2 サード・アルバム『生と詩』バンドの現在地を語る。

2 | 2019.04.18

 結成直後に2作のアルバムを立て続けにリリース、セカンドアルバム『GO 2 THE NEW WORLD』のツアーでは渋谷クアトロも成功させた2から、1年ぶりとなるサード・アルバムが届いた。これまでの作品から一転、古舘佑太郎(Vo/G)の内面に踏み込んだその内容は、じつは2というバンドが、本当の意味でのスタートラインに立ったことを示している。復活劇を終えて次のフェーズへ。そんなバンドの現在地を、古館と赤坂真之介(B)、yucco(Dr)に語ってもらった。

EMTG:前の2作とはちょっと色合いが違うアルバムになりましたね。
古館:ファーストアルバムは誕生の産声で、セカンドアルバムはバンドをやることの喜びや充実感がすごく溢れていて。そこからバンドをやることの苦しみとか、乗り越えていかなきゃいけない壁とかがあったのが詰まっているのが今回かなって。そういう意味でいうと、前作、前々作とは作っているときの状態は全然違いますね。
EMTG:どんな状態だったんですか!?
古館:僕自身、自分がずっと表現を続けてきている理由だったりとか、今後も続けていくためにはどうすればいいのかとか、そういうことを今回の作品を作っているときは考えていました。あと、前作を出して思ったのは、やっぱり僕が充実して、ニコニコして、ハッピーな状態ってあんまり求められてないんだなっていう(笑)。どちらかというとポジティブな思いから音楽を始めてないので、僕は。10代のときの話ですけど、日常がつまらないからとか、自分が情けないから音楽をやりたいっていうのがスタートだったんですよね。そこに立ち返った感じはしました。
EMTG:実際、2を始めて楽しかったわけじゃないですか。
古館:でも僕は2を始めたら器用で感情の起伏もない、スマートなミュージシャンになろうと思ってたんですけどね。やっぱ人はそんなに変われないって気づきました。
EMTG:でも、バンドとしてはわりといい調子でここまで来ていたわけじゃないですか。なのにそこで悩んでしまったっていうのはどうしてですか?
古館:僕が2を組んだ理由は、過去を乗り越える、「エピソード1をエピソード2で超える」ってことと、俺たちはゾンビのように一度死んで復活した、その復活劇っていうのがすごくテーマにあったんですよ。でもそこで2作作って、復活劇が完結しちゃったんですよね。ゴールを迎えちゃったからこそ、「じゃあ2って何なんだ」っていう。そこから僕は、それまではバンド、バンドだったけど、一個人としての心の中の感情を見つめ直したんですよね。だから詞もそっちにかなり行ってると思う。
EMTG:内面に迫っているというか、「ルシファー」や「ニヒリズム」のようにダークな部分に向き合っていたり、あるいは「なぜ表現をするのか」「なぜバンドをやるのか」ってことに深く踏み込んでいますよね。
古館:そう、だから今回は今までの人生で考えても、いちばん、書けば書くほど自分のイヤな部分を目の当たりにする作業だったので、しんどかったですね。自分で自分の診断書を書いてるような感じになってましたね。
EMTG:古館くん、今までいろんな歌詞を書いてきたじゃないですか。だけど今回の歌詞はいちばんドキュメンタリー、ノンフィクションな感じがします。
古館:ファーストのときは、初期衝動で書いているぶん、耳触りもいいしキャッチーだったんですよ。セカンドもポップで明るい。だけどもしかしたらそれって僕じゃなくても書けるかもしれないなって思うんです。そういう意味でいうと今回は、それがいいか悪いかはさておき、少なくとも他の人には書けないものになったのかなと思います。
EMTG:真之介くんとyuccoさんは、古館くんのそういうモードをどう見ていたんですか?
yucco:陰ながら応援じゃないですけど、「こうしたらいいんじゃない?」とかは言わなかったですね。常にPちゃんと一緒にやってたので。何かできることあるかなってひとりで思ってたぐらいですね。
赤坂:僕も歌詞を読んで、等身大のフルくんが書かれているので「ヤバいなあ」と思いつつ、そういうところ好きだなと思ってた感じなんですけど……フルくんが歌詞書いてたとき「ひとりだとイヤだからいてくれ」って言われて。でも俺も「こうしたほうがいい」とか言えないし、邪魔したくなかったので、無言で座って朝まで一緒にいました。
古館:真之介が僕の正面に座って、僕はパソコンに向かって、朝まで。っていうのをたぶん4回くらいやったよね?
