絶好調のバンドを支えるメンバー4人それぞれのクリエイティビティに迫る!

マカロニえんぴつ | 2019.09.13

 昨今のマカロニえんぴつの勢いと加速度はすごい! ここ数年欠かさず取材してきたこのEMTG MUSICでも、その上昇カーブの急激さは予測不能だ。しかも全国各地、リスナーの層も幅広くなってきている。ワンマンはキャパを増やせど増やせど軒並み完売。それでも観れない人が大勢いるのだ。彼らの認知度アップや楽曲の浸透、「マカロニはすごい」という口コミの拡散や世の中との楽曲のフィット感など、その要因は多数。そして、その中のひとつに各メンバーのアイデンティティの確立も挙げられる。そんなメンバー4人それぞれが作曲した各楽曲を含む最新ミニアルバムがこの『season』だ。今春発表し、彼らの認知度をさらに上げたマクドナルドの500円バリューセットのCM曲「青春と一瞬」を含む新曲5曲+最新ライブ音源5曲の今作。そこには各メンバー作曲ならではのバラエティさや意外性、斬新さ、今後の活動への期待感もいっぱいだ。併せて彼らのライブでの一撃必殺曲となりそうなTVドラマ書き下ろし曲「Supernova」も先行配信され、まさに全方位を網羅。今の勢いがさらに加速すること間違いなしの状況だ。そんな「Supernova」やミニアルバム『season』について、はっとり(Vo/Gt)に根掘り葉掘り訊き、今回も深く答えてもらった。

EMTG:まずは8月に配信限定で「Supernova」を、そしてこの9月にミニアルバム『season』を発表しますが、この2作は対極の印象を受けました。「Supernova」は勢いがありツカミにはバッチリの曲で、対して『season』はもう少しマカロニえんぴつの本質やメンバー各々の個性、多彩さが味わえる、その先の進化を感じました。

マカロニえんぴつ「Supernova」MV
はっとり:その辺りはタイミングに恵まれたなと自分でも感じていて。実はこの「Supernova」は『season』のリリース決定後にドラマ用の書き下ろし楽曲(テレビ東京系ドラマ『びしょ濡れ探偵 水野羽衣』」OP曲)のお話をいただいたんです。「Supernova」が先に配信されたことで、『season』がまた違った色味に映るようになったというか。たぶん「Supernova」がなかったら、『season』は「やや落ち着いた作品」という印象があったかもしれません。
EMTG:「Supernova」はかなり疾走感があり、今の皆さんの勢いがすごく滲み出ています。
はっとり:ありがとうございます。この曲に関しては、先方から「オープニング曲」「元気のいい曲」との要望があったんです。でも、この曲のおかげで逆に『season』がかなりいいバランスになりました。助走にもなったし。「次、どんなのくるんだ?」って期待をいい形で裏切れましたね。『season』にはあのような勢いのある曲をあまり入れていないので、バランス的には双方合わせてちょうど良かったなと。

