フレデリックが示し導く未来への物語――2nd EP『VISION』インタビュー

フレデリック | 2019.10.09

 今年2月にリリースした2ndアルバム『フレデリズム2』を引っさげて、5シーズンにわたるロングツアー「FREDERHYTHM TOUR 2019-2020」を敢行中のフレデリックから新たな作品が届いた。EPの表題曲となっている「VISION」は、80sなディスコサウンドの上で強い決意を滲ませる、今のフレデリックだからこそ鳴らせたメッセージソングだ。来年2月に開催される横浜アリーナでのツアーファイナル、そしてその先にある未来へ向かう物語を、彼らは自分たちだけでなくファンのみんなとも分かち合って進んでいこうとしている。「VISION」はそんなストーリーを盛り上げる最高のテーマソングだ。メンバー全員に話を聞いた。

EMTG:今年はずっとツアーを続けているフレデリックですが、ここまでの感触としてはどうですか?
三原健司(Vo・G):今年の2月に『フレデリズム2』というアルバムを出して、そのタイミングで丸一年のスケジュールを発表して。横浜アリーナまで走り抜けますよっていうので今絶賛ツアー中なんですけど、そういうやり方って今までなかったことなんですけど、やってみると自分たちの気持ちがお客さんとつながるんだなと思います。実際、その実感がすごい湧くような瞬間が多くて。こうやって道をちゃんと提示した上でやると、お客さんも意味を感じて来てくれてるっていうか、1人1人がすごく受け取ってくれようとしてくれてる感じがあって、そのコミュニケーションがすごくうまくいってるなって思います。
EMTG:そもそもそうやって先々のスケジュールと物語までしっかり共有していこうと思ったのはどうしてなんですか?
健司:アリーナ公演をやるときに、一発大きなことをしますって言ってそれに向けてやり出すっていうのが、自分達の性格に合わないなって思って。そこにたどり着くストーリーをちゃんと作りたいっていうのがあったんですよね。2018年4月の神戸ワールド記念ホールでの初アリーナの時も、いきなりアリーナに立つっていうことにすごい違和感を覚えて。ライブハウスでやってきたバンドがいきなりアリーナに立つのって、すごい夢があることだけど、それまでの道をちゃんと見せることも大事だなと思って、アリーナ公演の前に全国ツアーを組んだりしてたんで、それをもう1回やろうっていうことで。でも今回、前回と違うのが、ちゃんと先のスケジュールをいちばん最初に打ち出すっていう。そしてコンセプトを決めていった上で道をちゃんと提示してあげるっていうのを、より細かくしたっていう。
EMTG:お祭りだっていって打上花火を上げるのもやり方としてはありだけど、それだと自分で納得できないというか。
健司:できないですね。道として作っていくのがフレデリックのやりかたなんで。1回大きいのが上がっちゃったらそれで終わりになっちゃうこともあるし、そこがゴールじゃないのはわかってるんで、「ゴールじゃないんだよ」っていうのをちゃんと共有するのも大事だなって。
三原康司(B):1年先のことを発表した上で自分たちの道筋を見せていくって、音楽やる側にとってはすごい健全なことだと思って。バンド側のストーリーだったりとか音楽人生のなかで歩んでいくことって、身近で対面して一緒に音楽を楽しむお客さんにはやっぱり感じ取ってもらいたいなと思うんです。やっぱり今が一番面白いなと思って僕らも活動してるんで、そういう意味ではすごい健全に1本1本まわれているし、より近く感じますね。だからこの調子でシーズン3、シーズン4もより近い形で、どんどんいいライブができていくんだろうなっていう。すごくいいツアーになってますね。
高橋武(Dr):どのライブでもそうなんですけど、アンコールをやったあとのお客さんの表情が、一緒に先を見てくれてる感じがするんです。「今日のワンマンライブ終わった」っていう表情とはまたちょっと違うというか、みんながみんなその先にあるツアーとか横浜アリーナっていうのを見据えてその日のライブを楽しんでくれてるっていう感じがありますね。
EMTG:隆児くんは今のツアー、どうですか?
赤頭隆児(G):シーズン2で昔やってたライブハウスに行ったときに、ライブハウスの人に挨拶をすると「ほんまにここでいいの?」みたいなことを言われたりして。僕らのなかにはコンセプトがあってやってるけど、ここより大きいところでできるのにここを選んでくれてっていうので嬉しそうにしてくれるのと、初めて行ったときより話せることが多かったところに改めて歴史を感じました。昔ライブハウスのガラス割ったりしたこともあったんですけど(笑)、やりながらそういうのを思い出しましたね。
EMTG:(笑)。そんなツアーのさなかに新譜が出るわけですが、この「VISION」という曲は本当に未来を照らすような楽曲ですよね。
康司:そうですね。さっきの話とつながってくるんですけど、横浜アリーナに向けて1年間のスケジュールを出すっていうので、本当に未来をともにするっていうか。自分と健司ももうすぐ30歳になって新しいフェーズに突入するっていうのもあったり、時代が令和になったり、新章が始まるっていうか。そうしたときにメンバーで話していたら健司が「僕らの30代だったりこの先のバンドの未来が今まで以上に楽しくなったらいい、30代がいちばん楽しい時代を作れるバンドになりたい」って言っていて、それ、すごくいいなと。やっぱり歳をとってもどんどん心が若くなっていくっていうか、そういう気持ちでバンドをやっていくっていいことだなと思うし、そういう音楽がいきいきしていいものなんだなと思って、それをテーマにした曲を書いてこようって受け取って、生まれてきたのがこの「VISION」という曲でした。
EMTG:きっかけは健司くんの思いだったんですね。
健司:はい。20代がもうすぐ終わるってところで、いろんな場所で先輩方に「20代と30代の違いってなんですか?」って話をしていて。そこで「30代はすごい楽しいよ」って話を聞いてたんですよ。20代って本当にいろんなことが初めてで。学校を卒業して本当に自由な世界に放り出されて、初めての体験がすごく多いから当たり前に失敗するし、本当は正解なんだけど「若いから」っていう理由で失敗になることも多かったりするけど、30代ってその失敗をちゃんと経験として積んでるから自分で正解を導き出せる。自分が今までやってきたことが積み重なって自分のキャリアになるからすごく楽しくなるよって言われて、自分たちも、今まで積み上げてきたものをもっと弾けさせることができるんじゃないかなと思ったんです。だからこそ30代は面白くなるんだろうなって思うし、康司だったらその面白くなる曲を書けるなっていう確信もあった。だからこのタイミングで30代をいちばんワクワクさせる曲を書いてよってお願いしたみたいな感じです。
