マカロニえんぴつが啓示する、今の時代あえて、速さや勢いに頼らない良質なポップソングス

マカロニえんぴつ | 2017.11.30

 ここまで良質なポップス・アルバムを完成させるとは…。正直、彼らが今作で見せた飛躍には、かなり驚かされた。全国ツアー、ドラマーの脱退、初のフルアルバムの制作と完成...。2017年のマカロニえんぴつは、これまでの活動の中でも最も様々なドキュメントを経た1年となった。そして、その大変さや困難を笑顔で乗り越えられた分、この1stフルアルバム『CHOSYOKU』は、「これぞ今の自分たち!!」との自信と誇りを持って燦然と輝いている。そんな今作は現行メンバーの更なる団結力や各人の協力体制、補完や新要素を交え完成に至ったもの。いわばメンバー全員で作り上げた1枚だ。以前に比べ、速さや勢いに頼らない、メロディと歌世界を更に重視した、幅広い人に伝わりやすく、想いを重ねたくさせる楽曲が並んだ今作。これまで以上の音色の豊富さや自分たち以外の楽器の活用等も手伝い、良質なポップスバンドへと飛躍を遂げた作風印象も興味深い。次から次へと飛び出してくる幅広いその良質なポップソングの数々に、是非耳を奪われ、歌物語の続きを自身の中に展開して欲しい!!

