teto、高純度のロックが炸裂した待望の1stフルアルバム『手』インタビュー

teto | 2018.09.25

 今年3月に1stシングル『忘れた』をリリースし、4月からは全国9ヵ所を廻る『teto <60分2,800円ツアー>』を開催。7月にバンド初の『ワンマンツアー「始発」』を開催と、着実に活動の幅を広げてきたteto。ライブのチケットが毎回入手困難を極めるほどの人気っぷりを見せる彼らが、9月26日、待望の1stフルアルバム『手』をリリースする。ライブでは全身全霊で感情を曝け出しているフロントマン・小池貞利が、時に熟考し、照れ笑いを浮かべながら、アルバム『手』に込めた想いを語ってくれた。

EMTG:tetoにとって初となる『ワンマンツアー「始発」』のファイナル公演(7月22日・渋谷WWW X)で、『忘れた』を披露する前に「この曲を最後にやって、ようやくtetoの始発が出るなって感じです」と言っていたのがとても印象的でした。初のアルバムリリースを控えた今、“ここから本当の意味でtetoがスタートする”という気持ちは強くなっていますか?
小池貞利(以下、小池):そうですね。言ったらバンドの真骨頂はミニアルバムじゃなくてフルアルバムだと思うんですけど、僕らはそれを出していない状態で今までやってきたんです。まぁそれでも、届いてくれている人もいるとは思うんですよ。でも、ようやくちゃんとフルアルバムを出せるので、僕らとしてはここからようやく始まるなっていう気持ちでいます。
EMTG:アルバム制作はいつ頃から始まっていたんでしょうか?
小池:以前からある曲(「高層ビルと人工衛星」「トリーバーチの靴」「散々愛燦燦」「Pain Pain Pain」)の再録や、前回リリースした1stシングルの曲(「忘れた」「拝啓」)もありつつ、新曲も、前作「忘れた」をリリースした付近からちょこちょこ作り始めていました。4~5曲目に入っている「奴隷の唄」とか「市の商人たち」っていう曲は、割と最初のほうに作っていた気がします。ただ、多少なりともアルバムに入れることは意識していたと思うんですけど、アルバムを念頭に置いて作曲したというよりは、今までにやったことがない曲とか、今までの延長線上でパワーアップした曲っていうのを作っていったら、こういう1枚になったっていう感じですね。
EMTG:『手』というアルバムタイトル然り、このアルバムの全貌が見えたのは、最後に収録されている『手』という曲ができたタイミングだったんですか?
小池:それがちょっと難しくて……。アルバムタイトルの『手』は、15曲を並べた時に『手』っていう言葉が浮かんでいたんですね。で、曲タイトルのほうの「手」は、最後の最後までどういうタイトルにしようか、ずっと悩んでいたんです。でも、この曲の歌詞を見たら、「手」っていうタイトル以外、ありえないなと思って。だから、自分ではとくに考えていなかったんですけど、アルバムタイトルの『手』と曲タイトルの「手」は違う“手”なのかなって思ったりもします。
EMTG:「手」の歌詞からは、小池さんの歩んできた人生やそこに関わる多くの人の温かさを感じました。
小池:まさにそうですね。この曲はアルバム制作の初めの時期にできていたんですけど、その頃はツアーを廻る中で自分を見つめ直す機会があって、バンドを続けていく決意とか、いろいろなものを感じていたんです。もともとは2年くらいでやめるつもりだったんで。
EMTG:えっ、ちょうど今年で2年ですよ!?(驚)。
小池:バンドを始めた頃の話です(笑)。結成当初、最初に「高層ビルと人工衛星」っていう曲ができて、ある程度はいくだろうなっていう自信はあったんですよね。だから、2年くらいで美しいまま散ろうって。でも、美しいまま散るのは、やろうと思えばできちゃうことだし、たとえ伝わらないとしても伝え続けることをやめちゃダメだって、今は思う。そういう自分の過去・今・未来が、この『手』という曲には詰まっています。
EMTG:今回収録された曲の中で、難産だった曲はありますか?
小池:今回に関して言えば……ないですね(笑)。俺、他人の手が加わったものをあんまり出したくなくて。かといって“自分はこういう曲を作りたい”って言って出すのも、狙って作っているように思えちゃうので、嫌なんですよね。それって、純度が低いと思うので。そうじゃなくて、俺もいろんな皮を被っていますけど、その皮をどんどん破ったところを音楽にするというか。奥にある無意識の部分で曲を作れたらなぁと思って制作したのが、この15曲なんです。
EMTG:なるほど。作曲は、小池さんの中にある感情やメッセージを純度100%で絞り出す作業なんですね。
小池:そう。もちろん、聴かせるために歌詞やアレンジを整えたりとか、微調整はしました。でも、“できる限り純度の高い状態で出したい”というのが一番にあって。その上で、“こういうことを(歌詞で)言うなら、こういうメロディーとこういう曲調” “こういう曲を聴かせたいなら、こういう歌詞でこういうアレンジ”っていう作り方をしていきましたね。歌詞を書いてる時には、「これは言わないほうがいいかもな」って思うこともあったんですけど……「やっちゃえ!」、と(笑)。思ったことをそのまま言ったほうがスッキリするかなと思って、言っちゃいました。
