ウソツキ 連載第1回:「遅れてきた青春」

ウソツキ | 2018.04.01

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【テーマ】「遅れてきた青春」

EMTG:まずは単刀直入に、なぜこのタイミングで“遅れてきた青春”なんですか?
竹田昌和(Gt/Vo):ビックバンがこの瞬間だったんですよね。ずっと僕のなかに「竹田昌和はこうあるべきだ」とか「ウソツキはこうじゃなきゃいけない」みたい抑圧されたものがあったんです。そういうものが、この年になってようやく、すごく損だし、アホなことだって気づいたんですよね。そういうのを全部忘れて、逆にいちばんなりたくなかった自分とか、これをやってる自分なんか想像つかないっていうものをやったら、この先、俺は変われるんじゃないかって思うようになった。その一発目がワルだったんです。
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EMTG:(笑)それで「恋はハードモード」のビジュアルはバッドボーイなんですね。
吉田健二(Gt):すでにファンは気づいてるもんね。「無理があるんじゃねえか」って。
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竹田:まあ、無理があるのは決まってるよね、やったことないんだもん(笑)。
EMTG:このあたりのコンセプトは竹田くんの発信だったんですか?
林山拓斗(Dr):バッドボーイズ云々を言い出す前に、竹田がライブで「ダンスをしたい」とか、「お笑いっぽいことをやりたい」って言い出してたんですよ。もともとはワンマンのコンセプトを考えたときに出てきたアイディアだったんですけど。
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藤井浩太(Ba):それを聞いて、腑に落ちた気がしたんですよね。ウソツキってデビューしてもうすぐ4年経つんですけど、「金星人に恋をした」っていうキラキラとしものから始まって、ラブレターを出したり(「一生分のラブレター」)、前作の『惑星TOKYO』みたいにビシッとしたこともあったんですけど、そろそろふざけてもいいんじゃない?って。
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EMTG:これまでの自分たちに対する行き詰りはあったんですか?「このままじゃダメだ」みたいな反動があったというか。
竹田:というか、「このままじゃダメなんだ」っていう気持ちは、ずっとあるんですよね。デビュー当時から、1曲完成するたびに「このままじゃダメだ、次は違うことをしよう」って思うタイプなので。そう考えると、僕のなかでは「金星人~」のときから、めちゃくちゃ変わり続けてる気分ではあるんです。ここまでの変わり方は初めてですけど。
吉田:(竹田は)バンドを始めてから1回も「これでいいんだ!」って言ってないんです。「毎回、これでどうなの?」みたいな感じだから、達成感が薄い。それで変化を求めていくんだと思うんですよね。それこそ最近昔のライブ映像を見る機会があったんですけど……。
竹田:暗かったよね。
林山:親が死んだぐらいの感じ(笑)。でも、新しいライブ映像を見たら、「どうも!こんにちは!ウソツキです」みたいに変わってて(笑)。いつの間にか変わってたんだよね。
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EMTG:そうやって変わっていくことに対して周りの人の反応は気にならないんですか?
竹田:あんまり……(笑)。
林山:全く違う捉え方をされたときは、気にすると思うんですよ。
藤井:うんうん。
林山:今回のバッドボーイにしても、やっぱりウソツキはバッドボーイにはなり切れてないじゃないですか。その模索してる感じも含めて伝わってると嬉しいんですけど、「方向転換をした」って思われたら、「あ、ちゃんと説明しなきゃ」とは思いますよね。
竹田:基本的にウソツキって、「これ面白くない?」って、隣の席のやつに気軽に見せに行く感じなんですよね。それが周りから引かれようが気にしてない。で、飽きたらやめるし。
林山:だからプレッシャーがないよね。
竹田:いま人生でいちばん楽しいですもん。
藤井:肩の力が抜けてますよね。
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EMTG:うん、すごく楽しそうです。いま話をしてる様子も。
竹田:でもね、これに至るまでは、けっこう家で考えました、最初は。いろいろ考えるなかで、最近いちばん楽しいのは、意味のない楽しさなんですよ。昔は意味を求めてたんです。たとえば「旗揚げ運動」にしても(ライブでお客さんと一緒に手を上げて踊れる曲)、何かしら手を挙げるためには意味がなければいけないと思って書いた曲で。それぐらい凝り固まってたけど、最近はただ「楽しい!」という概念、盛り上がるっていうこと自体がすげえものだって思えるようになったんです。そういう俺のなかの試行錯誤があったうえで、僕らも楽しめるものを直球で投げてみたくなったというか。これからウソツキのエンターテイメントを突き詰めてもいいマインドになったんですよね。