EMTG:なるほど。「30代をいちばんワクワクさせる曲」っていうところから作っていったときに、こういうサウンドになっていったのはどうしてですか?
康司:そうですねえ……今回ジャケットも描いたんですけど、なんか先が開けてくるっていうか、今までの自分たち自身もありつつ、でも新しい形、新しいライブの形だったりとか、歌メロに対して挑戦していたりとか。ライブで実際やってみても開けた光景が自分の中に思い浮かぶというか。その感じが出た音像感、サウンド感になってますね。
EMTG:みなさんはこの曲が出てきたときにどういう風に感じて、どういう風にアプローチしようって思いました?
健司:僕はさっき康司が言ってた歌メロみたいなところで、この曲が一番初めに出てきたときに……最近、自分の歌の特徴として声の伸びがすごい長所になってきたなっていうところがあって、そこを活かしてくれてるメロディだなと感じて。でもただ伸びるだけだったらよくある曲になっちゃう怖さもあったんで、ビブラートをめっちゃ入れたりとか、ニュアンスを足すようにはしてました。
高橋:僕はこの曲を聴いたときにいつもと違う印象を受けた部分があって。康司くんが書いてくれた曲を聴くときって、自分だったらどう叩くかとか、こういうアプローチしたら面白いんじゃないかってことを考えながら聴くんですけど、今回はそれ以前にもっと客観的に聴いたというか。おそらく想像するに、お客さんがフレデリックの曲を聴く感じにすごく近い感じで聴いていたっていうのが自分の中でのいつもとの違いで。それは、それだけ外に開けてる曲であって、曲のテーマ自体はバンドが今目指しているものともリンクしているんですけど、それだけじゃない、もっと開けた、誰にでも当てはまる、誰にでも共感してもらえるメッセージみたいなものをそこから強く感じたんですよね。
赤頭:僕はタイトルに結構感じたものがありました。シーズン1からツアー発表して、横アリという近くの目標があるなかでの、現段階での自分らの感じを曲にしたいっていうのがタイトルを見たときからあって。で、曲を聴いたらメロディがよかったから、それをギターで立てるようにしようと思って。「メロディを立てる」というのは、今回はどちらかというとバッキングよりのギターで、リードの部分はほかの楽器に任せたぶん、ノリみたいなところをリズム隊と話して、どれぐらい跳ねるかとか考えましたね。
EMTG:なるほどね。リズムもそうだし、サウンド全体として、この曲は賞味期限がすごく長いなと思ったんです。普遍的なポップス感があるというか、今にフォーカスして踊らせるんじゃなくて、10年先までの未来を見据えた上で今この曲を出すんだっていう意識があるのかなと感じました。
康司:ああ……たぶん、アリーナに向けて書いたっていうのもあると思います。やっぱり長く聴いてもらえる音楽をやりたいっていうのは自分の作曲者としての夢でもあるし、そういう曲をずっと書き続けていきたいと思っていて。そういうなかで一度アリーナに立った時に、アリーナってそれに一番近い場所だなと思ったんです。音の響きだったりメロの響きみたいな部分で、ああいう場所で「VISION」みたいな曲をやると説得力が出る。神戸のアリーナで「飄々とエモーション」を初めてやったときにそれを感じたんですよね。それもあってこういう曲が生まれたんだろうなとは思います。
EMTG:その意識って今回入っている3曲すべてに通じるものだったりします?
康司:どれも同じぐらいの時期には作っていて、テーマ的なことでいえば「VISION」と「終わらないMUSIC」は横浜アリーナっていうところは意識していましたね。「この先俺ら、面白いことしていきますよ」がもろに出てる3曲だと思いますね。まとめていえば「動き出そうぜ」っていう気持ちなんで。本当にこれから楽しくなるんだろうなって思ってますね。
EMTG:ほんとにそうだと思います。フレデリックって今までも常に「ここが始まりなんだ」「次にいくんだ」っていうメッセージを曲にしてきたと思うんですけど、今回はそれをいつになくストレートに言っている感じが新鮮だなと。
康司:そのときの決意をいろいろな形、自分たちが今面白いなと思う形でやり続けてきたなかで、30歳になるっていうきっかけもあったからこそ、より強く思う部分もあったんだと思います。
EMTG:それはたとえば、外の世界とか状況とかを見るなかで思いに変化が起きたみたいなところもある?
康司:ああー、面白いものが増えてきたから俺らももっと面白く頑張ろうっていうのはありますね。本当に変わっていくじゃないですか、何か思ってなかった方向に。それってすごく面白いことだなと思うし。音楽以外の娯楽もどんどん増えてきて、テレビよりYouTubeを見てる子たちのほうが多くなったりとか。その変化を楽しみたい、みたいな感じはありますね。
EMTG:音楽の聴き方、受け取り方が一気に変わっていくなかで、フレデリックが今提示している物語ってすごく王道だと思うんですよ。それ自体がひとつの闘い方なのかなと思う。
康司:ツアーのこのストーリー感は確かに王道だと思いますね。そうやって何か夢持って――僕らからすると1つ目標を持って何かに向かっていくみたいなことですけど、聴く人にとっては受験だったりとか、そういうところにより近くありたいなっていうのはあるんですよ。だから王道になったのかもしれないです。
EMTG:人生に寄り添うってことですよね。『oddloop』出してから5年、当時受験していた人がもう成人式を迎えるぐらいの時間が経っているわけですからね。
健司:あ、今日(取材日)で5年か!
EMTG:それぐらいの時間、フレデリックと人生をともにしている人がいるんですよ。そういう重みも、ちゃんとこのEPには込められていると思います。
康司:うん、そうやって一緒に進んでいけるというのは、素敵なことだなと思います。

