アイラヴミー、“世界って輝いてたんだ”という境地。新しい才能が生み出すサウンドたち。

アイラヴミー | 2019.09.19

 大発見! そんな驚きをもって伝えたい新しい才能がいる。Spotify公式プレイリスト『Women’s Voice』、『キラキラポップ ジャパン』でも人気のアイラヴミーのことだ。満を持してメジャー・デビュー作となるミニアルバム『でも生きている』を引っさげ、一部抜粋するだけでもニッポン放送やFM NACK5、東海ラジオ、α-STATION、東北放送、MBSラジオなど全国津々浦々な主要ラジオ局でも続々パワープレイを多数ゲット。ラジオ・オンエア後のSNSでの大反響も止まらない。さらに、信頼の音楽評論家、柴 那典さんや森朋之さんも愛を込めてチェックしているなど早耳の音楽ファンを中心に、人気が広がりつつある注目のニューカマーだ。

 アイラヴミーとは、シンガー・ソングライターとして活動していた さとうみほのを中心に、ハットが似合うファッショナブルなギタリスト野中大司、アグレッシヴかつスポーティヴなベーシスト井嶋素充が結成した3人組バンド。わかりやすくこの衝撃をたとえるならば、インディーズ時代に世界の終わり(現在名称:SEKAI NO OWARI)の作品と出会ったときのことを思い出す。

 気になったのは洋楽的シンプルなコード感&音使い、リズムのループ。何より大切なのは歌と言葉とメロディーを聴かせることを重視し、さらに遊び心ある演奏でまとめ上げていくセンスと構成力の妙。そして、世界標準でキーとなるのがキックの強さだ。



 アイラヴミーをひとことで表現するならば“踊れるニューロック2019”。シンセポップなフレーズに胸が高まる突き抜けたポップセンス。“心の痛み”に寄り添う赤裸々な歌詞のチカラに琴線を刺激された。サウンドとシンクロする日本語詞による言葉のノリ方が絶妙なのだ。

 まず聴いて欲しいのが1曲目のタイトルチューン「でも生きている」。“ボロボロになるのは新しい自分になるため”と宣言する、ライブでも定番のキラーチューンだ。イントロダクションから“ほめられたい ほめられない ほめられないと伸びないのに チヤホヤされたい 才能無い あの子はいいな世渡り上手”と、誰もが一度は感じたことがある心の片隅に抱え込んでいた扉をこじ開ける。



 9月4日にリリースされたばかりのメジャーデビュー・ミニアルバム『でも生きている』には、2019年3月~5月~7月と先行配信してきた“ダメンタル3部作”「負け犬戦士」、「社会の歯車」、「でも生きている」に加え、せつなポップにメロウな「朝焼け」、素直になれない気持ちを描いた「さよならドライブ」、シティポップ・センスをロマンティックに表現する「鎌倉サイクリング」など、全6曲となる魔法めいたナンバーを収録。「でも生きている」の歌詞でも歌われている“幸せになるために生まれてきた”という時代の本質を貫くパワーワード。ポップミュージックの新たな可能性を予言するフレッシュな才能の誕生を喜びたい。


