緑黄色社会 メンバー4人の個性が溢れる多彩な楽曲が詰まったカラフルな作品に

緑黄色社会 | 2018.11.07

 高い表現力を携えた4人のメンバーが生み出す情景観豊かでドラマティックな音世界が魅力の緑黄色社会。歌を中心としながらも様々なタイプの音楽性も特徴的な男女混合バンドだ。
 色々な表情を持った歌世界と歌唱、サウンドを用い、聴く者の気持ちと照らし合わせたり想いを重ねさせたり、聴く者各人に歌物語を展開させてきた彼ら。今回のミニアルバム『溢れた水の行方』はメジャーへとフィールドを移した、その第一弾作品となる。
 サブスクやプレイリスト世代から年配の方まで、より多くの幅広い人たちを網羅できる広い間口を持った今作。ここから更に色々と広がっていく彼女たちのストーリーの大展開の予感と、その序章を感じさせてくれる大器の予感たっぷりの全6曲だ。

EMTG:緑黄色社会は凄くスケール観を擁したバンドですが、結成時に目指していた音楽性や方向性を教えて下さい。
長屋晴子(Vo&Gt):それが特にはなかったんです。私が声をかけたメンバーから出てきた音や音楽性に委ねた結果、自然とこのような音楽性になったというか……。
EMTG:では長屋さんがこのバンドの発起人と。
長屋:私、中学の頃からずっとバンドをやりたくて。軽音楽部のある高校に進学したんです。で、そこへ入学する直前辺りからSNSで小林と繋がり、「高校で一緒にバンドを組もう」的な約束をして。その同じSNSでpeppeとも繋がって。ピアノをやっていると知り、しめしめと(笑)。
peppe(Key&Cho) : 誘われて即快諾でしたね。当初、入部候補だったダンス部はやめて軽音に入りました。
長屋:お互いどんな音楽が好きで、どんな技量かも知らず、まずバンドを組んだんです。
EMTG:組んでからはオリジナルを?
長屋:いや、最初はカバーでした。後に部外での活動も見据えて、オリジナル曲に移行していったんです。その当時はベースが不在で。小林の幼馴染の真吾(穴見)が入ってくれたんです。
小林壱誓(Gt&Cho) : 歳下ですが「彼なら安心して一緒に出来る」と確信があったので、無理やり引き入れました(笑)。
穴見真吾(Ba&Cho) : 今思えば長屋の歌が磁石のN極で、僕らはS極みたいだったなって。長屋に惹き寄せられたり、引っ張られてましたから。僕も当時はテクニック思考でファンキーな趣向でしたが、長屋の歌を聴いて、即答で加入を決めました。
EMTG:私も4年前にみなさんのライブを目撃した際に、「かなり各人が前に出た音楽性のなか、歌が埋もれてない」と感心しました。
長屋:正直そこに対しての自信や自覚はないです。「歌をうたうことが好き」の気持ちひとつでここまでやってきた感じで。昔から“歌を中心に”とは思っていながらも、その方法論を知らず……。
EMTG:いかんせん昔はみなさん、かなり1曲中にそれぞれのやりたい音楽性を詰め込んでましたもんね(笑)。
穴見:「自分たちの出来ることを全てこの1曲に集約してやる!!」みたいな気概でしたから(笑)。
小林:今みたいに引き算や個人の特性を活かしたり、引き立てたりっていう意識が全くなくて。
peppe:あとはいつの間にか「より多くの人に聴いてもらいたい、届けたい」的な気持ちに移ってきたのも大きいかも。
長屋:経験と技量のアップ、表現の幅が広がった結果、様々なタイプの自分たちが出せるようになりましたからね。
小林:今でも各々やりたいことは存分にやれてるんです。その中で歌が主役という絶対的なものを邪魔しないという暗黙の了解みたいなものが徐々に芽生えてきて。それを共通認識として保持しつつそれぞれの面白いことを演る。そんな流れにはなってきてます。
EMTG:そんな中、今回いよいよミニアルバム『溢れた水の行方』でメジャーデビューですね?
長屋:特に目標ではなかったんですが、やはり嬉しいです。とは言え自分たちの中でゴールを決めたくないので通過点とも思っていて。もっと上を目標にしていきたいんです。
EMTG:今作からは改めてのスタートを感じました。
長屋:それはあるかもしれません。私たちも大学を卒業して更に覚悟が出てきて。その気持ちを表したのが、M-1の「あのころ見た光」でもありますから。この曲は以前に作っていて、今の4人の気持ちとちょうどリンクしたので、このタイミングで改めて書き直して出したんです。
EMTG:もしや「あのころ見た光」は21歳の頃に書いた曲だったり? リリックに《twenty-one》というフレーズが何度か出てきたので……。
長屋:そうなんです。それをいま最新にブラッシュアップしました。その時にリアルで書いていた歌詞と、今だから歌える歌詞を共存させています。
EMTG:ちなみに当時は?
長屋:あの頃は大学生で自分は音楽活動中心だったけど、周りは就職活動をしている子たちも沢山いて。そんな中、“私たちはこれでいいのかな……”って心境でしたね。間違ったことはしてないけど、どう進んでいいか分からない複雑な気持ち。その辺りの心情を当時小林が書いていて。でも、それは当時の目線でしかなくて、その先が見えずに戸惑っている現状しか描けてなかったんです。それもあって、一旦そこで置いておいた曲だったんです。
EMTG:今回それを復活させようと思い立ったポイントは?
長屋:やはり曲の強さですね。あと鍵盤のフレーズ等も印象的だったし。この大人でもない子供でもない、未来がややあやふやな21歳をテーマにキチンと歌にしたい、作品として表したいとは常々思っていたんです。そこから成長した23歳ぐらいの現在の視点も織り交ぜてみたんです。
