なきごと 初の全国流通盤シングル「nakigao」リリース

なきごと | 2019.04.16

 一度聞いたら忘れない、「なきごと」という名のバンドがデビューする。結成は昨年9月、ライブ活動開始と同時にmurffin discsオーディションで準グランプリに輝いた、平均年齢21歳の若き女性二人組。ほぼノン・プロモーションながら、ふんわりした見かけに似合わぬ骨太なライブ・パフォーマンスが噂になり、手作りのミュージック・ビデオも着実に再生回数を稼ぎ、満を持して世に放つ初の全国流通盤シングルが「nakigao」だ。オルタナティブな質感、歪んで揺れるギター、哀愁のメロディ、独特のストーリー性を持った歌詞、そして危ういほどにピュアで切ないほどに透明な歌声。小柄な体に大きなポテンシャルを秘めた二人、水上えみり(Vo&G)、岡田安未(G&Chorus)の頭の中を探ってみよう。

EMTG:どんなふうに出会った二人ですか。
水上:その前に前身バンドがあったんですけど。ギターを探していて、ライブハウスの人に紹介してもらって、スタジオで会ったのが初めてです。
岡田:私はバンドをやってなくて、たまたまコピー・バンドでライブハウスに出た時に、店長さんに声をかけてもらって、スタジオに入って。という感じです。
水上:お互い別々の音楽専門学校に通っていた時ですね。1年半ぐらい前だと思います。4人組のガールズ・バンドだったんですけど、2人抜けて、2人になって。
岡田:前身バンドのことは忘れて、ゼロから2人で始めました。
EMTG:元々音楽やりたい子でしたか。えみりさん。
水上:はい。歌が好きで、ずっと音楽やりたかったんです。幼稚園の年長さんぐらいの時のカラオケのオハコは、DREAMS COMETRUEの「やさしいキスをして」でした。
岡田:ませてんなー。
水上:小学校に上がって、一青窈がオハコになって。年が上がるにつれて、Coccoになったり東京事変になったり。バンドだとスピッツが一番好きで、楽曲は影響されてますね。あとはRADWIMPS、plenty、Over The Dogs、漢字表記時代の世界の終わりとか、よく聴いてました。
岡田:私は、両親が音楽やってたんですよ。子供の頃はYUIが好きで、ミスチルとかも聴いてました。
EMTG:バンドを始めたきっかけというと。
水上:お姉ちゃんが文化祭で、音楽喫茶みたいな出し物をやっていて、お母さんと一緒に見に行った時に、バンドやってたんですよ。お姉ちゃんがボーカルやってるのを見て、真ん中で歌うのってかっこいいなーと思った。自分でもバンドができるんじゃないかな?って思ったきっかけはそこかも。
岡田:中学校の吹奏楽部で打楽器をやってたんですけど、休み時間にギター弾いてる先輩がいて、その人に憧れて始めました。ONE OK ROCK、SEKAI NO OWARI世界の終わり、BUMP OF CHICKENとか、そのへんの影響も大きいです。
EMTG:二人でなきごとを始めるにあたっては、こういう音楽をやろうというイメージはあった?
水上: plentyみたいな、ちょっとダークな感じのバンドを目指してたんですけど。作っていくうちにちょっとずつ違う方向に行き、今こんな感じになりました。
岡田:まずmurffin discsのオーディションに向かって音源を作ろうという話になって。ライブを始める前に音源作ってMV作って、応募して。
水上:ファースト・デモ・シングルを作ったんですけど、納期がすごいギリギリで、ライブの前日にCDができあがって、バタバタでスタートしました。始動ライブの前に、オーディションの最終審査のライブがあったんですよ。
岡田:初ライブがそれだよね。
EMTG:それで準グランプリを取っちゃった。すごい。
水上:ありがたい限りです。自信なかったんですけど。
岡田:狐につままれた気分です。
水上:まだ始動前だし、音源もない、名前も出してない状態のバンドが応募してどうなんだろう?と思ったんですけど。知り合いのライブハウスの人に勧められて、背中を押されて応募しました。最終審査も、もともとなかったところに、準グランプリの枠も急きょ作っていただいて。本当に、周りに支えられながらできたバンドだと思います。
EMTG:そんな、なきごとの全国流通デビュー・シングル「nakigao」。今回の3曲を選んだポイントは?
水上:murffin discsとの出会いになった「メトリポリタン」は絶対に入れたかったのと、「忘却炉」は最近作った曲で、それ以外に7,8曲ある中で一番いいんじゃないか?ということになったのが「忘却炉」です。「Oyasumi Tokyo」はゆったりとしたバラード調で、「メトロポリタン」は明るいポップな感じで、「忘却炉」はバキバキのロック・サウンド。楽曲の振り幅が広いバンドなので、それがちょっとずつ入った、初めてのなきごとにぴったりの3曲だと思います。
EMTG:リード曲「Oyasumi Tokyo」はどんなイメージで?
水上:疲れた日常を送っている人たちに向けて、というのが一番ですね。これを書くちょっと前に、ギターが病んでて。
岡田:ふふふふ。とてもつらい時期があったんです。
