変わっていく貪欲さと変わらない強さ――ナッシングスが向かう先の景色とは?

Nothing’s Carved In Stone | 2019.09.20

 昨年、結成10周年を迎え、初の日本武道館公演となる「10th Anniversary Live at BUDOKAN」(2018年10月7日)を開催したNothing’s Carved In Stone。ライブはソールドアウトし、根強い人気と、地道な活動の成果を実証した。その後、今年2月27日には自主レーベル“Silver Sun Records”設立。バンドを取り巻く環境は大きく変化することになる。だが、そういった変化もバンドにとっては想定内だったようで、彼らはこれまでと変わらず、ライブや音源制作を着実に進めていたのだ。結果、10枚目となる最新アルバム『By Your Side』が完成。サウンドもナッシングスらしいロックスピリットあふれる仕上がりになっており、さらにはポジティブなメッセージも印象的な内容だ。決意表明のようなシングル「Beginning」もアルバム最後に収録され、楽曲の奥に込められた思いをいろいろ深読みしたくなるのだが、実際はどうなのだろうか。バンドを代表して、村松拓(Vo/Gt)と生形真一(Gt)に語ってもらった。

EMTG:EMTG MUSICのインタビューに登場していただくのは久々ですね。その間、10周年の日本武道館公演があったり、レーベルを立ち上げたりと、いろんなことがあったと思います。その流れで生まれたアルバム『By Your Side』を聴くと、ファンへの感謝がこもっているように感じるのですが……。
村松:アルバムの前に出したシングル「Beginning」(5月29日リリース)のほうが、そういう気持ちが強かったと思います。聴いてくれる人に対して、ともに歩んでいこうみたいな気持ちが表現できたというか。

Nothing’s Carved In Stone「Beginning」Music Video(Short ver.)
EMTG:環境が変わったことで、多少なりとも制作に影響はありましたか?
生形:そこは、あまり表だって言うつもりもなかったんですよ。メンバー間では、何年も前からどこかのタイミングで自分たちのレーベルを立ち上げようって話はしてましたし。あと、聴く側にはあまり関係のないことだから、そんなに気にしてもらいたくないなっていう思いもあって。たしかにいろんな環境は変わったけど、自分たちが念頭に置いていたことは、今までと変わらなかったですからね。ライブをやって音源を作るっていう……。そういう意識でずっと活動してます。
EMTG:メディア側の我々のほうが気にしちゃってたのかもしれないです(笑)。とはいえ、ファンの人の支えも大きかったんじゃないですか? 『By Your Side』っていうアルバムタイトルにもつながっていると思うし。
村松:そうですね。やっぱり聴いてくれる人がいて完成されていくっていうイメージはありました。
生形:まあ、いずれにしてもレーベル名が変わったことで、何かが変わったんだなっていうのはみんな気づくだろうけど(笑)。
EMTG:ということは、アルバムはこれまでどおり、純粋に今のNothing’s Carved In Stoneを詰め込んだ……ということですか?
村松:はい。それは今までと変わらず。
EMTG:なるほど。ただ、アルバムには背中を押してもらえるような……あるいは、自分自身を鼓舞するような曲が多いなという印象が強かったんですよ。

