「新世代シティポップ」の担い手RAMMELLS、アルバム『Authentic』で待望のメジャーデビュー!

RAMMELLS | 2017.12.05

 2015年8月から活動をスタートさせ、着々と幅広いリスナーの心を掴んできたRAMMELLSが、ついにアルバム『Authentic』でメジャーデビューする。スタイリッシュなブラックミュージック的な風味を香らせつつ、プログレッシブな展開やアグレッシブな轟音なども絶妙な配分で添加している1枚だ。メンバー全員がソングライティングを手がけ、共作を積極的に行って生んだ多彩さも、とてもワクワクさせてくれる。「新世代シティポップ」を担う存在としても注目を集めている彼らにバンド結成の経緯、音楽性の背景、アルバムの制作エピソードについて語ってもらった。

EMTG:真田さんがもともと組んでいたOLD JOEの解散後に、RAMMELLSを結成したんですよね?
真田徹(Gt):そうです。具体的に「こういう音楽をやろう」というのは決めていなかったんですけど、黒田さんに声をかけてみて始まった感じです。
EMTG:黒田さんと村山さんは、同じ音楽大学に通っていたそうですが、「いつか一緒にバンドをやりたいな?」と学生の頃から思っていたんでしょうか?
真田:黒田さんはそうなんですけど……村山くんはそうでもなかったです(笑)。村山くんは学生の頃にメタルばっかりやっていたので。
村山努(Ba):音楽大学の学生の中にも、メタルが好きなのが何人かいるんです。その小さいコミュニティでメタルをやっていたんですよ。
黒田秋子(Vo・Key):もともとメタル指向だったの?
村山:在学中の1年ちょっとくらいは。
真田:スリップノットのコピバンやってたもんね?
村山:うん。スリップノットのコピバンは誘われてやり始めたんですけど、ちゃんとお面を作っていました。
黒田:そうだったんだ(笑)。
真田:あのコピバン、ドラム缶を叩くだけの人もいたもん(笑)。
EMTG:(笑)活動初期は、メンバー同士でどんなことを話し合っていました?
黒田:徹が先の予定について明確に言っていたのを覚えています。
真田:「○年○月までに事務所に所属して、CDの全国流通をさせる」とか、そういうことを一つひとつ考えて行動していましたね。ほぼ予定通りになりました(笑)。
黒田:メジャーデビューは考えていたよりも早かったんですけど、それ以外のプロセスは、割と計画的に進んできたのかなと思います。
EMTG:彦坂さんは、去年、加入したんですよね?
彦坂玄(Dr):そうです。僕はRAMMELLSの結成より前に、1回だけ村山さんと共演したことがあったんです。その2年後くらいに、急に連絡が来て、「こういうバンドをやっているんだけど、サポートで叩きませんか?」と。それがきっかけで加入することになりました。
真田:リズム隊の2人が上手ければ、僕と黒田さんの自由度が高いと思っているんです。上手さだけでこの2人を誘ったわけではないんですけど、僕は一緒にやれてラッキーだなと感じています。
彦坂:ありがとうございます(笑)。
EMTG:しっかりしたリズム隊がいるからこそ、スタイリッシュなサウンドを奏でる一方で、暴れるところはすごく暴れられるわけですね。
真田:そうなんですよ。リズム隊がちゃんとしていないと、暴れた時に本当にとっ散らかっちゃいますから。
EMTG:音楽的な部分に関しては、ブラックミュージック的なものが土台になっているバンドであるという印象がするんですが、それは自然と辿り着いているものなんですか?
真田:おそらくそうなんだと思います。
黒田:このバンドを始める時に、徹が思うこれから人気が出そうなバンド、好きなバンドの曲が入ったUSBを貰ったんです。それを聴いて思った「こういう感じのことをやりたいんだろうな」というのは、シューゲイザーとカントリーでした。
真田:カントリー? それは意外(笑)。
彦坂:ウィルコを聴いてそう思ったのかな?
黒田:そうかも。そういう感じもありつつ、「ギターはうるさい」みたいなイメージでした。でも、Chiripon(村山)が入って、その辺は変わっていったんですよね。彼はブラックミュージックが好きなので。
EMTG:シューゲイザーという単語が出てきたのは意外なんですけど。
