聴いた瞬間に衝撃が走る! ドミコ、ニューアルバム『Nice Body?』インタビュー

ドミコ | 2019.02.04

 聴いた瞬間に「なにこれかっこいい!」と反応し、ライブを見れば「これどうやって二人で鳴らしてるの?」と思わず身を乗り出してしまう。そんな出会い頭の衝撃を積み上げて、認知度を上げてきたドミコ。昨年は3月にJETのジャパンツアーに帯同し、その後初の渡米を果たしアメリカ、テキサス・オースティンにて開催された『SXSW Japan Nite 2018』への出演と全米6ヶ所のツアーを敢行。国内では『RISING SUN ROCK FESTIVAL』など数多くのフェスに出演、並行して行われた全国2マン・ツアーも成功させた。秋には2度目の『MINAMI WHEEL』で会場であるBIG CATが入場規制がかかる盛況ぶりを見せ、12月には初の台湾公演も実現と、ライブを軸に駆け抜けてきた。

ライブバンドとして出会うオーディエンスを増やす中、昨年6月にはこれまでとは趣きを異にする楽曲「ベッドルーム・シェイク・サマー」を配信限定でリリースし、魅力の一つであるアップデートされたサイケデリアに、このバンドのユニークさを改めて感じた。同曲、そしてアルバムに先行してミュージックビデオが公開された「ペーパーロールスター」など全10曲収録の3rdアルバム『Nice Body?』でさらなる攻勢をかける2019年……に、なるのか? いつもマイペースで掴み所のないさかしたひかる(Gt/Vo)に今作について訊く。