EMTG:メジャー・デビュー作『でも生きている』が完成してみていかがですか?
井嶋:もっともっとたくさんアイラヴミーを知ってもらいたいと思っています。聴いてくれる人の人生のスパイスになってくれたら嬉しいですね。それに気がつけたかな。
さとう:正直、メジャー・デビューって怖いんです。めちゃめちゃ怖い。マイナス思考だから(苦笑)。でも、一番の目標は、わたしみたいな“家から出るのもちょっと怖いな”って子とか、閉じこもっちゃうタイプの方々に曲が届いてくれたら嬉しいです。おせっかいかもしれないけど、少し背中を押せたら嬉しいし、顔を上げるきっかけになれたらなって。うん、俄然やる気になってます!
野中:前作、インディーズで出したミニアルバム『セーブミー』からさらに進化して、アイラヴミーのやりたいことだったり、方向性がぎゅっと定まった作品となりました。まずは形にできたのが嬉しいですね。
EMTG:詞曲を手がけるみほのさんにとって、アイラヴミーの曲が生まれる瞬間ってどんな時なんですか?
さとう:曲を書く時って前兆というか前触れがあって。部屋に閉じこもってカーテンの裾をガッと持って引っ張ってみたり、床をガリガリ爪で引っ掻いてみたり。壁に噛み付いてみたり、冷蔵庫蹴ったり……。
EMTG:かなりギリギリな感じだね(苦笑)。
さとう:そうなんです。ギリギリな状態になって、どうにもならない気持ちが詞になるんです。詞から書くんです、わたし。まずはとことん暴れてから書いて、また途中で暴れて今度はコードを付けて、また暴れてみたいな作り方で。大丈夫ですか?こんな話で(苦笑)。
EMTG:なんか、アイラヴミーっぽい感じだなぁ。そういえば、昔、さだまさしさんは、押し入れにこもって頭を抱えながら曲作りをしていたと聞いたことがありますね。表現者はそれぞれ創作スイッチがあるのでしょう。そんな3人が“バンド”として大事にしていることはなんですか?
井嶋:ぼくらはライブをとても大事にしているのですが“ロック”バンドであることを大切にしていますね。音源としての楽曲は、ポップスであることを意識していて。ライブではロックバンドでありたいんです。みほのが書く詞はロックだと思うんです。ネガティブな心情や、どうしようもなく暴れたくなる気持ち。でもどうしようもできないからあがいてあがいて。そんな気持ちをライブで表現するにはロックだなって。3人ともロックが性に合ってるんです。
野中:みほのの詞の世界観を伝えることが第一であり、そのためには音楽に真摯でありたいなと。演奏者的にも、音色の作り方にしてもひとつひとつとことんこだわっていますし。音楽に素直でいることがステージ上で大事だなって思っています。
EMTG:最近、自分たちに影響を与えてくれたアーティストや作品ってあったりします?
さとう:ビリーアイリッシュ。はじめて見たとき、服装も気になって。ダボっとしたトップスに、メンズライクなハーフパンツで。髪の色も不思議で。ミュージックビデオでは目から液体が流れていて衝撃的で。心の苦しさを歌詞で描いていて。一番興味を惹かれたのはライブの時に動物園状態で暴れ狂っていて。この子は、今ステージ上で思っていることを伝えて、イキイキと生きているんだなって。わたしも、ライブのために生きているみたいなものなんで、なんか、もっと気持ちをカラダであらわしたいなって思いました。
野中:洋楽を常に聴いて吸収しています。最近だと、ぼくらの中ではThe 1975かな。表情や動きとかも素晴らしくって。
井嶋:バンドだとThe 1975ですね。デビュー当時から好きで聴いてたんですけど、今年のサマソニでの感情のエネルギーの解放に驚きました。バンドのストーリー、ヴォーカルであるマシューが薬物で沈んだ時期もあって。そこから這い上がってきたエネルギーがバンドの演奏にあらわれていて。それって、アイラヴミーのネガティブな精神性を覆すカタルシスにつながるなって影響を受けています。
EMTG:それこそ、「でも生きている」という曲のミュージックビデオには、時代感という意味でThe 1975やビリーアイリッシュ的なセンスを感じました。ヒットって時代性とのマッチ感が一番重要だと思っていて。3人がやりたいことが時代に結びついている感じがありますよね。特に「でも生きている」の“ほめられたい ほめられない ほめられないと伸びないのに チヤホヤされたい 才能無い あの子はいいな世渡り上手”のフレーズって時代にハマるパワーワードだと思っていて。それこそ、誰もが思ったことある心情を、時代の鏡となるポップミュージックとして見事に描き切っているんですね。