真田:僕はシューゲイザーバンドをやりたかったんです(笑)。でも、こうなっていくのがバンドの面白さですね。
EMTG:タキシードを着てジェントリーにキメていると思ったら、突然ネクタイを頭に巻いて暴れ出すような音楽として、僕はRAMMELLSを捉えているんですけど。
真田:はい(笑)。そんな感じです。湘南在住ですし。
彦坂:それ、関係あるの?(笑)。
EMTG:(笑)多彩な要素が不思議な形で融合しているという印象です。湘南エリアは、いろんなミュージシャンが育っていますけど、やはり独特なカルチャーがあるんですか?
真田:一番思うのは、都内の友だちよりも地元の友だちの方が音楽に詳しいっていうことですね。それは高校生の頃から思っていました。だからいろんなものを自分の音楽に落とし込める人が多い気はしています。
EMTG:高校時代から一緒にOLD JOEをやっていたSuchmosのYONCEさんは、まさにそういう地元の友だちだったわけですね?
真田:はい。でも、あいつよりも僕の方が音楽に詳しかったです(笑)。
EMTG:(笑)では、デビューアルバム『Authentic』のお話をしましょう。「2way traffic」は、ライブで既にやっていますけど、メンバー全員で作曲したんですね。
黒田:はい。全員で作ったのは初めてです。
彦坂:今年に入ってから、みんなで曲を作ることになったんですけど、この曲はまず僕がドラムパターンを持っていったんです。「ずっと同じこと叩いてるから、みんな何かつけてみて」と。そういう中で形になったのが「2way traffic」でした。ライブの度にいろいろ構成が変化していった曲でもあります。
EMTG:歌詞は、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のイメージで書いたそうですね。
黒田:はい(笑)。イントロのリフを聴いた時に、あの映画に出てくる火を噴くギターの人が思い浮かんだんですよ。
EMTG:ワイルドな要素も入りつつ、メッセージ性もこめられた歌詞ですね。「正しいことも間違ったことも、強さも弱さもそのまま抱えて進みたい」という想いが伝わってきます。
黒田:今年1年でそういうことをすごく感じたんです。それが今回のアルバム全体にはすごく表れていると思います。
EMTG:アルバムの全体像に関しては、具体的なテーマやコンセプトはあったんでしょうか?
彦坂:コンセプトを決めてから作ったのではなくて、みんなが持ち寄った20曲以上の中からチョイスしていった結果、こういうアルバムになりました。
EMTG:メンバー全員がソングライティングをしたからこそ、多彩な作風を発揮した1枚にもなったわけですね。
黒田:そうなんだと思います。今回は特にメンバー同士の共作もたくさんできましたし。一緒に作るのは、何が来るのかわからない面白さがありました。
EMTG:例えば、「CHERRY」の詞と曲は、黒田さんと真田さんの共作ですが、穏やかで温かなものに包まれる心地よさがあります。
黒田:「CHERRY」は、徹がトラックを持ってきてくれて、それに私がメロをつけました。歌詞の共作はあんまりしたことがないんですけど、この曲でやってみて面白かったです。
真田:共作を僕も楽しみましたね。例えば「swim」は、僕がトラックを作って、歌詞とメロディは黒田がつけたんですけど、予想外のものになっていく面白さがありました。
EMTG:RAMMELLSの音楽は、1曲の中にいろんな要素が入りますよね。めまぐるしく展開する曲もありますし。
村山:僕は場面転換をするのが好きなんですよ。長い曲の中で何回も場面転換するプログレも好きですから。同じ曲調のままなのは、弾いていても飽きちゃうんです。
黒田:「CHERRY」のDメロも、Chiripon(村山)が「ここで転調しよう」って言って、ああなったんです。
EMTG:展開の面白さという点で言うと、「authentic」がまさにそうですね。
村山:はい。その曲も、いい場面転換ができています。
彦坂:涼し気な顔をしてそういうことをするバンドです。リハーサルで「難しい!」って、いつもなっているんですけど(笑)。
EMTG:(笑)「HERO」は、屋敷豪太さんが参加したそうですが、この曲も刺激的です。
