感覚ピエロ、結成4年を経て待望の1stフルアルバム『色色人色』をリリース!

感覚ピエロ | 2018.02.09

 お色気満載のエロソングから等身大のエールソングまで、感覚ピエロの全てが詰った1stフルアルバム『色色人色』が完成した。EDMからロックンロールまで様々なカラーを放つ濃厚な全13曲。そのなかにはフォーリンラブや妄想に脱線しながらも、“あなたはあなたの色で生きてほしい”という強いメッセージも託されている。それは、結成4年にして自分たちの会社JIJI INC.を設立するなど、常に道なき道に自分たちだけの色合いをつけながら爆走してきた感覚ピエロだからこそのメッセージだ。さらに、今作は3月から開催する47都道府県ツアーの先行チケットを買うと、アルバム音源をまるごと聴けるという前代未聞の試みでも話題を呼んだ。どんなときも私たちの想像の斜め上を軽々と超えながら、実に楽しげに音楽シーンを掻き回す永遠の確信犯にして異端児、それが感覚ピエロだ。

EMTG:結成4年で初のフルアルバムだけに、「ずっとこんなフルアルバムを作りたかったです!」っていうのを全力で主張するような1枚ですね。
秋月琢登(Gt):まさにそうですね。
横山直弘(Vo/Gt):初めてのフルアルバムだから、僕らの名刺代わりになるものにしたかったんです。全13曲もありますけど、どれをリードにしてもおかしくない。「これが感覚ピエロです」って自信を持って言えるアルバムです。
EMTG:すでに47都道府県ツアーの先行チケットをとった人のなかには、アルバムを聴いた人もいると思いますけど、ぼちぼち感想も届いてますか?
横山:「あの曲が良かった」「この曲が良かった」っていう反応はありますよ。それが良い意味でバラけてくれてるのが嬉しいんですよね。人気に偏りがあるんじゃなくて。
滝口大樹(Ba):そうね。
横山:それは僕たちの意図してたとおりですね。
EMTG:「タダで聴けるなんて太っ腹」みたいな声もありますね。
秋月:「ほんまにダウンロードできてもうたで」っていうね。チケット買う、ライブを見られる、アルバムもついてくる、どういうこと!? みたいな驚きがあるみたいで。
EMTG:あんまりお得だと、逆に怪しく感じるっていう心理もあるし。
秋月:そう。だから、「ライブのチケットにつく音源なんて、どうせ音質が悪いやつやろ」とか深読みする子もおるんですけど(笑)。そうじゃないねんけどなって。
西尾健太(Dr):ガチなやつですから。
横山:あと、嬉しかったのは、ダウンロードで聴いてくれた人が、「こんなんCDも買うわ」って言ってくれてるんですよ。
秋月:そうやね。僕らもCDを売ることを諦めたわけじゃないし、音源をタダであげてるっていう感覚ではないのでね。恩返しの気持ちですから。
横山:プレゼントするよっていう僕らの想いに対して、じゃあ、感覚ピエロをもっと応援するよっていうかたちで返してくれるのは嬉しいですね。双方向な感じがして。
EMTG:アルバムの制作に関しては、去年の秋頃、『#HAL』でインタビューしたときに、「もうほぼかたちになってる」って言ってて。
秋月:ああ……あのときはできてなかったですね、見栄を張ってました(笑)。
EMTG:そこからが大変でした?
秋月:やっぱり、いままでずっとミニアルバムを出してきましたけど、初めてフルでパッケージにするってなって、最後の1曲、2曲入れるのに悩んだんです。最初のほうは簡単だったんですけど、(残りの曲が)減ってくればくるほど、「最後は何を入れる?」ってなって。最後の1曲はレコーディングの前日にできましたからね。本当にギリギリでした。
EMTG:最後の曲は何だったんですか?
秋月:「さよなら人色」です。
EMTG:なるほど。この曲があるかないかでアルバムの雰囲気が変わりますね。
横山:このアルバムを集約して、キュっとまとめてくれる曲がなかったんですよね。最初から『色色人色』っていうタイトルはあって、それを集約するような曲がなくて。
EMTG:いまの話だと、アルバムのタイトルは先に決まってたんですか?
横山:一昨年前ぐらいからあったんですよ。
秋月:そうね。次の作品につけたいなと思ってたんです。僕ら4人はそれぞれ違う色を持つメンバーだと思うんですよ。それが1個の集合体で感覚ピエロっていうものになって、いろいろな人がこの音楽を、それぞれの色で聴くわけじゃないですか。曲の解釈として、仮に僕らが「落ち込んでたときに書いた」って言っても、人によってはそれで前向きになることもあると思うんです。様々な意志があって、見解があって、一人ひとりがおる、それでいいんじゃないかっていう意味で、「色色人色」っていう言葉をつけたんです。