EMTG:では21歳の頃の自分に向けての歌な面も?
長屋:あります。あとは逆に、当時の自分から今の自分に向けての歌だったり。色々な視点から考えられる曲なんです。
小林:曲の中でタイムスリップしている、そんな感じなんです。
EMTG:逆に穴見さんは現在この21歳真っただ中ですが?
穴見:響きますね。自分と同じように多くの人が引っかかってくれるだろうし、僕らにとっても今後のお守りみたいな曲だなと思っています。
EMTG:この「あのころ見た光」のメロディは凄く神々しいです。
peppe:まさにイメージはそこでした。それをそのまま曲に出来たなって。明るい未来を思い浮かべ、光に向かったり包まれたり。ピアノを弾きながら道が見えて、その空間の中で作っていた感じで自然にふわーっと出来ていきました。
EMTG:あとはどの曲も明るく響いてきました。もちろん中にはウェットな曲もありますが、それでもアレンジ等をあえて明るく施したりして、全編明るく前向きな作風印象を受けました。
peppe:自然と共通認識としてみんなの中でその辺りは持っていたんでしょうね。
長屋:無意識でしたが、そういう気持ちに変わってきたのも付随しているのかなって。昔からどの曲も前向きではあったんですが、段々と大人になるにつれて色々なことが分かってきて。それに伴ってメンバーが同じ方向を向くようになって。それと合わせて、その前向きな想いも強くなっていった感はあります。不思議ですね。自分としては変わってはいないつもりでしたが、気づけば自然と変わっていたんだなって。
穴見:あとは前回、それまでの集大成的にフルアルバムを出したことも関係しているかなと。その更に次や高みへと向かう作品的な意識であのアルバムは出しましたからね。次のフェイズに向かう為の大事な作品みたいな位置づけでしたから。
EMTG:それにしても、かなり全方位の楽曲を配したアルバムになりましたね。「これが緑黄色社会です!!」とバーンと一点集中で出すよりかは、「これも、これも、これも緑黄色社会です」みたいな。
長屋:自分たち的にも面白い一枚になった自覚はあります。一般的にイメージされる緑黄色社会で終わらせたくはなくて。もしかしたら世間的には私たちにキラキラした感じや爽やかな印象をお持ちの方も多いかもしれませんが、それだけに留まらせたくなくて。この4人の個性や魅力、それが緑黄色社会であって欲しいと思っているので、そういった面ではそれらもアピール出来た1枚になったかなと。
peppe:自分たちの持ち味でもあるカラフルさは出せたと思っているので、ずっと聴いていただいている方にも安心してもらえると思います。
穴見:そのバラエティさに関しては、僕も含めて、いまサブスクリプションが10代の人たちの音楽の聴き方の主流になってきている現状で、アルバム1枚を丸々聴く習慣ってあるのかな? と懐疑的になっているのも関係しています。1曲ずつ違うアーティストから違うアーティストへと音楽を楽しむ文化の中で、このアルバムだったら通して聴ける、そんな作品を目指しました。曲作りの時も「それじゃあ、途中で飛ばされちゃうよ」的な会話が飛び交ってましたからね。
小林:スイッチひとつで何でも動いたり止まったりする時代なので、イントロや歌い出しで勝たないとっていう意識は常に持っていて。イントロで惹き込まれて、気づけば丸々全部聴いてた。そう持っていきたかったんです。
長屋:今の時代、曲のタイプでアーティストを選ぶことが多いと思うんですけど、私たちは緑黄色社会だけでそれを網羅したくて。かなり欲張りですけど、それぐらいの気概がないと今の時代、難しいなと思っています。
EMTG:では。まさにプレイリストアルバム。
長屋:そうそう。そういった感覚で是非聴いて欲しいです。
EMTG:他に何か今作で目指したものは?
小林:全曲リードになりえる曲の集合体ですかね。全曲キャラが立っていて、聴く人それぞれで好きな曲が違って、聴く人それぞれにとってのリード曲がある。そんな作品を目指しました。
EMTG:1曲1曲が強くて印象的ですもんね。あと今回はみなさん作詞や作曲で参加されてますね?
長屋:それこそ今回はみんなの作詞作曲が散りばめられているから、これまで以上に4人の個性が出せたんだろうなと。今までも楽曲中のプレイやフレーズの部分などで各々らしさは出せていたと思いますが、こと作曲という点でも、今回はメンバーそれぞれの個性が表せた気がします。
EMTG:タイトルの『溢れた水の行方』ですが、ここにも何か深い意味を擁してそうです。
長屋:作品のタイトルはとても大事なので、今回も悩みに悩みました。このタイトルが浮かんだキッカケは「サボテン」という曲でした。これは恋愛の歌なんですが、いわゆる水のあげすぎでサボテンを枯らせてしまったことと、愛情を注ぎすぎてうまくいかない恋愛とのオーバーラップが歌の内容だったんです。でも、私的にはそれってどちらも無駄ではなくて。
EMTG:その辺りをもう少し詳しく。
長屋:水をあげ過ぎても成立する恋もあるし、合う人もいる。同様に私たちも音楽に対する熱い想いや前向きな気持ちが例え溢れ出しちゃったとしても、それを受け止めて下さる方も沢山おられるだろうし。けっして無駄じゃない。私たちも、もっともっと気持ちを前に出して受け取ってもらいたいし、それがどんどん夢に繋がっていけば最高だなって。そんな想いを込めてこのタイトルにしました。是非多くの方、幅広い方々に聴いていただきたいです。

