chelmico 彼女たちの魅力が詰まった2ndアルバム『Fishing』

chelmico | 2019.08.22

 爽健美茶CMソング「爽健美茶のラップ」、テレビドラマ『四月一日さん家の』OPテーマソング「switch」によって、ますます幅広い層に知られるようになったchelmicoが、2ndアルバム『Fishing』を完成させた。緻密に構築されているサウンド、ユニークな言語感覚が光る歌詞、胸に沁みるメロディ、スリリングなラップ……彼女たちの魅力をたくさん発見できる作品だ。多彩な刺激で満ちあふれている今作について、RachelとMamikoに語ってもらった。

EMTG:音楽を、すごく楽しめているのが伝わってくるアルバムです。
Rachel:伝わっていますね(笑)。
Mamiko:その通りです(笑)。
EMTG:この1年くらいの間にchelmicoは、たくさんの人に知られるようになりましたが、そういう状況の中で制作したアルバムを、どのようなものにしたいと思っていました?
Mamiko:全体のバランスは、考えていました。たくさんの人に知っていただけることに繋がった「爽健美茶のラップ」と「switch」をアルバムに入れるのは、最初から決めていたんです。その2曲は明るい雰囲気なので、ミドルテンポの曲とか、歌ものを多めに作っていきました。
Rachel:その結果、バラエティ豊かな曲たちに恵まれましたね。新しい一面もあるし、インディーズの時に作ってた曲みたいな方向性の強化版、成長した版も作れたと思います。
EMTG:「12:37」が、ものすごく洗練されたサウンドで、痺れました。
Mamiko:ありがとうございます。
Rachel:この曲、かっこいいよね? 
Mamiko:うん。メロディとかは小袋くん(小袋成彬)が作ってくれたんですよ。私たちからは出てこないような新鮮さがあります。
EMTG:ノリと構成がシンプルなようでいて、ものすごく気持ちよくなっちゃうのが、この曲の不思議な魅力です。
Mamiko:そうなんです! 
Rachel:これ、実は歌うのが難しいんですけど。
Mamiko:昨日、リハで練習したんですけど、ものすごく難しくて。レコーディングの時は、ライブで歌うってことまで頭が回ってなかったよね?
Rachel:うん。作ってる時は、とにかく「いい曲を作ろう!」っていうことしか考えてなかったから。
EMTG:小袋さんと曲を作ることになった経緯は、どのようなものだったんですか?
Mamiko:もともと友だちなんです。飲んでる時に「一緒に曲を作ろう」という話になったのが実現しました。小袋くんがこれを作った時にハマってたものと、昔から言ってくれてた「chelmicoでこういうのをやりたい」っていうイメージが、「12:37」には反映されてるんだと思います。送ってくれた4曲くらいの中から選んだのが、この曲です。
Rachel:方向性は、送ってくれたどの曲も共通するものがあったんですけど、これが一番ビビッときたんですよ。
Mamiko:「速いラップをしてほしい」みたいなことは言ってたよね?
Rachel:うん。「メリハリをつけてほしい」っていうことも言ってました。
EMTG:ふたりのラップの魅力も、すごくストレートに感じられる曲ですよ。
Mamiko:私たち、ラップが大好きですから。
Rachel:chelmicoを聴いてもらうことで、ラップがさらに定着していけばいいよね?
Mamiko:うん。chelmicoは、ヒップホップがもともと好きだったわけではない人にも聴いていただけるようになってきてるんです。この前、エゴサーチしてたら「普段、パンクしか聴かないけど、chelmico、めっちゃいいからライブ行くわ!」っていうのを見つけて嬉しかったんですよ。
Rachel:それは嬉しいねえ!
Mamiko:この前、『NUMBER SHOT』に出たんですけど、ロックバンドがたくさん出ている中で、ヒップホップはKREVAさんとchelmicoくらいだったんです。
Rachel:出させていただいて、とても光栄でした。普段、ヒップホップを聴かないみなさんにも、こういう音楽をナチュラルに聴いていただけるようになったら嬉しいです。
EMTG:多彩な切り口の曲が満載されている『Fishing』は、chelmicoをさらに幅広い層のリスナーに聴いてもらうための、いいきっかけにもなると思いますよ。
Rachel:そうだったら嬉しいです。そういえば、今日、別の現場でお会いしたスタッフさんが、chelmicoのインディーズの時の手刷りの2曲入りCDを持ってたんですよ。それと今回のアルバムを比べてみたら、「ほんとに成長したなあ」って思いました。
Mamiko:涙出そうになりましたから。インディーズの時のそのCD、私たちのサインも入ってたんですけど、これが汚いサインで(笑)。
Rachel:今は、こんなに綺麗なジャケットのCDを出させていただけるようになって、曲の説明もできるようになりました(笑)。
EMTG:(笑)「Summer day」や「Bye」とかを聴いて改めて思ったんですけど、緩い雰囲気と力強さの併せ技が、chelmicoの独特な風味のひとつになっていますよね。
Mamiko:そうかもしれないですね。「Summer day」は、トラック自体が上げめな感じですけど、内容は意外と「夏をめちゃめちゃ楽しんでるぞ!」っていう感じじゃないんですよ。
Rachel:意外とけだるいよね?
Mamiko:うん。それが我々なのかなというのは、感じてます。
EMTG:この曲、《蛇のお腹よりスベスベな二の腕に 触れたいわ今》っていうところも印象的です。変な質問にはなりますが……蛇のお腹って、スベスベなんでしょうか?
Rachel:蛇のお腹、触ったことないんですけどね(笑)。
Mamiko:なんで、これ書けたの?
