マカロニえんぴつ、3rdシングル『レモンパイ』は“飛躍”を感じさせる1枚!

マカロニえんぴつ | 2018.10.01

 昨年末発表の1stフルアルバム『CHOSYOKU』での各所からの称賛と幅広い層へのリーチ。それに伴う全国ツアーでの動員アップと東名阪ワンマンの完売。そしてその最終の2度目の渋谷クアトロを念願のソールドアウトさせ、内容的にも大成功を収めたマカロニえんぴつ。この約1年の彼らの成長は、さなぎから蝶への羽化を思わせる。そして、その蝶が飛躍する為に必要なのが、このニューシングル「レモンパイ」に他ならない。前作で確立したミディアムテンポに乗せた印象的なメロディと、オマージュも織り交ぜた音楽性を持ち味に、更に進化した歌詞も聴きどころな今作。物語を浮かばせつつ、そこに聴く者の気持ちを重ねたり、先を想像させたり、自分に置き換えたり出来る、その言葉のレトリックにも注目だ。最新作について、ボーカル&ギターでソングライターのはっとりに話を訊いた。

EMTG:まずは遅ればせながら、ツアーの完遂お疲れ様でした。ファイナルでは念願だった2度目の渋谷クアトロも完売できて、嬉しかったでしょう?
はっとり:嬉しかったですね。東名阪のワンマンが全て売り切れたのもですが、中でも渋谷クアトロのソールドは一つの目標だったので。2度目でそれを達成できたのは、正直バンド内でも驚いていて。あれはけっこう自分たちの中でも大きかったです。自信にもなったし。
EMTG:要因は何だったんでしょう?
はっとり:もちろんライブが良くなっていった結果の現れもでしょうが、他にもアルバムの力も大きかったかなと。やはりメンバー脱退を経てのフルアルバムだったし、バンドのターニングポイント的な作品でしたから。
EMTG:あのアルバムの特徴の一つにミディアムテンポで勝負してやる感がありました。
はっとり:じつは前作の『s.i.n』から挑んできたことではあったんです。しかし『s.i.n』は、自分たちの達成感のわりにはセールスや動員アップに結びつかなくて。自分でも、“やはり速い曲に戻した方がいいのかな?”って迷いはありました。だけど結果、“だったらもっと好きなことをやってみよう”と振り切ったのが良かったんでしょう。その時のテンション感がミディアムで表現しやすかったのもあったし。リード曲(「ミスター・ブルースカイ」)なんて6/8拍子の曲でしたから。「あれをリード曲にする勇気は凄い!」って周りからも言われましたもん(笑)。確かに今の時代、6/8拍子をリード曲に持ってくるバンドは僕らの周りではいないでしょう(笑)。
EMTG:結果、あの曲が逆にこれまでマカロニを知らなかった新しいファンにも、知ってもらえるキッカケになりましたもんね。
はっとり:別れを歌った曲でしたけど(笑)。でもあの曲以降、これまでの若い女の子中心の客層に30代ぐらいの、しかも男性のお客さんも混じり出したんです。それってバンドを組んだ時の理想でもあって。
EMTG:それはルックスや若さに惹かれるのではなく、ちゃんと楽曲に惹かれて来た証でしょうから。
はっとり:90年代の良質な音楽等を聴いてきた人たちに興味を持ってもらえる曲って、そうとう中身が強くないと印象に残らないし聴いてもらえないですからね。そんな人たちにも認めてもらえる作品がつくれたことは、新たな自信にも繋がりました。
EMTG:あとはあの作品に、かつてのロックのオマージュ感があったところもその要因のように思えます。
はっとり:それもあるでしょう。様々な過去のアーティストの良質な部分を押さえさせてもらいましたから。それもさっきの『s.i.n』以降、“もう好きなことをやってやれ!”と開き直れたのが良かったのかなって。
EMTG:今の話を訊き、今回のシングルの「レモンパイ」は、その延長線上にある気がしました。好きなことを自由にやる姿勢やミディアムなテンポ、オマージュ的な部分も各所から感じられて。
はっとり:今回はジャケットからしてオマージュですから (笑)。それこそ『CHOSYOKU』を好きで聴いてくれている方は受け入れてくれるシングルかなと。
EMTG:今回はシングルなので、てっきりつかみに適したキャッチー全開でライブ映えして盛り上がれるアップテンポな楽曲で来る予想でした。しかしミディアムで来た。そこに凄く勝負感が見受けられました。
はっとり:もしかしたらあまりシングルっぽくない印象を持たれるかもしれません。逆に今回はそれこそ歌詞で勝負している面もあって。歌詞が自分の中でもいい意味で変わってきてるんで、その辺りを出してみたかったんです。先日もラジオでこの曲が流れた際に、リスナーの方々がけっこう歌詞をつぶやいてくれて。中には「歌詞がいい」と評してくれる人もいたり。正直これまでそんなことってなかったんです。それはある意味自分にとって自信になりましたね。伝えたいことがキチンと耳に入ってくれている。それって凄く大事ですから。メロディに無理のない歌詞が乗っている証だろうし。ポップスにとっても大事ですからね、そこは。内容も前回が別れがテーマだったので、次の一手は違ったテーマで勝負したくて。それもあり今回は、これから恋が始まる、その前の悶々とした感じを描いてみたんです。
EMTG:歌詞の表現にもかなりの成長を感じました。あえて色々な意味にとれるし、今後を色々と想像させるテクニック性があって。
