オメでたい頭でなによりが放つ新境地 3rdシングル「乾杯トゥモロー」インタビュー

オメでたい頭でなにより | 2019.08.28

 「オメでたい頭でなにより」が信念に持ち、バンド名にも掲げている「オメでたい」。今年発売の新作からは、苦や労を経てそこに至る楽曲も現れ、それがよりバンドへの信憑性や信頼感と結びつく結果に至った。
 今回のニューシングル「乾杯トゥモロー」は、そんな新境地を3曲3種で表現、曲毎にその配分も曲調も伝え方もサウンドアプローチも全く違った各曲が収まっている。これまではボーカルの赤飯が各曲の調整役であったが、今回は曲毎に制作者やメインを担う者に委ねられているのも特徴的。が故に、より個々の能力も開花し更なるバリエーションやバラエティさへと結実している。
 今回はそんな彼らの「オメでた」の定義のシフトや変化の真意に迫った。

EMTG:今回の3曲+0.1曲は…。
ぽにきんぐだむ(Gt/Vo):(笑)。いや、3曲で。「湯沸け」(M-4)は数に入れんでもいいです(笑)。
EMTG:では、その3曲ですが(笑)。タイプや伝え方、メインで作っている方も各々ながら、前作アルバムにて伝え方として見つけた、キチンと影の部分や裏側も魅せつつ、光や希望を歌うという手法で共通している感がありました。その光と影の割合の分量が各々違う3曲と言うか……。
赤飯:さすがです。今回の狙いはまさにそこで。もう、これでインタビュー終わらせてもOKなぐらい大正解で核心です。
324(Gt):もう、俺たちはたぶん、それを薄~く伸ばして答えることしかできないでしょうから(笑)。
EMTG:それじゃあ商売が上がったりなので(笑)。では、なぜ今回このような3タイプ違った伝達方法を?
324:まずは「乾杯トゥモロー」を作って、それを基に、「じゃあ、他の曲はこういった感じにしよう」とのバラエティさやバランスを重視しての配曲でしたね。
EMTG:その「乾杯トゥモロー」は乾杯をモチーフにしたパーティソングですね。
ぽにきんぐだむ:僕ら結成当初から「オメでたいこと」をピックアップして曲を創り続けてきたじゃないですか。その中でも乾杯は凄くオメでたいことにも関わらず、これまで題材にしてこなかったことに気づいて。
EMTG:乾杯にしても何かの成果達成に対してのお祝いですもんね。
赤飯:そこなんです。この曲を通して乾杯の再定義を我々がしたというか。おっしゃられたように乾杯って何かを成し遂げた際に行うこともあるし、リスタートや「一回ここまでを流そうぜ」、また「これをキッカケに更にやって行こうぜ」といった場面で行う際が多い。そこには色々な思いが込められ、決して一種類ではない。基本ポジティブな曲ではありますが、ここには僕の中での4月4日のマイナビBLITZ赤坂でのライブを経て感じたものも多分に込もっていて。
EMTG:当日は、「ようやく過去の自分のこの場所での苦い思いを、(オメでたの)5人のおかげで払拭できた」的なことをおっしゃってました。
赤飯:そうなんです。しがらみや負った傷もあったりと、4年前のそこには色々とありました。でも当日は、それも背負い、自身でかみ砕いて飲み込んだ上で、またこの5人、そしてみなさんとやって行こうぜといった気概になれて。その際の気持ちをこの曲で表現したかったんです。
EMTG:では、聴き手もだけど自分に向けての乾杯の手向けでもある?
赤飯:結果そうなっちゃってます (笑)。いや、でも、各々が思っている過去に乾杯して欲しいし、色々な捉え方をして欲しい。みなさん是非、好きなジョッキに好きなお酒をついで好きに乾杯して下さい。
EMTG:それこそ「チンチン(Cin Cin=歌詞にも出てくるイタリア語で乾杯の意味)」って(笑)?
赤飯:発音に気をつけて下さい。その発音じゃ捕まりますよ(笑)。チンチン(アクセントを2つの「チ」に置く)なので。僕らのアカデミックな側面もいつも通り入れたかったので、今回はイタリア語を。
ミト充(Dr):最初は各国での乾杯の発声を入れようと色々と調べたんです。その中でダントツ引きが強かったのがこの「チンチン」で。
mao(Ba):以前はタイでしたが今回はイタリアで行こうと(笑)。
EMTG:歌もキチンとこの箇所では、カンツォーネ風に歌ってますもんね。
赤飯:ただ雄々しく歌いたかっただけですが(笑)。雰囲気的ですが、なんとなく様になったかなと。
mao:元々フェスで他のアーティストに負けない、戦える曲を作りたいというのがあって。その冒頭でしっかりとお客さんを掴んで、盛り上がる為にも曲頭にこのような部分を置こうと。
ぽにきんぐたむ:まだ我々のことを知らない人たちを冒頭30秒で掴み、離さないとの覚悟の上です。この雄々しい部分は元々最初は間にしか入れてなくて。それをあえて頭にも持ってきました。先日偶然だったんですが、知人のお店がオープンし、お祝いにいったところ、「乾杯」の代わりに「チンチン」でしたから。居酒屋なのに(笑)。普通に使われていることに感動すら覚えました。
EMTG:この曲はパーティソングにも関わらず、あえてそこで終わらせない部分も特徴的です。キチンとセンチやキュンとなる部分も交えられていて。
324:単なる賑やかな宴会ソングにはしたくなくて。そこにしっかりと気持ちは入れたかったんです。ハッピーで楽しく伝えるんだけど、前向きな気持ちになって欲しいとの願いを根底には込めていて。最後は泣きのコードをあえて使ってたり。
ミト充:最後、若干テンポアップして気持ちもアガるという。
赤飯:単なるパーティソングだけなら僕らがやる意味がないですから。この曲はそれこそ、「あっ、うちららしいサウンドや歌の伝え方が出来てる!!」と完成後に実感しましたね。
EMTG:M-2の「チャイルドプレイ」。これは、ぽにきんぐだむさんのラップがメインですね。
ぽにきんぐだむ:そうなんです。サビは赤飯との共作ではありますが、ほぼほぼ僕がリリックを書かせてもらって。歌詞の意図を伝えトラックを作ってもらい。そこに自分でメロディと詰め込みたかったものをラップしてみました。リリックに関してはトラックを聴きながらスラスラと出てきましたね。