Nothing’s Carved In Stone「Who Is」Music Video
生形:バンドとしては、何作もコンセプトを決めずに作ってきて、それが当たり前になってるんですよ。でも、スタジオが変わったのは大きかったと思いますね。今まではずっと同じスタジオで、曲作りからレコーディングまでやってきて、そのやり方で9枚もアルバムを作ってきたんです。それが、今回初めてほかのスタジオで作業してみて。そこは曲作りや音作りに影響したと思いますね。
EMTG:ずっと同じスタジオだったんですか。慣れたスタジオだと作業しやすいという長所はあるでしょうけども……。
生形:いやあ、今回は新鮮でした。エンジニアも違うし……っていうか、エンジニアもずっと同じ人だったんですよ。だから、すべてが違ったというか。マイクから何からね。録っててすごく面白かったです。いろんな発見もあって楽しかったし。
EMTG:ちなみに、アルバムの中で特に新鮮さを感じた曲はありますか?
村松:まず、その新しいエンジニアさんと仕事をしたのが「Beginning」だったんですよ。これはめちゃめちゃフレッシュでした。ギターの録り音ひとつとってもね。歌録りの時には、いろんなマイクを試させてもらったりして。経験値の高い人だし、一緒に同じ方向を見てくれるし、すごく刺激的でした。
EMTG:あ、それでこちら側も、何かが違うっていう印象を受けたんだと思います。村松さんの歌の包容力が増したというか、優しくなったような。
村松:ははは!人間は丸くなったかもしれないですね(笑)。あと、普通の人は気づかないレベルなんですけど、曲中でボーカルの処理を細かく変えてくれたり、すごく繊細なことをしてくれる人だったんです。こちらの思いもちゃんとくみ取ってくれたし。特に「Bridges」とか、歌がすごく生々しくて……。
EMTG:「Bridges」ですか!たしかに「何か違う!」と思ってました!
村松:ほんとですか(笑)。自分でも心配になるくらい歌い切っているというかね。エンジニアさんも「これはもう男の1本でしょう!」って言ってくれて、生っぽく録れるマイクで録ったんです。
EMTG:こういう歌い方、珍しいですよね。
生形:なんかね、全体的に音が明るいんですよ。自分たちで言うのもなんですけど(笑)。特に意図したわけでもないんですけどね。で、俺が新鮮に感じたのは、やっぱり「Beginning」かな。曲の作り方はあまり変えてないのに、こういうサウンドに仕上がるんだって。だから、アルバムの作業に入る前にエンジニアさんとコミュニケーションができたのはよかったと思いますね。あと、俺個人としては、「Kill the Emotion」あたりで、自分たちの新しい部分が出せた気がします。
EMTG:アルバムの中では、イケイケなタイプの曲ですよね。
生形:そうそう。ライブでもノれそうな感じはあります。
EMTG:そんな意外性が出たのも、まずは「Beginning」がキッカケだったようですね。
生形:うん、やっぱりあれができたのは大きいですね。変化した部分はあっても、ナッシングスっぽい曲だと思うんで。あと、「Beginning」はアルバムに入れるって決めていたので、そこから先は自由に作れたと思います。
EMTG:その「Beginning」ですが、改めて歌詞を紐解くと、レーベル名のワードが入った“You’re the silver sun”というフレーズもありますね。これは完全に先を見つめているんじゃないかと感じてしまいました。
村松:意識的に、ストレートに伝わるようにしようっていう思いはありましたよ。それはアルバム全体を通してなんですけどね。具体的なメッセージというよりは、ずっと4人で続けてきたバンドの姿勢とか、紡いできた言葉のせいかなって思います。歌詞自体は僕と(生形)真一とふたりで書いてきたんですけど、最近はお互いが書く歌詞の境目がだいぶなくなってきて。バンドになってきたんだなあって実感してます。
生形:どっちが書いている歌詞なのか、ほかのメンバーもわからないと思いますよ。曲にしても、誰が持ってきたとか――基本的には各々が持ち寄るんだけど、俺らは歌詞も曲もクレジットはNothing’s Carved In Stoneにしてるしね。4人とも、どういうバンドなのかっていうのがつかめてるんじゃないかな。

