ヒグチアイ、リアルな心情が色濃く押し出された2ndフルアルバム『日々凛々』をリリース!

ヒグチアイ | 2018.06.19

 シンガーソングラターのヒグチアイが、約1年半ぶりになる2ndアルバム『日々凛々』(ひびりんりん)を完成させた。今作は「自分の幸せに自分が気づくことが大切」と彼女が語る通り、ヒグチアイがヒグチアイと対峙し、そこから歌詞を紡ぎ出したリアルな心情が色濃く押し出されている。私のストーリーがあなたのストーリーに置き換えられ、1曲1曲が耳元で語りかけてくるような親密な曲調が揃った。フッと入ってきた言葉が、歌声が引っ掛かり、耳馴染みのいいアレンジと共に心の中に残り続ける。世代を問わず、多くのリスナーの胸を射抜く彼女の凛とした佇まいから放たれた曲世界にどっぷりに浸ってもらいたい。
EMTG:今作は素晴しい出来映えですね。制作のきっかけはどこから始まったんですか?
ヒグチアイ:「そろそろフルアルバムを作ろう」と言われたことですかね(笑)。1年に1枚は作品を出したい気持ちはあるんですけどね。フルアルバムを出したい気持ちが強くて・・・そう考えると、1年前ぐらいから考えてました。
EMTG:シングルやミニよりも、フルアルバムが好きなんですか?
ヒグチアイ:そうですね。作品の流れを作れるじゃないですか? この曲を聴いた後にこの曲なんだよ、という流れを作りたくて。だから、フルアルバムの方が好きなんですよね。
EMTG:自分の世界観を表現しやすいと。では、1年前にあった構想というと?
ヒグチアイ:「わたしのしあわせ」という曲が先にあって、そこから書いた曲ばかりなんです。この1年で思ったことは似通っている部分もあるので、それから作品が固まっていきました。
EMTG:「わたしのしあわせ」はどこから着想を得て?
ヒグチアイ:女性が主人公の漫画を読んでて、そこからアイデアが浮かびました。いろいろ過去はあるけど、一人で生きてるという内容で・・・それを読んだときに私は幸せの中にいるんだなと思ったんですよ。ある日新宿を歩いているときに大学生がアンケートを取ってて、「あなたは幸せですか?」と聞かれて、その前にテンション上がることもあって(笑)、「私は幸せです」と答えたんですけど、日本人の8割は幸せじゃないと答えるみたいなんですよ。そこで自分がなぜスッと「私は幸せです」と言えたのかなと考えたら、自分のやりたいことはやれているなと思ったんです。そう考えると、自分の幸せに自分が気づくことが大切なのかなと。意外と難しいですもんね。
EMTG:ネガティヴなことがあるから、逆に幸せに気づくこともありますからね。
ヒグチアイ:そうですよね。
EMTG:あと、この『日々凛々(ひびりんりん)』というアルバム名もすごくいいなと。
ヒグチアイ:タイトルはすごく悩みました。「わたしはわたしのためのわたしでありたい」、「わたしのしあわせ」の2曲をイメージして付けたんですけど。でも全部の曲を並べてみると、日々のことだったり、昔のことだったり、それが今に繋がっているんだなと。なので、今もその道の途中という作品になりました。
EMTG:なぜそういう作風になったんだと、自分で思います?
ヒグチアイ:大人になったんですかね(笑)。メジャーデビューしたのが1年半前で、1stアルバム(『百六十度』)、1stミニ(「猛暑です e.p」)を出して、結局思った通りにはなかなか拡がらなくて。なぜだろうと考えたら、誰のせいにもできなくて・・・自分がわがままでいることが足りなかったんじゃないかと。私自身の感情に対してもだし、もっと「こうしてほしい」って主張しても良かったのかもしれない。だから、自分のことをすごく考えてみたんです。「わたしはわたしのためのわたしでありたい」の曲名もそうですけど、めっちゃ私が出てるじゃないですか? 
EMTG:ええ(笑)。
ヒグチアイ:こないだもご飯が少し残ってるときにお皿を下げられそうになって、やめてくださいと言えなくて。
EMTG:はははは、それはよくありますね。
ヒグチアイ:ありますよね? それをパッと言える人になりたくて。それに憧れる自分がいるんですよ。そういうことを考えながら、曲を書いた部分もありますね。昔はわがままだったのに、だんだん自分はわがままな人間でいいのかな? と思うようになり、それからコンプレックスが増えて、21歳頃は外に出れないくらいコンプレックスを抱えてしまって。でもアーティストのときの自分はわがままの方がいいんじゃないかって。まだ全然そこまで到達してないんですけどね。
EMTG:今作を作り終えても?
ヒグチアイ:はい。そうなりたいけど、なりたくない部分もあるのかもしれないし。これからどうなるかなって。
EMTG:今作はまず本来の自分自身を取り戻す作業でもあった?
ヒグチアイ:そうですね。いろいろやったけど、できないこともあったし、ちゃんと諦められた部分もあったので。自分という軸を取り戻すことはできたなと。
EMTG:自分を曝け出して、初めてどうですか? と聴き手に問える。今はそういう気持ちですか?