【取材・文:小川智宏】


フレデリック「VISION」Music Video / frederic “VISION”

tag一覧 J-POP アルバム インタビュー フレデリック 男性ボーカル

リリース情報

VISION

VISION

2019年10月09日

A-Sketch

1.VISION
2.イマジネーション
3.終わらないMUSIC
4.シンセンス(FAB!!) Live at 新木場 STUDIO COAST 2019
5.かなしいうれしい(FAB!!) Live at 新木場 STUDIO COAST 2019

お知らせ

■コメント動画




■ライブ情報

FREDERHYTHM TOUR 2019〜UMIMOYASU編〜
10/11(金)岡山CRAZYMAMA KINGDOM
10/12(土)広島BLUE LIVE
10/14(月)高知キャラバンサライ
10/18(金)仙台Rensa
10/20(日)新潟LOTS
10/22(火)石川EIGHT HALL

亜細亜大学・亜細亜大学短期大学部
「Asia Festival Special Live 2019」

11/01(金)亜細亜大学 3号館講堂

佛教大学「第53回鷹陵祭」
11/02(土)佛教大学・鷹陵館メインホール

兵庫・甲南大学「摂津祭 2019」
11/03(日)甲南大学 体育館特設ステージ

FREDERHYTHM TOUR 2019〜VISION編〜
11/16(土)Zepp Sapporo
11/29(金)Zepp Nagoya
12/07(土)Zepp Fukuoka
12/14(土)Zepp Osaka Bayside

「FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY 2019」
12/25(水)インテックス大阪

FREDERHYTHM ARENA 2020〜終わらないMUSIC〜
02/24(月)横浜アリーナ

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

トップに戻る