着実に夢を実現させ続けるGLIM SPANKYの新たな一歩を記した最新アルバム

GLIM SPANKY | 2018.11.20

 2018年は初の日本武道館公演を成功させ、フジロックフェスティバルではグリーン・ステージに登場。着実に前進しているGLIM SPANKYが4作目『LOOKING FOR THE MAGIC』を完成させた。松尾レミ(Vo&Gt)が長年夢見てきた聖地サルベーションマウンテンを訪れたことをきっかけに生まれた初のL.A.録音曲を始め、亀本寛貴(Gt)が初挑戦したインスト曲で幕をあけるスケール感たっぷりの新作だ。また大きな一歩を記すこの新作について、ふたりはいつにも増して熱っぽく語ってくれた。

EMTG:3rdアルバム『BIZARRE CARNIVAL』から1年少々ですが、その間にリリースしたシングル2作の曲も含み新作『LOOKING FOR THE MAGIC』には11曲が収録されていますね。ずっと曲を作り続けていたような感覚かと思いますが、新曲の用意はいつ頃から進んでいたんですか?
松尾:5月の日本武道館が終わってからですね。曲を書き始めたのは8月頃です。実は武道館が終わった後に、個人的に旅行でL.A.に行ったんですよ。その時に、今回のアルバム・ジャケットの撮影もした、サルベーションマウンテンというところに行って来て。その時の経験が自分の中で大きくて、この旅をきっかけに作ったのが、アルバムの最後に入っている「Looking For The Magic」という表題曲だったんです。「TV Show」は、L.A.でレコーディングができそうだということになって、7月か8月ぐらいに作り始めました。
EMTG:サルベーションマウンテンを知ったきっかけは?
松尾:大学生の頃から私、ヴィンテージ物が好きなので、いろんな国のヴィンテージショップをWEBでチェックしてるんですけど、その中でも私が好きな60~70年代寄りのショップは、こぞってサルベーションマウンテンをバックに商品の撮影とかをしてたんですよ。それを見た時に、「こんな場所があるんだ!」というのと、「自分のバンドのビジュアルも撮影して見たい!」と思ったんです。
EMTG:サルベーションマウンテンはヒッピーの聖地だから、松尾さんはお父様の影響で知っていたのかと思いました。
松尾:(笑)これはネットで知りました。周りはヒッピーだらけでしたね。そこへ行くまでL.A.からクルマで4時間ぐらいかかるんですよ。で、やっと辿り着いて、向こうに私が憧れていたカラフルな丘が見えて来たときは感動しました。最初に思ったのは、「意外と小さい」。だから人の手で作られたんだなって魂が感じられたし、それを今でも、作った本人は亡くなったけど、その聖地を守りたいという若者たちがペンキをぬりたして保護しているのを見て、すごく感銘を受けて、やっぱりここで撮影したいと思いました。
EMTG:実際に行ったことで、具体的なビジョンが生まれたり?
松尾:結構撮影に使われている場所なんで、一番象徴的な十字架をメインにしないで、ちょっとズラしたところから撮りたいという話はしていたぐらいです。海外で撮影するのも初めてだったので、どんなミラクルが起こるのかなと、あまり決め込まず、その場の雰囲気でとカメラマンさんにもお願いしました。カメラマンさんは大学の2年先輩で、すごくナチュラルな写真を撮ってくれる人だったので、ミニマルなチームが一丸となっていけました。
EMTG:周りに何もない砂漠の中での撮影は、大変だったんじゃないですか。
松尾:マネージャーが熱中症で倒れて。気温が41,2度なんですけど、私たちは長袖を着て、でも涼しい顔をしなくちゃいけない(笑)。暑さは半端なかったけど、ここに来れたという喜びで、いい撮影ができました。
亀本:周りにはトレーラー・ハウスがいっぱいあって、サルベーションマウンテンの修復とかしてる人たちが住んでるんですよ。トレーラー・ハウスが欲しくなりましたよ。映画『8 Mile』を見てから、トレーラー・ハウスに憧れてるんです。
EMTG:(笑)気分はエミネムですね。さてL.A.でのレコーディングのことを教えてください。
松尾:スタジオはL.A.郊外にある64Sound Recording Studioというところで、ヴィンテージ機材や楽器がさくたんあって、ガレージですね本当に。音を録るところはちゃんとした家みたいな感じなんですけど、休むところはプレハブみたいな感じで、屋根の隙間から空が見えるような(笑)。
亀本:カリフォルニアは、そんなに雨が降らないから、気にならないのかな。