マカロニえんぴつ 5th mini album「season」トレーラー
EMTG:今回の『season』はほぼ全編ミディアムだし、これまで無かったタイプの曲も多いですもんね。
はっとり:地味ですからね(笑)。でも今回はそれがいいと自分たち的には判断していて。今回は先にコンセプトがあり、それに従っただけなので。曲のバランスのことはまったく意識しなかったですから。
EMTG:ちなみにそのコンセプトとは?
はっとり:今回は「メンバー全員の曲を入れよう」と。とはいえ、「誰がどんな曲調で」という話はまったくせず、各々が出す曲の中からイイものを収める。それだけでした。でも今回はよっちゃん(田辺由明/Gt・Cho)の曲(=「恋のマジカルミステリー」)があって良かった。無かったらローテンポでバラード寄りの曲調ばかりでしたから(笑)。
EMTG:マカロニえんぴつの場合は、作品ごとに全員が何曲か提出して、その中からいいものをチョイスして収録するスタイルですもんね。これまで長谷川さん、高野さんの曲はありましたが、田辺さんの曲は……。
はっとり:初収録ですね。賢也(高野賢也/Ba・Cho)の場合は、毎回候補曲をかなり提出してきますが、どれも近いタイプの曲ばかりで(笑)。逆に大ちゃん(長谷川大喜/Dr・Cho)はポップス畑の人じゃないぶん、サビは自分が作った部分との合作だったりと、これまで丸々曲が採用されたことはなかったんです。ようやくここにきて独り立ちできました(笑)。大ちゃんの場合はジャズやフュージョンの知識も豊富なので、ほかのメンバーとは違ったタイプの曲を作るのが昔から得意で。それに加えて、ここ最近はメロディのキャッチーさも備わってきましたからね。今回の彼の曲を聴いたときも、「これ、本当に大ちゃんが作ったの?」くらいのレベルの高さだったし。
EMTG:そもそも今回、メンバー各々の曲を入れようと思い立ったのは?
はっとり:ここにきて、昔ほど「マカロニえんぴつ=はっとりバンド」との見方がされなくなってきたんです。ライブでもメンバーのキャラが立ってきたし。4人組のバンドという自覚が自分たちにもより芽生えてきて。それをもっとわかりやすく提示したかったんです。「4人組のバンド」「メンバー全員が曲を作れる」って。
EMTG:メンバー各々の曲を収める時点で、たぶんバラエティの豊富さは予想できたと思いますが、実際ここまで多彩になるという予測はありましたか?
はっとり:想像以上でした。ミニアルバムで良かった(笑)。極端に色が分かれても大丈夫ですから、ミニアルバムのほうが(笑)。自分たちでも速い曲が苦手になってきているとはいえ、見事に誰も速い曲を持ってこなかった。「Supernova」で久々にああいったBPMの速い曲を作りましたから。
EMTG:今回はメンバー各々による楽曲もそうですが、歌詞の部分で「粋(いき)」を感じました。重いテーマでもあえて軽く伝えているというか。その辺りがかなり長けてきたのでは?
はっとり:どこか真面目過ぎたくないというのがあって。シリアスにし過ぎない、照れ隠しみたいな。それが俺たちの中でのかっこよさだと自覚していて。熱くなり過ぎない、その温度感の調節には気をつけました。
EMTG:そのために何か工夫したことは?
はっとり:あえて自分を入れ込まないようにしました。例えば「ヤングアダルト」は、報われない想いをしているであろう若者に対して、俯瞰的にメッセージを発信したり、背中を押している内容なんですが、あえてそこに自分を入れ込まずに、また、これまでの登場人物の目線で思いを伝えたりもせず、メタ的にちょっと外側から描く、そんな路線で行きたくて。いわゆる語り草で始まる、喋りに近い感覚というか。

