『my』『take』『soon』の失恋3部作を経てreGretGirlはどこへ向かうのか――。

reGretGirl | 2019.09.25

 相変わらず失恋を歌い続けている。桜の季節には《君から伝わる体温忘れられないよ》と思い返したり、夢に君が出てきたら《今ならまだ間に合う》と何度も繰り返したり、同窓会で再会すれば、《今日から新しいふたりで/始まったりしないかな》と妄想を広げてみたり――。2017年にリリースした初の全国流通ミニアルバム『my』と、昨年リリースした2ndミニアルバム『take』まで、一貫して別れた元カノへの未練を歌い続けてきた大阪発のスリーピース・reGretGirlは、9月25日にリリースする3rdミニアルバム『soon』でも、女々しく彼女のことを歌い続けている。だが、全曲のソングライティングを手がける平部雅洋(Vo/Gt)いわく、今作でこの3部作は完結する予定だという。バンド始動から5年。ライブの動員も順調に伸ばし続ける今、次世代センチメンタルギターロックバンド=reGretGirlは何を思うのか。話を訊いた。

EMTG:今年6月に開催したツアー。チケット即完だったそうですね。
平部:ありがたいことに。自分たちも追いつけないぐらいのスピードでメキメキと広がっていってるので、置いていかれないようにするのが必死ですね。
EMTG:でも、2年前に「ホワイトアウト」のミュージックビデオがいきなりバズった時に比べたら、しっかりバンドのビジョンが見えてるような気がします。
平部:そうですね。あの時は右も左もわからなかったですから(笑)。少しは地に足が着いてきたかなと思います。大きなステージを経験するようになって、自分たちを見に来てくれるお客さんを満足させなきゃいかん!っていう責任感が芽生えてきたので。今は必然的にもっとライブの質を良くしていかなきゃっていうのを考えてますね。
EMTG:責任に押しつぶされてないですか?大丈夫?
平部:大丈夫です(笑)。自分らのペースは崩さないように、みんなの期待に応えるのが僕らだと思ってるので。たぶん、ずっとこんな感じが続くんだと思いますね。
EMTG:新しいミニアルバム『soon』聴かせていただきました。もしかして、『my』『take』に続いて、また同じ元カノのことを歌っちゃってます?
平部:はい(笑)。3部作ですね。だから、この3枚を通して聴いてもらえると、歌詞でリンクしてるところも楽しんでもらえるんじゃないかなと思いますね。