EMTG:なるほどね。そこで腹を括ってるからこそ気軽にワルにもなれるし、もっと言うと、そこでどういう反応が起きてもあんまり気にならないんでしょうね。
竹田:そういうことだと思います。要するに、ここからずっと俺らはバッドボーイを背負っていくわけじゃないので。「ちょっとやってみたよ」っていうことなんですよ。
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EMTG:ロールプレイングゲームみたいな感じですかね?
林山:そうそう、ジョブチェンジみたいなもんですよね(笑)。
藤井:おお、上手いこと言った。
林山:でも、藤井さんの根幹にワルがあったからね。
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EMTG:え!?そうなんですか。
林山:サングラスとじゃらじゃらをつけると、勝手にアゴが引くんですよ。
藤井:それはもう俺の意識じゃないところだから(笑)。
EMTG:他のメンバーは学生時代にヤンチャした時代はなかったんですか?
林山:ないない。
竹田:全くない。
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吉田:ないよね。
藤井:みんなは反抗期というか、グレてる時代がなかったからこそ、今回こうやってワルをやろうっていうことになったと思うんですよね。
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EMTG:藤井くんは、どれぐらいのワルだったんですか?
藤井:どれぐらい?……ちょっと田舎にいるヤンキーみたいな(笑)。
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林山:そこに住んでたら、ちょっとだけ眉毛が細くなるっていうやつでしょ?
藤井:静岡の富士市にある辺鄙なほうだったんですよね。だから髪が短くて、眉毛が細い人がモテてたんですよ(笑)。
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吉田:なんでワルってモテるんだろうね?
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竹田:わかるわかる。
林山:しかもワルって足が速いやつなんですよ。小1のときに運動会のリレーで選ばれてたようなやつが悪くなっていくわけじゃん。
藤井:なるほど、そうだよね。
竹田:そうだと思う。
林山:偏見だよ、それ(笑)。
藤井:足速い→サッカー部→金髪染める→ワル。この流れを踏むんです。
EMTG:ウソツキが思い描くワルは、意外と大したことがないってわかってきました(笑)。
竹田:俺らのなかのワルは、たぶん中学生ぐらいのやつだよね。
林山:俺らが作り上げたワルなんです。
EMTG:今回“遅れてきた青春”を掲げてリリースする「恋はハードモード」っていうのは、そのあたりのコンセプトが決まってからできたんですか?
竹田:まさにコンセプトありきですね。初めて“やりたいこと先(せん)”なんです。いままでは、メッセージを先に決めて曲を作る“メッセージ先(せん)”だったんですけど。まずワルになりたい。で、踊りたい。そこから作り始めました。
林山:最初は「人生ハードモード」だったからね。でもワルをやるなら、女のケツを追っかけないと、人生より恋でしょみたいな感じで、だんだん曲がバカっぽくなった。
EMTG:あ、じゃあ、最初は「人生イージーモード」(アルバム『惑星TOKYO』収録曲)のアンサーソングみたいな感じだった?
竹田:逆ですね。歌詞で言うと、「人生ハードモード」のほうが前からあったんですよ。でも、「人生ハードモード」ができそうもないから、「人生イージーモード」に切り替えたら、ポンとできちゃったんですよね。で、それを先に出したんです。で、そのときに書いてた「人生ハードモード」をもとに、恋の部分を膨らませた感じで「恋はハードモード」になっていくんですけど。でも、自分のなかではうまいことつながったなと思ってて、人生はイージーモードだけど、恋はハードモードっていう。
EMTG:いいですよね、それ。ちなみに、竹田くんのなかで曲を作るときに、ワルの引き出しなんてあったんですか?
竹田:いや、本気でバッドを出そうとすると、数曲しか出ないんですよね。もともと、そんな曲を作ったことがないですから。いろいろな曲を聴いたり、人に話を聞いたりしたんですよ。髭ダン(Official髭男dism)とかShiggy Jr.とか。
EMTG:楽器隊の曲作りはどうでしたか?グルーヴが肝の曲だと思いますけど。