EMTG:曲のタイトルもインパクトの強いものが多いのですが、タイトルはどうやってつけたんですか? 
小池:歌詞が先にできてからつける時と、タイトル先行の時と半々ですかね。でも、あえてパンチの効いたタイトルにしようとか、何かを意識してつけたってことはないです。
EMTG:無意識で、『奴隷の唄』とか『洗脳教育』とか出てきます!?
小池:あはははは。でも、意識してつけるとスベっちゃうので。メンバーも、驚いてはいますけど、「まぁまぁ(いいんじゃない?)」って感じです。俺が純度にこだわって出していることをちゃんと理解してくれているから、そこはとくに問題にならないですね。歌詞の内容も、メンバーに事前に説明したりはしないし、後々MCで俺が説明しているのを聞いて「これ、そういう曲なんだ」って知るパターンもあると思います。
EMTG:メンバー同士が信頼し合えているから、こういう鋭い楽曲が生まれるんですね。では、小池さんが渡した時にメンバーからとくに好評だった曲はどれでしょう?
小池:なんだったかなぁ……。メンバーの反応をあんまり聞かないんで(笑)。でも、歌詞で言っていることはどの曲もさほど変わらないんですけど、アレンジの仕方とか曲調が今までと違うものには、メンバーもたぶん「おお!」ってなったと思うので。そういう意味では、『溶けた銃口』と『夢見心地で』かな? その2曲は後半のほうに続いていて、比較的ドッシリ構えている曲なんですけど、今まで作ってきた曲が性急で前のめりな曲だったので、意外だなって思ったんじゃないかなと思います。
EMTG:『溶けた銃口』は、『teto <60分2,800円ツアー>』で初披露されたんですよね。めちゃくちゃサラッと(笑)。
小池:俺、「新曲やりまーす」みたいなのも嫌いなんですよ(笑)。俺が客だったら、新曲初披露とか知ったこっちゃねぇーなって思っちゃうんで。サラッとやって、それで印象に残れば印象に残るし、残らないような曲だったらそもそもどうなの? っていうのが、俺ららしいのかなって。それでも、印象に残ってくれた人はいたんじゃないかなと思います。
EMTG:アレンジの仕方が違うというのは、具体的にはどのように違ったんですか?
小池:基本は、自分がパソコンで曲を作って、そのデモをみんなに送って、そのアレンジ通りに弾いてもらうことが多いんですね。それが一番純度が高いので。でも、『溶けた銃口』に関しては、メンバー各々がアレンジをしてきていて、結果的に最初に自分が送ったものとは違うものに仕上がったんです。みんなのアレンジが加わったことで、自分が表現したいことにもっと深みが出て、この曲のレコーディングを通してバンドの未来が見えたなって思いました。
EMTG:歌詞に関して言えば、以前リリースされた「9月になること」のアンサーソングですよね。
小池:アンサーソングっていうか、続きかな。『9月になること』を作った時に、まだ足りないなって思っちゃったんですよね。この曲だけでは、足りない部分がいっぱいあるなって。まぁ、『溶けた銃口』という曲を足してもまだ伝え切れていないんですけど……。
EMTG:とはいえ、ここで改めて“どういうことを伝えたかったんですか?”と聞くのは無粋な気がしています。
小池:いや……この曲だけじゃなくて、全曲言えますよ、どういう曲なのか。言えますけど、俺としては、全曲同じようなことを言っていると思うんですよね。表現の仕方は曲ごとで違いますけど、故郷への想いとか、自分が日々感じていることとか、ライブのMCでアドレナリンが上がってつい言っちゃうようなことは、どの曲にも当てはまると思うので。
EMTG:たしかに。ライブでは、どういう想いを乗せた曲なのかを言い添えて歌うことが多いですね。『マーブルケイブの中へ』は愛犬・ミニーのことを歌った曲、『忘れた』はご自分を支えてくれている家族や周りの人達への想いが込められている。そして、どの曲も純度が高いからこそ、ライブで聴くたびに小池さんの記憶や感情を追体験している感覚に陥ります。
小池:ありがとうございます(照笑)。
EMTG:でも、メンバー同様、リスナーの反応もさほど気にならない?(笑)
小池:そうですね。正直、自分がやっていることがどう受け止められるのか? は全然気にならないです。俺は自信作を出しているので、あとはご自由にって感じ(笑)。曲をやっていく上で、最初は違うところに向けて書いていた曲を、ライブに来てくれる人のために歌いたいって思う時もあるし、今まで通りワガママにやっている曲が、そのまま来てくれている人に刺さる時もあると思う……っていう変化が少し出てきたくらいですね。ただ、何かを求めて僕らのライブに来てくれる人の数が多くなったので、それは素直に嬉しいなと思っています。
EMTG:9月30日からは『teto ツアー2018「結んで開いて」』が始まりますが、こちらはどんなツアーにしたいと思っていますか?
小池:これも出たとこ勝負です(笑)。台本通りじゃつまらないじゃないですか? それに、お客さんが聴きたい曲があったとして、その願望に応えたとしても、俺が満足しなければ意味がないので。その時々で気持ちよく歌えればいいなって思いますね。でも、ツアーはお客さんの故郷に行くようなものだし、俺の作る曲は自分を曝け出した曲ばっかりだから、それぞれの場所で、裸の付き合いができたらいいなと思っています。