Rachel:わかんない。蛇が結構好きなのかもしれない。
Mamiko:へえー!
Rachel:大蛇とか気になるし。蛇をおもしろい生き物として捉えてるのかもしれない。
Mamiko:「Highlight」の歌詞の中にも大蛇が出てくるよね?
Rachel:そうなんだよね。蛇が好きって、今、気づいた。なんか、モチーフとして使いやすい。よく見ると綺麗だし、神聖な印象もある生き物だから。
EMTG:サウンド面に関しても、いろいろ新鮮なことができていますね。例えば、「Bye」は、ゴスペルの要素が入っているじゃないですか。
Mamiko:ゴスペル、やりたかったんですよ。ゴスペルのコーラスのみなさんのレコーディングに立ち会ったんですけど、ものすごく勉強になりました。こういうのは、インディーズの頃にはできなかったことですね。
Rachel:いろんなことができるようになって、嬉しいです。
Mamiko:今回のアルバムのジャケット写真も、湖に行って撮りましたからね。最初のCDのジャケットを考えると、ものすごい変化です。あれは横浜の元町の階段で撮ったスナップ写真なんですよ。
Rachel:その後は、ジャケットがプリクラでしたね。ふたりとも前よりもかわいくなってると思います。なぜなら、プロのメイクさんがメイクしてくれてるから(笑)。
Mamiko:みなさんに見ていただく機会が増えたから、気を使わないといけないですよね。
EMTG:ふたりは、chelmicoをやる前にモデルをしていたから、見られるのは慣れていたんじゃないですか?
Rachel:実はモデルやってないんですよ。これは、この機会に訂正しておきたい。
Mamiko:そう言っちゃったもんだから、そうなってるんですけど。
EMTG:僕、どこかのインタビューで「モデルをやってました」っていうのを見た気がするんですけど。
Rachel:拡大解釈なんですよ。ふたりが出会ったきっかけが、趣味で写真をやってる知り合いで。「ポートレートを撮りたい」っていうことで、そこでたまたま集められたのが私たち。誰でもよかったらしいんですけどね。つまり、モデルではないんです。
EMTG:被写体?
Rachel:それです! 
Mamiko:私たち、モデルではなくて被写体です(笑)。
EMTG:(笑)今作のサウンドや歌詞に関して、何か変化を感じている部分はあります?
Mamiko:今回は今までよりも正直になれました。chelmicoをいろんな方に知っていただけるようになりましたけど、前は「ラッパーだから、なめんなよ!」っていう気持ちがちょっとあったんです。でも、「今はラップもするし、歌も歌うし、音楽を楽しんでる」っていう気持ちなので、歌詞を書く時も正直になれてます。だからこそ今回は、全体的にひねくれてるっていうか……なんて言うの?
Rachel:ひねくれてるんじゃない?(笑)。
Mamiko:その言葉が合ってるのかわからないですけど、「別人格の自分がいて、その娘に言わせてる」みたいな感じもあるんですよ。そういうイメージが、歌詞の中に出てくる宇宙人とかなんですけど……。
EMTG:「EXIT」に宇宙人が出てきますし、「Balloon」にはエイリアンが出てきますよね。
Mamiko:はい。「EXIT」は、宇宙から見た地球がテーマなんです。自分を俯瞰してるというか、1個上のところから見てる感じが、こういうイメージなんですよね。
EMTG:Rachelさんは、今回の歌詞に関して、何か感じていることはあります?
Rachel:漢字とひらがなのバランスは、考えたのかも。文字にして読んだ時、漢字が多過ぎるとモヤっとするし、ひらがなばかりだと入ってこないし。そういう視覚的なバランスは、前よりは意識したのかなと思います。
Mamiko:たしかに、そういう部分も今回は考えましたね。だから、歌詞カードを見ながらじっくり聴いていただきたいです。
EMTG:このアルバム、音の面でも、じっくり浸る心地よさがありますよ。「Navy Love」や「仲直り村」とか、すごく心地よい質感ですし、「Balloon」みたいなアンニュイな雰囲気のラブソングも、このサウンドだからこそ表現できているんだと思います。
Mamiko:chelmicoは、ラブソングが多いんですけど、「Balloon」は、新しい感じがすごくありますね。最近、明るい曲をたくさん出していましたけど、「こういうのも好きなんだよ」というのをお知らせできていると思います。
EMTG:しっとりとした曲や、どこか翳のある曲も、chelmicoの大きな魅力ですからね。
Rachel:そうなんです。意外と、おっとりしたところもあるふたりですから。はっちゃけてる時もあるんですけど、基本的にボーっとしてるところもありますし。
EMTG:明るい曲を入口にしてchelmicoを聴き始める人が多いと思うんですけど、すぐにいろんな面を発見するんでしょうね。無意識の内に洗練されたサウンドにたくさん触れることによって、耳も肥えていくんだと思いますよ。
Mamiko:そうなっていたら嬉しいです。
EMTG:ふたりは、子供の頃にRIP SLYMEに憧れていて、「リップになりたい!」とまで思っていたというのはファンの間でよく知られていますけど、リップは音楽の面白さ、深さを自然な形で教えてくれた存在ですよね?
Rachel:まさにそうです。我々にとってのリップのような存在にchelmicoがなれたら、それはすごく嬉しいことです。
Mamiko:chelmicoに憧れてほしいです(笑)。
Rachel:最近、ライブに来てくれた子供たちに、私たちは人気なんですよ。「chelmicoになりたいなあ」って思ってほしい。私たちは「RIP SLYMEになりたい」って思って、その結果、chelmicoになれました。
Mamiko:そういうことを思ってた私たちがこうなれたというのは、改めて考えると、めちゃくちゃ嬉しいことですね。