彦坂:これは最初に僕が作った曲です。バンド内ではフィットするアレンジを思いつかなくて、豪太さんにお願いすることになったんですよ。すごく勉強をさせて頂きました。
EMTG:歌詞は黒田さんが手がけていますが、ウサイン・ボルトのイメージが入っているそうですね。
黒田:はい。私は日常と繋げて歌詞を書くことが多いんです。この曲は、まず《you are my hero》というフレーズが出てきて、「ヒーローって何かなあ?」って考えてた時に、たまたまボルトの引退試合をやっていたんです。
EMTG:歌詞の面白さもあるバンドですね。「slow dance」は、爽やかなギターロック風味ですけど、歌詞は毒がさりげなく利いているのが粋だと思いました。
真田:爽やかになっちゃったので、歌詞でちょっと尖ってみようかなと思ったんです。
EMTG:《隠す棘は心にある》という不敵なフレーズが印象的です。
真田:ありがとうございます。
黒田:《隠す棘は心にある》って言ってる時点で隠してないけど(笑)。
EMTG:「俺は忍者だ!」って言うようなもんですね。
彦坂:それ、全然忍んでないですもんね(笑)。
EMTG:(笑)真田さんは「バンド結成時に計画を立てた」と先ほどおっしゃっていましたけど、いい意味で計画や予想を超えたバンドに進化した部分もあるんじゃないですか?
真田:そうですね。最初はリズム隊も、簡単な8ビートでいいと思っていたくらいなので。「あとは俺のシューゲイザーギターで持ってくから」って思ってたんですけど。
彦坂:全然違う感じになってる(笑)。
真田:うん。自分を主張しないリズム隊が加入してたら、RAMMELLSはシューゲイザーバンドになっていたと思います。
EMTG:「湘南から現れたマイ・ブラッディ・ヴァレンタイン」とか言われていたんですかね?
真田:そうだったかもしれません(笑)。
EMTG:(笑)このアルバムでメジャーデビューですが、どんな活動をしていきたいと思っていますか?
彦坂:年齢が倍くらい離れた人とかにも聴いてもらえるようになりたいです。あと、ませた中高生にも聴いてもらいたいですね。
村山:新しいこともやりつつ、今のスタイルも大事にしてきたいです。これから先のカルチャーも作っていけたらいいなあっていうことも思います。
黒田:いろんなことに対して意欲的でありたいです。ライブバンドでもあり続けたいので、たくさんの人に聴いてもらえる機会を増やしていきたいです。
真田:何年か経ってから聴いても懐メロにはならず、「昔の曲だけど古く感じない」っていう音楽を作っていきたいと思っています。

【取材・文:田中 大】

リリース情報

Authentic

Authentic

2017年12月06日

日本クラウン

01. image
02. 2way traffic
03. swim
04. slow dance
05. authentic
06. CHERRY
07. AMY
08. playground
09. HERO
10. daybreak

お知らせ

■コメント動画




RAMMELLS Debut Album「Authentic」トレーラー映像

RAMMELLS「CHERRY」MUSIC VIDEO

RAMMELLS「2way traffic」MUSIC VIDEO




■ライブ情報

FMK×熊本B.9 LIVE FIRE KUMAMOTO YATTERUKAN!!!
2017/12/08(金) 熊本B.9

RAMMELLSアルバム「Authentic」発売記念ミニライブ&特典会
2017/12/09(土) タワーレコード福岡パルコ店
2017/12/10(日) タワーレコード池袋店
※イベント詳細はこちら:http://www.crownrecord.co.jp/artist/rammells/whats.html

『 MAKUAKE 幕開け 』
2017/12/30(土) 下北沢GARAGE

荒吐宵祭 新春カレーなるバンド天国
2018/01/07(日) 仙台Rensa

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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