reGretGirl 『soon』 Trailer
EMTG:最初に『my』を出した時から3部作にしようと思ってたんですか?
平部:いや、具体的には考えてなかったです。ただ、自分たちの中では、ここ1~2年は同じような作風で行こうっていう考えはありました。ちょうどいい感じで3部作を出せたので、次の作品からは変えていこうかなと思いますね。
EMTG:まず、reGretGirlのファーストステップとしては、「失恋のことを歌うバンド」っていうキャッチコピーで、みんなに知ってもらいたかった。
平部:そういうことですね。
EMTG:サウンド面では、今作『soon』はかなりバンドっぽくなった印象があったんですけど、曲の作り方で何か変わったことはありましたか?
平部:あ、特に意識したわけじゃないんですけど、たぶん3人のグルーヴが洗練されてきたのかなと思います。あと、前と違って、今回は3人で作った曲が多いんですよ。今までは、僕がコードと曲の構成と歌詞ぐらいまで7~8割作ってから、みんなで練っていくことが多かったんですけど。今回のCDは、僕が練っていくのは2~3割ぐらいにして、ふわっとしたやつを元にして3人で作り上げていったんです。
EMTG:今はどれぐらいの状態のものを持っていくんですか?
平部:ある程度のコードだけを持っていって、「どんな曲作る?」っていう感じですね。その場でどんどん練っていって、大体のメロディも歌って、最後に歌詞を書くっていう。元々歌詞はメモに書き溜めてるものがあるので、そこからハメていく感じですね。
EMTG:みんなで作るやり方で発見できたことはありましたか?
平部:考える脳が3つあるから、ほかのメンバーが自分にはない発想を出してくれるんですよ。それもここまで一緒にバンドをやってきて、それぞれに責任感が芽生えてきたからできたことだと思いますね。
EMTG:3人で作ったことで、特に平部くんの想像を超えた曲とかは?
平部:「おわりではじまり」ですかね。今までバラードでは、そういう作り方をしたことがなかったから、どうなるかな?と思ってたんですけど、上手くいきましたね。
EMTG:「白昼夢から覚めて」なんかも、セッションっぽい作り方を想像できますけど。
平部:たしかに、シューゲイザーっぽい感じですよね。
EMTG:そうそう。あと、「キスの味」のマーチングドラムっぽい演奏も面白いし。
平部:あれはPUFFYの「アジアの純真」にインスパイアされたんですよ。サビの入りがタッタカタッタカ(スネアのリズム)で、《白のパンダを~》って歌い始めるじゃないですか。これは面白い!と思って。
EMTG:PUFFYは何かきっかけがあって聴いたんですか?
平部:僕が幼稚園ぐらいの時に流行ってた曲なんですよね。母親のCDを聴いてたんです。そうやって、いいなと思うアレンジは結構自分流に取り入れるようにしてますね。それを上手に取り入れられるバンドが売れると思うんですよ。奥田民生さんとか桑田さんとかも、めちゃくちゃビートルズを取り入れてますからね。
EMTG:最近はより音楽的な探求を深めていくことも楽しめてるんですね。
平部:そう、最近3人じゃできないことも増えてきたんです。だから、「キスの味」にタンバリンを入れたり、「おわりではじまり」にはピアノを入れたりして。僕らは、ゆくゆくはストリングスとかも入れられるようなバンドになりたいと思ってるので。今回のピアノは自分で練習して入れてみたんですよ。今後も、もちろんスリーピースで完結する曲も作ると思うけど、もっと壮大な曲も作ってみたいなと思ってます。
EMTG:いいですね。3部作の最後にバンドの次を予感させるところもあって。
平部:だから、アルバムのタイトルが「soon」なのかもしれないですね。
EMTG:というのは?
平部:“Coming Soon”的な。今思いついたんですけど(笑)。「次のステージに行くぞ!」っていう想いもなきにしもあらず、だと思います。
EMTG:本来、「soon」というタイトルは、どういう意味でつけたんですか?
平部:僕らは聴いてくれる人に寄り添える音楽を目指してるんですね。だから、「すぐ近くにいるよ」っていう想いを込めて、「すぐ」っていう意味の「soon」をつけたんです。
EMTG:なるほど。アルバムの収録曲について、もう少し詳しく話を聞かせてもらえればと思います。まず1曲目、「12月29日」はインパクトありますよね。

reGretGirl「12月29日」Music Video
平部:1枚目、2枚目もそうだったんですけど、いきなり歌から始まるCDにしたかったんですよね。CDを再生して、《どうして今日なんだ》って歌い出すのは僕らだけだと思うので(笑)。これは、誕生日にフラれた曲で、結局この日は仲直りできてたんです。そのあたりは前作『take』の「Shunari」っていう曲にヒントがあるんですけど。かなり耳の残るメロディを意識した曲ですね。
EMTG:このメロディの強さと内容なら、バラードのほうが似合いそうなのに、あえてアップテンポで作るところがreGretGirl節ですよね。
平部:そうですね。歌詞がエグいのに、曲調が爽やかみたいな(笑)。意識してるわけじゃないですけど、それが、僕が得意としてるところかもしれないですね。
EMTG:あと、「soak」も良かったです。ずっと失恋を歌い続けてる平部くんだけど、バンドマンの立場で歌ってるのはちょっと珍しいなって。
平部:ああ、たしかに。今回、全体的に歌詞がちょっと俯瞰で見えるようになってきたんですよ。時間が経つにつれて、思うことが変わってないようで、変わってきてるんだなと思いました。「soak」なんかも、今までと違うかたちで書けた曲ですね。
EMTG:《こうやっていつまでも自分の事/歌われる気分はどう?》って歌っちゃってて(笑)。
平部:勢いで書いちゃいましたね(笑)。
EMTG:実際に、この元カノとは会ってないんですか?
平部:あ、実は2年ぶりぐらいに軽い同窓会みたいなところで会ったんですよ。
EMTG:それが「おわりではじまり」で歌ってること?
平部:そうなんです。そのとき酔ってたのもあって、募る想いがありすぎて、彼女の前で泣いてしまうっていう事件があって。それが「おわりではじまり」ですね。

