PAM結成のいきさつ、そしてなぜインストバンドなのか――活動の狙いを暴く初インタビュー!

PAM | 2019.09.04

 ELLEGARDENの高橋宏貴(Dr)と、札幌を拠点に活動するトリコンドルの久米優佑(Gt)による2人組インストバンド・PAMがついに1stフルアルバム『How have you lived ?』をリリース。これまで1st EP、スプリットCDと出してきたが、今作は現時点における集大成的な一枚に仕上がっている。インストバンドの限界に挑むようなすさまじい手数の多さに圧倒されるものの、メンバーふたりともキャッチーな音楽を愛しており、つい口ずさみたくなってしまうフレーズの妙味もPAMの大きな音楽的魅力と言えるだろう。アルバム全体を通して3分前後のコンパクトな楽曲が並び、聴き手を飽きさせない演奏とアレンジに惹き付けられる。今回は高橋と久米のふたりに、結成から今作の中身について話を訊いた。


PAM「Do-Chi-Touch」Music Video


EMTG:PAMの結成は去年になるんですよね?
高橋:はい。去年の夏からライブ活動をやったので、ちょうど1年ぐらい経ちます。その前にスタジオ入ったり、曲作りしたり、レコーディングしたので、年始にバンドを始めたのかな。
EMTG:高橋さんは東京で、久米さんは札幌在住で“遠距離バンド”という形になりますが、そもそもの出会いは?
高橋:Scars Boroughで北海道でもよくライブをやってて、久米がやってたバンドともよく対バンしてんですよ。で、Scars Boroughが休止になったタイミングで、いつか久米とやってみたかったのでやろうと。
EMTG:高橋さんのほうから声をかけたんですね。久米さんのどこに惹かれて?
高橋:インストバンドをやりたいと思ってて。久米がやってるトリコンドルというバンドがまあ複雑なんですよ。しかもとんでもないクオリティの高さだし、リズムや変拍子の説明も必要ないから、そのレベルの高さに惹かれました。あと、ギタリストなのにヴォーカルのような存在感があって、そこに魅力を感じましたね。面白い顔だったから、それも忘れられなくて。
久米:はははは。ELLEGARDEN世代だったので、誘われたときはうれしかったですね。
EMTG:高橋さんはいつ頃からインストバンドをやりたい気持ちが芽生えたんですか?
高橋:ちょっと前にte’というバンドのサポートをしてたので、その影響が大きいですね。やっていくうちに好きになって、自分でもやってみたいなと。
EMTG:そこで何か眠っていたものが開花したとか?
高橋:今まではヴォーカルを活かすことが好きだったけど…ヴォーカルがいないと、こんなに開放できることがあるんだなと。それがプレイヤーとしてすごく面白かったんですよ。だから、久米と一緒に爆発したら、どうなるんだろうと。それに久米もte’をリスペクトしてたので、そこは共通してましたね。
EMTG:たしかに、音楽の方向性は「残響レコード」のニュアンスに近いものを感じました。
久米:僕は残響系のバンドの影響を受けてますからね。the cabsもそうだし、(高橋)國光さんのギターにも影響を受けてます。でも一番はやっぱりte’ですね。ギターのフレーズもそうだし、曲全体のエモーショナルな雰囲気とか…。
高橋:キャッチーだよね。そこはレコーディングでも大切にしてた。複雑なだけじゃなく、印象に残るフレーズを意識してたかな。
久米:スッと聴けるし、よくよく聴き込むと、こんなことをやってるんだ!という発見もありますからね。
EMTG:それでPAMも「キャッチーでテクニカルな楽曲」をコンセプトに置いているんですね?
高橋:そうですね。te’だけじゃなく、俺がやってきたELLEGARDENも印象的なメロディがあったから…それはインストでもそうありたいという気持ちがあります。複雑なだけじゃなく、キャッチーさはポイントですね。複雑でテクニカルなだけだと、飽きちゃうから。まあ、俺は作ってないですけどね、はははは。
EMTG:基本的に久米さんが曲を作っているんですか?
久米:はい。最初の大枠は作って、そこからふたりでアレンジしてます。
EMTG:メンバー2人というスタンスも珍しいと言えば珍しいですが。
高橋:2人でやることには強いこだわりがあったんですよ。久米が札幌で俺は東京なので、フットワークの軽さがポイントになるだろうと。あと、すごく気が合うので、もう1人入るとバランスが悪くなるんじゃないかと思って。
EMTG:おふたりが共有できる価値観みたいなものはあります?
高橋:どうなんでしょうね。具体的にパッと思い付かないけど、スタジオよりも飲みに行く回数のほうが多くて(笑)。
EMTG:そうなんですか!
高橋:今までレコーディング以外でスタジオ入ったのなんて4、5回しかなくて。飲みの回数は100回を超えてるかもしれない。ELLEGARDENもそうだけど、今まではスタジオで技術を磨いてとか、そういう傾向が強かったんですよ。当時は若くて、バカみたいに練習してましたからね。でもPAMに関しては、お互いに理解し合えたのは飲みに行ってからだなと(笑)。
久米:ふたりとも練習は好きなんですけど…ふたりだからこそ人間的なグルーヴを合わせる必要があったんじゃないかと。