林山:俺はけっこうラクだったんですよね。こういうドラムが好きだし。最近、海外のドラマーがみんな難しいことをやらなくなってきたんですよ。シンプルに叩くのが、かっこいいなと思うようになってるから、そういうのをやりたいなとも思ってたんです。
吉田:ギターも一発録りみたいなところがありましたね。最終的にノレればいい、みたいなところがあるから。僕も海外で流行ってるファンキーな曲とかをたくさん聴いて、こういうのを作りたいなっていう参考にしました。
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藤井:僕も、最近はファンキーな曲をたくさん聴いてるので、録るときは全然深く考えずにやれたんです。
竹田:いまのところ楽器はみんな何も考えてないよ(笑)。
EMTG:まあ、でも演奏としてジャッジが甘くなってるわけではないですからね。
竹田:そうなんです。変な話ですけど、上手くプレイをするためには、全体的に何も考えなくなるテクニックが必要というか。そういうことなんだと思います。
EMTG:で、この“遅れてきた青春”を掲げて、いまはアルバム制作も進んでいるそうですけど。進捗はどのぐらいですか? たとえば、全体を10だとしたら……。
林山:5はいってないんじゃない?
吉田:4かなあ。
藤井:……3?
竹田:いや、この段階で3とか4だとヤバいでしょ(笑)。
林山:歌までちゃんと録り終えてるのは2曲です。
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EMTG:いまのところアルバムのなかで“遅れてきた青春”を取り戻せそうですか?
藤井:「恋はハードモード」で振り切れたので、いままでやったことがなかったことをやってもいいんだろうなって感じでは進んでますね。
林山:なんとなく青春を取り戻すって言うと、10代の頃とかを連想しがちなんだけど、そうじゃないものに広がっていきそうな感じはあるんですよ。
竹田:たしかに高校生が歌いそうなことっていうものではないし、いままで自分が言ったことがないこと、やったことのないことをやるだけっていう感じですね。
林山:ひとつ言っておきたいのが、いま竹田がたくさん曲を作ってるんですけど、けっこう情緒あふれるキラキラ系統も良い曲があるので、そっちも期待してほしいです。
EMTG:今回“遅れてきた青春”っていうものを掲げることで、バンドとしてはどんなことを伝えられそうだなと思いますか?
竹田:結局、青春って若い頃のものだけっていうイメージがあると思いますけど、青春を置いてきてしまってる人たちはたくさんいると思うんですよね。だから、やりたかったことをやれば良くない?って言いたいんです。「いまさらイメチェン?」って思うかもしれないけど、そういうこともやってほしい。そのために僕らみたいな根暗なやつらが、ここまでバットボーイになれることが、ひとつきっかけになるんじゃないかなって思ってますね。
EMTG:このモードでいくと、ライブも変わっていきそうですか?
竹田:こうあるべきだっていうのをとるのが、僕らの目的なので。ギターロックバンドはギターを持ってなければいけないっていうも全部取っ払ったライブをやれればいいなっていう願望はありますね。よりエンターテイメントに、笑って泣ける、ディズニーランドみたいというか。誰も真似できないライブをやりたいんです。
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EMTG:それぞれがプレイヤーであると同時に、エンターテイナーにもなるような?
林山:そうなんですよ。最近、僕ドラムを叩かなくなりそうで……。
竹田:「打ち込みにして踊ってみたら」とか言っちゃうんですけど、「もうちょっとドラムを叩いてます」って言うんですよ。
藤井:拓斗さんがライブで踊ってたら、面白いよね。実際に「恋はハードモード」のミュージックビデオは面白いですからね。とにかくエネルギー量がすごくて。
林山:こんなに動いちゃいけないでしょっていう踊りをしてます。
竹田:この体がこのスピードで動くのか!っていうね(笑)。
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【取材・文:秦理絵】




【『恋はハードモード』MV】






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リリース情報

[配信]恋はハードモード

[配信]恋はハードモード

2018年03月23日

DAIZAWA RECORDS / UK.PROJECT

1.恋はハードモード

お知らせ

■ライブ情報

KRAPS HALL「夢チカLIVE VOL.129」
5/26(土)札幌KRAPS HALL

ココロオークションTOUR 2018「Welcome to the Musical」
6/1(金)神戸「太陽と虎」

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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