EMTG:かなりストイックな楽曲です。
ぽにきんぐだむ:伝えたかったことは、当たり前ですが、生きていれば色々とイヤになってきたり諦めたり、限界を感じたりする。だけど、それらって結局は自分が作り出した枷(かせ)なわけで。決めつけず、それらをやり通すことで何か見えるだろうと。
EMTG:自分を信じろ!!的なリリック内容ですもんね?
ぽにきんぐだむ:もし、諦めそうな方が居たら、この曲を聴いて是非もう一度奮い立って欲しいですね。そんな応援ソングでもあります。
EMTG:こちらはタイトル曲に対して、よりダーク面の割合も高いです。
ぽにきんぐだむ:そんなに世の中、綺麗ごとだけじゃないぞと。負け続きの日々かもしれないけど、その中でも活路はある。そこを察してもらえると嬉しいです。
赤飯:実はこれ、僕もぽにきも同テーマの歌詞なんですが、各々何も話し合わずに勝手に作って来たもので。それをガシッと一つにしただけなんです。見事内容的に合致していて。僕もぽにきも同じものに向けてのヘイトを込めており、そこに向け「今に見てろよ!!」的な思いをお互い込めていたことを後から知りました。
EMTG:従来と違い、赤飯さんがほとんど介在していないところも興味深かったです。
赤飯:これまでは自分で歌う際には、感情移入も含め自分なりに変えたり、微調整させてもらってましたかが、それこそ今回は彼がメインライターなので、その彼の言葉をほぼそのままぶつけてます。完全に僕はあとから乗った感じで。「他の人の作った曲だ」との気軽さと、逆にそこを演じる楽しさがありました。
EMTG:こちらは完全なストイックで躍動感溢れるミクスチャーサウンドですね。
mao:この種の音楽は僕はあまり通ってなくて。でも、自分で美味しいと思ったところはキチンと入れ込めたし、遜色なく出来ました。
324:いい意味でもオラつきもシッカリと出せてる。単に踏襲するだけでなく、しっかりと「俺、これで行きますから」との主張がありましたから。
ミト充:逆に僕はこのようなジャンルが得意なこともあり、待ってましたって感じで。レコーディングもサクッと終わりました。ライブでも臨機応変に出来そうで楽しみです。
EMTG:M-3の「四畳半フォークリフト」。
324:これは僕が作詞/作曲しました。他の2人(赤飯、ぽにきんぐだむ)の曲とまたちょっとタイプも違い、面白いかなと。僕が言いたいことを詰め込んだ形になりました。
EMTG:こちらに至ってはほぼダーク成分で成立されてます(笑)。
324:僕、基本的に考え方が厭世的なんです。オメでたで打ち出していることはあくまでも前向きなことなんですが、世の中、必ずしもそういったものばかりじゃないですから。メンバーの中では後ろ向きな考え方をするタイプでもあるし。僕主導で書くとこうなっちゃう。
EMTG:かなり自問自答だし内省的ですもんね。
324:歌詞を書いたのは今年の頭ぐらいだったんですが、その時に考えていたことですね。
EMTG:でも、結論的にはシッカリと「でも、生きるしかねぇ!!」に結びついてる。これまでのオメでたの曲はほぼ大団円や最後ハッピーで終わっていたものに対し、救いの直前で終わっている。最終的にその後、救われたのか?は聴き手に委ねられてますよね?
324:これも凄く自分らしいところで。ぽんちゃんや赤飯が「大丈夫だよ」と伝える辺りは信憑性があるじゃないですか、でも僕の場合「大丈夫」と言っても、そこに説得力もなく、且つそこまで責任を持って歌えない。聴き手の人生まで背負えないですから。なので、「こう考えているのは君ひとりだけじゃないよ」「他にもいるよ」、そんな安心感を必要な方に得てもらいたくて。そんな人の支えや手助けになれればなと。
赤飯:このバンドの中では324が一番アーティスト的な考えで。この曲に関しても、当初は自分なりに考えて歌ってみたんです。だけど324的には納得がいかず。自分なりに「やった!!」と満足感を得て終えるや否や、324が血相を変えてトークバック越しに「何考えてるんじゃボケ!全然歌い方が違う!!」とお怒りで(笑)。
324:うそうそ。ちゃんと「赤飯さ~ん。一生懸命歌ってもらって嬉しいんですが、ちょっとだけ……」って会話だったじゃん(笑)。
赤飯:(笑)。そこから「どんな気持ちを込めて歌ったのか?」を始め演技指導になったんです。「登場人物の気持ちやシチュエーションをキチンと把握し咀嚼して歌って欲しい」と。そこから一生懸命、歌の主人公になり切って。なので、この曲のボーカル入れだけスタジオの照明を全て落とした中、歌ったんです。
324:やはり自分を代弁して歌ってくれるのは赤飯ですから。この曲に関しても、「自分の歌」として心から歌って欲しかったんです。小手先のテクニックやピッチよりももっと大事なもの、いわゆる込めた気持ちを大事に歌って欲しくて。
赤飯:なので、この曲はあえてこれまでで最もあっさりと歌わせてもらいました。自嘲や諦念を持っている主人公だと察したので。おかげさまで今回の2曲では、改めて「自分は何かになり切る系」が得意なことに気づきました。
EMTG:この曲はmaoさんのベースも大活躍で。
324:これもデモの段階で僕が弾いたものをmaoに渡しましたが、かなり無茶をしました。それこそ気持ち的には「maoよ死ぬがよい」と(笑)。
mao:もう、これだけカッコいいし、超絶だったこともあり、ボーカルを食ってやれとの気概で弾きました。
EMTG:で、最後はショートシリーズの「湯沸く」……。
赤飯:もう、これはつんく♂さんへのラブレターです。小さい頃からつんく♂さんが大好きで。モーニング娘。も含め、青春時代はもうつんく♂さんに全て支配されてましたから。そろそろ「好きです!!」としっかり伝えんといかんなと。それだけで入れました。
EMTG:相変わらずこのシリーズ特有の数秒で。
赤飯:許諾を取る際にも向こうから聞かれましたよ、「これのメリットって何ですか?」って(笑)。対して、「好きだからです」と。キチンとメッセージも贈り、無事快諾いただけました。ある意味とても充実し、とても重みのある曲です。但しむちゃくちゃ短いですが(笑)。

