ゴスペラーズ “いま世界に必要なもの”を音楽に込めた最新アルバム

ゴスペラーズ | 2018.10.02

 ゴスペラーズ、16枚目のオリジナルアルバム『What The World Needs Now』がリリースされる。本人達の言葉を借り、タイトルを日本語に訳すとーー今、世界に必要なものは……。
それは、優しさ、ではなかろうか。優しさは、相手の言葉にならない言葉を汲み取ることから始まると、私は思う。ゴスペラーズは言っている。ハーモニーは、相手の声を聞かないと成立しない、と。だから、ずっと歌い続けて来た彼らは知っている、相手の言葉を聞く大切さを。ニューアルバム『What The World Needs Now』は、ゴスペラーズの優しさの結晶だ。このアルバムを通して、彼らは、聴き手の声を聞こうとしているのかもしれない。そう思わせるくらい、このアルバムは優しくて、温かい。何も聞かず、何も言わずに、ただ傍にいてくれるような大人の男たちの懐の深さが、本作の魅力に直結している。
さぁ、こちらも耳を傾けよう。彼らの言葉を拾いに行こう、ゴスペラーズ最新型のハーモニーの中に。

EMTG:『What The World Needs Now』は、クオリティの高い洋楽を聴いているようでした。驚いたのが、日本語の乗せ方。日本語なのに、耳が日本語として捉えないという感覚が強かった。
酒井雄二:今回、アルバムの半分以上の曲をBryan-MichaelCox(ブライアン・マイケル・コックス) & Patrick "J. Que" Smith (パトリック“ジェイ キュー”スミス)と一緒に作ったんですけど、曲が彼らから届いた時点で、すべて英詞がついていたんですね。
村上てつや:2人は、英詞の世界観をその通り日本語にしてもいいし、ゴスペラーズに必要なら、まったく違う方向にいってくれてもいいと。どっちでもいい、任せるって言ってくれたんです。
安岡 優:英語が持つリズム、言葉のビートっていうのが、やっぱりあって。そこを生かしたまま、日本語化してストーリーを構成していったんです。僕、ここ数年、DANCE☆MANさんと一緒に共作をさせていただく機会が多いんですけど、空耳力、みたいなのがすごく鍛えられたんですね。ここで役に立ったな、良かったなと思いますね。
北山陽一:日本語を英語っぽく発音しているんじゃなく、日本語をストレートに発音して英語っぽくしている。いろんなやり方があると思うんですけど、ゴスペラーズはこの形だったってことですよね。
黒沢 薫:これまで、日本語を英語っぽく発音するってことはしてこなかったから。いきなりやったら、変でしょう?“ど、どうしたんだ、ゴスペラーズ”ってなっちゃう(笑)。
安岡:唯一、この方法とは違う方法で作ったのが「for U」。彼らが日本に来て、みんなで集まって。鼻歌からスタートしたんです。
EMTG:この「for U」は、これから始まるツアーの中で、お客さんにとって、サビの部分も含め、キーポイントになる曲なんじゃないかなと思いました。
村上:シンプルにコミュニケーションの取りやすい曲ってことですよね。「NOTHING」(詞曲/村上てつや)なんて、どうすりゃいいんだ、っていうね(一同爆笑)。
EMTG:これは、裏声にうっとりする曲なんじゃないでしょうか。
村上:この曲の歌詞……例えば≪恋の恋の形≫とか、言葉として最低じゃないですか。
EMTG:は?(一同:ポカーン)
村上:字面として、もう信じられないでしょ。
EMTG:あぁ、誤植みたいというか。日本語として成立していいの、みたいなニュアンスですか?
村上:そうそう。≪一瞬の恋の恋の形≫って見て“はぁ?”みたいな。「ひとり」の≪前に前に前に恋してた≫っていうフレーズ……あんなものを世の中に投げたわけじゃないですか(笑)。もう今だから言うけど、あれは半分遊びも入っていたんですよね。だって≪前に前に前に恋してた≫ですよ。おや、おかしなこと言うねぇっていう。
北山:今、落語家みたいだった。
村上:おかしなこと言うねぇ! で、その回数を半分にした2018年! 自分的にはやや受け。
黒沢:抑えたのか、自分の中では。………「♪恋の恋の恋の~かたーち~」(←裏声で歌う)
村上:な! いけるだろ。そういう仮歌もあるのよ、じつは。
全員:はははははははは(笑)。
安岡:いいね、作詞の葛藤がみえるね。
村上:今、本当に歌詞を見ながら、すごい字面だなと思ってる。
EMTG:字面だけでいくなら“因果応報”もすごいですよ。
村上:ここも、ファルセットだからOKなのであって、本当に強めの音量で“因果応報”とか、歌ってたらヤバいですよね(一同笑)。
EMTG:最後に入っている「epilogue」を作ったのは酒井さん。
酒井:レコーディングも終盤の段階で、アルバムのオープニングを作ろう、と。でM1の「W2N2」があった中で、僕がサブのアイデアとして1曲出したんです。そしたら村上から、これをアカペラでやったらいいと思うっていうアイデアが出てきて。結果的に、テーマの提起と結論という形で、M1とM12に配置されたんですね。今年の2月、「世界には、ハーモニーが足りない。」って意見広告がありましたよね。それを英語で言ったらと思って、作ったワンフレーズが。それが「epilogue」の歌詞になって、今回のアルバムタイトルのアイデアにつながっていったんです。これは俺のイメージなんですけど、M1が地球にズームインする映像に感じるんですよ。M12が地球からズームアウトしていく映像っていうんですかね。そんな風に感じますね。
EMTG:メンバー個々のボーカルアプローチが違うのも、今回のアルバムの特徴、魅力になってますね。
黒沢:歌い方のアプローチも、例えば、16年前と比べたら変わって来てると思いますよね。前は、歌っている時“リスナーをくどいてる”と思って歌ってた。今回は、“あなたの恋愛を包み込みます”っていう感じ。16年前だったら、今回のアルバムの曲は、歌えてないと思いますね。ちなみに、今回のアルバム、僕の裏テーマは、村上でした(笑)。
EMTG:それは……裏声ってことですか?
黒沢:そうです。村上の裏声をひきついで、そのまま村上が歌っているみたいになるっていうのがテーマ。
村上:今のやりとりすごいな。「僕の裏テーマは村上です」「それは裏声ってことですか」「そうです」(一同大爆笑)。
安岡:これ、見出しでいいね。決まったね。
村上:M9、M10は黒沢の裏テーマの集結ですよ(笑)。
黒沢:そう、村上の影武者としてね(笑)
EMTG:10月19日から全国で36都市40公演を開催するツアー「ゴスペラーズ坂ツアー2018~2019 “What The World Needs Now”」も始まります。
村上:このアルバム、ガーンって歌っている曲が無いわけですよね。それをホールという大きな空間で、きっちり聴いている人の本当に目の前に(歌を)立ててあげられるかっていうのは、本当に歌い手としてのスキルが必要だと思うんです。音量の大きい小さいじゃなくて、音に密度があるかどうかが、軸になってくる。レコーディングレベルでは、密度の高いものが作れたなと思うんですね。自分たちが次のステップにいくための、いい種を蒔くことが出来たと思ってるんです。だからライヴでやった時も響いたって言ってもらえるように。次の坂をまた上っていけるように、リハーサルで詰めて詰めて、上がっていきたいなと思います。

