりました。メジャーデビュー以降は活動のスピードが速くて、自分たちの作品はライブの準備の為に聴くという感じだったんです。今回のアルバムは「好きだから聴く」という感覚が強いんですよね。聴くたびに良さを実感できるし、早くみなさんに届けたいです。
谷口:バンドのなかの状態もすごくいいですからね。アルバムを聴いてもらえれば「いまのKANA-BOONはいい雰囲気なんだな」って安心してもらえると思うし、同時に「すごいな、KANA-BOON」と思ってもらえるんじゃないかなと。このアルバムの制作を通して、僕ら自身がバンドのことを見つめ直せたのも大きいと思います。
EMTG:KANA-BOONの良さを再認識できた?
谷口:そうですね。たとえばメロディにしても、やっぱり特徴的だなって改めて思ったし。いまこいちゃん(小泉)も言ってましたけど、アルバムを聴くたびに「ここでこんなフレーズ弾いてるのか?」っていう発見があるんですよ(笑)。そのことでもっとKANA-BOONが好きになれたというか。
EMTG:「KANA-BOON」、いいバンドだなって?
谷口:そうですね(笑)。このタイミグでこういう感覚になれたのはすごく良かったし、この先の人生にも活きてくると思うんです。何よりも使い捨てじゃない音楽を作れていることが嬉しいですね。
EMTG:あと、このアルバムは音がいいですよね。
古賀:お、嬉しい。
谷口:まさにそうなんですよ。音楽に詳しい人はもちろんですけど、それほど詳しくない人が聴いても「カッコいい音やな」というのがわかると思っていて。ずっと音の太さがないことにコンプレックスを感じていたんですけど、今回はロックバンドらしい音になったなって。今回、レコーディングのスタジオを変えたんです。二―ヴというメーカーのミキシング・コンソールがあるスタジオで録ったんですけど、特にドラムの音が変わりましたね。
小泉:すごく満足してますね。全面的に良くなったと思うけど、いちばん変わったのはシンバルとハイハットなんです。ハイハットの細かいニュアンスもしっかり録れてるし、でも、ぜんぜんうるさい感じはなくて。「Ride on Natsu」のハイハットにはそれがすごく出てると思うので、ぜひ聴いてほしいですね。
谷口:最初にドラムの音を聴いたとき、衝撃やったもんな。
飯田:うん。ドラムの音が変われば、そこに乗せるベースの音も自然と変わってきて。以前はアルバムを通して一つの音でまとめることが多かったんだけど、今回は楽曲に合わせたベースの種類やアンプのヘッドを選んで「この曲には絶対にこれが合う」って決めることができたんです。制作期間をしっかり取れたおかげで、気持ちをしっかり整えてから本番のレコーディングに臨めたのも良かったですね。
古賀:アレンジの段階で「このフレーズはこの音色」って決めるんですけど、実際に鳴らしたときにどうなるかが大事で。今回の場合は、まずこいちゃんのドラムの音が良くなって、そこに乗る飯田のベースもすごく良くて。音の底上げがあったから、ギターの音もさらに向上できたと思うんですよね。
谷口:ベースとギターのダビングは僕の自宅でやってたんですよ。飯田とは「よし、やろう!」「よーい、ドン!」みたいな感じでワイワイやってて。
飯田:楽しかったです(笑)。昼から朝までやって、フラフラになりながら帰って。
谷口:次の日は古賀が来て、ギターを録って。古賀とはかなり事務的でしたね。「次はAメロやりましょうか」「はい」という感じで。
古賀:完全にエンジニアとプレイヤーでした。
EMTG:(笑)。歌詞についてもいくつか聞かせてください。まずは「涙」。アルバムのタイトル『NAMiDA』にもつながる歌ですね。
谷口:シングル以外の歌詞は最後にまとめて書いたんですけど、そのなかでも「涙」は早い段階で出来ていて、アルバムのリーダー的な存在かもしれないですね。内容はパーソナルな失恋の歌なんですよ。別の何かに例えるわけではなく、ストレートに失恋を歌うっていう。そういう書き方をしたのは久しぶりだったかもしれないですね。初期の頃は過去の“失恋貯金”をもとにして書いてたんですけど…。
EMTG:一度の失恋でアルバム2枚分くらいの歌詞を書いてましたからね。
古賀:ははははは。
谷口:(笑)。当時の自分の感情の中心でしたからね、それが。メジャーデビュー以降はバンドのことを歌うことも増えたし、聴く人を思い浮かべて歌詞を書くことも多くなって。どんどん広く、大きくなっていたんですけど、「涙」みたいなミニマムな感じもいいなって改めて思いましたね。すごくリアルだけど、独りよがりになっていないというか。
古賀:こういう恋愛の歌は鮪らしいなって思いますね。
EMTG:アルバムの最後に入っている「それでも僕らは願っているよ」も印象的でした。まさにバンドの“これから”が歌われていて。
谷口:はい。もうライブでやってるんですけど、いまのKANA-BOONを背負ってくれてる曲だし、自分たちの意思表示でもあると思います。自分自身もそうだし、バンド全体としてもそうなんだけど、人との向き合い方が変わってきたんですよね。音楽を届ける相手がはっきりしてきたというか…。去年のリクエストワンマン(11月から12月にかけて行われた「KANA-BOON冬のワンマンライブ ~セットリストはぼく・わたしにまかせな祭~」)をやったときに「まずはこの人たちに音楽を届けるべきやな」と思ったんです。デビュー後はより多くの人にアプローチすることを続けていたんですけど、それだけでは良くないなと。真っ先に音楽を届けるべき人たちが見えたことは、今回のアルバムにもつながっていると思います。フェスやイベントでも「目の前の人にしっかり音楽を伝えよう」と意識するようになったので。
EMTG:KANA-BOONはデビュー前後からのスタートダッシュがすごかったからね。ここにきてようやく、しっかり周りを見られるようになったのかも。
谷口:そうですね。必死で走ってたときはバンドの軋み、ほつれみたいなものには気が付かないので。もちろん、そのときの経験もすごく活きてますけどね。ハイペースで曲をしっかり作れることもそうだし、意外とスタミナがあるなとか、みんなわりとタフだなとか。自分たちがやりたいことを実現するためには、タフさがないとダメってことも最近気付いたことなので。
EMTG:10月から始まる全国ツアーも、いいテンションで臨めそうですね。
谷口:はい。いまの自分たちをしっかり伝えられるワンマンになると思うし、会場に来てくれた人たちにもたくさんのものを持って帰ってもらえるんじゃないかなって。ライブでやってこそ伝わる曲ばかりだし、一歩踏み込んだツアーになると思います。
古賀:ワンマンツアーは1年半ぶりで、かなり久しぶりなんですよね。フェスやイベントでも気持ちを込めたライブをやれているので、メンバー同士でミーティングしながら、1本1本しっかりやっていきたいです。
小泉:いいアルバムが出来たので、それをみんなに届けられるのがとにかく嬉しくて。制作期間が長かったぶん、曲と自分たちの距離も近いでの、いい感じでやれると思いますね。
飯田:ライブはもちろんですけど、ラジオだったり、こういう取材も当たり前じゃないんだっていう気持ちが強くて。それをしっかり噛みしめながらツアーに挑みたいと思ってます。