水上:それを見てたのと、あとは電車に乗ってる、ケータイもいじらずにボケッとしてるサラリーマンとかを見ていて思ったことです。そういう人、けっこういるんですよ。夜の11時ぐらいに電車に乗ってるサラリーマンって、目が死んでるし、首の角度がすごくて。自分もいろいろ思うことがあったので、それを書きました。バンド名のコンセプトに通じるところなんですけど、疲れた時に、泣きたい時に、泣ける環境ってなかなかないので、せめて音楽の中だけでも、その人にとって一番いい時間になったらいいなと思ってます。
EMTG:なきごとって、あんまりいいふうに使われないでしょう。なきごと言うな、とか。
水上:そうですね。「疲れた」ってなきごと言うと、「周りも疲れてるんだからおまえが言うな」みたいな。でも「頑張れ」とか言われて、頑張って、壊れちゃっても、誰も責任取らないじゃないですか。壊れてからじゃ遅いから、その前に、ちょっとずつなきごとを小出しにしていってもらえたら。この音楽がその場所であったらいいなと思うし、ライブ会場でも、家で聴いてくれるだけでもいいので、その人にとって居心地のいい場所になれたらと思います。
岡田:この曲聴いて、だいぶ助けられたので。私が「Oyasumi Tokyo」の一番のファンです。シングルが発売されたら、それをツイッターで言おうと思って、「一番のファンは私だからな!」って。ずっとあっためてます。
水上:4月17日にやっとつぶやける(笑)。
EMTG:カップリング「メトロポリタン」は、デモ・シングルに入っていたバージョンのリミックスで、ボーカルも歌い直して。これ、何を歌ってる曲なんだろう。
水上:失恋をした時の曲です。この曲を説明する時の文章で「総理大臣を三連休で暗殺する曲」って書いたんですけど、総理大臣というのは比喩表現で、自分の中で一番大きな存在だった人ということ。「Sorry許して」と「総理ごめんね」とかけてます。それだけです(笑)。このストーリーの中では、ひどいことをされて放心状態の女の子がいて、その子が警察官にハニートラップをかけて、総理を取り締まってもらうんですけど。元々その子は総理のほうが好きだから、まだ好きなんだよなーという複雑な葛藤をしながら…というストーリーです。わかりにくいかな。
EMTG:なんかすごい…。曲ってそういうストーリーから作ることが多い?
水上:そうですね。だいたいこういう感じ、というのが1曲1曲にあって。それをスタジオでみんなに伝えると、みんな頭にハテナが浮かぶんですけど(笑)。
岡田:まずストーリーを聞いて、おのおの思ったように弾いて、アレンジしていくんですけど。「え、そういうこと?」って思いながらやってます。
水上:専門学校で曲作りを学んだ時に、先生に「先に小説みたいなものを書いてから曲にしたら、深みが出るかもね」と言われたので。それからは、先にストーリーを決めて歌詞を書くようにしてます。
岡田:その人のおかげなんだ。
EMTG:3曲目「忘却炉」は?
水上:これも失恋した時の曲で、自分の経験を元にして書いてます。思い出ばかりにとらわれて、現状をおざなりにして、昔ばかり気にしてる。あいつふざけんな、ってずっと思ってる歌です(笑)。
岡田:普通は「忘却路」って書くじゃないですか。それを焼却炉とかけてるんだなと思った。
水上:元々「忘却いわく爆発」っていう仮タイトルだったんですよ。それを見て「忘却炉」にしようよってサポートのドラムの子が言って、こうなりました。ライブでも一番激しくなる曲です。照明真っ赤です。燃えてます。
EMTG:そんな3曲。いわゆる名刺代わり、ってやつですか。
岡田:いい自己紹介になりました。事務所の方が、人によって好きな曲が全然違うって言ってました。何が好きかで、その人のキャラが出ると思います。
EMTG:僕は「Oyasumi Tokyo」が好き。疲れてるのかな。
水上:あはは。
EMTG:曲を作る時って、リスナーのことを考えます? 共感してほしいとか。
水上:あんまり考えないですね。逆に、自分が考えることは誰かが考えると思うんですよ。お互い人間なんで、別に共感を考えて書かなくても、誰かしら共感するだろうと思うんですよね。頑張れって言われて頑張るよりも、友達とおいしいものを食べに行くとか、テレビが面白いとか、聴いた曲が良かったとか、そういうほうが元気出るじゃないですか。そういうことだと思います。
EMTG:ライブは、どんなものを見せたいですか。
岡田:ライブを見た人が口を揃えて言うのは、「意外とロックバンドだった」って。女の子二人組がやってると聞くと、ポップで可愛らしいライブを想像すると思うんですけど、全然違うので。度肝を抜かせてやるって感じです。バチコーン!とライブやってます。
EMTG:期待してます。最後に、近未来の夢、目標、野望をどーんと。
水上:今は下積みの時期なので、いい曲作っていいライブして、いろんな人に聴いてもらうのが、やるべきことだと思ってます。将来的な野望としては、武道館を即完させたいです。武道館で精一杯じゃなくて、即完させるぐらいの、もっと大きなバンドになりたいので。女の子のボーカルで長く続いてるバンドって、いないじゃないですか。みんな見た目で売っちゃってるから、年を重ねるごとにいなくなっちゃう。でも楽曲で勝負してるバンドは、売れれば長く続くから、そこのところまで頑張って行きたいですね。