reGretGirl「おわりではじまり」Music Video
EMTG:あれは実話なんですね。平部くんが歌ってることは、元カノも知ってるんですか?
平部:知ってくれてるみたいでしたね(笑)。
EMTG:この3部作で、ひとりの女性のことを歌い続けるっていうのは、自分にとってどういう作業だったと思いますか?忘れて過去にするためなのか……。
平部:今のところ、僕に打てる球がこれしかなかったから、作り続けてたっていうところが大きいんですけど。この3枚を出しても、まだその意味とかは、はっきりとはわからないですね。ただ、きれいにまとめることができたのは良かった。最後に「おわりではじまり」を入れることができて良かったなと思ってます。
EMTG:ひとつの区切りになりましたよね。
平部:まあ、でも、僕の性格上、これで3部作が終わったと言いつつも、また書いてしまいそうな気もするんですよ。それも別にいいと思ってて。自分でルールを作ってしまうと、選択肢が減ってしまうことになるから。優柔不断が売りなので(笑)。
EMTG:なるほど(笑)。そもそもreGretGirlって、別れた彼女を後悔させたいっていう想いでつけたバンド名ですけど、今後、作風が変わっても違和感はないですか?
平部:あくまでもreGretGirlは初期衝動でつけた名前なので、歌う内容が変わってきてもいいなと思ってるんです。たとえば、サザンオールスターズも、Mr.Childrenも、バンド名をつけた意味のまま歌ってるわけじゃないと思うんですよ。もちろん今後もラブソングを歌い続けたいし、それ以外も歌っていきたい。そのうえで、reGretGirlっていう名前を重荷に感じる必要もないし、自由にやっていければと思います。
EMTG:今日の話を聞いて、今後のreGretGirlが楽しみになりました。
平部:やっと先のことを考えられる余裕が出てきたんですよね。今までは新しい環境についていくのが精一杯だったんですけど。これからも、僕らがやりたいことをちゃんとやっていきたいです。それが3人でずっとバンドを続けるうえで大事だと思うので。
EMTG:わかりました。最後にちょっと余談なんですけど、平部くんのTwitterで、back numberの依与吏さんに会ったっていうのを見ましたよ。
平部:あ、そうなんですよ。ワイバン(「WILD BUNCH FEST. 2019」)でお会いして。back numberの皆さんも僕らのことを知ってくれてたみたいなんです。YouTubeをあさってて見つけてくれたみたいで。それが何よりもうれしかったですね。「やっと会えたね!」って言われて。
EMTG:いや、「それはこっちのセリフです」っていう感じですよね。
平部:そうそう(笑)。すごく緊張しました。
EMTG:マイヘア(My Hair is Bad)の椎木くんとのツーショットも上げてたじゃないですか。
平部:マイヘアもめちゃくちゃ聴いてましたからね。
EMTG:back numberとマイヘアは、reGretGirlに影響を与えた2大巨頭でしょ?
平部:まさに。そのふたりに1日で会ったんですよ。ただ、実際に会ってしまうと、そこまでの道のりが遠すぎて、逆に絶望を感じました(笑)。会えてうれしいのもあるんですけど、今まで見えてなかった到達地点がぼんやりと感じられた気がして。今まで漠然と進んでたゴールまでの道の遠さを感じた途端に怖くなりましたね。
EMTG:それもバンドを5年間やり続けて、今会えたのが良かったかもしれないですね。
平部:あ、そうですね。このタイミングで良かったです。もっと早かったら、「会えたー!」ってうれしいだけだったと思うんですよね。今はやっと地に足が着いてきたので。

【取材・文:秦理絵】

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リリース情報

soon

soon

2019年09月25日

No Big Deal Records

01.12月29日
02.白昼夢から覚めて
03.キスの味
04.soak
05.ブロッサム
06.テレフォン
07.おわりではじまり

お知らせ

■コメント動画




■ライブ情報

reGretGirl presents ”coming soon” ツアー
2019/11/28(木)東京 渋谷CLUB QUATTRO
2019/12/01(日)京都 GROWLY
2019/12/14(土)香川 高松TOONICE
2019/12/21(土)新潟 CLUB RIVERST
2019/12/22(日)宮城 仙台MACANA
2020/01/13(月・祝)神奈川 F.A.D YOKOHAMA
2020/01/18(土)石川 金沢vanvan V4
2020/01/25(土)福岡 BEAT STATION
2020/01/26(日)広島 SECOND CRUTCH
2020/02/01(土)北海道 札幌COLONY
2020/02/09(日)岡山 PEPPERLAND
2020/02/11(火・祝)愛知 名古屋CLUB QUATTRO
2020/02/15(土)大阪 梅田CLUB QUATTRO

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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