寺岡呼人 年齢を重ねた今がありのままに反映された、大人のロックンロール

寺岡呼人 | 2018.02.07

 様々なアーティストの作品のプロデュースを手掛け、JUN SKY WALKER(S)のベーシストとしても活躍している寺岡呼人が、1年6ヶ月ぶりとなるアルバムをリリースする。タイトルは『LOVE=UNLIMITED』。年齢を重ねる中で深まる愛、豊かな色合いを帯びていく魂が、ありのままに反映されている1枚だ。多彩なサウンド、心温まる物語、斬新なコラボレーションも満載の今作について、本人に語ってもらった。

EMTG:今回のアルバムを作るにあたって、イメージしていたコンセプトやテーマはありましたか?
寺岡呼人(以下寺岡):コンセプトとかはいつも考えずに作るんです。今回のアルバムも、その時々で考えていることや、日常の断片の集合体ですね。それがたまたま50歳を間もなく迎える男の愛だったり、家族への愛だったりしたので、タイトルを『LOVE=UNLIMITED』にしました。自然体で作りつつも、表現したいことに対して、すごくフォーカスすることができましたし、やり続けるのが必要であることを改めて感じたアルバムでもあります。
EMTG:サウンド面に関しては、少年時代に好きだったものも含めて、すごく素直に反映している印象がしたんですけど、いかがでしょうか?
寺岡:そうですね。流行りのものを採り入れようとかは特に考えずに、フラットな姿勢で作っていった結果、そういうものになったんだと思います。
EMTG:例えば、「大人はEぜ!」は、RCサクセションへのオマージュ的な要素が反映されていますよね?
寺岡:はい。RCっぽくやろうと思ってたわけではないんですけど、そういう部分も入りました。昨年、藤木直人くんの曲をプロデュースさせてもらったんですけど、その時に“彼に大人のロックを歌ってもらったら、どんな感じなんだろう?”って思って作ったものが、この曲の原形です。“キーがEだし……”というので、RCへのオマージュにすることを考えました。
EMTG:RCの「キモちE」と、「つ・き・あ・い・た・い」をイメージさせる要素が入った歌詞ですね。《アレ》って「つ・き・あ・い・た・い」にも出てくるワードですし。
寺岡:RCはすごく好きですからね。でも、忌野清志郎さんがあまりにもオンリーワン過ぎて、自分の中でRC的なものって、ずっと作れずにいたんです。「大人はEぜ!」も、RCとは曲調が違うんですけど、こういう形でオマージュができて良かったです。
EMTG:1曲1曲を楽しみながら作っていった部分も大きいですか?
寺岡:そうですね。あと、毎年、休まずライブをやる中で感じた、“こういう曲もあったらいいな”とか、“こういうことにもトライしてみたい”というのも反映されています。
EMTG:呼人さんと同世代のリスナーが共感できる作品であると同時に、若い人が“大人って、こういうことを思ってるんだな”と感じられる1枚にもなっていると思います。
寺岡:ロックンロールは1950年代にティーンエイジャーがティーンエイジャーに向かって歌う、“大人とは違うぜ”というジャンルだったと思うんです。でも、10代が10代のリアルを歌うのと同じように、年齢を重ねるにしたがって、その時のリアルを歌うのもロックンロールなんですよね。例えば「僕は、君にもう一度恋をする」は、少しアメリカンポップス的な曲調ですけど、50年代にリーゼントとポニーテールで、車に乗ってデートしていたカップルが年齢を重ねているようなイメージで作った曲です。様々なことに対する考え方は、年齢によって変わっていくところもありますけど、そういうのを素直に表現していくことが大事なのかなと思っています。
EMTG:「僕は、君にもう一度恋をする」の《きっと、たぶん、そのうち、、、》という言い切らない表現が漂わせる優しさは、さだまさしさんに通ずるものも感じました。
寺岡:なるほど(笑)。さださんイズムのようなものは、ここ数年の僕がすごく影響されているものです。だから自ずと出るんだと思います。
EMTG:さださんがご自身のルーツになっているというのは、昔から感じていました?
寺岡:気づいていなかったです。でも、20代の後半辺りでさださんの音楽を聴き直して、“すごいなあ。こういう音楽が今の日本に足りないなあ”って思ったんですよね。そういうのが、他のアーティストをプロデュースする際も反映されるようになりました。「トイレの神様」(シンガーソングライター・植村花菜の10thシングル)は、そういうのがまさに結実した曲ですね。
EMTG:「リライト」も、とても温かいものを感じる曲です。
寺岡:年齢を重ねても誰かに影響されたり、人生観が変わったりする大人って素敵だなと僕は思うんです。音楽をやる上で、その感覚がなくなると成長できない気がします。スタイルとしての硬派なロックというのもありますけど、いろんな音楽を吸収して実を結んでいく“自分なりのロック”っていうのがいいなと思います。
EMTG:いろんな方々のプロデュースをしながら影響されることも多いですよね?
寺岡:はい。プロデュースをしていると、いろんな発見がありますから。
EMTG:「パパのお弁当」を共作したKさんとも、様々な発見をできる関係性を築いているようですね。
寺岡:本当にそう思います。「パパのお弁当」は詞先で書いて、Kくんが曲をつけてくれたんです。昨年、Kくんといろいろ曲を作った中、これは収録されなかったんですけど、いい曲なので、僕が歌うことにしました。歌詞は知人の話をもとにしています。主人公が女の子なので、僕のようなおじさんが歌っていいのかなと思いましたけど(笑)。