【取材・文:池田スカオ和宏】

tag一覧 J-POP ミニアルバム 女性ボーカル インタビュー 緑黄色社会

リリース情報

溢れた水の行方

溢れた水の行方

2018年11月07日

EPIC Records

1. あのころ見た光
2. 視線
3. Never Come Back
4. サボテン
5. Bitter
6. リトルシンガー

お知らせ

■マイ検索ワード

長屋晴子(Vo.&G.)
紫宝珠
中に丸々巨峰が一粒入っていて回りが砂糖でくるまれている岐阜の和菓子です。いただきものだったんですが凄く美味しくて。私、普段お菓子ってほとんど食べないんです。口の中の水分が奪われちゃうものが多いじゃないですか、お菓子って(笑)。だけど逆にフルーツはむちゃくちゃ好きで。そんな私にベストなお菓子です。ホントもうジューシーで。追加でお取り寄せしなくちゃと思い検索しました。

peppe(Key&Cho.)
ゴキブリ退治 夢
私、朝起きるとその日に見た夢を占うんです。「今朝のあの夢はどういった意味を持っていたんだろう……?」って。私、けっこう夢を覚えているタイプで。この日は吉夢でしたね。「自分の弱点や苦手だったものを克服できる」みたいな結果で。その夢を見た原因は、たぶん前日の夜にインスタで知人が「壁にゴキブリが出た!!」というストーリーをアゲていて、それを見たからだろうと。でも私、これに限らず夢の中で何回かゴキブリが出てきたことがあるんです。ちなみに占いは良い結果だけを信じるタイプです(笑)。

穴見真吾(B.&Cho.)
穴見
僕と同じ苗字の方に全く出くわさないな……と普段から感じていて。出自は九州地方みたいなんですが、これまで血縁以外で穴見って出会ったことがなかったんです。そんな中、他の穴見という名前の方々はどんな活動をしているのだろう? と興味が湧いて調べました。国会議員や地下アイドル、俳優やボディビルダー等の方が出てきて。自分のことながら、「おおっ、他の穴見も頑張ってるじゃん!!」って。自分も負けずに頑張らなくちゃと改めて決意しました。



■ライブ情報

「溢れた水の行方」発売記念イベント
11/7(水)[愛知]名古屋パルコ 西館エントランス
※18:30~
11/11(日)[東京]タワーレコード渋谷店 B1F CUTUP STUDIO
※1部13:00~/2部16:00~
11月17日(土)[大阪]タワーレコード梅田NU茶屋町店
※19:00~

緑黄色社会ライブツアー 「溢れた音の行方」
11/22(木)[宮城]仙台CLUB JUNK BOX
11/24(土)[愛知]名古屋ダイアモンドホール
11/30(金)[福岡]福岡DRUM Be-1
12/01(土)[広島]広島CAVE-BE
12/08(土)[大阪]大阪BIGCAT
12/15(土)[北海道]札幌cube garden
12/21(金)[東京]マイナビBLITZ赤坂

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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