【取材・文:池田スカオ和宏】





オメでたい頭でなにより - 「乾杯トゥモロー」 Music Video | “Cin Cin TOMORROW

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リリース情報

乾杯トゥモロー

乾杯トゥモロー

2019年08月28日

ポニーキャニオン

01.乾杯トゥモロー
02.チャイルドプレイ
03.四畳半フォークリフト
04.湯沸け

お知らせ

■コメント動画




■ライブ情報

全国2マンツアー「真剣2マン遊VIVA!」
2019/10/14(月・祝)川崎CLUB CITTA’
※大五郎シート完備
w/打首獄門同好会
2019/10/30(水)名古屋CLUB QUATTRO
w/四星球
2019/11/01(金)京都KYOTO MUSE
w/ハルカミライ
2019/11/15(金)仙台darwin
w/BRADIO
2019/11/28(木)大阪umeda TRAD
w/XmasEileen
2019/12/07(土)新潟GOLDEN PIGS RED
w/TOTALFAT
2020/01/11(土)恵比寿LIQUIDROOM
※大五郎シート完備
w/後日発表

■イベント情報

TOKYO CALLING 2019
09/14(土)新宿エリアライブハウス
09/15(日)下北沢エリアライブハウス
09/16(月・祝)渋谷エリアライブハウス

オトタノ2019
09/21(土)TSUTAYA O-EAST

長田大行進曲2019
09/27(金)神戸Harbor Studio

PIA MUSIC COMPLEX 2019
09/28(土)新木場・若洲公園

♀フェス’19~超大阪爆笑宣言~
10/03(木)大阪BIGCAT

マグロック2019
10/05(土)静岡 清水マリンパーク

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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