高橋:スタジオに入っても喋ってるからね。ただ、今回はツアー前にマジメにスタジオに入りました。このままだと再現できないなあと思って(笑)。
EMTG:PAMの音楽に向き合う姿勢は、飲みの会話のなかでどう固まっていきました?
高橋:最初のEPはかなり手探りで、しかもメルカリという聞いたことのない手法で売ってましたからね(笑)。今回は流通がメジャーになったけど…型にはハマリたくないですね。
久米:メルカリでほんとにやるとは思わなくて、最初は騙されてると思ってました(笑)。
高橋:自由でいたいんですよ。ちゃんと理解して進んでいきたいから。これも答えになってないですね、ははははは(笑)。
EMTG:バンド活動、音楽スタイルもあまり決めずに、ふたりから出てくるものを形にしたい?
高橋:そうですね。今回のアルバムも、ほとんどの曲は会って作っていくのが無理だったので、デモを譜面に書いて、譜面でアレンジしましたね。それもすごく面白かったんですよ。ジャムでは出せないアイデアが出てくるし、俺っぽくないものも出てくるから、それも良くて。スタジオで合わせるからこそバンドだ!という人もいるけど、それさえも超越したい。ベースはいないですけどね(笑)。
久米:ははははは(笑)。
EMTG:音源にはベースが入ってますよね?
高橋:仲間のミュージシャンに参加してもらってます。ライブではそのベースを同期で流しながら合わせてます。
EMTG:PAMの自由な気風は久米さんも共有して?
久米:そうですね。曲作りは特に何も決めてないですけど、そのほうが楽しいですからね。明るい/暗いとか雰囲気だけは決めて、それ以外は何も考えてないです。その時々で出てきたフレーズを形にしてます。自由に面白いことをやれるのがいちばんかなと。
高橋:それがかっこ良かったら問題ないもんね。
EMTG:そして今回、初の1stフルアルバムが完成しました。
高橋:今、俺たちができるベスト10を出した感じです。
久米:アルバム名どおりだと思いますね。ふたりで音を合わせて、飲みに行った集大成というか(笑)、共有した時間の集大成だと思います。
EMTG:今作を聴いて、演奏の運動量と圧縮量がとんでもないレベルに到達してて、本当にぶっ飛ばされました。
高橋:久米のデモの段階でドラムが入ってるんですけど、俺だったら入れないところにフィルがあったりして。俺の常識が通用しなかったから、そこが眩しくて、チャレンジしてみたかったんですよ。俺のドラムに違う遺伝子が組み込まれたような気がして。久米が作った打ち込みがなかったら、このドラムにはならなかったですね。
久米:ここに音が欲しいとか雰囲気しか伝えられなかったけど、それを高橋さんが精度高く拾ってくれたので、なんの文句もなかったです。
EMTG:特に久米さんのギター・プレイはすさまじいものがあります。車のホイールで例えると、回転数があまりにも速すぎると、ゆっくり動いてるように見えますけど、あの現象に通じる手数の多さです(笑)。そこは自分のルーツを全開に出してる感じですか?
久米:そうですね、全開です。ポール・ギルバートが大好きで、そこにこれまで聴いてきた音楽とかが全部入ってる感じですかね。
EMTG:速弾きギターの目覚めはポール・ギルバート?
久米:そうですね。『Big,Bigger,Biggest!』というベスト盤を聴いてハマりました。
高橋:俺は『Lean Into It』から入りましたね。
EMTG:2ndアルバムですね。あれは名盤です。
高橋:頭おかしくなるくらい聴いてましたからね。
久米:遡ってポールがやってたRacer Xも聴きましたね。あと、ポールのソロ作も聴いてたりして…ソロもポップじゃないですか。あの幅広さにも憧れますね。
高橋:俺たちがいちばん重なってるのはMr.BIGかもしれない。どんなハードロック・バンドよりも音楽的に響いたんですよ。そこも共通してますね。
EMTG:Mr.BIGもなにより楽曲がキャッチーですからね。しかし、このギターにドラムを付けるのは大変じゃないですか?
高橋:大変ですね(笑)。デモはもっとすごかったから、これでも引き算してもらったんですよ。
EMTG:PAMは人力の限界にチャレンジしたい、という気持ちもあります?
久米:ライブは同期を流さざるを得ないですけど、レコーディングはほぼエディットしてないですからね。弾いたまま、叩いたままですからね。
高橋:俺ら、頭おかしいよね?(笑)。この限界をさらに超えていくのが、自分でも楽しみです。
EMTG: PAMとしては今後どんなふうに活動したいと思ってます?
久米:遊び心を持ちながら、進化したいですね。
高橋:俺はインストバンドということをあまり意識してないんですよ。インストのイベントに出たいというより、普通のヴォーカルのバンドと対バンしたくて。あと、ライブバンドなので、CD以上にライブは感じてもらえることが多いだろうし、いろんな人に観てほしいですね。ライブではフレーズが変わってくるし、エスカレートするから。それを忘れないで進化したいと思ってます。ステージ上でもお互いに目が合って、爆笑してますからね。そんな感じで続けていけたらいいなと。