松尾:借りたシールドもおもちゃみたいで、これで大丈夫なの? みたいな感じなんですけど、大事なのはそこじゃなかった。録った音も最高にかっこよかったし、やはり日本と違う感覚で録れたというのは大きかったですね。レコーディング・メンバーも元々このメンバーでやりたいとリクエストしてた人たちで、仲良くなって。エンジニアもプレイヤーもみんな最高で。何も言わなくても、こちらの求める音になって行く感じでした。私たちがバンドじゃなくてふたりだからできた体験だと思います。
EMTG:海外録音だと、音についての意思疎通はできても、歌詞について理解してもらうのが大変という話も聞きますが、どうでしたか?
松尾:コーディネーターさんに、こういう歌詞ですと大まかに伝えてもらった途端、ふたりとも「わかるわかる」「いつもそれ思ってることだよ」って、すぐ理解してくれた感じがして。特にドラムのカーラは、「Looking For The Magic」は日本からL.A.に来て砂漠の中のサルベーションマウンテンに立った気持ちを表したんだと言ったら、自分も同じ経験をしたことがあるって。田舎から出て来てL.A.の広大な砂漠に立った時に、思うことがあったって、パーソナルなことを語り出してくれて。なんか、繋がったなって思いがありましたね。
亀本:今回L.A.で録った「TV Show」「Looking For The Magic」の2曲とも、日本人独特の感覚とか表現とかが別になくて、何人だろうとそう思うよな、みたいな内容だったから、よかったね。
EMTG:アルバム・タイトルでもある「Looking For The Magic」という言葉に込めた想いは何でしょう?
松尾:最初はアルバム・タイトルだけにしようと思ったんです。11曲目はタイトルがなかったんですよ。武道館が終わってL.A.に行った時、広大な大地をL.A.からメキシコに向かって、いつまで続くかわからないような長ーい貨物列車が、どこまで続くかわからない道のりを行くのを見たんです。これはメキシコにいる誰かが、この荷物たちに希望を感じて待っているんだなとか、どこまで続くかわからない長い線路を自分の人生に置き換えてみたりして。私たちミュージシャンなんて売れなくなったら終わりだし、一緒に行った友達もフリーランスのイラストレーターだったり、メイクアップアーティストとして海外で活動したいって頑張ってる子だったり。彼らと、私たちも“このまま自分を信じてやっていけるよね”って、その場で感じてしまって。それで帰国してから、その思いをロード・ムービーのような曲にしたいなと思って書いたんです。レコーディングが終わってアルバム・タイトルを決めてと言われた時に、「Looking For The Magic」という言葉が浮かんで。その理由を考えていくと、あのLAの旅の経験がなければこの曲は生まれなかったし、この曲が生まれなければこのタイトルにならなかったのかもしれないと思って、同じタイトルにしました。
EMTG:松尾さんは、今年は武道館をやったり夢を実現させて来ていますけど、マジックを探し続けるということですね。
松尾:はい、探し続けています。ロックの魔法だったり、ささやかなことでもいいんですけど、きっとみんなそうだと思っていて、みんなの中にも置き換えられるようなものにしたい。この曲は、パーソナルな面を書いたと思っているので、そういう点でも満足のいく曲になりました。
EMTG:そんな作品の幕開けとなる1曲目が新鮮ですね。
松尾:前から亀本がインスト曲を作りたいと言ってて、ライブのSEを自分たちで作ってみるのはどうかってことで、リフとリズムを作って来たんですよ。そこに何か歌を入れたいなと思ったけど、普通に歌ったら普通になっちゃうんで、逆再生させたりして誰が歌ってるかわからないような謎の歌を遊びで入れてみました。真っ暗な夜の砂漠で見えるサイケデリックな幻想のようなイメージですね。
亀本:フェスとかに出た時に、大抵のバンドは盛り上げるSEを使ってますけど、逆にめちゃくちゃテンポ遅くして、僕らの音楽やビジュアルの感じとかとリンクして一発で印象づくような曲があれば、フェスとかでインパクト残せるんじゃないかと思って作ったら、ああいう曲になりました。
EMTG:3月から始まるツアーで使われそうですね、
亀本:ライブの流れが作りやすいかと思いますね。
松尾:自分たちの音と歌が、ステージに出る前に流れちゃう(笑)。それもいいかなと思って。今年は武道館をやれたり、フジロックのグリーン・ステージもできて自信もついたし、でもどこでやったかより自分が何を作っているかが大切だと思うので、それを忘れずに貪欲にやっていきたいと思います。