EMTG:2018年はライブの規模が大きくなり、海外アーティストのオープニングアクトやアメリカツアーなどアウェイな状況もあったと思いますが、楽しめましたか?
さかしたひかる:やってみて明らかに来てる人がいつもと違うなっていうのはやった後にうっすらわかるけど、やる前は僕も長谷川もあんまり意識しないし、やることも変わんないですね。
EMTG:ライブもどんどん洗練されていってる気がしますが。
さかしたひかる:まだいいのか悪いのかわかんないけど、二人っていうのは曲やアレンジ以上にその日のコンディションや意思疎通をしてるか、相手がどう思ってるのかを汲み取れて、合わせられるのかとか、完全に二人の息に左右されていて。それはあんま音楽的な感じではないじゃないですか?
EMTG:音楽的じゃないと言うと?
さかしたひかる:スポーツみたいなものというか。だからいいのか悪いのかっていうのはよくわかんないですけど、クラシックもそうじゃないですか。息を合わせるみたいなのがすごくて演奏に出て、それがいいっていう。
EMTG:オーケストラは誰もクリック聴いてないですからね。
さかしたひかる:はい。それが二人とか変な編成――他にも太鼓がいっぱいあったり、そういったいわゆるギターロックバンドじゃない編成になると、息を合わせるようなアンサンブルが実はいい演奏の要素になる割合が増えていってるんだなっていうのを体験して実感したっていうのが去年あったかもしれないですね。
EMTG:それがライブの完成度につながっていると思います。
さかしたひかる:もともとは下手くそでもいいっていうか、グランジとかUSインディーの宅録のバンドも好きで両方の良さを知ってるんで。だからドミコは、そういう息を合わせていくっていうのも追及してくと面白いんだなっていうのを知れたバンドだなと思って。
EMTG:総括みたいになってる(笑)。今回のアルバムはギターで音を作るのがこれまで以上に楽しそうだなという印象がありました。
さかしたひかる:今回はエフェクト面で言うとゴールがあって、その目的に向かってエフェクトを使うというか、ほんとに使うべきところぐらいしかエフェクトは使ってはいないような気がしますね。そういう意味では、今までに比べると音の輪郭が早い段階で一個、頭の中にあったのかなと思います。
EMTG:冒頭の楽曲「ぺーパーロールスター」や「My Body is Dead」はロックンロールと言えるビートだし音像ですね。
さかしたひかる:元気ですね(笑)。
EMTG:(笑)。元気っていうか音が太い感じがします。
さかしたひかる:うん。めちゃめちゃ太いっすね、ここら辺は。今までに作った曲に比べると曲のアレンジとか作りはすごいシンプルなんですよね。結構ひねり要素を抑えてるというか、あえてそこまで取り込んでないような曲が多い気はしますね。
EMTG:サウンドに対するビジョンが早い段階であったからですか?
さかしたひかる:そうですね。それでもドミコっぽい感じに落ち着くのかどうか? っていうのも逆に知りたかったですよね。どうしても作ってて、ドミコの色も出すために、「こっからどうしようか?」とか考えるんですけど、そういう作業をしなくてもカラーを持たせられるのか? が作る前は確かに気になってたかも知れないですね。
EMTG:なるほど。それはものの見事に曲に出てるし、決定打はひかるさんのボーカルで。
さかしたひかる:ああ、そうですよね(笑)。あんま僕、頭に入ってなかったですけど、冷静に考えるとボーカルで決まっちゃいますもんね(笑)。頭の中ではそこを取っ払って考えてるんですよ。ビートだとかギターの音作りと曲の感じ。そこで色々今回はこういう感じかなとか、この曲はこうかなとか考えるけど、最終的にどう考えても声が乗れば覆りますからね。でも、あんまり意識したことなかったです。
EMTG:(笑)。「ぺーパーロールスター」のサビの最後のメロディの逃げ方とか、「なんでこうなるんだろう?」って思うけど、やはりその人からしか出てこないものだと思うので。
さかしたひかる:ああ。でも意外に歌が乗る前もドミコっぽいなって。オケで完成するのが最終着地点なので。逆に歌乗せる時は「もう何乗せても大丈夫だな」って感覚にいつもなれます。
EMTG:それはドミコを語る上でキモかも知れないですね。
さかしたひかる:うん。オケでわかるかなって感じ。
EMTG:海外の最先端の音楽からのリファレンスで語れるバンドとは違う新しさだと思う。
さかしたひかる:まぁそうですね。僕がそこと真逆すぎて、たまにそういうバンドを羨ましいなとか、すごいなとか思うんですけど。
EMTG:ただ、マインドは近いものを感じていて。今、音楽の世界の共通言語はヒップホップやラップミュージックで。そういうムードを「裸の王様」とか「アーノルド・フランク・ブラウニー」に感じましたが。
さかしたひかる:ああ、そこは特に考えてなくて、「アーノルド・フランク&ブラウニー」は60年代のソウル系のベースが好きで、ただそれっぽいニュアンスのベースラインがずっと続いていくっていう曲なんですけど、その上にギターが色々抜き差しで入って行ったり、いきなりサビ入ったりとか、ソウル系のベースラインだけで終わらない感じってのが面白くて。
EMTG:なるほど。「裸の王様」は「裸で街を駆ける連中」という歌詞が渋谷のハロウィンを想像させて(笑)。
さかしたひかる:(笑)。
EMTG:どうなんでしょう、実際は。
さかしたひかる:次に「服をかして」って曲があるんですけど、この“服をかして”ってフレーズだけはもう、アルバム作る前ぐらいからあったんですよ。
EMTG:(笑)。服を貸してって頼んだのか、貸したのか。
さかしたひかる:あ、頼んでる感じなんですけど(笑)。で、その曲が入ることがずっと頭にあったんで、その前の曲は「なんか関連の曲にしようかな」っていうのがうっすらあって。
EMTG:それで「裸の王様」が後からできたと。服を貸してって言ってる状態自体がシュールです(笑)。
さかしたひかる:(笑)。結構、強烈なワードですもんね、シンプルな言葉で。なかなかないですよね。それが面白くて気に入ってるんですけど(笑)。
EMTG:そういうワードがフッと浮かぶんですか?
さかしたひかる:スタジオに入って仮歌入れるんですけど、その時にペチャクチャ言ってるときにこういうのが急にぱっと出てきて、それをそのまま使ったりすることが結構あるんですよね。