EMTG:それにしても2017年はドラマーの脱退や初のアルバムの制作や発表等、色々とあった年でしたね。
はっとり:けっこうしんどい1年でした(笑)。実はドラマーの脱退は春には決まっていたんです。「辞めたい」と告げられた時点で、既にアルバムの制作まで決定していて。サポートドラムのあてもあまり無く、曲もその時点ではそこまで無かったんで、当初は、“バンドとして、今後どうなっちゃうんだろう…?”との不安もありました。
田辺:脱退したサティ(元ドラムの佐藤"Satie"雅祥)が、はっとりの次に曲を書いていましたからね。
EMTG:「このアルバムやツアーが終わるまで在籍」との話にはならなかったんですか?
はっとり:「今作まで叩いて欲しい」というのは、お互い考えにありませんでした。やはり今後に繋がるものを作りたかったので。あえてこの4人で、いわば新しいバンドになる覚悟でアルバム制作には入りました。
田辺:それがあったからこそ、逆にバンドの中での意識の変化も芽生えたんです。結果、バンドがまた更に固まったり、よりメンバ―同士の絆や共同性の意識も高まりましたからね。
はっとり:当然、僕1人では曲も間に合わなかったんで、今回は(高野)賢也や(長谷川)大ちゃんが作った曲を入れたり。以前から「いづれは作ろう」レベルの話はしてましたが、今回、急遽ケツを叩いて作ってもらいました(笑)。
長谷川:自分からやらなきゃという発信的な気持ちが自然と生まれたんです。それこそ曲も、はっとり以外のメンバーが作ったのももちろんですが、アレンジも4人で固めていきましたから。
はっとり:落ち込んでるヒマすらなかったですから(笑)。でも不安な反面、どこかワクワクしている自分もいたりして。
EMTG:それは?
はっとり:不謹慎かもしれませんが、こういった窮地が好きだし、そんな時には火事場のバカ力が生まれたりするんです。追い込まれた方が曲もヒリヒリしたものが作れるし。あの時は、"いま一度試されているんだろな…"って。"終わるのか?""変わるのか?"…"いや、変われる!"との妙な自信もあったし。
高野:逆にチャンスとさえ思いましたから。これを機会に作曲の座を俺が乗っ取るちゃおうかな?ぐらい(笑)。
はっとり:今、さらっと恐ろしいこと言ったよね(笑)?
高野:(笑)。
長谷川:自分がこのバンドに居る意味を今一度改めて考える機会でもありましたからね。そういった意味では、今回のアルバムでの自分なりの存在感は出せたのかなって。作曲に関しても、自分が何かをしないと始まらないって自覚したから始めたことだったし。まっ、俺も、"このバンドを独占してやろうかな?"との思いが一瞬頭をかすめましたけど(笑)。
一同:(笑)。
EMTG:(笑)。今作を聴いて、“うわっ、変わった!"と感じたのは、それらもあってのことだったんでしょうね。
はっとり:いい意味で開き直れたんです。「好きなことをやろう!」って。<なるようになれ!!>じゃないけど、こういった具合に僕以外のメンバーも曲を作り始めたし、無理して「変わっていないぜ」と強がるよりは、「変わったけど、これからもよろしく!」みたいな。
EMTG:作品全体として、速さに頼らない楽曲の割合がかなり増えた印象を持ちました。
はっとり:曲作りに関しては逆に自由にジャンルレスになれました。今の自分たちが作りたいテンポ感で、やりたいことを表した結果がこれだったんです。
田辺:それこそ今回はやりたいことをやらせてもらいましたからね。
はっとり:歌にしても、これまではどうにもならないことや過去にすがってしまっている主人公たちが、それでも前に進もうともがいている葛藤みたいなものを、あえて明るい曲調で歌うのが僕らの一つのアイデンティティだったんです。でも今回は、その辺りは保持しつつ、歌詞の面では今のこの脱退等を経たことで、全体的なテーマとして、別れみたいなものを今一度見つめ直したアルバムになったかなって。なので、別れとその先みたいなものを感じられる曲が多いと思うんです。「ミスター・ブルースカイ」なんて、まさにそんな曲ですから。
EMTG:分かります。あの曲で歌われている青空には、曇ったり、雨が降った後だからこその尊さや貴重さや大切さがあります。
はっとり:台風一過のような、ね。この「ミスター・ブルースカイ」の答え合わせじゃないけど、各曲、統一的なテーマとしての別れについてがあるんです。だけど、同じような視点で全てとらえちゃったら、くどいし重いだろうと。なので、どの曲も違うシチュエーションやテーマ、それぞれ違ったストーリーを持つ曲にしてみました。
高野:僕はとにかく今回のアルバムは歌詞がいいなって。歌詞が凄く入ってくるんですよね。たぶんその辺りも、ミディアムな曲調が増えたことにも関係しているんでしょうね。
はっとり:実はミディアムな曲の方が僕ら的にも得意だったりするんです。だけど、それだと今の時代、聴いてもらえないんじゃないか?との不安もあり、どこか踏み切れずにいたんです。でも、今回は開き直って、"じゃあ一度、得意なところで勝負してみよう!!"と。
EMTG:とは言え、アップテンポの曲とミディアムな曲の配置や流れも良く、これまで以上に幅広い人に受け入れられるポテンシャルを非常に感じました。
はっとり:前半の聴きやすい曲で入ってもらい、中盤からもっとマカロニえんぴつの深いところに誘う。そんな曲順にしてみました。始めましての人にも素通りして欲しくなかったんで。自分で言うのもなんですが、これまで「ポップだ」「ポップだ」と言われてきましたが、今作でより良質なポップさを打ち出せた自負はあります。
田辺:アレンジにしても歌を活かすアレンジがようやく出来たかなって。今回は歌が前面に出て、且つ演奏もしっかりと存在させる最低限の音数まで絞りましたから。
はっとり:その最適な音数って、大学4年でしっかり学んできたはずなのに...。ここに来て、ようやく当時先生がおっしゃっていたことが理解できました(笑)。今、このアルバムの中の曲と並行して昔の曲をやると、昔は凄くごちゃごちゃした曲だったことを痛感します。いい意味でシンプルになったし、成長できてたんだなって。
高野:だけど、最初は若干の不安もありましたよ。いつもよりかなり音数も減らしたんで。今までのギャップからくる物足りなさも含め、"これで伝わるんだろうか…"って。でも結果、これでいいんだなって。何度も繰り返し聴きたくなる楽曲や作品が出来たと自分でも思います。
EMTG:今回は音色にしても各曲の雰囲気に合った使い分けも印象的でした。中にはチェンバロの音を導入して、それが程よいノスタルジックさを醸し出していたり。
長谷川:僕、クラシックをかじっていたんで、そこも出しつつ。
はっとり:それらを、けしてオタッキーにならず分かりやすくポップスに融合させている。そこがポイントかなと。
EMTG:音色と言えば、今作ではストリングスも導入してますね。
はっとり:「春の嵐」に入れてみました。初めての試みだったし、興奮しましたね。
長谷川:音大時代の先輩にお願いして弾いてもらったんです。
はっとり:おかげさまで、あれがあることでより耳に引っかかる曲になりました。ストリングスの人たちが弾いているのを見て初めて、"あっ、自分たちが、これまでと違うことをやろうとしている!"と実感も出来ました。次のフェイズに向かってる感が湧いてきたというか…。ここまでメンバーだけでやっていたものが、他の方にも参加してもらうことで、より世界が広がっていくのが見えたんです。他の人も巻き込み、より作品が良いものになっていくのを実感できたんです。なので、今後は楽曲をより良くする為に、色々な人たちとやってもいいかなって。
EMTG:最後に2018年のマカロニえんぴつの抱負を訊かせて下さい。
はっとり:先のことを思い描けないタイプなんで、来年も一歩一歩必死にやるだけです。このアルバムが相当いい内容になったし、良質なポップソングが詰まっている自負があるので、次はライヴで、この作品を上回るものを魅せたいですね。

