eill ファースト・ミニアルバム『MAKUAKE』は自身新たな“幕開け”

eill | 2018.10.03

 表情を隠した神秘のヴェールの向こうから聴こえてくるのは、レトロ・フューチャー感覚のソウル/ファンクと最新鋭ダンスミュージック、そしてJ-POPのキャッチーさを融合させた魅惑の音楽。二十歳のシンガー・ソングライター・eill(エイル)のファースト・ミニアルバム『MAKUAKE』は、高橋海(LUCKY TAPES)、MONJOE(DATS)、Kick a Show、韓国のR&Bシンガー・K.vsh(キャッシュ)などダンス/ポップ界の精鋭たちのサポートを得て、いきなりの傑作に仕上がった。二十歳にしてすでに様々な活動歴を持つ彼女が、新たな“幕開け”の時に何を思うのか。EMTG初登場インタビュー!

EMTG:若いながらも歴史ありのeillさん。歌手になろうと思ったきっかけは?
eill:最初に歌を歌いたいと思ったのは小学校6年生の時で、KARA、少女時代とか韓国の音楽が好きになったのが始まりです。「ドリームハイ」という歌手を目指すドラマにハマって、「私もなりたい!」と思って、中学校の時に韓国のオーディションを受けて、韓国語も自分で勉強しました。
EMTG:おおー。それはすごい。
eill:日本にいた韓国のボイス・トレーナーの方に、中学3年生の1年間歌を習ってました。月謝もとらずに「君は行ける!」みたいに言われて、毎日夜10時ぐらいまで練習して、毎日泣いて帰って、家でも練習してました。
EMTG:その時にもう「将来は歌しかない!」と決めていた。
eill:そうですね。授業中も、寝るか、韓国語の勉強をするかだったんで(笑)。夢中だったし、歌手しかありえないという気持ちになってました。それと同時に、「ドリームガールズ」という映画を中学2年生の時に観て、それまでは韓国の歌手に憧れてたんですけど、ビヨンセの「Listen」を聴いて、それがきっかけでモータウンのシュープリームスやフォー・トップスにハマって、CDを買いに行ったりしてました。お母さんがモータウンが好きで、小さい頃によく一緒にビデオを見てたんですけど、音楽をやりたいと思ってから、自分でそっちにハマっていきました。
EMTG:作詞作曲をはじめたのは?
eill:中学校3年生の時に、クリスマス・プレゼントにキーボードとインターフェイスを買ってもらった時からです。最初は歌手になりたい、次はシンガーになりたい、その次はシンガー・ソングライターになりたいというふうに変わっていって。そこからは自分の曲を自分で歌うようになりました。
EMTG:それにしても、すごくいい声。ふわっとした中に芯があって、優しいけど力強い。
eill:低い声と高い声の差がすごいんです。韓国式の発声法で、空気半分、声半分みたいな感じで歌っているので、ウィスパーでもないし、表現しづらいってよく言われます。