EMTG:そのメッセージをいまの感覚ピエロが掲げることにも意味がありますよね。独自の色で進んでいるバンドだからこそ。
秋月:うんうん。たとえ周りと違っても、衝動のまま自由にやりたいことをやればいいんじゃない? っていうのは、僕らが活動とか曲をとおして、いちばん伝えたいことなんです。それを結成から4年経って、初めてのフルアルバムで、改めて表せたんです。
EMTG:いま言ったメッセージの部分は「さよなら人色」とか「疑問疑答」みたいな、秋月くんが書いた歌詞に強く現れてますけど、久々に横山くんの詞曲も多いですね、今回。
横山:なんかアルバムだから、好き勝手やらせてもらいましたね。僕はメッセージソングみたいなのを書くのは苦手なんですけど、でも、そういうことを僕らに求めてくれる人が多くなったから、秋月がその部分を担うっていうタームが長く続いてたんです。
EMTG:特に「拝啓、いつかの君へ」以降ですよね。
横山:もともと4年前に「O・P・P・A・I」ができて、「おっぱいバンド」みたいな感じで認知され始めて、その頃は、主に僕が作詞作曲をやってて。そこから秋月が書いた「拝啓、いつかの君へ」で、「感覚ピエロってこういう側面があるんだ!」っていうのを出せるようになった。っていう流れを考えたら、アルバムがこのバランスになるのは必然だったんですよね。「ハルカミライ」があって、「A BANANA」があるっていう。
EMTG:エモとエロの絶妙なバランスとギャップこそ感覚ピエロ、みたいな。
秋月:だからほんまに全部聴いてもらいたいですよ。リード曲とか関係なく、僕らのなかでは全部同等。ここまでの達成感は初めてなので。
EMTG:収録曲の話も聞ければと思いますけど。1曲目の「CHALLENGER」は感覚ピエロ流のEDMですね。横山くんの作詞作曲で。
横山:もともとライブのSEとして作ってたやつですね。曲にするつもりは一切なかったんですけど、「この曲ちょっとかっこええんちゃうん? フルで作ってみよう」みたいなノリで作り始めて。なんせ慣れないEDMだから、メンバー全員で試行錯誤しました。
滝口:ライブではわかりやすく盛り上がると思いますよ。
秋月:ワールドカップの応援ソングみたいなイメージで作ったんよね。
横山:……の結果、サビの歌詞がないっていう(笑)。
秋月:そこに関しては。みんなでワーッて歌えればいいんですよ。これが1曲目だから、いままでの感覚ピエロを聴いてくれてる人はびっくりすると思いますね。
EMTG:「give me」もかっこいい。ガレージロックな感覚ピエロが新鮮でした。
秋月:まさに。これはヨコちゃんがメロディを作ってるときに、僕ら3人(秋月、滝口、西尾)がブースでオケを作ってたんですよ。そのときに、もう何も考えずにアガるような、昔好きだった洋楽の要素というか、初期衝動的な感じを出したくなったんです。
滝口:「俺の好きな感じにしていい!?」って言ってたよね。
秋月:だから、勢いでしかないです。
EMTG:直球のロックンロールなのに、このエロい歌詞かい!? っていう。
秋月:そこがまたヨコちゃんらしくていいんでしょうね。
横山:それこそ楽器がすごくかっこいいし、骨太だし、ストレートだから、そのままやっちゃったら、デイヴ・グロールには勝てねえしなあ、みたいなのもあって(笑)。
滝口:ここで気取ったら、なんかスカした感じになっちゃうよね。
EMTG:「LOVE GENERAL」はシンセがキラキラ鳴ってる底抜けのポップソング。歌詞は「エンターテイナー西尾くん」の真骨頂ですね(笑)。
横山:これはね、ここ3人(横山、西尾、滝口)でスタジオに入って作ったんですよ。
EMTG:珍しいトリオ。
横山:さっきの「give me」とか「無い ナイ 7i」もそうなんですけど、ふだんは楽器隊で入ることが多いんですけどね。この輪に僕が入ったときに、この3人でしかできないことをやってみようってなって。このキラキラした感じを試してみたんです。
西尾:もともとストックのひとつやったんですけど、僕はずっとやりたいと思ってた曲なんですよ。他のメンバーにはない、J-POP好きのエッセンスを出してみました。
秋月:最後に健ちゃんの歌詞が入って、「あ、感覚ピエロになったな」と思いましたね。
EMTG:歌詞に出てくる「ラブジェネラル」って何者なんですか?
西尾:愛の将軍。愛に突っ走る! みたいなやつです。
横山:そうなん!? いま、初めて知った(笑)。
滝口:パンチあるワードだなあ(笑)。
西尾:女の子に「変なやつ」って思われてるけど、でも、「俺はこいつのことが好きやねん!」っていう、ストレートなラブソングですね。ド真面目な曲です。
滝口:「飲みかけ飲みたい」とか言うてるから、周りから見たら歪んでますよね。