【取材・文:宮本英夫】

tag一覧 J-POP シングル インタビュー 女性ボーカル なきごと

リリース情報

nakigao

nakigao

2019年04月17日

murffin Lab. / murffin discs

01. Oyasumi Tokyo
02. メトロポリタン
03. 忘却炉

お知らせ

■マイ検索ワード

水上えみり(Vo&G)
ゲゲゲの鬼太郎
今やってる6期のアニメが面白くて、公式をフォローしちゃいました。
6期、めっちゃ面白いです。第一話で、ユーチューバーがお札を剥がしちゃって、封印された妖怪を表に出しちゃったとか、ハロウィーンの時には、こんなものは産業社会の産物だとか、ただ騒ぎたいだけみたいなことを言ったりとか、現代的なんですよ。
動画サイトの会社を妖怪が運営しているとか。
そして妖怪VS人間の大戦争が起きるとか、もうヤバイです。
5期も面白かったですけど、6期はマジで面白いです。
いつかタイアップ取りたいです。7期はぜひ。

岡田安未(G&Chorus)
夢占い
最近、殺し合いしてる夢を見たんですよ。殺人鬼がいて、追われてる人たちが自分を含めて7人ぐらいいて、ナタとか振り回して殺人鬼と戦う。
結局誰も死なず、殺人鬼も殺さず、警察と救急車を呼んでどうにか助かったんですけど。
その意味を夢占いで調べたら、殺人鬼が私にとっての現実を表していて、「現実の何かと戦っている」みたいなことらしくて、そこで勝ったということは、いい方向に進んでいるのであろうということでした。
そして今日見たのはペットが死んじゃう夢で、どこかのおじさんがハムスターを手に持っている時に、下に落として死んじゃったんですけど、それに対して「ごめんね」の謝罪もなかったから、ブチ切れて、泣きながら起きるという夢を見ました。
起きたらボロボロに泣いててびっくりしました。もっと前ですけど、おじいちゃんが亡くなる夢を見たんですよ。
危篤状態の時にお見舞いに行ったら、いきなりパッと起き上がって一言言って、親戚たちを笑わせて、パタッと死ぬんですけど。
今まで泣いてたのに、「そこで起きるんかい!」って突っ込んだところで目が覚めた(笑)。
その直後にmurffin discsのオーディションがあったんですけど、おじいちゃんが死ぬ夢は、夢占いでは「あなたの夢に一歩近づく」ということらしくて。おじいちゃんのおかげかなと思ってます。



■ライブ情報

WEST BUYKING
05/05(日) 東京都立川市錦町エリア

『なきごと「nakigao」Release Tour 2019』
05/26(日)下北沢SHELTER
06/15(土)名古屋CLUB ROCK’N’ROLL
06/16(日)心斎橋 Live House Pangea
07/14(日)shibuya eggman

Plot Scraps pre. FLAWLESS YOUTH TOUR 2019
06/06(木) 仙台enn 3rd

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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