EMTG:(笑)今作は、呼人さんの人生観が窺われる曲がいろいろ収録されているのも興味深いです。例えば「種まき人」は、1人の人間として世の中に何を残していけるのかを描いているのが印象的ですし、「愛ノウタ~Love Unlimited~」は、“愛”というものが持っている一筋縄ではいかなさを、温かく見つめている曲として受け止めました。
寺岡:人類が誕生してから、ずっと変わらないことってあるんだと思います。その1つが男女のことだったり、愛なのかなと思うんですよね。僕は落語が好きなんですけど、落語にもそういう人間の変わらない部分を感じます。「愛ノウタ~Love Unlimited~」や「種まき人」は、そういうことを描けたと思っています。
EMTG:落語は、昔から好きだったんですか?
寺岡:ここ5、6年です。最初に柳家小三治さんの独演会に行くようになって、他の方々も観に行くようになったんです。
EMTG:ボーナストラックの「仕舞支度 feat.春風亭一之輔」は、そういうご縁から生まれたコラボレーションですね。
寺岡:はい。「仕舞支度」が出来上がった時から、一之輔さんにフィーチャリングで参加して頂きたいなと思っていたんですけど、なかなか言い出せずにいたんです。でも、レコーディングの締め切り間際にお会いする機会があったので、思いきってお願いしました。“音が流れてると話せない”ということで、ストップウォッチで時間を計りながらのレコーディングでしたね。僕は一之輔さんの大ファンなので、とても感激しました。
EMTG:「仕舞支度」は、人生が終盤に差し掛かってきた年齢の人が、身辺整理について考え始める曲ですけど、斬新なテーマだと思いました。
寺岡:僕より年齢が上の人に“そんなことを考えるのはまだ早いよ”って言われますけど、こういうことを考えたりもするんです。ちょっと昔だったら、会社員の定年は55歳だったわけですし、“この先の人生で何ができるんだろう?”って、ふと考えることがあります。そういうのがきっかけで作ったのが「仕舞支度」です。
EMTG:“この年齢だから、落ち着かなきゃ”とか考えたりすることは、ありますか?
寺岡:あんまり年齢を意識したりはしないです。それよりも、やんちゃで、青くさいことに挑戦していきたいなと思っていますね。特にソロは自分のパーソナルな部分や、やんちゃなことを試せる場なので、なるべくそういう風にやっていきたいです。
EMTG:「サウンド・オブ・ミュージック」のような音楽讃歌が生まれたのも、創作活動に対するフレッシュな気持ちを抱き続けているからではないでしょうか。
寺岡:そうかもしれないです。10年前とかだったら、改めてこういうことを歌にする必要もなかったかもしれないんですけど、音楽というものの受け止め方が変わってきたのかなとも思います。今回のアルバムのタイトルは『LOVE=UNLIMITED』ですけど、音楽も12個の音で無限に可能性が広がっているんですよね。
EMTG:「バンドやろうぜ」も、ロックへのとめどない愛を感じます。
寺岡: JUN SKY WALKER(S)も、今年でデビュー30周年ですし、敢えてこういう「バンドやろうぜ」とういうベタなタイトルをつけるのが、いいなと思ったんです。同世代で頑張っているミュージシャンへの応援歌でもあるし、音楽に限らず、何かに挑戦し続けることの象徴として“バンド”というものを曲にしました。
EMTG:仲間と一緒に音を出す喜びが、すごく描かれている曲でもあると思います。
寺岡:ジュンスカも、将来の保証も何もないままにやっていましたからね。こんなに続けられるなんて、夢にも思っていなかったですし。
EMTG:ソロでのライブとジュンスカのライブは、それぞれステージに立つ上での気持ちは異なりますか?
寺岡:それは、やはり違いますね。ジュンスカの時は、僕以外のみなさんの存在の圧が非常に強いので、僕は大人しいですし(笑)。
EMTG:(笑)ボーナストラックには、「仕舞支度 feat.春風亭一之輔」の他に、「秘密戦隊☆ゴジュウレンジャー feat.桜井和寿」も収録されますね。「秘密戦隊☆ゴジュウレンジャー」は、2016年にリリースしたアルバム『COLOR』の曲ですけど、これを桜井さんが参加した形で新録することになった経緯は?
寺岡:今度、僕の誕生日ライブ(2月7日・日本武道館、2月12日・大阪城ホールで行われる『寺岡呼人バースデーライブ 50 歳/50 祭』)をやるんですけど、『COLOR』の時に桜井が、この曲を気に入ってくれたことを思い出したんです。“誕生日ライブで、この曲を一緒にやれたらいいな”とレコーディングしていた期間に思って、“せっかくだから音にしちゃおう”っていうことになりました。
EMTG:誕生日ライブには、桜井さんの他に、さだまさしさん、ゆず、Kさんが出演されるんですね(ゆずの出演は、東京公演のみ)。
寺岡:はい。みなさんに感謝です。おんぶにだっこですね(笑)。桜井とゆずは、出会った時はアマチュアだったんです。“一緒に何かやったら楽しそうだな”というところから始まって、右も左もわからないところを共有してきたっていうのが、お互いに大きい気がしています。“楽しく、いい曲を一緒に作れそうだな”っていう好奇心が原動力となってきたんです。
EMTG:さださんは、生まれて初めてコンサートに行ったアーティストですよね?
寺岡:はい。40年近く前のことですね。こうして同じステージに立たせて頂くことになったわけですけど、さださんはそれだけの年月の間、ずっとライブを続けているんです。それを考えると、改めてすごいなと感じます。
EMTG:今回のアルバムのリリース後は、呼人さんのソロツアーが3月から4月にかけて行われますが、どのような意気込みで臨みますか?
寺岡:このアルバムを引っ提げてのツアーなんですけど、50歳の誕生日を経ての後夜祭的なところもあると思っています。Kくんとか、ゆかりのあるみなさんにも声をかけさせて頂いているので、いいライブをしたいと思っています。