【取材・文:田中 大】

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リリース情報

Fishing

Fishing

2019年08月21日

unBORDE

01.EXIT
02.爽健美茶のラップ
03.ひみつ
04.Navy Love
05.Balloon
06.Fishing (Interlude)
07.BEER BEAR
08.12:37
09.Summer day
10.仲直り村
11.switch
12.Bye

お知らせ

■コメント動画




■ライブ情報

chelmico Fishing Tour
急遽、追加公演決定!
09/28(土)マイナビBLITZ赤坂


chelmico Fishing Tour
09/07(土)福岡DRUM Be-1
09/14(土)宮城・仙台MACANA
09/16(月・祝)北海道・札幌SPiCE
09/20(金)愛知・名古屋CLUB QUATTRO
09/22(日)大阪・梅田CLUB QUATTRO
09/28(土)マイナビBLITZ赤坂
09/29(日)東京・マイナビBLITZ赤坂


Local Green Festival’19
08/31(土)横浜赤レンガ地区野外特設会場

RUSH BALL 2019
09/01(日)泉大津フェニックス

FM802 30PARTY MINAMI WHEEL 2019
10/12(土)大阪ミナミエリア各会場

STARS ON 19
10/13(日) 中世夢が原(岡山県井原市美星町)

SPOOKY PUMPKIN 2019
10/26(土)サンリオピューロランド

鉄工島フェス2019
11/03(日)大田区・京浜島内各会場

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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