Nothing’s Carved In Stone「Blow It Up」Music Video
EMTG:なるほど。ではあえて訊きますが、ナッシングスはどんなバンドだと思いますか?(笑)。
全員:はははははは!
村松:なんすかね……悪い意味じゃなくて、エモバンドじゃないですか?
生形:俺もひと言で言うと、そうだと思いますね。ジャンルのエモっていうんじゃなく。エモーショナルっていうところで。
EMTG:ああ、エモと言われるとわかりやすいですね。自分はナッシングスって、シンプルにかっこいいバンドだと思ってますけど。
村松:それはうれしいですね(笑)。
EMTG:そのエモさに多くの人が引かれていくわけですよ。これからの活動が改めて楽しみになってきました。
生形:よくメンバーで話すのは、10周年を武道館でやれたのは、自分たちにとっても自信になったなって。特に俺らみたいなバンドって、大々的な宣伝もしないじゃないですか。武道館をやるってなった時に、初めてでっかいポスターを渋谷の駅の地下に貼ったぐらいで……。それでも、あれだけの人が会場に来てくれたのは、やっぱり10年間やってきたことが反映されたと思ったしね。自分たちは間違ってなかったんだって。だから、やり方としては今までどおりやっていけば間違いないなって思います。
EMTG:『By Your Side』は、そんなナッシングスらしさがストレートに伝わるアルバムになったと思います。余談ですけど、収録曲数が10曲っていうのも非常に聴きやすい!
生形:しかも俺たち、ちゃんと5曲でA面が終わって、6曲目からB面が始まるように意識してるんですよ。だから5曲目と6曲目のあいだは、ほかの曲間に比べて秒数を空けてあるんです。
村松:俺、A面B面がある感じが好きなんですよね。
生形:あと、10曲くらいって、ちょうどストーリーができるんですよ。
EMTG:たしかに6曲目が始まった時に空気が変わる気がします。これはCDでその曲間を楽しんでもらいたい。
生形:まあ、そこは感覚ですからね。もちろん、どの曲の曲間も、マスタリングの時にはしっかり考えてますよ。でも、ここにこだわっているアーティストって多いんじゃないかな。好みもあるしね。なかには曲間を全然空けない人もいるし、
EMTG:言われてみれば、ダンスミュージック系になると曲がつながってたりしますもんね。でも、ここでそんなこだわりを語っていただくのはありがたいです! さて、アルバムが出たあとには、待望のツアーが待ち構えてますね。しかも、年内は対バン方式で、年明けはワンマンの2本立てという。まず最初に対バンを企画した意図は?
生形:自分たちのアルバムツアーで対バンするって、それこそ10年くらいやってなかったんですよ。だから「もう1回やってみようか」っていう話があって。対バンのイベントは毎年のようにやってますけど、アルバムツアーでっていうのはすごく久しぶりです。
EMTG:声をかけたバンドさんがまた、面白い顔ぶれですね。
村松:声をかけたのはめっちゃ若手です。
生形:こうでもしないと交わらない世代とやってみようって。俺たちから声をかけないと、一緒にできないだろうなっていう世代とやりたかったんですよ。俺らも刺激になるだろうし。しかも、みんなかっこいいバンドなんで。
EMTG:若手とはいえども、対バンとなったら、みんなガチで挑んでくると思いますよ。
村松:結構グイグイくるでしょうね(笑)。
EMTG:年明けからはワンマンツアーになりますが、アルバムの曲がライブでどう響くのか楽しみですね。
生形:アルバムの曲と今までの曲をうまく混ぜて、ちゃんとした世界観を見せられたらなと思います。アルバム自体は合計で40分くらいで、結構短いんですよ。だから、半分くらいはこれまでの曲が入ると思います。
EMTG:それも面白いですね。これまでの曲も新鮮に感じるはずなんで。
生形:そうですね。聴こえ方は変わってくるかも。
EMTG:最後に、新たなスタートを切ったという意味でも、この先、バンドでやってみたいことってありますか?
村松:うーん、アルバムを10枚出してきたから、とにかく曲がたくさんあるじゃないですか。だから、一度コンセプトのあるライブはやってみたいかなって思う。例えば、踊れるような曲を中心にしてクラブナイトとか……。もしくは、そういう曲を集めて、ダンスミュージック系の人と対バンしたり……まあ、思いつきですけどね。
生形:俺もいろんなことはやってみたいと思ってて。今回の対バンツアーもそうだけど、やっぱり新鮮な気持ちでバンドを続けていきたいですね。それはハコも含めて。野音(日比谷野外大音楽堂)も3回やってきて、だいぶ自分たちのものになったけど、最初は不安もありましたから。だから、これまでやったことのない会場でライブするようなチャレンジは、今後もやっていきたいと思ってます。

【取材・文:海江敦士】

tag一覧 J-POP アルバム インタビュー 男性ボーカル Nothing’s Carved In Stone

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リリース情報

By Your Side

By Your Side

2019年09月25日

Silver Sun Records

01.Who Is
02.One Thing
03.Blow It Up
04.Alive
05.Bridges
06.The Savior
07.Kill the Emotion
08.Music
09.Still
10.Beginning

お知らせ

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■ライブ情報

Nothing’s Carved In Stone
“By Your Side Tour 2019-20”

[2019年] with Guest
10/02(水) 恵比寿LIQUIDROOM
w) Newspeak
10/04(金) 金沢AZ
w) Suspended 4th
10/06(日) 高崎club FLEEZ
w) Tempalay
10/12(土) 高松MONSTER
w) BBHF
10/13(日) 松山W studio RED
w) 雨のパレード
10/20(日) LIVE ROXY SHIZUOKA
w) teto
10/27(日) 郡山HIPSHOT JAPAN
w) WOMCADOLE
11/03(祝) 札幌PENNY LANE24
w) CVLTE
11/04(月・祝) 函館club COCOA
w) CVLTE
11/08(金) 鹿児島CAPARVO HALL
w) SIX LOUNGE
11/10(日) 広島CLUB QUATTRO
w) SIX LOUNGE
11/17(日) 長野CLUB JUNK BOX
w) teto
11/27(水) 滋賀U★STONE
w) Age Factory
11/28(木) 神戸VARIT.
w) Age Factory
12/10(火) HEAVEN’S ROCKさいたま新都心 VJ-3
w) DATS
12/11(水) F.A.D YOKOHAMA
w) DATS

[2020年] ONE-MAN
01/09(木) Zepp Tokyo
01/11(土) Zepp Fukuoka
01/13(月・祝) 仙台Rensa
01/17(金) Zepp Nagoya
01/18(土) Zepp Osaka Bayside

Nothing’s Carved In Stone
"Live on November 15th 2019"

11/15(金) 仙台GIGS

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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