【取材・文:伊藤亜希】

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リリース情報

What The World Needs Now

What The World Needs Now

2018年10月03日

Ki/oon Music

01.W2N2
02.In This Room
03.Right by you
04.Sweetest Angel
05.Ashes
06.Goodbye
07.for U
08.Hiding Place
09.NOTHING
10.DON’T LEAVE ME NOW
11.ヒカリ
12.epilogue

お知らせ

■コメント動画




■ライブ情報

ゴスペラーズ坂ツアー2018〜2019 “What The World Needs Now”
[2018]
10/19(金)神奈川カルッツかわさき(川崎市スポーツ・文化総合センター)ホール
10/21(日)山梨コラニー文化ホール(山梨県立県民文化ホール)
10/24(水)東京パルテノン多摩 大ホール
10/27(土)栃木宇都宮市文化会館
10/28(日)群馬太田市民会館
11/2(金)北海道札幌文化芸術劇場 hitaru
11/4(日)北海道苫小牧市民会館
11/10(土)鳥取米子市公会堂
11/11(日)岡山市民会館
11/14(水)埼玉大宮ソニックシティ 大ホール
11/16(金)徳島鳴門市文化会館
11/18(日)高知県立県民文化ホール オレンジホール
11/22(木)兵庫神戸国際会館 こくさいホール
11/24(土)滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール 大ホール
11/25(日)和歌山市民会館 大ホール
11/28(水)千葉県文化会館 大ホール
12/2(日)青森五所川原市ふるさと交流圏民センター オルテンシア
12/4(火)秋田大仙市大曲市民会館
12/8(土)長野大町市文化会館
12/9(日)新潟長岡市立劇場
12/14(金)福井鯖江市文化センター
12/16(日)岐阜長良川国際会議場 メインホール
12/21(金)宮城仙台サンプラザホール
12/24(月祝)東京国際フォーラム ホールA
12/25(火)東京国際フォーラム ホールA
[2019]
1/12(土)静岡沼津市民文化センター
1/14(月祝)愛知日本特殊陶業市民会館 フォレストホール
1/15(火)愛知日本特殊陶業市民会館 フォレストホール
1/18(金)神奈川鎌倉芸術館
1/19(土)静岡アクトシティ浜松 大ホール
1/26(土)熊本市民会館シアーズホーム夢ホール(熊本市民会館)
1/27(日)佐賀市文化会館 大ホール
2/2(土)福岡サンパレス ホテル&ホール
2/3(日)大分日田市民文化会館 パトリア日田 大ホール
2/9(土)山口周南市文化会館
2/10(日)広島上野学園ホール
2/15(金)大阪フェスティバルホール
2/16(土)大阪フェスティバルホール
2/22(金)新潟苗場プリンスホテル ブリザーディウム
2/23(土)新潟苗場プリンスホテル ブリザーディウム

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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