はっとり:言葉も大事にしてもらいたかったんです。みなまで言わないから、その先は想像して自分でエンディングを作って欲しくて。今回はこれまでになくすんなり書けましたね。正味1日ぐらいで。自分のその時の温度感を繋げて最後まで感情のままに出し切ってみました。
EMTG:「レモンパイ」という甘いんだけどちょっとキュンとなる。その題材も秀逸です。
はっとり:「酸いも甘いも」って言うじゃないですか。でも甘酸っぱさって、ある程度このような経験をした人じゃないと理解できない感覚で。苦い経験やツラい別れもして…だから想い返した時にキュンとなる。ここで歌っている甘酸っぱさは、けっして初恋の甘さじゃないんです。それもあり、主人公もその後のことを想像して躊躇してしまい、いまいち踏み込めないでいる。あの感じを上手く表現したくて。でも、こう言うとなんですが、実は僕、レモンパイを一度も食べたことがないんです(笑)。完全に想像の味で歌詞を書きました(笑)。
EMTG:ここまで秀逸ながら? それって詐欺ですよ(笑)。実際レモンパイが想像していた味じゃなければどうするつもりだったんですか(笑)?
はっとり:(笑)。でも、逆にレモンパイの味を知っていたら描けない歌詞だったかも。だって、名前からのイメージで甘酸っぱいって想像しているわけですから。実際、食べ慣れていたら、そこに何も感じなかったのかもしれない。
EMTG:サウンドの方は先ほども話に出たオマージュ感がたっぷりで。
はっとり:16ビートのちょっとオールディーズなアメリカンポップスをイメージしたものです。で、一見、複雑に聴こえますけど、展開こそ多いんですが、コード数はむちゃくちゃ少なくて。もしかしたら、これまでの曲で一番少ないかも。そういった意味では新しいフェイズの曲かもしれません。
EMTG:2曲目「OKKAKE」ではホーンセクションが入ってますが、こちらは初ですよね?
はっとり:初です。しかも生で。音大時代の知人たちに手伝ってもらいました。作っていた時がちょうど夏だったので、夏や青春の青い感じが楽曲のイメージにあり、ホーンを入れたくなって。それこそこの曲に関しても、ホーンでかなり印象がつくので、あえてバンドアレンジの方はそこまで凝ったものにしませんでした。
EMTG:こちらもリリック内容が大変気になります。
はっとり:当初は全くこのような内容の予定じゃなかったんです。はり悶々とした内容のことを歌いたいんだけど、恋の歌にはしたくないレベルで。今の俺は何を歌いたいんだろう? と向き合った際に、「バンドをやっている自分がバンドのおっかけのことを歌ってみる」。これってそもそも誰もやってことがないんじゃないかなって。
EMTG:そこから、バンド解散や活動休止の報告の際の常套句である「大事なお知らせ」へと結びつけた発想が面白かったです。
はっとり:最近、「大事なお知らせ」という表現が非常に気になっていて。日々バンドを続けることの難しさを実感している中、あの悲しいお知らせなのにドキドキさせるワンクッション置く行為は何? って。自分たちはメンバー脱退の際も潔く「メンバーが脱退します」と打ち出しましたから。そんな中、自分が信じているもの、全幅の信頼を置いている人から一方的に「辞めます」との知らせを受けた際には、どんな気持ちや精神状態になるんだろう? と考えたんです。で、俺だったら哀しみよりも先に怒りが起こるだろうなって。
EMTG:確かに。
はっとり:“ここまで連れてきておいて!”“信じてここまでついてきたのに!”等々。それを書いてみました。特に最後の《まだ流行らない名曲を叫んでいる》って箇所は、今の自分に向かって叫んでるんです。まだまだ自分たちは全うな評価を得ていると思っていないんで。まだまだこれからもいい曲を書き続けなくちゃならない。そんな自分への戒めの歌だったりもします。

【取材・文:池田スカオ和宏】


マカロニえんぴつ「レモンパイ」MV

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リリース情報

レモンパイ

レモンパイ

2018年10月03日

TALTO/murffin discs

1.レモンパイ
2.OKKAKE
3.MAR-Z(2018.04.19渋谷club QUATTRO公演)
4.MUSIC(2018.04.19渋谷club QUATTRO公演)
5.クールな女(2018.04.19渋谷club QUATTRO公演)
6.幸せやそれに似たもの(2018.04.19渋谷club QUATTRO公演)

お知らせ

■コメント動画




■ライブ情報

マカロックツアーvol.6~甘すぎた青春の忘レモン編~
10/26(金)千葉LOOK
10/27(土)宇都宮HELLODOLLY
11/01(木)札幌SOUNDCRUE
11/03(土)仙台enn3rd
11/10(土)北浦和KYARA
11/11(日)群馬サンバースト
11/16(金)横浜BBストリート
11/17(土)水戸ソニック
11/23(金)名古屋ロックンロール
11/24(土)大阪2ndLINE
11/25(日)広島BACKBEAT
11/27(火)福岡Queblick
11/28(水)高松toonice
12/01(土)京都MOJO
12/02(日)浜松FORCE
12/07(金)shibuya eggman

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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