マカロニえんぴつ「ヤングアダルト」MV
EMTG:あとは、よりメッセージ性が帯びている歌詞の内容の出現も耳を惹きました。
はっとり:それこそ「ヤングアダルト」なんてまさにそれで。昨年1年を通して、「やはりライブがすべてだな」と改めて感じたんです。それらを経て、ライブに来て下さる方に対して、「なんで声を大にして歌っているんだ?」と思い返した時に、ただいいメロディに乗せて歌うのもそれはそれで素晴らしいだろうけど、その中に確固たるメッセージが無かったら、弱かったり、信憑性も無いんじゃないかって。そう考えると、過去の曲ではメッセージ性が足りないなと、モヤモヤしていたんです。すごく気持ちを込めて歌うけど、もっと深いところまで伝えることに対して貪欲になって歌詞を書いたら、ライブでももっと気持ちがいいだろうなって。まさに心から歌える、そんな曲を作りたかったんです。特にこの曲は、いつもはメロディが先で歌詞は後からなんですが、サビ前までの歌詞とメロディは一気に同時に書き切りましたから。
EMTG:背中を押したり、腕をグイッと引っ張らずに、そのメッセージ性を悟らせている感じがいいです。
はっとり:背中は押しているんです。だけど自分から伝えているくせに、最後の手は貸していないという。ギリギリまで歩み寄って、ボソッとメッセージだけ残して立ち去る、そんなタイプ(笑)。
EMTG:あとはあなた次第と。
はっとり:結局はその歌を自分でどうするか?じゃないですか。自分の意志で何かしないと……って。魚釣りを教える例えでありますよね?「魚を釣ってきてあげるんじゃなく、釣りの仕方を教えてあげれば、次から自分で魚を釣って生きていける」って。そんな、ヒントは出すけど答えは教えないタイプ(笑)。だって答えなんて人それぞれですから。そうすると,ときには曖昧な表現が良かったり、ときには曖昧過ぎない言い回しが刺さったり、そこら辺のバランスにすごく注力するようになりました。
EMTG:「恋のマジカルミステリー」は田辺さんの作曲ですね。
はっとり:これこそ楽曲に引っ張られて歌詞が出来ました。自分の中ではちょっとバブリーな印象があって。デモを聴いた時にすかんちがパッと浮かんだんです。あの80年代終わりから90年代初頭のバンドブーム期のキラキラした感じ。「マイハニー」とか「背広」とか、今の子たちが聴くとややダサッってなる、そんなワードをあえて散りばめてみました。この曲こそ肩の力を入れず、何も考えずに歌いました。
EMTG:「二人ぼっちの夜」は高野さんの作曲です。
はっとり:このアルバムでは最も古い曲です。後半の転調がいいですよね。グッとくる。この曲は前作ミニアルバムより前にすでに出来ていて。当時も収録候補曲には上がっていたんです。メロウなメロディが切ないコード進行の上に乗っていて。賢也はほかのふたりに比べて自分とツボが近いんです。グッとくるポイントが似てる。名曲メーカーなんだけど、いかんせんこんな曲ばかりを作りがちで(笑)。
EMTG:この曲は歌詞が胸を締めつけます。
はっとり:メロディを聴いた時に「報われない二人のテーマソングにしたいな」と。もう最初から「恋愛をテーマに」とは決めていました。この曲は「二人ぼっち」という言葉をどこかで目にして。この言葉がすごく良くて。なんか冷たくて、すごく寂しい。ふたりでいるんだけど、一人ひとりが別々にいるようで。そこから膨らませました。とはいえ、アレンジをあえて明るくして重く感じさせないバランスは工夫しましたね。
EMTG:「TREND」は長谷川さんの曲で。これまでにまったく無かったテイストが飛び出てきたので驚きました。
はっとり:大ちゃんいわく「ロックな曲を作った」と。彼なりのロックの解釈なんです、これが。もうAメロは歌いづらくて(笑)。イントロでギターがガツンとくる感じ。それはそのまま採用していて。「ああ、彼の思うロックってこうなんだな……」って。いかにもTHE 1975辺りがやってそうな感じ。一発目から「あっ、かっこいいな……」って印象でした。2番では色々な音を入れているんですが、これは俺がレコーディングブースの近くにあった物の音、例えばえんぴつを削ったり、ペットボトルからコップに水を移し替えたり、「おはようございます」を日中英の3ヵ国語で言わせてたり、ラジオの音を入れたりと、混沌さを出してみました。
EMTG:そして、今回ようやく「青春と一瞬」(マクドナルド500円バリューセットCM書き下ろし曲)もCD化されました。

マカロニえんぴつ「青春と一瞬」MV
はっとり:この曲のおかげもあり、認知度がさらに広がりました(笑)。この曲に関しては当時、最初にCMの絵コンテをいただいたんです。それとにらめっこしながら、当初はあのCMで使われている部分だけを作りました。最初の打ち合わせから2週間後にはもうレコ―ディングというタイトなスケジュールで。CMの書き下ろし自体が初だったので、いろいろな人の意見を聞きながら、3~4パターン急いで作りました。
EMTG:かなり慌ただしかったんですね。
はっとり:そうなんです。で、まずはメンバーに聴かせて。そこで選ばれたのがこの曲のバージョンだったんですけど、これがいちばん最初に作ったバージョンで。「ああ良かった。やっぱりこれだよな……」って。自分のイメージした青春観をもとに作ったこの曲をメンバーに聴いてもらって、最もCMのテーマに合いそうな曲として選ばれて。これはもう誰が聴いても青春のイメージになるんだと確信が持てました。それこそその時は、「おっ、俺、CMソングもいけんじゃん!」ってなりましたよ(笑)。自分は周りの要望に応えるのが好きなんだな……と改めて感じました。何かのテーマに沿ったり、誰かの希望を具現化したりする仕事もやっていきたいなって。「すぐ調子に乗るんだから」って話でしょうが(笑)。