さとう:それこそ、バンドメンバーに“褒められたいな”って思って書いたフレーズなんです。曲を書いても当たり前な反応しかなかったら悲しいじゃないですか?“えっ、もっと褒めてよ!わたし褒められたくて頑張っているのに”なんて。最近は、褒めてくれるようになったんですけどね(笑)。
EMTG:なるほどねぇ。「でも生きている」のミュージックビデオやライブなどで、野中さんがギターを横においてプレイしているじゃないですか?あれにはどんな効果を求めて?ヴィジュアル的なインパクトもいいなと。
野中:「悪循環」という曲でもやっているんですけど、アイラヴミーの楽曲って必ずしもロックギター的なフレーズがいらない場合もあって。でも、ただシンセを使うのはヒネリがないなって。そこで、中間を探ってエレキギターで表現できないかなって横置きを思いついて。
井嶋:ぼくは「でも生きている」ではめっちゃジャンプしてます。120ぐらいのテンポなのかな。人間の心が気持ちよくなるBPMなんですよ。詞の内容と比べてちょっと明るめな感じなんだけど、ネガティブがポジティブになる瞬間をぼくらは描きたくって。「でも生きている」は、進歩したきっかけみたいな曲なんです。だからライブでは思いっきり飛んでやろうと。
EMTG:よくわかります。アイラヴミー、ライブでの進化も半端ないですよね。ちなみに、ダメンタル三部作として先行配信した「負け犬戦士」における歌い出し“そんな所にうずくまってないで部屋から早く出ておいでよ”というメッセージ性あるナンバーも好きで。これは自分に言い聞かしつつ、第三者に向けて言葉が生まれた感じですか?
さとう:この曲ははじめて“君”へ向けて歌った曲なんですよ。第三者ですね。一番最初は“君”とかいなくて詞も全然違くて“わたしは生きるのがツライツライツライ”って歌でした(苦笑)。でも、次のステップに向けてそろそろ抜け出したいなって。苦しいのはわかったからもう一歩先へ新しいチャレンジをしたいなって。誰かに歌う曲って、わたしの中でこれまでなかったんです。そこで“君”、もちろん自分自身でもあるんですね。その時の自分に向けて未来のわたしが語ってくれている歌にしました。この曲を作るのに一番時間がかかりました。1年半かかっちゃって(苦笑)。詞が時間かかったかな。誰かに歌うってことがはじめてすぎて。“君”をどこまで肯定して、背中を押すかの塩梅に悩みました。“自分に負けたっていいの”ってことを一番言いたくて。負ける事だって時には大事だからって。
EMTG:そこに一番グッときました。そして、「社会の歯車」ではギリギリなメンタルな感じも表現されていて。キーワードとなる5月病という言葉。歌メロは泣き出しそうなフレーズなんだけど、でもキャッチーなサウンドでスッと言葉やメロディーが心に入ってくるんです。それがまたアイラヴミーらしさなのかなとも思いました。
さとう:う~ん、自分だとアイラヴミーらしさってよくわからないんですよぉ。
EMTG:それこそ、バンド名にすべてあらわれているのかもしれない。
さとう:そうですね(苦笑)。どう?
井嶋:楽曲に関しては、さっき言ってくれたように“スッと言葉やメロディーが心に入ってく”ってことのような気がします。うん、音楽的にいえばメロディーラインとリズムと詞を大事にしているところが根底にありますね。それが伝わるかどうかが判断基準として大事。ライブでも同じですね。
さとう:言われると“そうか!”って思う(苦笑)。
EMTG:それが「社会の歯車」には特にあらわれていますよね。あと、メロウな「朝焼け」も素晴らしい曲なんですけど、この曲はいつぐらいにできました?
さとう:去年のはじめぐらいかな。これは恋愛の曲ではあるんですけど、言いたい事は恋愛ではなくって。わたし夜行性で朝方まで起きちゃうクセがあって。落ち込んだり、 “うまくいかないな”って思っていた時に、ふとパッて自分の部屋の窓から空を見上げたら朝焼けがすごいキレイで。あ、下ばっかり見ていたら気がつかないことって多いんじゃないかなって。ときには、上を向いたらキレイな朝焼けをみれるじゃんって。それを伝えたくて書いた曲。“うじうじしちゃうけど、上を見上げたら気がつけることもあるんだよ”って作った曲です。
EMTG:それこそ、イラストレーター丸紅茜さんが手がけたジャケットのアートワークが朝焼けのシーンで。
