The Floor メジャーファーストアルバム 『ターミナル』

The Floor | 2018.02.06

 適度なエレクトロ性を交えたキラキラとしたポップス性と、フロアとステージとで一緒に作り出す共有感。そして、そこに乗るフックのある印象的な歌メロやキチンと聴きたくなる歌...。それらを共存させた音楽性を用い、急速に頭角を現しているThe Floor。彼らのライブは、まさに楽しさの共有。一緒に声を合わせ、クラップし、そのダンサブルだったりメロディアスだったりするキラキラとした音楽性の中、この上なく楽しそうな表情のオーディエンスを数多く見ることができる。
そんな彼らがメジャーデビュー。1stフルアルバム『ターミナル』をリリースした。ボリュームが増した収録曲数ならではの幅とタイプが楽しめる今作は、彼らの今を感じさせつつ、これからも伺える頼もしい1枚。基本どの曲も前向き上向きで、キラキラとしながらも様々な側面や表情を味あわせてくれる。そう、The Floorは、ここから集まった人たちと更なる高みや良い景色を目指し進みゆく!

EMTG:The Floorは、結成時から現在のような音楽性だったんですか?
ササキ:当初はもっと内向的な音楽性でした。内向きで、エモで、ソリッドな感じで。今のような外向きの音楽になってきたのも実は最近なんです。2016年に出した最初の全国流通盤(ミニアルバム『ライトアップ』)辺りからで。
EMTG:意外です。今はかなりキラキラとした明るいポップスじゃないですか。
永田:当初は海外のクラブミュージックやエレクトロニカ等の内向的な音楽を好んで聴いてましたから。そんな中、ヨウジ(ミヤシタ)が、「こんな面白いバンドを見つけたよ」と、Foster The Peopleを教えてくれて。みんなで、「これだ!!」ってなったんです。そこから一気に開けましたね。
ミヤシタ:当時はチルウェーブやベッドルームっぽいものを好んで聴いてたんですが、Foster The Peopleみたいな開けてる音楽性と出会って。それこそ、ウェーイでした(笑)。
EMTG:The Floorには、楽しさや共有感を非常に大事にしたステージ印象があります。
永田:集まってくれたり聴いてくれる方々と、その時間を一緒にシェアしたり共有したい気持ちは強いです。
ミヤシタ:その辺りも自然とでした。「ここでクラップが入ったら面白いね」とか、色々とやっているうちに今に至ったというか。
コウタロウ:最初の音源を出した辺りから、ライブをやっている時に、お客さんと一緒になる感覚がようやく掴め出したんです。それまではライブをただ一方的に観てもらうだけだったものが、徐々にお客さんと共にライブを作り出していけるようになっていったんです。
ササキ:ステージからの景色も凄く変わりましたからね。笑顔が見えるようになったし、キラキラした空間や景色に変わっていきました。それがとても心地良かったし気持ち良くて。それ以降、どんどんそんな景色を見たくなっていったんです。
EMTG:その「キラキラ」って、The Floorの音楽性を語る上で重要なキーワードですよね?
ササキ:意図的ではないですが、結果的にそれを感じてもらえると嬉しいです。それが僕らが今持っている青春感でしょうから。
EMTG:このような音楽性だと、大概はサウンドでの快楽性に偏り、歌やメロディを疎かにしがちですが、The Floorはしっかりと印象的なメロディだし。歌にも物語性やアイデンティティを感じます。
ササキ:踊らせる為だけのサウンドではないですからね。永田の作るメロディがダンサブルなビートに合わせて開花するのが僕らの音楽性なので。それもあり、メロディにはかなりこだわってます。他のメンバーもアイデアを出したりするし
永田:リズムは聴いた瞬間に分かりやすく楽しくノれ、メロディや歌詞、歌もキチンと残る。そんな音楽性を目指してます。なので、初めて接してくれた人への、あえての入りやすさも意識してます。
ササキ:それらも含め、耳に入った時の衝撃は大事にしてます。アレンジもメロディも歌詞も聴いた瞬間に耳を奪ったり、耳に残る。一聴で何かを鷲掴みにしたくて。
EMTG:私も初見の際に、その分かりやすさと楽しい雰囲気に惹き込まれ、好きになった一人です(笑)。あと、リズム隊もメロディや歌を活かす重要役割を担ってますよね?
ミヤシタ:あえてドラムはリズムに徹してます。その上をギターや歌やメロディが自由に泳ぎ回れるように。
EMTG:そんな音楽性ながら、逆に歌はウェーイとは正反対な感じも面白いです。
ササキ:人間って楽しいだけじゃないですよね?不幸や哀しいことも必ずある。だけど、それらがあってこそ幸せなものも光るし、尊いでしょうから。それが歌詞の根底にはあります。とは言え、哀しかったり、後味の悪いだけの結末は好きじゃなくて。なので僕の歌詞は基本全てハッピーエンドに向かってます。そこに行きつくものもあれば、過渡期のものもあったりですが。
EMTG:歌詞や歌の面では、サウンドと歌の共存で上手くバランスをとっているようにも伺えます。
ササキ:それはありますね。暗めのサウンドの場合は、それを感じさせないほどの明るいことを歌う時もあるし。めちゃめちゃ明るい曲だからこそ、あえてウェットなことを歌って、その二面性や同居している1人の人間を描きたい面もありますからね。だけど常に、「色々なことがあるけど、幸せになろうぜ」は、メッセージの根底に宿してます。
EMTG:今回いよいよ初のフルアルバムですね。これまでのみなさんのキラキラとした面のみならず、色々な要素が入っており、幅を感じました。
永田:センチメンタルな要素は前作よりも強まっているかもしれません。明るい部分だけじゃなく、エモさやウェットさ、自分たちがこれまで持っていたものや出自も含め、今の自分たちを出してみました。
コウタロウ:曲数も多いですからね。自分たちの中でも、飽きさせないように色々と味を変えたくて。
ササキ:とは言え、どの曲も前に前に、外に外に進める作品が出来たなって。メロディも歌詞も各曲まえに突き進む1枚と自負してます。
EMTG:リリックはウエットさが現われた楽曲もありますが(笑)、全体的に前向き明日向きですもんね。
ミヤシタ:アルバム全体を見ながら各曲を作っていったんです。流れもそうだし、タイプや種類も。今回はこれまでとは違ったアレンジの進め方をしたみた曲もあったし。それこそ永田を除く3人だけでアレンジをしてみたり。そんな色々な曲の出来方があったんで、それがバリエーションに繋がったんでしょう。自分たちとしても意外性も含め、面白い、いいアルバムが出来たなって。
EMTG:今作に際して当初、何かビジョンのようなものってあったんですか?
ミヤシタ:「1stフルアルバムなので、一つ拠点になるような、そこを起点にどこへでも行ける作品にしたい」とは話してました。あとは、これまで聴いてくれた方、これから出会ってくれる方の拠り所になれたらなって。
ササキ:純粋に俺らが前に向かっていく為の基盤づくりの作品にもしたかったし。メジャーという通過点ではあるけど、第二のスタートでもあったので、より先に、より上に、より高みに行ける作品にしたかったんです。
EMTG:色々なタイプの曲がありますが、全体的に凄く次に向かうための大切な1枚感があります。あと、凄くバンドが前に進みたがってる(笑)。
ササキ:永田のメロディも全体的に凄く前向きですからね。逆に僕に関しては今回、今まで以上に自分のことを歌った曲が多くて。これも前を向くために一度、自分に向き合った結果なんです。
EMTG:それがあってこそ、楽しめるんだけどキチンと聴ける作品になったんでしょう。
永田:まさにその通りです。あと今回は、より音作りや音の重ねにもこだわりました。あえて細かい部分で自分たち以外の楽器もふんだんに入れたり。アコギやピアニカ、鉄琴やストリングスの音色等々を、ところどころ入れたので、多少マニアックになりますが、聴いて色々と発見してもらえたら嬉しいです。
EMTG:あと、サビでのカタルシスが印象的なみなさんですが、今回はいよいよ新しい武器として転調を取り入れましたね。これにより楽曲が更にドラマティックになったのも耳を惹きました。
永田:転調は、これまでも入れたくて、何度か挑戦したこともあったんです。だけど、どれもしっくりこず。ところが今回は納得できるぐらいハマる曲が幾つか出てきて。
EMTG:歌声は解放感が増した印象があります。
ササキ:特に今回はスカッとしたメロディが多かったですからね。歌っていて凄く気持ちの良い曲も多くて。あとは曲数が多いぶん、曲毎に色々な歌い方をしてみたんです。これまで以上にポップに歌ってみたり、凄くエモーショナルに歌ってみたり。でも、それが凄く楽しくて。そのぶん疲れましたが(笑)。
コウタロウ:僕が書いた歌詞も幾つかあるんですが、それらは、僕が歌詞、永田がメロディ、歌うのはハヤト(ササキ)だったので、各々の意図があった関係上、三者三様に、その曲に対しての思うところがあって。そこでブツかりもしましたが、逆に、より楽曲への理解や想いも深まったりしました。
ササキ:各曲みんなの意見をすり合わせて、一番良い形の歌い方が出来ましたから。
EMTG:最後にThe Floorの今後のビジョンを教えて下さい。
永田:僕らの音楽を聴いてもらっている時は、それ以外は一切身体に受け入れたくない。そう思ってもらえるバンドが理想です。僕らの音楽に没頭させたいですね。
ササキ:みんなの笑顔やいい顔をもっと見たいし、ぜひ大きな会場や場所でも、それらを見たいですね。
ミヤシタ:パッと聴き明るいんだけど、実は歌はウェットだったり、その逆もまた然りで。僕らの音楽は、1曲の中に二面性があるのも特徴だったりするので、その辺りをもっと尖らせたいし、突き詰めていきたいです。
コウタロウ:今後も幅広い人たちに届くものを作り出していきたいです。多くの人が分け隔てなく楽しめるものをどんどん届けられるように、これからもこの4人が良いと思えるもので、みんなにもいいと感じてもらえるものを提供していきたいです。