ヒグチアイ:テレビで『ゴチになります』ってあるじゃないですか。設定金額よりマイナスでお金を払わなきゃいけないイメージなんですよ。たくさん食べてお金を払うならまだいいけど、マイナスでお金も払うのはすごく損じゃないですか。我を出して、損した方がまだいいなって。そういう決意ですね(笑)。
EMTG:「わたしはわたしのためのわたしでありたい」の≪彼氏いたってお金あったって/つらくなることないですか?≫の冒頭の歌詞からパンチがありますよね。
ヒグチアイ:はははは。何かを持ってるから、幸せという感覚が自分にも身についている気がして。恋人がいるから、幸せという人にはなりたくないと思って。それをぶち壊していこうと。
EMTG:幸せの基準を決めるのは自分次第だと。今作で曲調的に新たに試みことはあります?
ヒグチアイ:聴きやすいアレンジにしてもらうことは自分でできないことなので、今回はそれを人におまかせしました。それが良かったですね。前作からちょっとだけやり始めたけど、今回は曲数的に一番多いんですよ。4曲ですからね。
EMTG:ちなみにどの曲になるんですか?
ヒグチアイ:「わたしはわたしのためのわたしでありたい」、「永遠」、「かぜ薬」、「玉ねぎ」ですね。やっぱり聴いてもらえないと意味がないですからね。自分の軸を変えずに、聴きやすくするためにはアレンジしかないので。耳に残りやすさ、言葉の聴こえやすさも考えました。歌がちゃんと浮かぶようなアレンジを意識しようと。
EMTG:個人的にはアルバムの後半の「不幸ちゃん」、「最初のグー」、「癖」の流れもすごく好きで。
ヒグチアイ:いいですよね。曲順もお気に入りで、後半の流れが好きだと言ってくれる人も多くて。アルバムの最初の3曲だけ気合いいれてるけど、残りはどうしたの? って作品もあるじゃないですか(笑)。そうならないようにしたかったんです。最後まで聴いてほしいですね。
EMTG:笛の音色を効果的に取り入れてますよね?
ヒグチアイ:ケーナという楽器なんですけど、その音がすごく好きなんです。ただ、ケーナは大分個性が強いのでミックスのときに小さくされちゃいました(笑)。
EMTG:特に「最初のグー」は牧歌的な雰囲気がありますよね。
ヒグチアイ:槇原敬之さんの曲にもケーナが入っているんですけど、それがいい音だなと思って。ケーナ奏者の人を探して、吹いてもらったんですけど、感動しましたね。ほんとはこういう曲ばかりを書きたい気持ちもあるんですけどね。以前は9mm Parabellum Bulletとか好きだったので、そういう曲を書きたいと思ってたけど・・・歳を重ねると、そういう曲もかっこいいけど、自分の性格的には牧歌的な曲の方が合っているのかなって。それを質素じゃなく、大陸的な感じでやりたいと思ったのが「最初のグー」なんですよ。みんなで歌える曲にしたいなと。
EMTG:ああ、大きな会場だったり、野外フェスで映えそうな曲調に?
ヒグチアイ:そうです。それに憧れがあったので、ライブでは歌ってほしいですね。でも「みんなで歌って!」みたいなことをやったことがないので、どうなるかわかないですけどね。
EMTG:最近はどんな音楽を聴かれてます?
ヒグチアイ:音楽はあんまり聴かないんですよね。あっ、ビヨンセは聴いてます(笑)。あと、ブルガリアン・ヴォイスとかも好きですね。ハンガリー民謡とかも中学の合唱部に入っていたときに歌ってたんですよ。だから、感覚的にそういうものが好きなのかもしれない。
EMTG:なるほど。そして、7月には今作のレコ発もありますよね?
ヒグチアイ:7月に大阪と東京だけになるんですけど、フルバンドの特別編成でワンマンをやります。今はそこに向けて頑張りたいですね。ビヨンセの動きも参考にしつつ・・・(笑)。今作の中で初めて歌う曲も多いので、どう見せようかなと。ライブの中でもアルバムみたいな流れを作りたいし、見せ場じゃないけど、私を好きになってもらうポイントを演奏以外でも作れたらいいですね。それも新しい試みなので、楽しみにいてください!

【取材・文:荒金良介】

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リリース情報

日々凛々

日々凛々

2018年06月20日

テイチクエンタテインメント

01.わたしはわたしのためのわたしでありたい
02.永遠 
03.コインロッカーにて
04.かぜ薬
05.玉ねぎ
06.わたしのしあわせ
07.ぽたり
08.不幸ちゃん
09.最初のグー
10.癖

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お知らせ

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■ライブ情報

ヒグチアイ band one-man live 2018
07/16(月)心斎橋Music Club JANUS
07/21(土)下北沢GARDEN

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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