さとう:「朝焼け」は、ダメンタル三部作のアートワークとストーリーで繋がっているんです。三部作では、部屋の中で泣いている女の子がいて。今回やっと部屋から一歩外に出たところを描いてもらって。わたしの行動時間が夜から朝にかけてなんで。曲を作るのも夜中から朝方にかけてなんです。この朝焼けというか、部屋から一歩出れた。そうしたら自分の好きなものがたくさんあるんだ“世界って輝いてたんだ”ってところを描いてもらいました。
EMTG:その瞬間って感じですね。(アートワークを見ながら)あ、クラゲが浮いている……。
さとう:ははは(笑)。あと、シーラカンスも浮いてます。もともと深海魚が好きで。シーラカンスは下のヒレで海底を歩いたり、クラゲはピカピカって光ったり神秘を感じるんです。この子たち何を思って過ごしてきたんだろうってワクワクするんです。
EMTG:ははは(笑)。あ、ラーメンも浮いている……。
野中:ラーメンは1汁3菜がひとまとめになった完全食ですから(笑)。
EMTG:なるほどね(笑)。ジャケに何が浮いているかは注目ですね。そして、「さよならドライブ」は跳ねるビートがキャッチーな曲に仕上がっておりました。
さとう:これは去年の冬かな?作品を作るときのポリシーなんですけど、この曲にはわかりやすくあらわれていて。常に反対のことを言いたいなって。素直になれない気持ち。“明日からは私のことも全部 忘れていいよ”って最後のサビであるんですけど、突き放しているけど本当は好きっていうか。正反対のことを言う事によって真ん中が生まれるんだってことを書きたかったぁ。とにかく、新宿の夜はキレイだなって。
EMTG:うんうん。そして、「鎌倉サイクリング」ではシティポップセンスのあるキャッチーなナンバーで。
さとう:一番新しい曲かな。去年の夏から秋ぐらいにできた歌ですね。実際に、友達と鎌倉に行った時に生まれた曲で。この“君”は、実は下手くそに自転車こいでるわたしだったりして(苦笑)。
EMTG:ははは(笑)。いっすね。そして10月3日、渋谷TSUTAYA O-Crestで開催のワンマンライブ『でも生きている』開催も迫ってまいりました。どんな日になりそうですか?
井嶋:さっきのアートワークの話にも通じるんです。ライブのタイトルもミニアルバムと同じ『でも生きている』で。配信で先行リリースした、ダメンタル三部作のアートワークで泣いていた女の子が一歩外に出てみようかなっていう。それっていろんなことを考えて強くなったと思うんです。何かきっかけもあったと思うんです。それが“でも生きている”というタイトルに込められていて。このストーリー自体がアイラヴミーのヒストリーだなって。ジタバタジタバタして、今はここにたどり着いたんだよって。“アイラヴミーです”ってことを伝えたいライブですね。
野中:これまでのアイラヴミーがありつつ、アイラヴミーの未来を感じられるライブにしたいなって。
さとう:わたしは、自分の殻をぶち破るライブにしたいです。誰の目も気にしないで、泣いたり笑ったり怒ったりできる場所を目指したいです。

【取材・文:ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)】

tag一覧 J-POP ミニアルバム インタビュー 女性ボーカル アイラヴミー

リリース情報

でも生きている

でも生きている

2019年09月04日

BOGUS RECORDS

01.でも生きている
02.負け犬戦士
03.社会の歯車
04.朝焼け
05.さよならドライブ
06.鎌倉サイクリング

お知らせ

■コメント動画




■ライブ情報

アイラヴミーの日ワンマンライブ
『でも生きている』

10/3(木) 渋谷O-Crest

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Date fm MEGA★ROCKS 2019
10/5(土) 仙台市内11会場

KNOCKOUT FES 2019 autumn
11/2(土) 下北沢MOSAiC/SHELTER/CLUB Que/ReG/近松/LIVEHOLIC/WAVER/mona records/ERA/ろくでもない夜

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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