EMTG:「脱ぎたて嗅ぎたい」とかね。変態っぽい。
秋口:そういう色合いの人もいるよねっていう歌ですね(笑)。
EMTG:「変幻」は、ダブからファンク、ロックっていうふうに展開するカオスな1曲。
横山:これは結成した頃にやってたアプローチですよね。途中で曲調が変わったり……。
滝口:テンポが変わったりね。
秋月:僕、この曲は超好きなんですよ。わけがわからんけど、僕らが1枚目とか2枚目の頃にやりたかったことを全部まとめたっていう曲なんですよね。
EMTG:歌詞は理想像を押し付けてくる社会に対する怒り、ですかね。
横山:これは秋月スタイルに近づけてますね。俺がやってみたら、どうなるんだろうな? って。もともとカフカの小説『変身』がモチーフなんです。ある日、目覚めたら自分が害虫になってた。そしたら害虫になった自分の姿を見て、親とか近所の人たちの対応が一気に変わるんですよね。自分の我はここにあるのに、見てくれが変わっただけで周りが変わる。だったら、もう自分が思う自分でいいんじゃないっていう曲です。
EMTG:それは誰もが“あなた色”を持っていて良いっていうアルバムにも通じますね。
横山:そうですね。っていうのを、秋月は書いてるけど、自分では書いていなかったから、自分のニュアンスで書けないかなと思った1曲ですね。
秋月:ちょっと脱線しますけど、最近お客さんのなかでも、「これはメンバーの誰々が書いた曲っぽい」っていうのを認識してくれるようになったんですよ。そうなると、そろそろ騙したいんです。秋月っぽい曲だけど、ヨコちゃんが書いてたとか。横山っぽいのに滝口とか、健ちゃんっぽいのに俺が、みたいな、そうやって、また感覚ピエロが進化したら面白いなと思います。
EMTG:ラストの「Just to tell you once again」はアルバムの締め括りに相応しいロックバラード。感覚ピエロから、ここまでシンプルな感謝の曲が生まれるとは。
横山:もうね……これ、どこまで言っていいのかな?
秋月:言ったれ、言ったれ(笑)。
横山:これはね、僕が、昔つき合ってた女の子で、すごく好きだった子がいるんですよ。で、その元彼女から、「私、結婚する」ってLINEがきたんです。デキ婚をすると。「昔自分が好きだった子のお腹に、違う命が宿ってる」って思ったら、うわーっ!てなったんです。そのときに、天使のようにメロディがパッて降りてきて……。
秋月:何、オシャレに言うてんねん!(笑)
横山:これを曲にしなきゃ気が済まないと思ったんですけど、最初、全然ダメなわけですよ。
EMTG:そのままになり過ぎちゃうというか?
横山:そう、もう止まらないんですよ。好きだー! になっちゃう。
秋月:それ、お前が「ラブ ジェネラル」やないか(笑)。
全員:あはははは!
横山:でまあ、そうやって自分に思わせてくれることへの「ありがとう」を書きたかったんです。いろいろ脱線したり、妄想したりしながら、この曲をライブでやってる画を想像したんですよ。そしたら、お客さんの顔が出てきて。この埋まらない気持ちをお客さんに向けての曲にしたら、どうなるのかな? っていう気持ちで書いたんです。だから、入り口はそういうことだったんですけど、僕たちのことを応援してくれて、ライブに来てくれて、この曲を聴いて、ライブ会場をあとにして日常に戻っていくお客さんに対して、俺らの音楽を好きでいてくれて「ありがとう」。もちろん、そこで俺らの関係は終わりじゃないし、必ずつながってるから。「またここで会おうね」っていうことも歌えたらなと思って作りました。
EMTG:素敵なところに落とし込みましたね。
西尾:ライブでは、その女の子の名前を叫んでましたよね(笑)。
滝口:前のツアーの大阪ファイナルで。「おめでとー!!」って。
秋月:崩れ落ちたよね。
横山:やめろ、やめろ(笑)!
EMTG:なんか昔もライブで好きだった子のことを話してたMCもあった気がする。
秋月:それ、たぶん「メリーさん」が出た頃ですよ。
西尾:その子やんな?
滝口:同じ子や。「CRAZY GIRL」(2015年リリースの会場限定盤『「I」から「J」への宣戦布告』収録)もその子やもんな。
横山:けっこう多いんです。僕のなかではいろんな意味でエンドロールみたいな曲ですね。
EMTG:なるほど(笑)。今回のアルバム、本当にものすごく内容が濃いので47都道府県ツアーにくる人はぜひ聴き倒してほしいですね。
秋月:僕らも、曲が出来上がって完成というよりは、ライブでやって初めて完成するところがあるので。いろいろライブを想定して作ってますけど、案外やってみたら変わったりするところはあるんです。ライブではそんなんも楽しみたいなと思ってます。