EMTG:eillになる前は、別の名前でも活動していたんですよね。
eill:はい。弾き語りでライブをしていて、曲もJ-POP寄りな感じでした。もともとR&Bが好きだったので、そういう曲もやってみたかったんですけど、環境がなかったんですよ。トラックメイカーがいなかったり、まだ16、17だったんで、クラブとかでは歌えないし。でもいろんな人が繋げてくれて、トラックメイカーを紹介してくれたりして、裏ではダンスミュージックも作っていたんです。それまでやってきたJ-POPと新しいR&Bを、うまい具合に混ぜることが、一番やりたかったことなので。でも、そうやって2年間ぐらいずっと作っていた曲が、結局出せないことになってしまったんです。いろんな理由があって。
EMTG:うーん。そんなことが。
eill:6月17日が私の誕生日で、曲が出せないことがわかったのが1か月前ぐらい。でもどうしても19歳のうちにデビューがしたくて、こうなったら「自分で作る! 私が幕を開けるんだ!」という気持ちを込めて曲を書いて、レコーディングして、超ギリギリで納品して。それまでは誰かに作られた自分だったんですけど、私が私でいるために自分で幕を開けるという意味で、6月18日に「MAKUAKE」を配信リリースしたんです。
EMTG:eillさん。逆境をばねにして飛躍するタイプでしょう。
eill:はい、嫌なことがあっても、上を向くタイプなんで。「MAKUAKE」の歌詞の“雨上がりの空/一言で言い切れる”というのは、曲を出せないことがわかった次の日に書いたんですよ。その日は雨が降っていたんですけど、空を見上げたらパッとやんで、「これは自分の気持ちだ!」と思って。うるうるしながら歌詞をバーッとメモして、できた曲ですね。
EMTG:この曲と「FUTURE WAVE」と、アルバムの頭の2曲はほんとに強力。
eill:「FUTURE WAVE」は「MAKUAKE」からさらにパワーアップした自分を描いた曲で、「私が次の時代を作っていくぞ!」という気持ちで書きました。
EMTG:「ONE」もすごいパワーのある曲。「we are no.1」という、強気なフレーズがすごく素敵。
eill:これはアジアのNo.1ということです。トラックを作ってくれたHYE SUNG(ヘソン)くんと、客演で入ってくれたK.vsh(キャッシュ)くんは、1998年生まれの同い年で、「若い私たちでアジアを変えていくぞ!」という気持ちで書きました。今までやったことのない曲調だったので、超苦戦したんですけど、キャッシュくんがすごくいいメロディを送ってきてくれて、そこから一気にできました。ふたりのおかげでできた曲だと思います。
EMTG:強気といえば「HUSH」もそうでしょう。女の子がリードする強気の恋愛ソング。
eill:私の周りの友達が年上の人に恋している人が多くて同じ時期に小松菜奈さんと大泉洋さんの映画『恋は雨上がりのように』も流行ってて、「年上との恋愛、流行ってるんだ」と思ってこの曲を書きました(笑)。
EMTG:「体が説明してるでしょ」とか。「溺れさせて」とか。けっこう過激な歌詞もあったりして。
eill:あえてみんなが引くような強気の言葉を入れました。“溺れさせて”とか、二十歳の女の子が言ったら怖いじゃないですか(笑)。だけどそのぐらいみんな、強気で思ってるなと感じたんですよね。友達の恋愛話を聞いていると。
EMTG:eillさん。強気で前向きな女の子への応援歌を作りたいとか、そういう意識がある?
eill:ビヨンセも“女の子は強い”という曲を出してるし、そういうところは自分にもあって。「女子最強だよ!」みたいなことを示したい気持ちが、勝手に出ちゃってると思います。自分がビヨンセに憧れたように、私も自分の曲で女の子の背中を押せたらいいですね。「メタモルフォーゼパラマジーノ」もそうで、メタモルフォーゼは変身という意味なんですけど、リップを塗ってお化粧して、服を着替えて、女子が最強になる呪文を唱えたいと思って、この曲を作りました。
EMTG:アルバムの中で「special girl」だけかなり曲調が違って、R&Bやダンスミュージックじゃなく、フォークソングみたいな匂いがする。ほっこりする感じ。
eill:この1曲は、以前に歌ってた時の感じに近いです。「FUTURE WAVE」や「ONE」みたいなダンスミュージックも歌いたいんですけど、こういうギター1本で言葉を大事にする曲も歌っていきたいと思ってるんですよ。そういう意味を込めて、この曲を入れました。
EMTG:最後に入ってる「HUSH」のリミックスは、ボーナストラック的な感覚ですかね。オリジナルの「HUSH」へのアンサーソングとして。
eill:MONJOEさん(DATS)のリミックスもめっちゃかっこよくて、リミックスでこんなに変わるのか?ってびっくりしました。オリジナルの「HUSH」をプロデュースしてくれた海(高橋海/LUCKY TAPES)さんはポップで可愛い感じにしてくれたんですけど、また違う人と恋愛をしているように感じる曲になって、すごい好きです。フィーチャリングのKick a Showさんには、“もし年下の女の子にこう言われたら何て返しますか?”って、本当の気持ちで書いてくださいと伝えて、書いてもらいました。
EMTG:そのへんの人たちと、仲間意識ってあります? DATSやLUCKY TAPESみたいに、ダンスミュージックとポップスを融合させた新しくてかっこいいことをやってる若いアーティストたちと、みんなで一緒に上がっていきたいとかは?
eill:いえ、私にとっては、テレビやYouTubeとかで見てた人だったんで。仲間というよりは憧れの先輩というイメージで、一緒にやれたことだけですごくうれしいです。ほめてもらえたりすると、“ほんとに?”とか思っちゃう。「よし、超えてやる!」とか思ったりもしますけど(笑)。
EMTG:頼もしいなあ。どんな存在になりたいですか。音楽シーンの中で。
eill:ダンスミュージックにトラップっぽいものを入れたり、J-POPとR&Bをミックスしたような音楽を浸透させたい気持ちがひとつと。「special girl」みたいに言葉を大事にした歌も歌って、ジャンルにとらわれないでいろんなことをするソングライターになりたいなと思ってます。毎回出るたびに違う姿を見せたいと思うし、みんなをあっと驚かせる存在になりたいです。

【取材・文:宮本英夫】
【撮影:岩澤高雄】



eill (エイル) / FUTURE WAVE (Official Music Video)

リリース情報

MAKUAKE

MAKUAKE

2018年10月03日

eill

01.MAKUAKE
02.FUTURE WAVE
03.ONE feat. K.vsh
04.HUSH
05.メタモルフォーゼパラマジーノ
06.shoujo
07.初恋
08.special girl
09.HUSH -MONJOE Remix- feat. Kick a Show

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