【取材・文:今井智子】

tag一覧 J-POP アルバム インタビュー 女性ボーカル GLIM SPANKY

リリース情報

LOOKING FOR THE MAGIC

LOOKING FOR THE MAGIC

2018年11月21日

ユニバーサルミュージック

01.4 Dimensional Desert
02.Love Is There
03.TV Show
04.ハートが冷める前に
05.The Flowers
06.In the air
07.愚か者たち
08.Hello Sunshine
09.All Of Us
10.To The Music
11.Looking For The Magic 

お知らせ

■ライブ情報

年末調整GIG 2018
12/23(日祝)[愛知] 名古屋DIAMOND HALL(12/23)

CROSS FM 25th Anniversary「MUSIC JUNCTION 2018」
12/25(火)[福岡] 福岡国際センター

COUNTDOWN JAPAN 18/19
12/30(日)[千葉] 幕張メッセ国際展示場1〜11ホール、イベントホール

[2019]
KOZA RIOT2019
01/26(土)[沖縄] ミュージックタウン音市場

LOOKING FOR THE MAGIC Tour 2019
03/02(土)[長野] CLUB JUNK BOX
03/03(日)[長野] CLUB JUNK BOX
03/10(日)[神奈川] 横浜ベイホール
03/15(金)[岩手] 盛岡CLUB CHANGE WAVE
03/17(日)[福島] 郡山CLUB #9
03/21(木祝)[兵庫] 神戸CHICKEN GEORGE
03/22(金)[岡山] CRAZYMAMA KINGDOM
03/24(日)[山口] 周南RISING HALL
04/04(木)[静岡] 清水SOUND SHOWER ark
04/06(土)[熊本] 熊本B.9 V1
04/07(日)[鹿児島] CAPARVO HALL
04/09(火)[京都] 京都磔磔
04/11(木)[愛媛] 松山サロンキティ
04/13(土)[高知] 高知キャラバンサライ
04/14(日)[香川] 高松MONSTER
04/26(金)[長野] 松本Sound Hall a.C
04/28(日)[新潟] 新潟LOTS
04/29(月祝)[石川] 金沢EIGHT HALL
05/03(金祝)[北海道] 札幌PENNY LANE24
05/04(土祝)[北海道] 札幌PENNY LANE24
05/11(土)[愛知] 名古屋DIAMOND HALL
05/12(日)[愛知] 名古屋DIAMOND HALL
05/18(土)[大阪] なんばHatch
05/24(金)[広島] 広島CLUB QUATTRO
05/25(土)[福岡] 福岡DRUM LOGOS
05/31(金)[宮城] 仙台Rensa
06/08(土)[東京] 豊洲PIT

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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