【取材・文:荒金良介】


tag一覧 J-POP インタビュー アルバム PAM

リリース情報

How have you lived ?

How have you lived ?

2019年09月04日

Understanding Label

1. Do-Chi-Touch
2. Dimension
3. Friday’s Messenger
4. Sunpiazza
5. Like A Fresh
6. Speak Of The Devil
7. K’s Blow
8. Mirage
9. Stunning
10. Ray ~How have you lived ?~

お知らせ

■コメント動画




■ライブ情報

「How have you lived ? tour」
(※終了分は割愛)
09/04(水)島根 松江AZTiC canova
09/06(金)京都 舞鶴HAMO
09/07(土)三重 名張CLUB ROCK UP
09/08(日)静岡 浜松窓枠4Fマジミカ
09/13(金)北海道 伊達People’s Choice
09/14(土)北海道 室蘭Soliste
09/15(日)北海道 苫小牧ELLCUBE
09/17(火)北海道 北見ONION HALL
09/18(水)北海道 旭川mosquito
09/19(木)北海道 帯広LABO17
09/20(金)北海道 赤平OTO-1 hall
09/22(日)北海道 札幌Crazy Monkey ※ワンマン
11/03(日)東京 恵比寿club aim ※ワンマン

LETTERS vol.175
09/09(月)神奈川 F.A.D YOKOHAMA
w/ BBイコール / CUTiCLE / carabina / DREI DRUG

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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