【取材・文:森朋之】

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リリース情報

NAMiDA

NAMiDA

2017年09月27日

Ki/oon Music

1. ディストラクションビートミュージック
2. 人間砂漠
3. Fighter
4. way back no way back
5. バイバイハロー
6. 涙
7. Wake up
8. Ride on Natsu
9. ラストナンバー
10. バトンロード
11. 一番星
12. それでも僕らは願っているよ

お知らせ

■コメント動画



■ライブ情報

KANA-BOONのバイバイハローツアー 2017
10/14(土) 大阪 Zepp Osaka Bayside
10/15(日) 大阪 Zepp Osaka Bayside
10/19(木) 東京 Zepp Tokyo
10/20(金) 東京 Zepp Tokyo
10/28(土) 宮城 仙台PIT
11/04(土) 石川 金沢EIGHT HALL
11/05(日) 長野 CLUB JUNK BOX
11/10(金) 鳥取 米子 AZTiC laughs
11/11(土) 広島 BLUE LIVE
11/18(土) 愛媛 松山 SALONKITTY
11/19(日) 香川 高松 festhalle
11/23(木・祝) 北海道 札幌 Zepp Sapporo
11/25(土) 新潟 LOTS
11/30(木) 愛知 Zepp Nagoya
12/01(金) 愛知 Zepp Nagoya
12/08(金) 福岡 DRUM LOGOS
12/09(土) 福岡 DRUM LOGOS
12/16(土) 山口 周南 RISING HALL
12/17(日) 岡山 CRAZYMAMA KINGDOM

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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