【取材・文:田中 大】

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リリース情報

LOVE=UNLIMITED

LOVE=UNLIMITED

2018年02月07日

ユニバーサルシグマ

1. 僕は、君にもう一度恋をする
2. サウンド・オブ・ミュージック
3. バンドやろうぜ
4. リライト
5. パパのお弁当
6. 大人はEぜ!
7. 愛ノウタ〜Love Unlimited〜
8. 種まき人
9. 仕舞支度
Bonus track
10. 秘密戦隊☆ゴジュウレンジャー feat.桜井和寿
11. 仕舞支度 feat.春風亭一之輔 

お知らせ

■検索ワード

ワイン HESS
大阪で飲んだワインが美味しかったので、それをGoogleの画像検索で調べました。カリフォルニアのワインです。僕はワインのマニアではないんですけど、たまたま飲んで、美味しかったんです。東京へ帰る新幹線の中で調べて買いました。


■ライブ情報

【寺岡呼人ツアー 50歳/50祭 プレミアム】
03/24(土) 心斎橋 JANUS
03/28(水) 渋谷Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASURE
03/31(土) 鹿児島 Club Cave
04/01(日) 福岡 Gate’s7
04/03(火) 下関Live & Bar RedLine SHIMONOSEKI
04/04(水) 福山 cable
04/06(金) 松江 AZTiC canova
04/07(土) 岡山 image
04/08(日) 高知 X-pt.【クロスポイント】
04/11(水) 京都 磔磔
04/22(日) 札幌 COLONY

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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