【取材・文:池田スカオ和宏】

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リリース情報

ターミナル

ターミナル

2018年02月07日

ビクターエンタテインメント

1.18
2.ドラマ
3.イージーエンターテイメント
4.煙
5.POOL
6.Wake Up!
7.Flower
8. レイニー
9.寄り道
10.ファンファーレ

お知らせ

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■ライブ情報

コンセプト体感イベント『♯roll ♯roll ♯roll 2018 』
02/09(金) 大阪福島LIVE SQUARE 2nd LINE

第69回さっぽろ雪まつり
02/12(月) 大通西8丁目「雪のHTB広場」

SHELTER presents. ” BATTLE60×60 ” 〜feat. THE REAL THINGS〜
02/13(火) 下北沢SHELTER

フィッシュライフ presents 1st album 「未来世紀エキスポ」 リリースツアー ”極東パビリオン”
02/16(金) 名古屋ell.SIZE
03/02(金) 横浜BAYSIS

クラッキ vol.68
03/04(日) 北浦和KYARA

The Floor Presents「In Train Tour」
03/09(金)[札幌編] 札幌Sound Lab mole
03/20(火)[大阪編] 心斎橋Music Club JANUS
03/23(金)[東京編] 渋谷WWW

JFL presents「LIVE FOR THE NEXT」supported by 日本セーフティー
03/25(日) ZEPP SAPPORO

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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