赤坂:うん。
EMTG:いい人だなあ(笑)。でもそういう状態のほうが書きやすいってこと?
古館:やっぱりどこかで、メンバーが目の前にいることでサボれないっていうのがあると思うんですよ。ひとりだとマーラのようにいろんな誘惑が飛び交って、逃げ出す理由をどんどん作り上げちゃうんです。それを防止するっていうのもあるし。あと、ひとりでやってると、俺性格ひんまがってるから「畜生、あいつ今頃グースカ寝ているのに俺は……!」とか考え出してイライラするんで、そうならないために強制的にいてもらうっていう(笑)。
EMTG:「少なくともこいつは起きてる」と(笑)。
古館:「じゃあ俺もがんばろう」みたいな。
赤坂:でも俺、夜型なんで全然……。
yucco:いやいや……(笑)。
古館:僕、本当に徹夜とかしない人間なんで、今回初めてかも、ずっと徹夜して歌詞を書いたの。いちばんヤバかったのは「フォーピース」ですね。
yucco:ふふふふ(笑)。
古館:これ、全然違う歌詞だったんですけど、それが納得いかなくて。何回書いてもダメで、とうとうレコーディングの日になっちゃって、どうしようって思って。それで今まで書いてきた詞を全部消して、一文字でも前作ってたやつを使うの禁止って決めて、グワーッて書きあげたのが「フォーピース」だったんです。そしたらまったく違う曲になって。
EMTG:ちなみに最初はどんな歌詞だったんですか?
古館:えっと、「孤独のオーケストラ」っていう。
yucco:その前は「ディラン」だったよね。
古館:そうそう、「ディラン」から「孤独のオーケストラ」になって空中分解してたんすけど。むっちゃくちゃでした。最終的に「俺、別に孤独じゃねえしな」って(笑)。孤独じゃないのに孤独を歌おうとしてたから進まなかった。最初の「ディラン」っていうのは、ボブ・ディランが「ウィー・アー・ザ・ワールド」でみんながいるなかでしかめっ面で歌ってて。それを歌詞にしてたんですよ。そこにとらわれてましたね。
EMTG:で、今回、「ニヒリズム」みたいな王道の曲もあるけど、わりと今までやったことのないタイプの曲が多くて、演奏的にもチャレンジしていますね。
yucco:そうですね。「ホメオパシー」も私にとって初めての2ビートの曲ですし、アコースティックな「ハナレイバナレイ」もあれば、「東狂」のゆっくりの16ビートもあればっていう。いろんな顔があるアルバムですね。でもあえてバラエティ感を出そうとしたわけではなくて。やりたいのを集めたらこうなったっていう。
EMTG:「SとF」とかも、裏打ちのハイハットが効いてるダンサブルな曲で新鮮だなと思いました。
古館:「SとF」なんて、僕は何の苦労もなかったですよ。
yucco:得意だもんね、こういうの。
古館:悩みゼロ。なんかもう、つなぎでちゃちゃっと書いた感じです。他で苦しんでるぶん。
EMTG:逆に「ホメオパシー」みたいなストレートな歌詞のほうが難しいんでしょうね。
古館:ああ、難しかったですね、「ホメオパシー」は。自分っていう人間をちょっとズラして書いたほうがラクだしうまくいったりするんですけどね。今回は真っ正面から自分とやりあっちゃったんで。でもその結果、変わりたいって願い続けてきたけど自分はやっぱり変わらないってことに気づけた。
EMTG:全然、スマートなんかになれないじゃないかっていう。というかそもそも「スマート」ってどういうこと?
古館:いやもう、アーティストっぽく振る舞い、仕事をするようにバンドができる人。僕、仕事をするようにバンドできないんですよ。
EMTG:でしょうね(笑)。それは最初からそうじゃないですか。
古館:そうなんですよ。たとえば、ポール・マッカートニーとジョン・レノンだったら、ポール・マッカートニーのほうがスマートなイメージなんですよ。ああいうのに憧れますね。
EMTG:でも、ポールに憧れるのは自分がジョンだからじゃないですか? ジョンもポールに憧れてたかもしれないですよ。だからこそふたりでやってたんだと思いますけどね。
古館:ああ……。だからスマートってことでいうと、Pちゃんはスマートなんですよ。曲もさくっと作れるし、ぱぱぱっとメカニズムでできるんですよ。それってすごくいいなって思うんです。僕、家じゃ絶対書けないんで、喫茶店に行くんですね。それでMacBookで歌詞書くんですけど、一見スマートじゃないですか。でもヤバいんですよ、傍から見たら。猫背も猫背だし、貧乏ゆすりもすごいし(笑)。で、イヤホンで曲聴いて鼻歌歌ってるっていう。
EMTG:はははは。