【取材・文:池田スカオ和宏】





マカロニえんぴつ 5th mini album「season」初回限定盤DVDライブダイジェスト映像

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2019年08月07日

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season

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2019年09月11日

TALTO / murffin discs

01.ヤングアダルト
02.恋のマジカルミステリー
03.二人ぼっちの夜
04.TREND
05.青春と一瞬
06.two much pain(2019.05.12 恵比寿LIQUIDROOM公演)
07.ワンドリンク別(2019.05.12 恵比寿LIQUIDROOM公演)
08.哀しみロック(2019.05.12 恵比寿LIQUIDROOM公演)
09.レモンパイ(2019.05.12 恵比寿LIQUIDROOM公演)
10.STAY with ME(2019.05.12 恵比寿LIQUIDROOM公演)

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■ライブ情報

マカロックツアーvol.8
~オールシーズン年中無休でステイ・ウィズ・ユー篇~

[2019]
10/25(金) 神奈川 F.A.D yokohama
10/30(水) 香川 高松DIME
11/01(金) 広島 Cave-Be
11/08(金) 宮城 仙台MACANA
11/10(日) 北海道 札幌BESSIE HALL
11/14(木) 新潟 GOLDEN PIGS RED STAGE
11/15(金) 長野 松本ALECX
11/17(日) 石川 金沢vanvan V4
11/23(土・祝) 大阪 梅田CLUB QUATTRO
11/24(日) 愛知 名古屋SPADE BOX
11/29(金) 福岡 DRUM Be-1
11/30(土) 熊本 B.9 V2
12/06(金) 静岡 FORCE
12/13(金) 岡山 CRAZYMAMA 2nd Room
[2020]
01/12(日) 東京 マイナビBLITZ赤坂

マカロックツアーvol.8 おかわり篇
~東名阪追加公演だよ!きっともっとホットに温めます、春夏冬で商い(秋ない)中~

[2019]
12/04(水) 愛知 名古屋CLUB QUATTRO
12/07(土) 兵庫 神戸太陽と虎
12/14(土) 京都 KYOTO MUSE
[2020]
01/11(土) 東京 マイナビBLITZ赤坂



BAYCAMP 2019
09/14(土) 神奈川県川崎市東扇島東公園 特設会場

SHE’S UNION Tour 2019
09/20(金) 福井 CHOP
10/05(土) 静岡 LIVE ROXY
w) SHE’S

uP!!!SPECIAL LIVE HOLIC vol.24
supported by SPACE SHOWER TV

09/22(日) 神奈川 横浜ベイホール
w) GRAPEVINE

日食なつこ対バンツアー『炎上交際』3
09/26(木) 宮城 仙台MACANA
w) 日食なつこ

PIA MUSIC COMPLEX 2019
09/28(土) 東京 新木場・若洲公園

東北工業大学 第44回工大祭「おかわり!」
10/12(土) 宮城 東北工業大学八木山キャンパス
w) コレサワ

FM802 30PARTY Eggs presents
MINAMI WHEEL 2019

10/12(土)~14(月・祝) 大阪 ライブハウス20会場

Hosei Autumn Music ’19
10/20(日) 東京 法政大学多摩キャンパス

夜の本気ダンス
「AUTUMN JACK OF SEA TOUR」

10/22(火・祝) 栃木 HEAVEN’S ROCK 宇都宮 VJ-2
w) 夜の本気ダンス

淑楓祭「Special Guest Live」
10/26(土) 愛知 愛知淑徳大学長久手キャンパス
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「mol-74 tour 2019 A/W」
12/03(火) 大阪 Banana Hall
w) mol-74

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