【取材・文:斉藤碧】

tag一覧 J-POP アルバム インタビュー 男性ボーカル teto

リリース情報

手

2018年09月26日

UK.PROJECT

1.hadaka no osama
2.高層ビルと人工衛星
3.トリーバーチの靴
4.奴隷の唄
5.市の商人たち
6.洗脳教育
7.種まく人
8.散々愛燦燦
9.マーブルケイブの中へ
10.Pain Pain Pain
11.拝啓
12.溶けた銃口
13.夢見心地で
14.忘れた
15.手

お知らせ

■コメント動画




■ライブ情報

teto ツアー2018「結んで開いて」
09/30(日)千葉LOOK
10/03(水)北浦和KYARA
10/04(木)横浜BAYSIS
10/10(水)岡山IMAGE
10/11(木)小倉WOW!
10/13(土)熊本Django
10/14(日)長崎Studio Do!
10/16(火)京都磔磔
10/20(土)福島out line
10/21(日)盛岡Club Change
10/25(木)松本ALECX
10/27(土)新潟CLUB RIVERST
10/28(日)金沢van van V4
11/08(木)群馬SUN BURST
11/10(土)梅田CLUB QUATTRO
11/11(日)名古屋CLUB QUATTRO
11/15(木)仙台enn 2nd
11/17(土)札幌BESSIE HALL
11/29(木)高松TOONICE
12/01(土)福岡DRUM SON
12/02(日)広島4.14
12/07(金)恵比寿LIQUIDROOM

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

トップに戻る