古館:コーヒーのおかわりとか来ると恥ずかしいからバッて隠すんですよ。だから何書いてる人なんだろうってたぶん思われてるし。年々ひどくなってきていて、どうしようかと思ってます。本当にイヤなんですよ。でもそうなっちゃう。「じゃあなぜやるのか?」ってことなんですよ。
EMTG:そう。なぜやるんですか?
古館:そうなんですよね……でもやらなかったことがないので、僕。
EMTG:いや、だってThe SALOVERSが終わったあと、もうバンドやらないって言ってたじゃないですか。
古館:そう、やらないって言ってたくせして、時間でいうと、終わって2か月後にはもうレコーディングしてるんですよ、ソロの。絶対遊んでやるって言いながら、たった2か月だけなんですよ。だから本当の意味でやらなかった時期がないので、「なぜやるのか」はそこに答えが隠されているのかもしれない(笑)。
EMTG:だからしょうがないですよ。一生そうなんじゃないですか、古館佑太郎という人は。
古館:そうなんですよねえ。でも目標として、もうすぐ28歳になるんですけど(この取材は古館の誕生日の直前に行われた)、よりスマートに――。
EMTG:スマートにはならないんですよ。このアルバムは「なれません」ってアルバムだから素晴らしいわけで。むしろ「よくぞそれを認めた」っていう。だって、タイトルが『生と詩』ですからね。もうこれで生きていくぞってことじゃないですか。
古館:本当、「生きる」「死ぬ」っていうのは……年齢もあるのかもしれないですけど、やっぱり昔なんとなく思ってたこととはちょっと違う、より具体性をもった生き死にみたいなものは感じるようになりましたね。だから、今自分がやってることっていうのが結局この人生を象徴するものになるから。
EMTG:「死」を考えたっていうのもそうなのかもしれないですけど、やっぱり2が人生とイコールになったってことだと思うんですよ。バンドとして腹が据わったっていうか。
古館:そうですね。今回、本当に初めて「4人で作った」って感じかもしれないです。前作は分担制で、4人で音を合わせて作ったというものではなかったので。
yucco:バンドを4人でやってる感はすごくありますね。しんどいですけど、できあがるまでの挫折が多いほうが、その曲を好きになれるし。
古館:ファーストとセカンドのときは超にこやかな感じでしかやってなかったもんね。
yucco:うん、「いいねいいね」って感じ。
古館:今回は僕もふたりにアレンジの面で厳しいこと言ったりもしたし。
EMTG:今作、バンドとか音楽をやることについての曲がいくつかあるじゃないですか。そういう曲を聴いてると、やっぱり古館くんという人はロックバンドをやることにものすごくロマンを持っているんだろうなと思います。
古館:ああ。僕「ロック」という言葉とか響きと意味には何も憧れないんですけど、仲間と一緒に何かをやるってことが好きなんだと思うんです。それがバンドっていうことなんですよね、自分にとって。他人の人生を振り回したいだけなのかもしれないですけど(笑)。

【取材・文::小川智宏】

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リリース情報

生と詩

生と詩

2019年04月03日

1994

01.ルシファー
02.ニヒリズム
03.SとF
04.性と詩
05.ナイトウォーク
06.DAY BY DAY
07.ハナレイバナレイ
08.ホメオパシー
09.東狂
10.WHEN I WILL DIE
11.フォーピース

お知らせ

■ライブ情報

-2 ONE MAN LONG TOUR-
「4 PIECE FOR PEACE」
05/11(土) 千葉LOOK
05/12(日) 仙台enn 2nd
05/18(土) 札幌ベッシーホール
05/26(日) 新潟RIVERST
06/08(土) 京都磔磔
06/09(日) 名古屋UP SET
06/15(土) 広島BACK BEAT
06/16(日) 岡山ペパーランド
06/22(土) 高松DIME
06/23(日) 福岡INSA
06/29(土) 金沢vanvan V4
07/05(金) 大阪JANUS
07/11(木) 渋谷CLUB QUATTRO

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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