【取材・文:池田スカオ和宏】

tag一覧 J-POP アルバム インタビュー 男性ボーカル マカロニえんぴつ

リリース情報

CHOSYOKU

CHOSYOKU

2017年12月06日

TALTO/murffin discs

01. ミスター・ブルースカイ
02. 夏恋センセイション
03. MAR-Z
04. girl my friend
05. MUSIC
06. クールな女
07. 夕色
08. 眺めがいいね
09. 洗濯機と君とラヂオ
10. イランイラン
11. 春の嵐

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田辺
楽器の通販サイト
僕、ヴィンテージの機材が凄く好きで。何か掘り出し物はないかな...と定期的にパトロールしています。今、ギターのエフェクターでワウペダルを探していて。ワウペダルが個人的に大好きなんです。1960年~70年代のイタリア製のものを探しているんですが、たまに出るんですけど、むっちゃ高いんですよね。

はっとり
家具
最近、引っ越したんです。楽器や機材があるからどうしても部屋が狭くなっちゃうんですよね。なので、普通の丈のベッドだと部屋に置くスペースが無くて。で、調べていたら、「ショート丈ベッド」という、160cmぐらいで寝ると足がちょっと出るぐらいのベッドを見つけたんです。そのベッドを買おうと。これで身の丈を知れるってもんです(笑)。

長谷川
エレクトーン
逆に僕は今度引っ越そうと思っていて。オークションで色々と楽器を売る準備をしています。とは言え、まずは売る前にその相場を色々と調べていて。中でも100万円のエレクトーンを売りたいんですけど、中古の相場だと8万ぐらいなんですよね…。デジタルはヴィンテージでも中古価格って安いんです。

高野
アニメ
僕、アニメが好きで。作品ももちろんですが、それを描く人やキャラクターデザインをしている人たち、背景を描く人や美術を担当している方々のことも好きなんです。アニメを観た時に、"あれっ、この絵って、あの人が作画しているのでは…"と。そこから調べて「合ってた」「ハズれた」とやってます。


■ライブ情報

ドラマストアpre. ラストダイアリーツアーファイナル
12/15(金) 渋谷eggman

新宿ロフトの年末大感謝祭2017
12/27(水) 新宿ロフト

謹賀魂KINDAMA’17-’18
12/31(日) umeda TRAD&梅田クラブクアトロ

TEDDY pre.【Locus tour 『そうだ、地元に帰ろうフェス』】
2018/01/06(土) 渋谷 TUTAYA O-CREST

「マカロックツアーvol.5~朝食抜いたら超SHOCK篇~」
2018/03/30(金) 仙台enn 3rd
2018/04/01(日) 北海道SOUND CRUE
2018/04/06(金) 広島BACK BEAT
2018/04/07(土) 名古屋CLUB ROCK’N’ROLL(ワンマン公演)
2018/04/08(日) 新潟GOLDEN PIGS
2018/04/12(木) 高松TOONICE
2018/04/14(土) 福岡Queblick
2018/04/15(日) 大阪LIVE SQUARE 2nd LINE(ワンマン公演)
2018/04/19(木) 渋谷CLUB QUATTRO

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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