【取材・文:秦理絵】

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リリース情報

色色人色(ヨミ:イロイロトイロ)

色色人色(ヨミ:イロイロトイロ)

2018年02月21日

JIJI INC.

【Disc 1 - CD】
01 CHALLENGER
02 疑問疑答
03 give me
04 無い ナイ 7i
05 ワンナイト・ラヴゲーム
06 A BANANA
07 0になって
08 さよなら人色
09 触れてみればいいんじゃない?
10 LOVE GENERAL
11 変幻
12 ハルカミライ
13 Just to tell you once again

【Disc 2 - DVD】
01 ハルカミライ (Music Video)
02 A BANANA (Music Video)
03 ワンナイト・ラヴゲーム (Music Video)
04 疑問疑答 (Music Video)
05 さよなら人色 (Music Video)

お知らせ

■コメント動画



■ライブ情報

感覚ピエロ 47都道府県ツアー2018
『KKP TOUR またイかせてもらいます!!47都道府県全国津々ムラ×2!! デリバリー感覚ピエロ!!~チェンジだなんて言わせない~』

03/04(日) 愛知 Zepp Nagoya
03/09(金) 東京 Zepp Tokyo
03/10(土) 埼玉 西川口Live House Hearts SOLD OUT
03/11(日) 静岡 UMBER SOLD OUT
03/17(土) 大分 DRUM Be-0
03/18(日) 宮崎 SR-BOX
03/20(火) 鹿児島 SR-HALL
03/21(水) 熊本 熊本 B.9 V2
03/23(金) 福岡 DRUM LOGOS
03/24(土) 佐賀 Live House GEILS
03/25(日) 長崎 DRUM Be-7
03/31(土) 山梨 甲府KAZOO HALL
04/01(日) 長野 松本ALECX
04/04(水) 岩手 盛岡CLUB CHANGE WAVE
04/05(木) 青森 青森Quarter
04/07(土) 栃木 Heaven’s Rock Utsunomiya VJ-2
04/08(日) 千葉 柏ThumbUp SOLD OUT
04/13(金) 広島 HIROSHIMA CLUB QUATTRO
04/14(土) 岡山 CRAZYMAMA KINGDOM
04/18(水) 愛媛 松山サロンキティ
04/20(金) 高知 高知X-pt.
04/21(土) 香川 高松DIME
04/22(日) 徳島 徳島club GRINDHOUSE
05/16(水) 秋田 秋田LIVESPOT2000
05/17(木) 山形 山形ミュージック昭和セッション
05/23(水) 群馬 高崎club FLEEZ
05/26(土) 茨城 水戸LIGHT HOUSE
05/27(日) 神奈川 横浜BAYSIS SOLD OUT
05/31(木) 福島 郡山 CLUB #9
06/01(金) 宮城 仙台CLUBJUNKBOX
06/03(日) 新潟 新潟GOLDEN PIGS RED STAGE
06/06(水) 石川 金沢LIVE HOUSE vanvanV4
06/09(土) 福井 福井CHOP
06/10(日) 富山 富山MAIRO
06/17(日) 北海道 Sound Lab mole
06/23(土) 岐阜 岐阜CLUB ROOTS
06/24(日) 三重 松阪M’AXA SOLD OUT
06/30(土) 和歌山 和歌山 CLUB GATE
07/01(日) 奈良 奈良NEVER LAND
07/06(金) 兵庫 神戸 太陽と虎
07/07(土) 京都 京都MUSE
07/08(日) 滋賀 滋賀U★STONE
07/14(土) 鳥取 米子 AZTiC laughs
07/15(日) 島根 松江 AZTiC canova
07/16(月) 山口 LIVE rise SHUNAN
07/21(土) 沖縄 桜坂セントラル
07/28(土) 大阪 なんばHatch



ARABAKI ROCK FEST.18
04/28(土) - 29(日)
みちのく公園北地区 エコキャンプみちのく

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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