EMTG:今回なかなか歌詞が直球だと思ったのが「わからない」で。“わからない”ってまるでドミコみたいじゃないですか。
さかしたひかる:ああ、どうなんだろう? 自分で書いててっていう意味だと「わからない」が唯一書けなかったですね。すんなり書けないというかすげえ時間がかかった。あとは割と気持ちよく、なんだかんだ書けたんですけど、自分の言葉だなっていうのは「裸の王様」が一番そうかなぁ。
EMTG:なかなか尻尾を掴めないドミコですけど、ここに来て本質が出たかも? と思ってしまいました。
さかしたひかる:確かにいつもは自分視点のものってあんま書かないんですけど、今回のアルバムって結構、自分が言いそうな言葉遣いとかそういうのもだんだん多くなってきたのかなと思いますね。
「わからない」は、でも、自分がわがままっていうか、やりたいことしかやらないとか、勝手な人間なんですけど、逆になんでみんなそうじゃないんだろう? っていう気持ちで書いた曲ですね。
EMTG:そうじゃない人が多く見受けられますか?
さかしたひかる:いや、みんななんでそんなにしっかりしてんだろ? っていう感覚の歌詞ですね(笑)。
EMTG:そういう“わからない”なんですね(笑)。で、終盤が愛らしいというか、ドリーミーでいいんですよね。「マイダーリン」とか。
さかしたひかる:「マイダーリン」はこういう、カントリーとかフォーキーな感じがもともと好きだったんですけど、あんまドミコでやんなくてもいいかなとずっと思ってたんです。でもやっぱやりたいなと思って試しに録ってみて、「あ、やっぱいいなぁ」って感じになって、入れたんですけど。
EMTG:素直なコードワークで。
さかしたひかる:そうですね。これこそ何のひねりもない。逆にドミコがこういうことやることがひねり、やることが面白いみたいな。
EMTG:素直に聴けちゃったんですよ。
さかしたひかる:そうですね。歌詞もみずみずしいというか、すごく優しいですよね(笑)。
EMTG:(笑)。そうそう。ひかるさんが歌ってることを忘れそうなぐらい可愛らしい女の子が主役の歌だし。
さかしたひかる:そうですね。アイドルに提供できそうですよね(笑)。
EMTG:アイドルかどうかはわからないけど、良い映画みたいな感じ。
さかしたひかる:ああ、確かに。いい歌詞だな。
EMTG:とはいえ、カントリーな感じとボーカルの重ねの中にサイケデリアを感じるので。そのまま「ベッドルーム・シェイク・サマー」につながっていく一つの世界観があるなと思います。
さかしたひかる:うん。最後がすごく……音作りというか、そこがかなりうまく行ったんで、逆にここにつなげていくのがすごく難しかったんですよね。
EMTG:「ベッドルーム・シェイク・サマー」をラストに置きたかったから?
さかしたひかる:もともとこれ、アルバムの初期ぐらいに録った曲なんです。この中で一番古いか2番目ぐらいだったりするんですけど、その時から、流れを考えてラストっていうのはもともと考えてましたね。
EMTG:最後の“ガチャ”っていうのは?
さかしたひかる:アウトロをダラダラやるのもめんどくさいから、もうブチっと切っちゃおうと思って。そんでガチャって音入れて。イメージではカセット開けるみたいな音なんです、イジェクトボタン押して。その、ハッとして終わりそうなギャップですかね。「アーノルド・フランク&ブラウニー」も、最初タイトなドラムで間奏が始まって、で、だんだん同じフレーズ繰り返していくんですけど、それがわあ~って輪郭がなくなってって、どんな曲かわかんなくなって、スッてサビに戻る展開があるんですけど、そういう一気に現実に戻すみたいな展開が今は好きなんですよね。
EMTG:歌詞も音像も含めて、アルバムの中にいくつかの違う舞台がある感じがします。
さかしたひかる:そういうのを一ヶ所か二ヶ所ぐらい作るってことを一応やってみてます。
EMTG:そして今回もアルバムタイトルの最後が疑問符で終わっていて(笑)。「深層快感ですか?」以来もうずっとですね。
さかしたひかる:はてなマーク、好きなんですよね、形が。
EMTG:形が? 収まりがいい?
さかしたひかる:うん。だいたい、本のタイトルもはてな多いじゃないですか。俺が好きな本がそうなのかもしれないけど。例えば「今、淡水魚はどうなのか?」みたいな(笑)。
EMTG:それ、新書のテンプレだと思いますけど(笑)。
さかしたひかる:(笑)。このアルバムも全部聴いたらわかるよ、みたいなことです。

【取材・文:石角友香】

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リリース情報

NiceBody?

NiceBody?

2019年02月06日

ReleasefromREDProject,adivisionofSonyMusicEntertainment (Japan)Inc.

1.ペーパーロールスター
2.さらわれたい
3.MyBodyisDead
4.裸の王様
5.服をかして
6.わからない
7.アーノルド・フランク&ブラウニー
8.あたしぐらいは
9.マイダーリン
10.ベッドルーム・シェイク・サマー

お知らせ

■コメント動画




■ライブ情報

"ドミコ ワンマンツアー「Nice Body Tour?」”
02/15(金) 埼玉 北浦和KYARA
02/23(土)浜松 FORCE
03/02(土)福岡 the voodoolounge
03/03(日)宮崎 SR BOX
03/09(土)広島 BACKBEAT
03/10(日)名古屋 CLUB UPSET
03/16(土)札幌 KRAPS HALL
03/20(水)宮城 enn 2nd
03/24(日)大阪 umeda TRAD
03/29(金)新潟 CLUBRIVERST
03/30(土)金沢 GOLD CREEK
04/06(土)岡山 ペパーランド
04/07(日)香川 高松TOONICE
04/19(金)東京 LIQUIDROOM
05/18(土)沖縄 output

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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